モニターの声 No.43 編集部 大好評のタキイ品種試作モニター。今回もたくさんの方 に、試作していただきました。それでは、試作モニター の皆さんから、現場の生の声をどうぞ。 もも 兵庫県伊丹市 あさ やま た ろう トマト 「桃太郎ゴールド」 「クックゴールド」 カボチャ 「ロロン」 ひろ ゆき 朝山 博行さん 岡山県新見市 たい ひ た なべ み ち よ 田辺 実千代さん 母から畑を引き継ぎ、野菜作りを始めて約10年。自家製の堆肥 私は新しい野菜、珍しい野菜を作るのが大好き。それを出荷 を施し、作物が元気になる土をつくってきました。今は基本的に したり、ご近所に差し上げたりしたくて、新品種にもどんどん 無農薬。木酢液を使う程度です。カボチャは毎年お盆のお供え用 挑戦しています。黄色系のトマトでは 「オレンジ千果」 がお気に に作って配るので、ユニークな 「ロロン」 は喜ばれると思いました。 入りで、この2つもぜひ栽培したいと思いました。 4月2日にポリポットへタネをまき、5月15日に定植。本葉5 3月27日に播種し、5月2〜3日にハウスへ定植。生育は順 枚で摘芯し、子づる3本仕立てとしました。今回は実験的に2カ 調で、初めはまめに管理していたのですが、6月中旬からリン 所へ植え、一方は通常の地這にし、もう一方はつるを立体に仕立 ドウの出荷に手をとられ、トマトはほぼ放置状態。長雨続きの ててみました。前回、たまたま柵の近くに植えたカボチャのつる 時にうどんこ病が出て、その防除だけは行いましたが、あとは が上って空中栽培のようになり、できたものが意外によかった。 何もせず、気がついたら驚くほど実がついていました。 そこで、通常の栽培と比較してみようと思ったのです。 濃く色づくまでよく待って、7月中旬から収獲を始めました。 まず、地這の方は多少うどんこ病が出ましたが、柵に上らせた どちらもよい色ですが、 「クックゴールド」 は特にきれい。中玉 方は風通しがよくまったく出ない。さらに、実をつるす形になる にしては大きめの実が1段に6果以上と、かなりの迫力です。 ち ばい ので変形せず、土に接しないため肌もきれい。発泡スチロールの 「桃太郎ゴールド」 も1段に3〜4果、形のよい大きな実がつい マットを敷く手間もいりません。虫食いとも無縁でした。 ているし、完熟果でもしっかりして収穫時に傷んだりしません。 暑さで樹は早めに枯れ上がりましたが、実は初期から多くつき、 食べてみると、やはり 「桃太郎ゴールド」 がおいしい。糖度は 収量的にも満足。食べたら甘く舌触りやわらかで、ケーキに向き 高くないそうですが、酸味が少なくて甘く感じます。新見の昼 そうです。差し上げてもまず形で驚かれ、後で 「おいしかった」 と 夜の寒暖差が、より甘くしているのかもしれません。 「クックゴ 言ってもらえます。近所の八百屋に置かせてもらっているので、 ールド」 は砂糖とレモン汁を混ぜて煮詰めたら、鮮やかでおいし 来年は高温対策を勉強し、長く収穫して販売も…と考えています。 いジャムになり、気に入って毎日のように食べています。 今は野菜作りにすっかりはまっています。思うようにいかなく 9月に入って、ようやく 「桃太郎ゴールド」 の出荷を始められ ても 「今度こそは」 とやる気が出る。今の課題はスイカ。メロンや ました。来年はもっと作って、できれば 「クックゴールド」 のジ スイートコーンの抑制作にも興味があります。ワンパターンでは ャムも出したい。宝塚市にあるJAのアンテナショップへも出 おもしろくないから、年々何かを変えていこうと思っています。 荷しているので、ぜひこのトマトを味わってほしいと思います。 ← 立体仕立ての「ロ ロン」。落ち葉や スイートコーンの 残さ、米ぬかなど でつくる、自家製 のぼかし堆肥を使 用。 ち ↑おいしさが、めずら しい形とともに記憶 に残る。 ← は低段 通常は堆肥を多く ↑「クックゴールド」 から多く実がつき、田辺さ 施すが、今回は前 年の残肥で育てた。 んを驚かせた。 か ミニトマト「オレンジ千果」 「千果99」 大阪府高槻市 たに もと ひと し 谷本 一司さん ← 「オレンジ千 果」はフルー ティでくさみ がない。 ← 元肥に有機化成を 使用し、ハウスで マルチ栽培。 私は 「大阪エコ農産物」 の認証をとったのをきっかけに、平成 よく食べている。それぞれに違ったよさがあります。直売所へ 葉物で、トマトはほとんど経験がないのですが、ミニなら作り ら、少々値を上げたのに売れゆき向上。残ったことはなく、短 23年から学校給食と直売所へ出荷を始めました。作るのは主に やすいと思い試作に申し込みました。 4月9日にポリポットへ播種し、5月29日にハウスへマルチ をして定植しました。実は、以前ミニトマトで失敗したことが は、最初は品種ごとに出していたのですが、混ぜて詰めてみた い期間ですが手応えを感じました。 直売所では珍しいものや時期をずらしたものがよく売れます。 しょしゅう を使って7月後半まで出す 例えばキャベツの場合、私は 「初秋」 あったのですが、今回は生育順調。害虫防除にのみ薬剤を定植 のですが、最後には競争相手がいなくなります。覆いをするな 7月11日から収穫を開始しました。 「千果99」 は濃い赤をして るしかありません。仕事をしながらの農業なので、大変ではあ 翌日に一度用いましたが、病気は特に出ませんでした。 おり、トマトらしいおいしさ。一方の 「オレンジ千果」 は色がき れいで青ぐさみがなく、フルーティな甘さでトマト嫌いの妻も ど手間はかかりますが、限られた畑で利益を上げるには工夫す りますが、これからもいろいろ取り入れながら、自分に合うも のを見つけていくつもりです。 85 2017 タキイ最前線 春種特集号
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