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Title
学校における医薬品の常備・使用実態
Author(s)
安部, 奈生; 土蔵, かおり; 竹中, 美喜; 堂腰, 律子; 岸本, 希; 芝木
, 美沙子; 笹嶋, 由美
Citation
北海道教育大学紀要. 教育科学編, 57(1): 279-294
Issue Date
2006-08
URL
http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/434
Rights
Hokkaido University of Education
北海道教育大学紀要(教育科学編)第57巻 第1号
JournalofHokkaidoUniversityofEducation(Education)Vol.57,No.1
平成18年8月
August,2006
学校における医薬品の常備・使用実態
安部 奈生・土蔵かおり*・竹中 美喜*・堂腰 律子**
岸本 希***・芝木美沙子*・笹嶋 由美*
北海道教育大学附属旭川小学校
*北海道教育大学教育学部旭川枚 臨床医科学・看護学教室
**北海道千歳高等学校
***北海道教育大学附属旭川中学校
AnInvestigationRegardingMedicineSuppliesatSchool
ABENao・TOKURAKaori*・TAKENAKAMiki*・DOUKOSHIRitsuko**
●***・SHIBAKIMisako*・SASAZIMAYumi*
KISHIMOTO Nozoml
FuzokuAsahikawaElementarySchoolofHokkaidoUniversityofEducation
*DepartmentofClinicalScienceandNursing,AsahikawaCampusHokkaidoUniversityofEducation
**
HokkaidoChitoseHighSchool
***FuzokuAsahikawaJuniorHighSchoolofHokkaidoUniversityofEducation
要 旨
学校では,ケガや体調不良を訴える児童生徒に対し,救急処置の一環として,症状横和のために必要最小
限の範囲で救急薬品を用いる場合がある.しかし,その主な使用者の養護教諭の職務範囲は明確ではなく,
救急処置における医薬品の使用についても様々な考え方がある.
そこで,小学校,中学校,高等学校332校を対象に,保健室や学校行事での救急処置活動における医薬品
の常備・使用の現状を調べたところ,ほとんどの学校で保健室に医薬品が常備されていた.内服薬の使用に
関して,全体では59.0%の養護教諭,特に小学校では86.7%が学校での使用は好ましくないと考えていたが,
やむを得ず内服薬を使用する現状が窺えた.
外用薬の使用に関しては,比較的安全性が高いとの判断から全校種で多く使用されていたが,かぶれなど
の使用に関する問題点等の検討や対応が望まれる.
Ⅰ.緒 言
山名らの調査1)によると,養護教諭に求められ
る職務内容で最も多く挙げられていたのは「救急
処置」で,次いで「相談活動」との見解が,養護
教諭,保護者,教員に共通していた.しかし,そ
の養護教諭の職務範囲については明確ではなく,
救急処置における医薬品使用についても様々な考
279
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
え方がある.
学校では,ケガや体調不良を訴える児童生徒に
対して,救急処置の一環として救急薬品を使用す
る場合がある.ただし,これは症状の横和のため
困難事項,等である.
解析にはズ2検定を用い,有意水準5%以下と
した.なお,集計および解析にはMicrosoftExel
(MicrosoftCorporation)を使用した.
に必要最低限で用いられるのが原則である.また,
保健室には医師や薬剤師等が常勤していないた
め,取り揃える薬品は一般用医薬品に限定される2).
一般医薬品は,専門的な医学的知識があまりな
い人が使用しても安全なように,主作用と副作用
Ⅱ.結 果
1.対象校の概要
対象校は332校(回収率36.9%)で,小学校105
が十分に明らかにされた成分を使用し,さらに副
校(35.0%),中学校103校(34.3%),高等学校124
作用が起きる危険性をできるだけ減らす工夫をし
校(41.3% 内訳:全日制108校,定時制16校)
て製造されている.しかし,一般医薬品の中には,
であった.
最近まで医師の監督下でのみ使用されていたもの
児童生徒数は,小学校は17∼999名(平均310.3
や,通常医師が使用している成分が含まれている
名)であり,「300名未満」が最も多く54校(51.4%),
ものがあり,使用にあたっては注意が必要である.
次いで「300∼600名」が31校(29.5%)であった.
保健室に来室する児童生徒は,小さな擦過傷や
中学校は12∼1002名(平均267.9名)であり,「300
切傷,軽度の頭痛,腹痛等の事由が大半を占める
名未満」が最も多く59校(57.3%),次いで「300
が,その中には薬を求めてくる者がおり,それら
∼600名」が28校(27.2%)であった.高等学校
の児童生徒に対する対応方法を明確にする必要が
は24∼1344名(平均458.9名)であり,「300名未満」
あると思われる.
が最も多く53校(42.7%),次いで「600∼900名」
過去の学校救急薬品の常備薬品や選択に関する
が22校(17.7%)であった.
研究では,小倉・玉井の「学校救急薬品に関する
考察」(1966)3),中村・清水の「学校救急薬品の
使用実態について」(1985)2)等があるが,最近で
はほとんどなされていない.
我々は,アレルギーなどの様々な健康問題が増
2.医療機関までの搬送時間
内科系の医療機関までの搬送時間は平均7.9分
で,「10分以下」の回答が最も多く274校(82.5%),
次いで「11分以上20分以下」が40校(12.0%)で
えてきている近年,保健室や学校行事の救急処置
あった.なお,離島から本島への搬送で「1日」
活動における医薬品の常備と使用の現状を知るこ
との回答があったが,本集計からは除いている.
とが必要と考え,本研究に着手した.
学校規模別に】般送時間の平均をみると,「900名
以上」が最も一般送時間が長く9.4分で,次いで「600
Ⅱ.対象および方法
2003年11月北海道内の小学校,中学校,高等学
校から無作為に抽出した小学校300校,中学校300
校,高等学校300校に勤務する養護教諭900名を対
∼900名」が8.5分,「300名未満」が7.9分であった.
学校規模別に搬送時間を比較すると,「900名以上」
が「900名未満」に比べて有意に長かった(P<
0.01).
