東日本大震災のあらゆる記録を収集・活用 「みちのく震録

国立大学法人 東北大学 災害科学国際研究所
東日本大震災のあらゆる記録を収集・活用
「みちのく震録伝」の活動にアイシロンが貢献
■ 課題
など、様々な活動に役立てられている。また公
開 APIを通して、自治体や企業などの連携機関
東日本大震災に関わる記録を
網羅的に収集
への提供も行われている。
もっとも、これだけ 大 規模なデータを収容
するだけに、アーカイブ基盤システムの構築・
・ お客様名/国立大学法人 東北大学
東北∼関東地方に未曾有の大被害をもたら
運 用には多くの課 題もあったとのこと。柴 山
・ 業 種/文教
した東日本大震災。復興に向けた動きも着々と
氏は「特にシステムの中心となるストレージに
進みつつある一方で、被災地には震災の爪痕が
ついては、データをどんどん 蓄 積していける
未だ数多く残されている。その地理的条件から
大容量さと柔軟な拡張 性、それに耐障害 性の
■ 主な課題
自然災害が避けられない日本では、今回の震災
東日本大震災に関する膨大な映像、画像、資料を収集・
高さが求められました。また、研究者は IC T の
で得た教訓を今後の防災・減災に活かしていく
専門家ではありませんので、運 用管 理に手間
取り組みが強く求められる。
が掛からないことも重要なポイントでした」と
こうした中、東北大学 災害科学国際研究所を
振り返る。
・ 導入製品/EMC Isilon X200
EMC Isilon NL400
蓄積し、防災・減災や復興・地域活性化への利活用を
図るための大容量・高信頼ストレージ基盤が求められ
ていた。
■ 成果
中心に進められているのが、東日本大震災アー
今後のデータ増大にも余裕で対応できるスケーラブル
カイブプロジェクト「みちのく震録伝 (しんろく
なストレージ基盤を実現。アクセス頻 度に応じた階層
でん)」だ。同研究所 情報管理・社会連携部門
化保存を行うことで、データ保存コストの最 適化にも
災害アーカイブ研究分野 准教授 柴山 明寛氏は
成功。
「東日本大震災に関わるあらゆる記憶、記録、
事例、知見を収集・保存し、震災の実態解明や
復 興に資する知見の提 供、今後発生が懸 念さ
れる東海・東南海地震への対策などに活かして
いくことが本プロジェクトの目的。自然科学や
医療、人文系など幅広い分野の研究者が参画
し、分野横断的な災害研究を展開しています」
と語る。
特に大きな特徴となっているのが、いかなる
可能性をも否定せず網羅的な情報収集を行っ
ている点だ。柴山氏は、その理由を「研究の行
き詰まりを招く最も大きな要因は、必要なデー
タが必要な時に存在しないということ。後々に
どのような研究で、どのようなデータが必要に
なるか分かりませんので、あらゆるデータを集
めているのです」と説明する。
同研究所でも、震災直後 ( 当時の名称は東北
大 学防災科 学 研究 拠 点 ) から研究者自身が 記
録収 集に着手し、現在までに全体で約 45万点
以上の写真・画像等の震災記録を収集。また、
国立大学法人 東北大学
東北大学災害科学国際研究所
情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野
准教授
柴山 明寛 氏
産官学民連携の取り組みであることを活かし、
周辺自治体や賛同協力機関との連携による情
報収集も行っている。地域住民が残したい、伝
えたいと感じている情報を収集するフィールド
■ 解決のアプローチ
ワーク活動「みちのく・いまをつたえ隊」でも、
数多くの画像や証言記録などを集めている。
こうして収 集され た情 報は、同プ ロジェク
増え続ける大容量データを
最適な形で保存
トが構築した「アーカイブ基盤システム」に集
CaseStudy 事例
約。防災・減災研究のほか、Webサイトでの情
このような期 待に応 えられるストレージと
報公開や子どもたちへの防災教育、語り部支援
して現在 活用されているのが、E MC のスケー
ルアウト N A S「E MC アイシロン」だ。ストレー
「研 究者が 研 究を行う際には、それぞ れの
再稼動していったのかが見えてきます。その他
ジ・ノードを追加するだけで容量・性能を柔軟
ローカル環境にデータをダウンロードして利用
にも、交通や物流の情報、SNS上に流れるソー
にスケールアウトできるアイシロンは、本プロ
するケースも多い。この場合は、元データをわ
シャルデータなど、幅広い情報を組み合わせて
ジェクトのようなアーカイブ分野でも大きな威
ざわざ高性能ストレージに置いておく必要はあ
分析していけば、自然災害発生後の復旧活動を
力を 発 揮 。増え続ける大 量 の動 画・静止 画や
りませんので、階層化保存が行えることの利点
効率的に進めるための指針作りにも役立ちま
3Dデータ、センシングデータなどを余裕で格納
