161014-LeadingSeminar102-北川 宏先生

111回
九州大学大学院 博士課程教育リーディングプログラム
第
分子システムデバイスコース
Advanced Graduate Course on Molecular Systems for Devices
分子システム
Open Seminar
デバイスセミナー
★
2016 年 12 月
日時:
2
参加費無料
日 (金) 16:30 ∼18:00
会場: 伊都キャンパス 総合学習プラザ 110
Ito: Open Learning Plaza 1F Seminar Room(110)
独自アイディアを、
科学の方法で社会に共有しよう:
医療と科学の経験からの提言
概要
狩野 光伸 先生
岡山大学大学院
医歯薬学総合研究科 副研究科長・教授
日本学術会議 若手アカデミー
副代表
The Global Young Academy
前執行委員
■お問い合わせ先
皆様は毎日されている
「科学」
という活動を、
どんな目的をもって進めておられますか。国の財政が豊かでない状況
で、科学と教育をどう支援するのかという議論が特に行政の周辺で起きていて、科学と教育の目的をはっきり言語化
していくことが今後ますます求められており、皆様も遠からず自ら考える必要が出てくるでしょう。
この視点から本プ
ログラムの趣旨を拝見すると
「複数の基盤的な学術知識・文化民族間の相違を理解・俯瞰的な視点」
という表現があ
り、それぞれ答えとなる可能性を感じますが、では皆様が実際にこれらを具体化するためにはどんな視野や思考が
必要でしょうか。
私は、臨床医を経験したことがあるためか、たぶん一般的な研究者に比べて、だいぶ社会の課題というものに敏感
になってしまいました。もちろん患者としての個々人の治らない病気も、医学生物学的あるいは工学的な課題や疑
問を呈します。が臨床現場にいると、個々人を治そうとするだけではどうにもならない、社会の仕組みの課題や疑問
というものにも目が向いてしまいます。
これらが、
自分が科学を進める動機づけを形成しています。
他方で科学者としては、
まずは医学・工学的なアプローチから研究を進め、
アカデミー活動にも関与してきた視点か
ら、科学の役割も気になります。その観点から科学の全体を、つまり自然科学も人文社会科学も含めて、改めて見て
みると、科学がルールとしている思考回路は、
まだ他者が受け入れていない「独自アイディア」を、
できるだけ正確に
改善しながら伝えていくのに、
とても洗練された方法であるということに気づきます。科学は、
「新しい主張を、論理
的に対応する、再現可能な証拠で支えていく」活動だからです。そして世の中の課題や疑問は、
これまでの方法で答
えられないからこそ、独自アイディアに基づいた新しい提案を必要としているのです。
このような「科学」の理解は、皆様が本プログラムの目的とする、
「複数の基盤的な学術」を身につける上で、
「文化民
族間の相違理解」の次に必要な共通項を考える上で、そして
「俯瞰的視点」を持つうえで、大変重要であるということ
を最近改めて実感しています。今回このような理解を皆様と共有するために、医療と科学のいくつかの実例をご提
供し、なぜ科学の活動をしていくのか、
ともに俯瞰的に考える機会としたいと思います。
分子システムデバイス国際リーダー教育センター支援室
E-mail:office[at]molecular-device.kyushu-u.ac.jp
TEL:092-802-2911 FAX:092-802-2912
〒819-0395 福岡県福岡市西区元岡 744
九州大学伊都キャンパス ウエスト 2 号館 627 号室
■ 主催:九州大学 大学院博士課程教育リーディングプログラム
分子システムデバイスコース
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