外科系の医療機関までの搬送時間は平均11.7分
象に,無記名自己記入式質問紙郵送法で,保健室
で,「10分以下」の回答が最も多く233校(70.2%),
における医薬品に関する調査を行った.
次いで「11分以上20分以下」が51校(15.4%)で
主な調査内容は,①保健室来室状況,②常備し
使用している医薬品の種類,名称,③医薬品の年
間使用回数,④医薬品に関する考え,判断基準,
280
あった.なお,離島から本島への搬送で「1日」
との回答があったが,本集計からは除いている.
学校規模別に】般送時間の平均をみると,「300名
学枚における医薬品の常備・使用実態
未満」が最も搬送時間が長く13.7分で,次いで「900
対象校の養護教諭の経験校種は,小学校が最も
名以上」が11.0分,「300∼600名」が8.8分であっ
多く221名(66.6%),中学校185名(55.7%),高
た.学校規模別に搬送時間を比較すると,「300名
等学校140名(42.2%)であった.
未満」が「300名以上」に比べて有意に長かった(P
<0.005).
4.保健室来室状況
1日あたりの来室者数は平均10.2名で,「10名
未満」が最も多く152校(45.8%),次いで「10∼
3.対象校の養護教諭
20名」が102校(30.7%),「20∼30名」が32校(9.6%)
2004年3月における養護教諭の経験年数(推計)
であった(表1).
の平均は18.0年で,「20∼30年」が最も多く112校
年間の相談活動による来室者数は平均62.2名
(33.7%),次いで「10∼20年」が103校(31.0%),
で, 「50名未満」が最も多く178校(53.6%),次
「10年未満」が75校(22.6%)であった.
いで「50∼100名」40校(12.0%),「100∼150名」
校種別に経験年数の平均をみると,小学校は
19.5年,中学校は18.7年,高等学校は16.2年であっ
21校(6.3%)であった(表2).
年間の内科的主訴による来室者数は平均761.6
た.
表11日の平均来室者数
校(%)
来 室 者 数(人)
平均
(人)
全 体 n=332
10∼20 20∼30 30∼40
∼10
40∼
不 明
10.2 152(45.8) 102(30.7) 32(9.6) 14(4.2) 10(3.0) 22(6.6)
小学校 n=105 11.0 48(45.7) 25(23.8) 11(10.5) 8(7.6) 4(3.8) 9(8.6)
校
種
別
高 校 n=124
9.9
63(50.8)
48(38.7)
5(4.0)
2(1.6)
4(3.2)
2(1.6)
∼300 n=166 4.6 112(67.5) 26(15.7) 9(5.4) 2(1.2) 4(2.4) 13(7.8)
規
模
別
1(2.9)
900∼
n= 27 18.7 2(7.4) 14(51.9) 6(22.2) 3(11.1) 3(11.1) 0
表2 1年間の相談活動人数
校(%)
来 室 者 数(人)
平均
(人)
全 体 n=332
高 校
50∼100 100∼150 150∼200 200∼250 250∼
不 明
52.1 178(53.6) 40(12.0) 21(6.3) 10(3.0) 9(2.7) 14(4.2) 60(18.1)
小学校 n=105
校
種
別
∼50
22.7
59(56.2)
8(7.6)
2(1.9)
0
2(1.9) 1(1.0) 33(31.4)
n=124 79.1 65(52.4) 22(17.7) 13(10.5) 8(6.5) 5(4.0) 8(6.5) 3(2.4)
∼300 n=166 41.5 93(56.0) 17(10.2) 10(6.0) 3(1.8) 1(0.6) 6(3.6) 36(21.7)
規
模
別
900∼
n= 27 93.4 8(29.6) 3(11.1) 2(7.4) 3(11.1) 3(11.1) 8(29.6) 0
281
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
名で,「300名未満」が最も多く75校(22.6%),
が158校(47.6%)であった.
次いで「300∼600名」63校(19.0%),「600∼900
校種別にみると,小学校と中学校は「薬の性質
名」52校(15.7%)であった.なお,内容は「腹
を考慮」がそれぞれ58校(55.2%),52校(50.5%)
痛」「頭痛」「感冒」の順で多かった(表3).
で最も多く,次いで「学校薬剤師の推薦」で,そ
年間の外科的主訴による来室者数は平均408.4
れぞれ43校(41.0%),48校(46.6%)であった.
名で,「300名未満」が最も多く146校(44.0%),
高等学校は「学校薬剤師の推薦」が最も多く78
次いで「300∼600名」74校(22.3%),「600∼900
校(62.9%)で,次いで「前任者が使用」60校
名」41校(12.3%)であった.なお,内容は「創
(48.4%)であった.内服薬の選定理由を校種別
に比較すると,「学校薬剤師の推薦」は高等学校
傷」「打撲」「捻挫疑い」の順で多かった(表4).