は大きいですね」と柴山氏は語る。
す」と柴山氏は説明する。
まさに、近年話題を集めているビッグデータ
することができる。
やIoTとも重なるテーマだが、さらには AIの領域
「震災当時の情報はもちろん重要ですが、実
は復興の過程で生じては消えていく情報も非
■ 成果
こと。柴山氏は「アーカイブデータとセンシン
常に重要です。たとえば地盤のかさ上げ工事に
しても、途中経過を映像で残しておかないと、
どこが元の地盤や道 路だったのか分からなく
に踏み込むような研究も視野に入っているとの
ビッグデータ分析などの
先端研究も推進
グデータを利用することで、災害発生時の意思
決定支援を行えないかと考えています。たとえ
ば、被 災者の方に最 適な避 難 経 路を提 示した
なってしまう。また、最近では陸前高田市の大
型ベルトコンベアの撤去が始まりましたが、こ
アイシロンの導入によって、今後の災害研究
り、自治体などに適切な支援活動を行うための
うしたものもきちんと撮影しておかないと復興
を支 えるスケーラブルなアーカイブ 基 盤 が 実
情報を提供したりといった具合ですね。災害は
への歩みが残りません」と柴山氏は語る。
現。また、信頼性向上や運用管理負荷軽減など
いつ来るか分かりませんから、事前準備を万端
ちなみにこれらの映像、現在では 4K ハイビ
の面でも、様々なメリットが生まれている。
にしておくことはなかなか難しい。しかし、いざ
ジョンカメラで撮影が行われているため、デー
「以前導入したNAS 製品では度々ディスク障
という時の判断を支援してくれる仕組みがあれ
タ容量 が飛 躍的に増えているのだという。ま
害が発生し、その対応に悩まされることも少な
ば、避難行動や避難所での活動にも役 立つは
た、さらにその他にも、他大学から提供された
くなかった。研究者は研究が本業ですから、こ
ず」と続ける。
震 災 遺 構の 3D グラフィックデータなど、様々
うした作業に手間を取られるのは決して望まし
同研究所では、周辺自治体が震災記録アーカ
な大 容 量データが 新たに加わっている。しか
い状況とは言えません」と柴山氏。もちろん、
イブを構築する際のガイドライン作りにも参画
し、高いスケーラビリティを備えたアイシロン
アイシロン導入後はこのような問題も解消。通
しているが、将来的にはここで定められたガイ
なら、容量不足の心配をすることなく、保存を
常の N A S 製品のように、R A IDコントローラ障
ドラインを世界 標準に育てていきたいとのこ
行っていくことが可能だ。
害によってシステム全体がダウンしてしまう心
と。「震災で得た教訓を日本中、世界中の人々
また、もう一つ注目されるのが、データのア
配もないため、安心感は大幅に向上している。
に伝承していくことで、それぞれの地域におけ
クセス頻度に応じて、保存先を変えられるよう
また、巨大なストレージ空間をワンボリューム
る防災・減災に貢献できれば。当研究所でも、
にしている点だ。アイシロンには高いパフォー
で利用できる、ノード増設をボタン一つで行え
そのための取り組みを積極的に推 進していき
マンスを 誇る「S シリーズ 」、容 量と性 能 のバ
るといった特長も活かすことで、構築時に目指
ます」と力強く語る柴山氏。EMCのストレージ
ランスに優れた「X シリーズ」、長 期 保 存向け
した「メンテナンスフリーに近いストレージ環
ソリューションも、その一端をしっかりと担って
の「N L シリーズ」および「H D シリーズ」と4 種
境」( 柴山氏)が実現している。
いくのである。
類の製品がラインナップされているが、今回の
同研究所では、アイシロンに蓄積されたデー
アーカイブ基盤システムでは「Isilon X200」
タを活用し、今後も防災・減災に関わる先端研
×4ノード+「Isilon NL400」×4ノードの構成
究を進めていく考えだ。
を採用。頻繁にアクセスされるデータは X200
「その一例として、オフィス機器の保守デー
に、そうでないデータは N L400 に配置するこ
タやサーバのログ情報などの分析が挙げられ
「防災・減災研究の分野においても、データ利
とで、性 能 要件とコスト要件を両 立させてい
ます。こうしたものを調べれば、様々な機器が
活用の重要性は非常に高まっています。今後の
るのである。
震災時にいつ稼動を停止し、どのタイミングで
研究においては、大容量のデータを迅速・効率
〈お客様コメント〉
的に活用できる環境が欠かせませんので、スト
レージをはじめとするIC T 製品の進化にも大き
みちのく震録伝の利用イメージ
な期待を寄せています」
東北大学災害科学国際研究所 情報管理・社会連携部門 災害アーカイブ研究分野
准教授 柴山 明寛氏
2015年12月版
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