3年後期 分子生物学 第9回 H28.11.28 高露 中間試験の点数について 前期の中間試験(25点満点)、定期試験(25点満 点)、後期(25点満点)の中間試験の合計点(75点 満点)を記載しています。 遺伝子の機能解析法 講義内容のポイント ・遺伝子多型の検出 ハプロタイプとは SNPに適した検出法(3種類) マイクロサテライト多型の検出 ・DNAの塩基配列の解析法 マクサム・ギルバート法 サンガー法 次世代シークエンサー 教科書p133〜 遺伝子多型の検出 ヒトゲノムの塩基配列は、各人で約0.1%の違いがある。 多様性を生じる (特定の病気や病気の素因、薬剤の感受性のと関連する) ヒトの染色体は、親から子へ遺伝するときSNPを含めてある特定の遺伝 子の組み合わせ(ハプロタイプ)は大きな塊として遺伝する 近隣のSNPは一連のセットで遺伝するため、その組みわせを調べることは疾患の 原因遺伝子の特定につながる 遺伝子多型の検出 ハプロタイプマップを利用して特定の疾患の原因遺伝子をクローニングする。 SNP1(C/T)およびSNP2(T/C)は、健常人、患者ともに認められる。 SNP3-SNP4の組み合わせがA-Gは患者にしか認められない。 この場合は、AとGのSNP変異により、この遺伝子の機能が失われ、発症したと予想され る。 サザンブロット法(RFLPの検出) RFLPの検出(restriction fragment length polymorphism) RFLP:SNPが制限酵素の認識DNA配列上に生じ、制限酵素認識配列が新た に生じたり、あるいは消失することで制限酵素処理でDNA断片の長さが変化 する。 サザンブロット法 ①制限酵素でDNAを断片化す る。 ②アガロースゲル電気泳動で DNA断片を大きさにより分離す る。 ③分離したDNA断片を変性させ、 ニトロセルロース膜へ移しとる。 ④標識したDNAプローブとハイ ブリダイゼーションさせる。 ⑤オートラジオグラフィーで検 出させる。 RFLP以外のSNPの検出 ・ほとんどのSNPは、制限酵素の切断部位とは無関係に生じることが多い。 ・SNPは相同染色体の両方(父・母)で調べる。SNPは下記の3パターンが存在す る。 パターン1 C/C パターン2 C/T パターン3 T/T C G C G C G T A T A T A 父由来 母由来 父由来 母由来 父由来 母由来 タックマンPCR法 SNPに対応するプローブを2種類用意する 蛍光2 蛍光1 蛍光2 蛍光1 蛍光2 蛍光1 蛍光2 蛍光1 蛍光1 赤のみ検出されればC/C 赤と青が検出されればC/T 青のみ検出されればT/T リアルタイムPCR法による定量 ・タックマンプローブ法 配列特異的な1つのプローブを使って増幅するPCR産物量を測定する方法。 Q:消光物質 プライマー Q R R:蛍光物質 Q R DNAポリメラーゼ R R Q Q タックマンPCR法以外の検出 ・DNAチップ 断片化したDNAとチップ上のオリゴヌクレオチドを反応させる。SNP部位には、 蛍光色素で標識した塩基を反応させる。 ・DNAシークエンス ゲノムDNAから目的遺伝子の領域をPCRで増幅を行い、DNAシークエンス 解析から得られた塩基配列を比較することでSNPを特定する方法 マイクロサテライト多型の検出 SNP以外の染色体DNAに見られる差異として、反復配列の反復回数の差がある。 マイクロサテライトDNA領域をPCRにて増幅後、電気泳動で検出することで比較で きる。 DNAの塩基配列の解析法 マクサム・ギルバート法(化学法) サンガー法(酵素法) マクサム・ギルバート法 ①一本鎖DNAの末端を32Pで標識し、 4種の塩基特異的な化学反応で限定 的に分解する(右図) 例:グアニンで分解する場合 ジメチル硫酸ナトリウムにより塩基のメチル化が生 じる。アルカリ条件下で加水分解すると切断される。 5’-ATCGATTCTCGG-3’ 3’-TAGCTAAGAGCC-5’ ②分解物をポリアクリルアミドゲル電 気泳動で分離する。 ③オートラジオグラフィーで解析する。 サンガー法 ①解析対象の一本鎖DNAの3’末端 に結合するプライマーを32Pで標識し、 DNA合成反応を行う。 その際、dNTP以外に、2’,3’ージデ オキシリボヌクレオチド三リン酸を加 える。 ②サンガー(Sanger)法 サンガー法 5’-GCATATTGCAGTCCA-3’ 3’-CGTATAACGTCAGGT-5’ 1本鎖に変性 標識したプライマー 鋳型DNA 5’-GCAT-3’ 3’-CGTATAACGTCAGGT-5’ PCR反応+ddNTP (どれか1種類のddNTPを加えて合成反応を行う。) ddATP 5’-GCATA-3’ 5’-GCATATTGCA-3’ 5’-GCATATTGCAGTCCA-3’ ddGTP 5’-GCATATTG-3’ 5’-GCATATTGCAG-3’ ddTTP 5’-GCATAT-3’ 5’-GCATATT-3’ 5’-GCATATTGCAGT-3’ ddCTP 5’-GCATATTGC-3’ 5’-GCATATTGCAGTC-3’ 5’-GCATATTGCAGTCC-3’ 4種類ddNTPの反応から得られた生成物をポリアクリルアミドゲ ルにて電気泳動する。 サンガー法 3’ ③オートラジオグラフィーで解析する。 5’-GCATATTGCAGTCCA-3’ 3’-CGTATAACGTCAGGT-5’ 5’ ATTGCAGTCCA・・・・ ②PCR生成物をポリアクリルアミドゲ ル電気泳動で分離する。 次世代シークエンサー法 サンガー法では、1回で解析できる塩基配列数に限りがある(1−96のDNA断片)。 解析処理能力が向上し、一度に数千万から数億の塩基配列を解析できるよ うになる。 次世代シークエンサー法の原理(パイロシークエンシング法) 鋳型DNA断片に相補的 なDNAの合成を行う。そ の際、生成されたピロリ ン酸が酵素反応により ATPを合成する。その ATPとルシフェリンの反 応により生じる発光を検 出する方法 テーラーメイド医療(個別化医療)の発展に貢献
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