に比べて小学校,中学校が少なく(P<0.01),「薬
の性質を考慮」は小学校,中学校に比べて高等学
5.医薬品の選定
1)内服薬の選定理由
校が少なかった(P<0.01).また,「前任者が使
内服薬の選定理由は「学校薬剤師の推薦」が最
用」は小学校に比べて中学校,高等学校が多く(P
<0.05),「副作用が少ない」は小学校,高等学校
も多く169校(50.9%),次いで「薬の性質を考慮」
表3 1年間の内科的主訴数
校(%)
来 室 者 数(人)
平均
(人)
全 体 n=332
∼300 300∼600 600∼900 900∼1200 1200∼1500 1500∼ 不 明
761.6 75(22.6) 63(19.0) 52(15.7) 26(7.8) 29(8.7) 51(15.4) 36(10.8)
小学校 n=105 482.7 34(32.4) 20(19.0) 20(19.0) 6(5.7) 11(4.8) 6(5.7) 14(13.3)
校
種
別
高 校 n=124 1120.0 18(14.5) 25(20.2) 16(12.9) 11(8.9) 18(14.5) 34(27.4) 2(1.6)
∼300 n=166 365.3 66(39.8) 51(30.7) 17(10.2) 7(4.2) 5(3.0) 1(0.6) 19(11.4)
規
模
別
3(8.6) 4(11.4) 11(31.4) 12(34.3) 4(11.4)
900∼
n= 27 2027.9 0
0
2(7.4) 1(3.7) 2(7.4) 21(77.8) 1(3.7)
表4 1年間の外科的主訴数
校(%)
平均
(人)
全 体 n=332
来 室 者 数(人)
∼300
300∼600
600∼900
900∼
不 明
408.4 146(44.0) 74(22.3) 41(12.3) 35(10.5) 36(10.8)
小学校 n=105 588.0 35(33.3) 18(17.1) 14(13.3) 24(22.9) 14(13.3)
校
種
別
高 校
n=124 340.0 67(54.0) 32(25.8) 17(13.7) 5(4.0) 3(2.4)
∼300 n=166 228.7 106(63.9) 29(17.5) 8(4.8) 4(2.4) 19(11.4)
規
模
別
900∼
282
n= 27 900.0 1(3.7) 6(22.2) 9(33.3) 10(37.0) 1(3.7)
学枚における医薬品の常備・使用実態
表5 内服薬の選定理由
校(%)
全体
n=332
校
種
別
小学校
中学校
高校
n=105
n=103
n=124
学校薬剤師の推薦 169(50.9) 43(41.0) 48(46.6) 78(62.9)
検 定
**
薬の性質を考慮
158(47.6) 58(55.2) 52(50.5) 48(38.7)
前任者が使用
130(39.2) 27(25.7) 43(41.7) 60(48.4)
*
副作用が少ない
86(25.9) 26(24.8) 36(35.0) 24(19.4)
*
昔から使用
79(23.8) 21(20.0) 20(19.4) 38(30.6)
価格が安価
35(10.5) 13(12.4) 10(9.7) 12(9.7)
学校医の推薦
11(3.3)
2(1.9)
3(2.9)
6(4.8)
教委から支給
3(0.9)
2(1.9)
1(1.0)
0
その他
**
86(25.9) 29(27.6) 25(24.3) 32(25.8)
*P<0.05 **P<0.01 ***P<0.005
に比べて中学校が多かった(P<0.05)(表5).
経験年数でみると,回答が最も多かったのは10
年未満では「前任者が使用」58校(77.3%),10
∼20年では「学校薬剤師の推薦」51校(49.5%),
20∼30年では「薬の性質を考慮」60校(53.6%),
は309校(93.1%)で,「保健室・行事で使用」が
240校(72.3%),「保健室のみで使用」が11校
(3.3%),「行事のみで使用」が58校(17.5%),「使
用しない」が13校(3.9%)であった.
校種別にみると,内服薬を常備している学校は,
30年以上では「学校薬剤師の推薦」19校(51.4%)
小学校99校(94.3%),中学校102校(99.0%),
であった.
高等学校121校(97.6%)であった.児童生徒に
内服薬を使用している学校は,小学校88校
2)外用薬の選定理由
(83.8%),中学校100校(97.1%),高等学校121
外用薬の選定理由は「薬の性質を考慮」が最も
校(97.6%)であった.内服薬の使用状況を校種
多く162校(48.8%),次いで「学校薬剤師の推薦」
別に比較すると,小学校は中学校,高等学校に比
が154校(46.4%)であった.
べ有意に少なかった(P<0.005)(表6).
経験年数でみると,回答が最も多かったのは10
なお,内服薬の常備と使用状況について,養護
年未満では「前任者が使用」51校(68.0%),10
教諭の経験年数および学校規模でも比較したが,
∼20年では「学校薬剤師の推薦」「薬の性質を考慮」
いずれも有意差は認められなかった.
がともに50校(48.5%),20∼30年では「薬の性
質を考慮」が58校(51.8%),30年以上では「学
2)内服薬の使用状況
校薬剤師の推薦」が19校(51.4%)であった.
内服薬を「解熱・鎮痛薬」「感冒薬」「胃腸薬」「整
腸薬」「酔い止め」「その他」の6種類に分類し調
6.内服薬
1)内服薬の常備と学校での使用
保健室に内服薬を常備している学校は322校
(97.0%),常備していない学校は10校(3.0%)
であった.児童生徒に内服薬を使用している学校
査したところ,児童生徒への内服薬の使用は,「解
熱・鎮痛薬」260校(78.3%),「感冒薬」152校
(45.8%),「胃腸薬」206校(62.0%),「整腸薬」
249校(75.0%),「酔い止め」253校(76.2%),「そ
の他」71校(21.4%)であった.
283
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
表6 内服薬の常備・使用状況
校(%)
全体
n=332
校
種
別
小学校
中学校
高校
n=105
n=103
n=124
検 定
保健室・行事で使用 240(72.3) 41(39.0) 84(81.6) 115(92.7)
常
備 し
11(3.3)
4(3.8)
3(2.9)
58(17.5) 43(41.0) 13(12.6)
る
て
しヽ
計
計
2(1.6)
309(93.1) 88(83.8) 100(97.1) 121(97.6)
使用しない
る
4(3.2)
13(3.9) 11(10.5)
2(1.9)
***
0
322(97.0) 99(94.3) 102(99.0) 121(97.6)
常備していない
10(3.0)
6(5.7)
1(1.0)
3(2.4)
*P<0.05 **P<0.01 ***P<0.005
校種別にみると,小学校は「酔い止め」80校
(76.2%),中学校は「解熱・鎮痛薬」92校(89.3%),
(卦 胃腸薬
胃腸薬を使用している学校は206校(62.0%)で,
高等学校は「解熱・鎮痛薬」118校(95.2%)の
44種類の商品名が挙げられた.使用状況について
使用がそれぞれ最も多くなっていた.
校種間で比較したところ,小学校は中学校,高等
学校に比べて有意に少なかった(P<0.005).
3)内服薬の用途別使用状況
(手 解熱・蔵宿薬
解熱・鎮痛薬を使用している学校は260校
(78.3%)で,30種類の商品名が挙げられた.使
用状況について校種間で比較したところ,小学校
は中学校,高等学校に比べて有意に少なかった(P
<0.005).
