サザンプトン ルール説明書 第2版 その昔、イギリス南岸の港町サザンプトンは、ロンドンやウィンチェスターといったイギリスの都市と、フラ ンスのノルマンディー地方とを結ぶ港町として大いに栄えました。ウールハウス(羊毛の家)に集まったイギリ スの羊毛は、フランスのワインと取り引きされ、サザンプトン城には王のワインが蓄えられ、商人たちは貿易に よって富を得ました。 あなたは商人のひとりとして、この魅力的な港町でより多くの富を稼ぐことを目指しています。あなたは誰よ りも多く稼ぐことを望んでいますが、他の商人たちも同じように考えています。時には町を襲う海賊から、城壁 によって財産を守らねばなりません。あなたはこの港町で、もっとも偉大な商人となることができるでしょうか。 ■ゲーム情報 プレイ人数 2人、プレイ時間 約20分、対象年齢 10歳以上 ■必要なもの ゲームボード(ハガキ)…2枚、コマ…赤8個、青8個、白5個 ■ボードの説明 (1) 羊毛市場、(2) 布市場、(3) 商家、(4) 教会、(5) 輸出港、(6) ワイン港、(7) 王の城、(8) 城壁 … それぞ れの建物の説明は「3.アクションの実行」にて行います。 (A) 所持金トラック … ボード外周のトラックは、プレイヤーの所持金(お金)を表します。単位は「ポンド」 です。所持金は0ポンドより少なくはなりません。 (B) 月トラック … 現在の月(ラウンド)を表します。 (C) 売値チャート … 各品物の売値を表します。両プレイヤー共通です。 (D) 倉庫トラック … プレイヤーの所持する品物(羊毛、布、高級布、ワイン)を表します。各品物は最大5 個まで持つことができます。 (E) 酒場マス … アクションを行った部下はここに集まります。 ■ゲームの準備 1. 一方のプレイヤーが赤のコマ7個を、もう一方のプレイヤーが青のコマ7個を取って手元に置きます。 (こ れを各プレイヤーの「部下」または「部下コマ」と呼びます。)最近イギリスに旅行したプレイヤーが、先に好 きな色を選びましょう。 2. 2枚のボードを、テーブルの中央に置きます。 3. 白のコマ1個を、酒場ボードの月トラックの「1」のマスに置きます。 4. 所持金トラックの「20」のマスに、赤と青のコマを1個ずつ置きます(つまり、最初の所持金は20ポ ンドです)。お金の増減にあわせて、このコマを動かしてください。 5. 売値チャートの、4つある各商品列の太枠で囲まれたマスに、白のコマを1個ずつ、計4個置きます。 (こ れは商品1個あたりの売値を示します。) これで準備は完了です。 1 ■ゲームの目的 「サザンプトン」では、プレイヤーは2人の商人となって貿易を行い、相手よりも多くのお金を稼ぐことを目 指します。ゲームは7か月にわたって行い、終了時により多くのお金を稼いでいるプレイヤーが勝利します。 ■ゲームの進行 このゲームは7ラウンド、すなわち7か月にわたって行います(以下、ラウンドを「月」と呼びます)。それ ぞれの月には、以下の処理1~4を順に行います。 1.部下の招集 2.派遣 3.アクションの実行 4.海賊の襲来と月の終わり これを7ヶ月繰り返したあと、最後に勝利判定を行って、ゲームは終了します。 以下では、それぞれの処理についてくわしく説明します。 ■1.部下の招集 1.部下の招集 各プレイヤーはまず、この月に何人の部下を働かせるかを決めます。手元の部下コマを、働かせたい数だけ手 に握ります。1人も握らないこともできます。何人の部下コマを握ったのかが相手に分からないよう、残った部 下コマを手などで隠しておきます。 全員が握ったら、一斉に手を開いて部下コマを公開します。より少ない数のコマを握ったプレイヤーが、この 月の先手番となります。同じ数だった場合、月トラックの今月の色(1、4~5月は赤、2~3、6~7月は青) で示されたプレイヤーが先手番となります。 1人も握らなかったプレイヤーは、次の「2.派遣」と「3.アクションの実行」は行いませんが、酒場にい る部下をただちに2人まで手元に戻すことができます。所持金トラックのコマは部下ではないので戻せません。 ■2.派遣 まず、先手番のプレイヤーは、「1.部下の招集」で握った部下を一度にすべて、ボード上の1つ以上の建物 の上に置きます。複数の建物に部下を置いてもよく、1つの建物に何人でも置けます。置きたい、または置ける 建物がない場合、部下の一部または全部を手元に戻してもかまいません。 次に、後手番のプレイヤーも同様に、握ったすべての部下を一度に好きな建物に置きます(一部を手元に戻し てもかまいません)。すでに相手の部下が置かれた建物にも置くことができますが、そのときは相手の部下より 多くの部下を置かなければなりません。たとえば赤の部下が2人いる建物には、3人以上の青の部下を置く必要 があります。 ■3.アクション ■3.アクションの実行 アクションの実行 両者が部下を置いたら、まず先手番のプレイヤーが、置いた建物に対応するアクションを実行します。相手の 部下がいる建物のアクションも実行できます。どの建物のアクションからでも実行できますが、一度選んだ建物 のアクションを2回以上に分けて実行はできません。実行後、その建物のすべての部下を酒場に移動します。先 手番のプレイヤーのアクションがすべて終わったら、後手番のプレイヤーも同様に行います。 それぞれの建物には、以下のアクションが対応します。品物が増減する場合は、下記「倉庫の管理」に従って、 倉庫の品物の個数を変えてください。 