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
平均1.4種類で,小学校1.1種類,中学校1.3種類,
高等学校1.4種類であった.用途は生理痛での使
用が最も多く,次いで頭痛であった.
(多 感冒薬
感冒薬を使用している学校は152校(45.8%)で,
50種類の商品名が挙げられた.使用状況について
校種間で比較したところ,小学校は中学校,高等
学校に比べて有意に少なかった(P<0.005).
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
平均1.2種類で,小学校,中学校はともに1.1種類,
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
平均1.2種類で,小学校,中学校1.1種類,高等学
校1.3種類であった.用途は胃痛での使用が最も
多かった.
④ 整腸薬
整腸薬を使用している学校は249校(75.0%)で,
22種類の商品名が挙げられた.使用状況について
校種間で比較したところ,小学校は中学校,高等
学校に比べて有意に少なかった(P<0.005).
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
平均1.5種類で,小学校1.4種類,中学校1.6種類,
高等学校1.5種類であった.用途は腹痛が最も多
かった.
(彰 酔い止め
酔い止め薬を使用している学校は253校
(76.2%)で,30種類の商品名が挙げられた.な
お,使用状況の校種間での有意差はなかった.
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
高等学校1.2種類であった.用途は風邪症状での
平均1.2種類で,小学校1.2種類,中学校1.3種類,
使用が最も多かった.
高等学校1.0種類であった.
284
学枚における医薬品の常備・使用実態
ない」3校(1.0%)であった.
4)内服薬使用時の保護者への連絡
校種別にみると,小学校では「必ず分量どおり」
(彰 保健室での内服薬使用時
が48校(54.5%)で最も多く,中学校と高等学校
保健室で内服薬を使用した場合,全体では保護
者に連絡を「行っている」と答えた学校は47校
がそれぞれ52校(52.0%)と61校(50.4%)で「分
(18.7%)で,「場合による」は119校(47.4%),
量どおりにしないことがある」が最も多かった.
「行っていない」は80校(31.9%),「無回答・不
校種間で比較すると,「必ず分量どおり」は中学校,
明」は5校(2.0%)であった.
高等学校に比べて小学校が多かった(表7).
校種別にみると,小学校では保護者に連絡を
内服薬を児童生徒に服用させる際に分量どおり
にしない場合,分量を「少なめ」にすると答えた
「行っている」が28校(62.2%)で最も多く,中
学校は133校(93.0%)で,「ともにある」8校
学校では「場合による」が55校(63.2%)で最も
多く,高等学校では「行っていない」が62校
(5.6%),「多め」1校(0.7%)であった.
(52.1%)で最も多かった.
内服薬を児童生徒に服用させるときに説明書の
分量どおりでない場合の理由を尋ねたところ,「症
(彰 学校行事での内服薬使用時
学校行事で内服薬を使用した場合,全体では保
状・痛みによる」と答えた学校は61校(42.7%)
護者に連絡を「行っている」と答えた学校は76校
であり,「体格・体重による」が58校(40.6%)
(25.5%)で,「場合による」は135校(45.3%),
であった.
校種別にみると,小学校と中学校は「体格・体
「行っていない」は83校(27.9%),「無回答・不
重による」が多く,高等学校では
明」は4校(1.3%)であった.
校種別にみると,小学校では保護者に連絡を
「症状・痛みに
よる」が多かったが,有意差はみられなかった.
その他の理由として,小学校では「精神的なも
「行っている」が52校(63.9%)で最も多く,中
学校では「場合による」が62校(62.0%)で最も
のである」「薬を飲んだという気持ちで治す」「薬
多く,高等学校では「行っていない」が64校
が強く効くと心配」との回答があった.中学校で
(54.7%)で最も多かった.
は「精神的なものである」「本人の申し出」「薬の
使用は最低限にしたい」との回答があった.高等
5)内服薬使用時の分量
学校では
内服薬を児童生徒に服用させる場合,全体では
「本人の申し出」「学校薬剤師の指示で」
「プラシーボとして使う」との回答があった.ま
内服薬の分量について「必ず分量どおり」と答え
た,「乳糖をカプセルにしたものを学校薬剤師に
た学校は138校(44.7%)で,「分量どおりにしな
作ってもらっている」という回答もあった.
経験年数別にみると,10年未満と10∼20年では
いこともある」140校(45.3%),「分量どおりで
表7 内服薬の分量
校(%)
全体
n=309
必ず分量どおり
校
種
別
小学校
中学校
高校
n=88
n=100
n=121
138(44.7) 48(54.5) 34(34.0) 56(46.3)
分量どおりにしないこともある 140(45.3) 27(30.7) 52(52.0) 61(50.4)
分量どおりでない
無回答・不明
検 定
3(1.0)
2(2.3)
1(1.0)
28(9.1) 11(12.5) 13(13.0)
***
0
4(3.3)
*P<0.05 **P<0.01 ***P<0.005
285
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
「症状・痛みによる」が多く,20∼30年では「症
状・痛みによる」と「体格・体重による」が同率
であり,30年以上では「体格・体重による」が多
かった.
校種別にみると,高等学校では「与薬時,保健
指導を行う」との回答が多く挙げられていた.
「服用経験の有無」については,家庭で使用さ
れている内服薬と保健室で常備されているものが
全く同じ商品でなければ与薬しないという回答が
6)内服薬使用時の判断基準
・! 頭 痛
頭痛に対して与薬する際の判断基準を調査した
多かった.
「他の薬との併用の有無」については,持病な
どにより日常服用している薬がないかどうか,当
ところ,「本人の希望」が最も多く,次いで「過
日学校に登校する前に服用している薬がないかど
去に服用経験がある,家庭で使用している」「休養,
うか,服用している場合は服用間隔,薬の相互作
冷奄法等処置を行っても改善しない場合」等で
用等について留意するとの回答が多かった.
あった.小学校では与薬する前に「保護者に許可
を得る」という回答が多く挙げられていたが,上
級校では低率であった.与薬する際の症状として
は,「偏頭痛」「持病」「生理痛」等が多く挙げら
れていた.
② 腹 痛
腹痛に対して与薬する際の判断基準を調査した
ところ,「休養,冷奄法等処置を行っても改善し
8)内服薬を用いた処置に対する考え
(車 内服薬を用いた処置に対する考え方
内服薬を用いた処置に対する考え方は,「学校
での内服薬の使用は望ましくない」が最も多く196
校(59.0%)であり,次いで「一概にいえない」
65校(19.6%)等であった.
校種別にみると,小学校91校(86.7%),中学
ない場合」が最も多く,次いで「本人の希望」「原
校61校(59.2%),高等学校44校(35.5%)で,
因が明らかな場合」等であった.
いずれも「学校での内服薬の使用は望ましくない」
校種別にみると,中学校,高等学校では「痛み
が最も多かった.校種間で比較すると,「学校で
が強い場合」に与薬するという回答が多く挙げら
の内服薬の使用は望ましくない」は,高等学校に
れていた.与薬する際の症状としては,「下痢」「生
比べて小学校,中学校が多く(P<0.005),「一
理痛」「便秘」等が多く挙げられていた.
概にいえない」「家庭薬程度なら可」は,小学校
・さ 発 熱
発熱に対して与薬する際の判断基準を調査した
ところ,「宿泊を伴う学校行事でやむをえず使用」
に比べて中学校,高等学校が多かった(共にP<
0.005).
養護教諭の経験年数別にみると,いずれも「学
が最も多く,次いで「早退できない,授業を休め
校での内服薬の使用は望ましくない」が最も多
ない」等であった.
かった.経験年数別で比較すると,「家庭薬程度
校種別にみると,高等学校では「単位など授業
の関係でやむをえず使用する」という回答が多く
挙げられていた.与薬する際の症状としては,
「38.0℃以上」の回答が最も多く挙げられていた.
なら可」は,20年未満に比べて20年以上が多かっ
た(P<0.05)(表8).
(卦「学校での内服薬の使用は望ましくない」
の選択理由
内服薬を用いた処置の考え方として「学校での
7)内服薬使用時の留意点
内服薬の使用は望ましくない」を選んだ理由は,
内服薬を児童生徒に使用する際の留意点を調査
「内服薬は危険がある」が最も多く149校(76.0%)
したところ,小学校,中学校,高等学校ともに「ア
であり,次いで「学校は医療を施す場所ではない」
レルギーの有無」が最も多く,次いで「服用経験
105校(53.6%),「家庭に帰すべきである」92校
の有無」「他の薬との併用の有無」等であった.
286
(46.9%)であった.
学枚における医薬品の常備・使用実態
表8 薬を用いた処置の考え
校(%)
全体
n=332
校
種
別
小学校
中学校
高校
n=105
n=103
n=124
検 定
学校での薬の使用は望ましくない 196(59.0) 91(86.7) 61(59.2) 44(35.5)
***
一概にいえない
65(19.6)
9(8.6) 24(23.3) 32(25.8)
***
家庭薬程度なら可
59(17.8)
4(3.8) 15(14.6) 40(32.3)
***
校医の指導があれば可
31(9.3)
6(5.7)
8(7.8) 17(13.7)
*P<0.05 **P<0.01 ***P<0.005
校種別にみると,小学校64校(70.3%),中学
用させることがある」との高等学校定時制の回答
校45校(73.8%),高等学校40校(90.9%)で,
や,「単位取得の関係から授業を休ませることが
いずれも「内服薬は危険がある」が最も多かった.
できず,内服薬を使用している」との回答が高等
校種間で比較すると,「内服薬は危険がある」「家
学校から多く挙げられていた.
庭に帰すべきである」は,どちらも小学校が多く
(共にP<0.005),「学校は医療を施す場所では
ない」は,高等学校が多かった(P<0.01).
その他の中には,「/ト学生に十分な問診ができ
ないので望ましくない」「副作用が起きてからで
は取り返しがつかない」「医療の妨げになる」「薬
(彰 「家庭薬なら可」の選択理由
内服薬を用いた処置の考え方として「家庭薬な
ら可」を選んだ理由は,「一定の条件付で使用し
てよい」が最も多く41校(69.5%)であり,次い
で「応急処置である」32校(54.2%)等であった.
校種別にみると,小学校は3校(75.0%)で「応
が必要なほどひどければ帰すべき」「薬に頼らず
急処置である」が最も多く,中学校,高等学校は
自然治癒力を大切にしたい」等の回答があった.
それぞれ11校(73.3%),28校(70.0%)で「一
養護教諭の経験年数別にみると,いずれも「内
服薬は危険がある」が最も多かった.経験年数別
定の条件付で使用してよい」が最も多かった.な
お,校種間での有意差は認められなかった.
に比較すると,「医師の診断が必要である」が20
その他の中には,「授業を受けたがっている生
年以上に比べて20年未満が少なかった(P<
徒が学習活動に集中できるように」「高等学校の
0.05).
ため,少しでも授業に出席させようとするため服
(彰 「一概にいえない」の選択理由
内服薬を用いた処置の考え方として「一概にい
えない」を選んだ理由は,「程度により一概にい
えない」が最も多く43校(66.2%)であり,次い
で「体質に違いがある」28校(43.1%)等であっ
用させた後,教室に戻すことが多い」「副作用の
少ない範囲内であれば必要なケースもあり,最小
限の利用を心掛けている」等の回答があった.
(彰 「校医の指導があれば可」の選択理由
内服薬を用いた処置の考え方として「校医の指
導があれば可」を選んだ理由は,「あくまでも応
た.
校種別にみると,いずれも「程度により一概に
急処置である」が最も多く24校(77.4%)であり,
いえない」が最も多く,校種間での有意差は認め
次いで「体質・病歴を知った上ならよい」19校
られなかった.
(61.3%)等であった.