2 <(1) 羊毛市場><(2) 布市場> 市場は2つあり、(1)の羊毛市場では羊毛を、(2)の布市場では布を、それぞれ置いた部下1人につき2個まで 買うことができます。羊毛は1個につき1ポンド、布は1個につき3ポンドを支払います。 <(3) 商家> 商家では、部下1人につき羊毛を布に、または布を高級布にいくつでも加工できます。加工賃として、羊毛を 布にするには1個につき1ポンド、布を高級布にするには1個につき2ポンドを支払います。部下2人を置くと 両方の加工ができ、どちらの加工を先に行ってもかまいません。 <(4) 教会> 教会では、品物の売値を上げることができます。置いた部下1人につき、売値チャート上の品物1種類の売値 を最大1段階上げます。ただし、売値チャートの最上段に上げるときのみ、部下2人が必要です。1回のアクシ ョンで同じ品物の売値を一度に2段階以上上げてもかまいません。 <(5) 輸出港> 輸出港では、部下1人につき羊毛/布/高級布のうち1種類の品物を、売値チャートに示された売値でいくつ でも売ることができます。このとき売った品物は、チャートの売値を(売った数-1)段階だけ下げなければな りません。 <(6) ワイン港> ワイン港では、部下1人につき、羊毛/布/高級布のうち1種類をワインに何本でも交換できます。交換の割 合は「羊毛2個→ワイン1本」 「布1個→ワイン1本」 「高級布1個→ワイン2本」です。部下2人以上を置くと 複数の品物を交換でき、どの交換を先に行ってもかまいません。ワインを別の品物に交換はできません。 倉庫に4本のワインがあり、さらに高級布1個をワインに交換するとき、1本だけを倉庫に入れてもかまいま せん。余った1本のワインは海に捨てられ、お金にはなりません。 <(7) 王の城> 王の城では、倉庫のワインを売値チャートに示された売値で売ることができます。部下1人でワインを何本で も売ることができます。このとき、チャートのワインの売値を(売った数-1)段階だけ下げなければなりませ ん。 <(8) 城壁> 城壁に部下を1人以上置くと、城壁が建設されます。城壁は一度だけ海賊の襲来を防ぐことができます。ここ に置いたすべての部下は城壁を守るため、海賊の襲来までは酒場にも移動せず、手元に戻すこともできません。 ■4.海賊の襲来 ■4.海賊の襲来と月の終わり .海賊の襲来と月の終わり 2月、5月、7月には、月の仕事が終わると海賊がやってきます。このときすべてのプレイヤーは、次の(A) (B)のどちらかを行わなくてはなりません。 (A)倉庫の品物のうち、1種類をすべて失う。 3 (B)所持金から20ポンド(所持金がそれに満たない場合は全額)を失う。 所持金と品物のどちらを失うか、どの品物を失うかは、相手プレイヤーが選びます(相手が品物やお金を得る ことはありません)。城壁を建設しているプレイヤーは海賊の襲来を受けず、品物もお金も失いません。城壁の 部下は全員、襲来が終わると酒場に移動します。 その後、7月でなければ以下を行います。まず両者は酒場にいる部下から1人を手元に戻すことができます。 そして月トラックの白いコマを次の月に進め、次の月を始めます。 ■倉庫の管理 建物のアクションを実行して新たに品物の種類が増える場合、その建物の部下コマから1つを選び、ただちに 倉庫トラックの対応する品物の0のマスに移動します。すでにその品物を管理する部下コマがいる場合、新たに 部下コマを移動する必要はありません。 その後、取り引きした品物の数だけ倉庫トラックの部下コマを上下させます。各品物はいかなる場合も5個よ りも多く増やすことはできません。品物が0個になったら、その部下コマをただちに酒場に移動します。 倉庫トラックにいる部下は望むならゲーム中いつでも酒場に移動することができ、このとき倉庫の商品は種類 にかかわらず、1個1ポンドで売ることができます。 ■勝利判定 所持金トラックの所持金を比べ、金額がより多いプレイヤーの勝利です。 所持金が同じときは、手元に残った部下の数がより多いプレイヤーの勝利です。 手元の部下の数も同じときは、引き分けです。 ルールの注意点 ルールの注意点 ◆お金は0ポンドよりも減ることはありません。お金も品物も失ってしまうと、一切のアクションができなくな ることに注意してください。そのときは、負けを宣言してゲームを終わらせてください。 ◆市場などで品物が増え、倉庫に部下を移動した結果、対応する建物の部下の数が減ることがありますが、それ によって売買できる品物の数や種類が減るわけではありません。たとえば2人の部下を羊毛市場に置き、1人を 倉庫に移動しても、羊毛は2個までではなく4個まで買うことができます。 ◆それぞれの建物には、アクションの実行に必要な数よりも多くの部下を置いてもかまいません。言いかえると、 アクションは置いた部下の数よりも少ない効果で実行できます。たとえば教会で、2人の部下を置いて売値を1 段階しか上げなくてもかまいません。アクションを実行せず部下を酒場に移動するだけでもよく、その場合お金 を支払ったり品物を減らしたりする必要はありません。 ◆「王の城」 「城壁」では、部下を何人置いてもアクションの効果には関係ありません。 ◆手元に残った部下の数は、「1.部下の招集」のときを除いて、公開情報です。あなたは求められたら相手に それを見せなくてはなりません。 4
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