その他の中には,「内服薬はできるだけ使用を
校種別にみると,いずれも「あくまでも応急処
避けたいが,生徒によっては仕事や家庭の事情で
置である」が最も多く,校種間での有意差は認め
医療機関に受診することができず,やむを得ず服
られなかった.
287
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
その他の中には,「寮生がおり校医の助言によ
り風邪薬等の内服薬を常備すべきと判断してい
精神的な主訴に対しては「話を十分に聞く」こと
で和らぐことが多いとの回答があった.
る」「休養スペース,時間的余裕がなく,生徒の
希望により与薬.学校薬剤師の指導範囲」などの
回答が挙げられていた.
7.外用薬
1)外用薬の常備と学校での使用
保健室に外用薬を常備している学校は329校
9)薬を使用しない学校の薬を用いた処置に対
する考え
内服薬を常備していない学校10校,常備してい
ても使用していない学校13校,合わせて23校に「内
服薬を用いた処置の考え」を調査したところ,20
校(87.0%)の学校が「内服薬の使用は望ましく
ない」と考えていた.その理由として「内服薬は
(99.1%),常備していない学校は3校(0.9%)
であった.児童生徒に外用薬を使用している学校
は325校(97.9%)で,「保健室・行事で使用」が
314校(94.6%),「保健室のみで使用」が11校
(3.3%),「常備しているが使用していない」が
4校(1.2%)であった.
校種別にみると,外用薬を常備している学校は,
危険がある」が最も多く19校(82.6%)で,次い
小学校103校(99.0%),中学校102校(99.0%),
で「学校は医療を施す場所ではない」14校
高等学校123校(99.2%)であり,外用薬の使用
(60.9%),「診断の妨げになる」10校(43.5%)
であった.
について校種間で有意差は認められなかった.
なお,外用薬の常備と使用状況について,養護
教諭の経験年数および学校規模でも比較したが,
10)児童生徒が保健室に薬を持参した場合の対応
いずれも有意差は認められなかった(表9).
児童生徒が保健室に薬を持参した場合の対応を
自由記述で尋ねたところ,「保健室で飲ませる」「話
2)外用薬の使用状況
しを聞き保健指導をしながら対応する」「薬を保
外用薬を「消毒薬」「湿布薬」「塗布薬」「目薬」
健室で預かる」「保護者に連絡が取れたら飲ませ
る」「本人に任せて飲ませる」との回答があった.
また,養護教諭の中には「処方箋の薬には対応し
「その他」の5種類に分類し調査したところ,児
童生徒への外用薬の使用は,「消毒薬」316校
(95.2%),「湿布薬」313校(94.3%),「塗布薬」
ない」「処方されている薬以外は許可しない」「関
311校(93.7%),「目薬」297校(89.5%),「その
与しない」と回答する者もいた.
他」83校(25.0%)であった.
校種別にみると,小学校は「消毒薬」101校
11)薬を用いない対応
薬を用いない対応方法を自由記述で尋ねたとこ
ろ,一般的なものとして「ベッドで休ませる」「バ
(96.2%),中学校は「湿布薬」98校(95.1%),
高等学校は「消毒薬」120校(96.8%)の使用が
それぞれ最も多くなっていた.
イタルサインのチェック,スキンシップ」「自然
治癒力の話をする(保健指導をする)」「マッサー
ジする」「温奄法,冷奄法」等があった.
症状別にみると,頭痛には「休養させる」「冷
奄法」「肩を操む」,腹痛には「トイレに行かせる」
「休養させる」「マッサージする」「温奄法」,発
熱には「冷奄法」,生理痛には「温奄法」「休養さ
3)外用薬の用途別使用状況
(手 消毒薬
消毒薬を使用している学校は316校(95.2%)で,
52種類の商品名が挙げられた.使用状況について
校種間での有意差は認められなかった.
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
せる」,胃痛,偏頭痛,眼精疲労には「マッサー
小学校,中学校,高等学校のいずれも1.6種類で
ジをする,つぼを押す」との回答があった.また,
あった.
288
学枚における医薬品の常備・使用実態
表9 外用薬の常備・使用状況
校(%)
全体
n=332
校
種
別
小学校
中学校
高校
n=105
n=103
n=124
検 定
保健室・行事で使用 314(94.6) 97(92.4) 99(96.1) 118(95.2)
常
備 し
11(3.3)
0
る
て
しヽ
計
計
0
5(4.0)
0
0
0
325(97.9) 103(98.1) 99(96.1) 123(99.2)
使用しない
る
6(5.7)
4(1.2)
3(2.9)
1(1.0)
NS
0
329(99.1) 104(99.0) 102(99.0) 123(99.2)
常備していない
3(0.9)
消毒薬の用途は,いずれも「擦過傷」での使用
が最も多く,次いで「切り傷」であった.
1(1.0)
1(1.0)
1(0.8)
目薬の用途は,いずれも「目のかゆみ」が最も
多かった.
(多 湿布薬
湿布薬を使用している学校は313校(94.3%)で,
68種類の商品名が挙げられた.使用状況について
校種間での有意差は認められなかった.
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
4)外用薬使用時の留意点
小学校,中学校,高等学校ともに「外用薬によ
るかぶれやアレルギーについて留意している」と
の回答が最も多く,次いで「なるべく医薬品の使
平均1.3種類で,小学校,中学校1.3種類,高等学
用を避けて応急処置を行っている」等の回答で
校1.2種類であった.
あった.
湿布薬の用途は,いずれも「打撲」での使用が
最も多く,次いで「捻挫」であった.
(卦 塗布薬
塗布薬を使用している学校は311校(93.7%)で,
「外用薬によるかぶれやアレルギーについて留
意している」との回答の中には,「擦過傷や切傷
に消毒薬を使用しないで水洗いするのみ」「消毒
薬は傷の治りを遅らせるため軽い擦過傷には使用
140種類の商品名が挙げられた.使用状況につい
しない」「打撲や捻挫には氷で冷やす」等が多かっ
て校種間での有意差は認められなかった.
た.なお,少数ではあるが,「擦過傷や切傷には
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
消毒薬を使用せず閉鎖療法を行っている」という
平均4.1種類で,小学校3.9種類,中学校,高等学
回答がみられた.また,小学校には「/トさな傷に
校4.2種類であった.
も処置をする」という回答があった.
塗布薬の用途は,「虫刺され」「筋肉痛」での使
用が多かった.
・4 日 薬
目薬を使用している学校は297校(89.5%)で,
8.薬に対する児童生徒の態度
薬に対する児童生徒の態度については,「傷病
を学校に持ち込む」が最も多く264校(79.5%)で,
69種類の商品名が挙げられた.使用状況について
次いで「薬を欲しがる」212校(63.9%),「薬を
校種間での有意差は認められなかった.
指定する」74校(22.3%)等であった.
使用されている商品の1校あたりの使用数は,
校種別にみると,小学校,中学校ともに「傷病
平均1.8種類で,小学校1.6種類,中学校1.7種類,
を学校に持ち込む」が最も多く,高等学校では「薬
高等学校2.1種類であった.
を欲しがる」が最も多かった.校種間で比較する
289
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
と,「薬を欲しがる」「薬を指定する」は小学校に
泊研修や修学旅行などの行事では事前に調査す
比べると中学校,高等学校が多く(共にP<
る」「健康相談を行って把握している」との回答
0.005),「大げさな態度をとる」は中学校,高等
もあった.保健調査で把握すると答えた中には,
学校に比べると小学校が多かった(P<0.005).
「一覧表を作成しておき,いつでも確認できるよ
うにしておく」というものもあった.
9.副作用について困難をきたした事例
副作用について困難をきたした事例について自
少数回答として,「保護者や担任と連携をとり
把握する」「日常の観察や交流の中で把握する」「/ト
由記述で尋ねたところ,小学校では11例あり,内
学校や中学校からの引継ぎで把握する」等という
服薬では処方薬1例,外用薬10例(湿布薬5例,
ものもあった.
塗布薬4例,その他1例)であった.内服薬の事
例では,「旅行中に発熱し処方された薬を与えた
ところ肝機能障害を起した」等があり,外用薬で
は「塗布薬を塗り大きな水ぶくれや湿疹ができた」
等の例が挙げられていた.
中学校では9例あり,内服薬では5例,外用薬
Ⅳ.考 察
1.内服薬
1)内服薬の常備と学校での使用
本調査では,97.0%の学校が保健室に内服薬を
4例(湿布薬2例,塗布薬2例)であった.内服
常備しており,常備状況は校種,経験年数,学校
薬の事例では「トローチを渡し1∼2時間後に瞼
規模のいずれについても差がみられず,ほとんど
が腫れた」「解熱・鎮痛薬で湿疹が出たり,気分
の学校で内服薬が常備されていることが明らかに
が悪くなった」等があり,外用薬では「塗布薬を
なった.
塗り水ぶくれができたり,赤く腫れた」等の例が
挙げられていた.
高等学校では20例あり,内服薬では15例,外用
学校保健法第19条4)によると,「学校には,健
康診断,健康相談,救急処置等を行うため,保健
室を設けるものとする.」とされ,保健室は「ケ
薬5例(湿布薬2例,塗布薬3例)であった.内
ガや病気等の児童生徒の救急処置や休養の場とし
服薬の事例では「解熱・鎮痛薬で吐き気や胃痛を
ての機能」を担っている.養護教諭は,学校にお
起したり,顔面が赤くなった」「解熱・鎮痛薬を
ける疾病異常等に適切に対応するため,内服薬を
服用したところ手がしびれたり,毒麻疹が出た」
学校に常備しているものと考えられる.
等があり,外用薬では「塗布薬でかぶれを起した」
保健室に備えるべき必要物品については,文部
等の例が挙げられていた.また,その他で「病院
省体育局長通達の「保健室の設備の最低基準」5)
から処方された薬を1週間分1度に飲み,意識混
に示されているが,常備すべき医薬品に関する内
濁となり近くの病院に運んだ」との例も挙げられ
容は記載されていない.玉井3)は常備すべき医薬
ていた.
品に関して「文部省の示した基準もなく,現場の
保健室に常備されている薬品の種類も極めて多種
10.薬に対するアレルギーがある児童生徒の把握
方法
薬に対するアレルギーがある児童生徒の把握方
法を自由記述で尋ねたところ,ほとんどの学校で
「年度初めの保健調査にアレルギーの有無を記入
してもらう欄が設けてあるので,それを確認して
把握している」と回答しており,次いで「薬を使
用する前に本人に確認する」であった.また,「宿
290
多様な現状である.」と述べている.
養護教諭が保健室に内服薬を常備する際の選択
の根拠は「学校薬剤帥の推薦」が最も多く,次い
で「薬の特質を考慮」「前任者が使用」「副作用が
少ない」の順であり,中村らの調査2)とほぼ同様
の結果であった.
学校保健法施行規則第25条第1項6)によると,
学校薬剤師は「学校において使用する医薬品,毒
学枚における医薬品の常備・使用実態
物,劇物並びに保健管理に必要な用具及び材料の
内服薬使用結果同様17年前の調査結果と同じよう
管理に閲し必要な指導と助言を行い,及びこれら
な傾向を示していた.
のものについて必要に応じ試験,検査又は鑑定を
行うこと.」とされている.このことから,医薬
3)内服薬を用いた処置に対する考え
品の常備に関して明確な基準がない現状で,学校
内服薬を用いた処置に対する考えは,59.0%の
薬剤師との連携により内服薬を選定している学校
養護教諭が「学校での内服薬使用は望ましくない」
が多くなることが理解される.
と考えており,その理由は「内服薬は危険がある」
本調査において,内服薬を全く使用しない学校
76.0%,「学校は医療を施す場所ではない」53.6%,
が6.9%みられた.その多くの学校が「内服薬の
「家庭に帰すべきである」46.9%などであった.
使用は望ましくない」と考えており,その理由と
古田ら7)が内服薬使用について養護教諭の考え
して最も多かったのは「内服薬は危険である」で
を調査したところ,「使用しない」が小学校84.2%,
あった.副作用やアレルギーなどの恐れから,内
中学校57.7%,高等学校36.4%であり,上級校ほ
服薬を使用せずに救急処置を行っているものと考
ど低率で,一方「必要なら使用する」は小学校
えられる.
5.3%,中学校29.1%,高等学校51.5%と上級校
ほど高率であった.使用しない理由は「帰宅させ
2)内科的主訴による保健室来室者数と内服薬
使用状況
内服薬の使用状況について「保健室」と「学校
行事」の2項目に分けて調査を行った.
「保健室」では75.6%の学校が児童生徒に内服
る」が最も多く,次いで「副作用や特異反応が心
配」「病院に行くように勧める」などであった.
安藤8)は,「医師の判断なしに内服薬を児童生
徒に服用させることは医療行為として禁止されて
いる.だから学校では,養護教諭の判断で児童生
薬を使用しており,中学校,高等学校では80%以
徒に服薬させないのが原則である.」と述べてい
上の使用であったが,小学校では42.8%に留まっ
る.症状により医療行為が必要と考えられる時は,
ていた.中村らの調査2)によると,児童生徒への
「まず学校医に電話で症状と体質を的確に報告し
内服薬の使用は小学校51.0%,中学校78.9%,高
指示された内服薬を服薬させる.」とも述べてい
等学校100%であり,17年前と変わらず本調査で
る.また,古田ら7)は,「アレルギー体質の児童
も同様の傾向を示しており,小学校における「保
生徒が増えている今日,全身作用をする内服薬は
健室」での内服薬使用の低さが窺えた.
副作用や特異反応の懸念から,地方自治体や学校,
内科的主訴による保健室年間来室者数は,小学
校では平均482.7件,中学校614.6件,高等学校
1120.0件であり,上級校ほど来室者数が多く,内
校医,学校薬剤師などが使用を禁じている場合が
多い.」と述べている.
本調査結果では「年度初めの保健調査」により
科的主訴による来室者の増加が内服薬の使用率を
ほとんどの学校が児童生徒のアレルギーを把握す
増加させているという見方もできる.しかし,学
るようにしており,また,「服用前に児童生徒本
校規模別に「保健室」での内服薬使用状況を比較
人に確認」をとっている学校もあった.服用前に
したところ,ほとんど差はみられなかった.
は「アレルギーの有無」だけではなく,「服用経
「学校行事」では89.8%の学校が児童生徒に内
験の有無」「他の薬との併用の有無」等にも考慮
服薬を使用しており,校種別にみても差はみられ
し与薬していることが明らかとなった.このこと
ず,ほとんどの学校での「学校行事」における内
から,学校では児童生徒に内服薬を使用する際に
服薬使用が窺えた.中村らの調査2)でも,小学校,
は細心の注意を払い,アレルギーや副作用の防止
中学校,高等学校ともに70%以上が「学校行事」
に努めていることが窺える.
において内服薬の使用がみられ,「保健室」での
さらに,今回,副作用について困難をきたした
291
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
例を調べたところ,全体で40件の事例が挙がった.
ると,授業の継続が困難で家庭での養生が必要と
中村らの調査2)でも,学校で内服薬を使用して起
される場合の迎えの依頼,または医療機関への受
きた副作用の事例が15件挙げられており,アレル
診が必要な事故が発生した場合に希望の医療機関
ギー等の様々な健康問題が増えてきている近年,
を聴取,もしくは搬送の依頼等の時にしばしば行
内服薬使用に対しで慎重にならざるをえない現状
われるとされている.また,学校で起こった傷病
があることが理解できる.
について,学校では症状が軽度であり重大に思わ
また,内服薬を用いた処置に対して「一概には
れない傷病であっても,時間が経過して初めて症
いえない」「家庭薬程度なら可」「校医の指導助言
状が顕在化するものがあり,保護者が把握する必
があれば可」と,必ずしも否定的ではない回答を
要があると判断された場合に連絡が取られる.
した養護教諭は40%ほどであった.
特に,救急処置で内服薬を使用した際は,アレ
保健室には医師や薬剤師等の専門家が常勤して
ルギーや副作用等の問題があるため,使用した薬
いないため,取り扱うことができる医薬品は一般
品名と使用量を保護者へ連絡することが必要であ
用医薬品に限定される2).一般用医薬品は,医学
ると考える.
的専門知識があまりない人が使用しても安全なよ
うに,主作用と副作用が十分に明らかにされた成
5)内服薬使用時の分量について
分を使用し,さらに副作用が起きる危険性をでき
内服薬を服用させる場合の分量は「必ず分量ど
るだけ減らす工夫をして製造されている9).
本調査では,16校の定時制高等学校から回答を
おり」と回答した学校は44.7%と半数以下に留ま
り,「分量どおりにしない
こともある」と回答し
得ており,内服薬使用に関して「内服薬はできる
た学校が45.3%みられた.校種別にみると,小学
だけ使用を避けたいが,生徒によっては仕事や家
校では「必ず分量どおり」が多く,中学校,高等
庭の事情で医療機関を受診することができず,や
学校になると「分量どおりにしないことがある」
むを得ず服用させることがある」との意見が挙げ
が多くなっている.
られていた.また,高等学校では「単位修得の関
「分量どおりにしないことがある」「分量どお
係から授業を休ませることができず,内服薬を使
りでない」と答えた学校に内服薬の分量の変化に
用している」との回答も多く挙げられていた.
ついて尋ねたところ,「少なめ」にするという回
内服薬を用いた処置に対する考えと実際の内服
答が90%以上であった.分量を少なめにする理由
薬使用状況を比較すると,「使用は望ましくない」
として,「症状,痛みの度合いにより決める」「体
と考えながらも,学校や児童生徒の実情によりや
格,体重により決める」と答えた学校がいずれも
むを得ず服用させざるを得ない現状があることが
40%以上みられた.「体格,体重により決める」
窺える.医薬品の常備と使用のあり方は,養護教
を選択した養護教諭は,同年齢の児童生徒によっ
諭の職務範囲の解釈にも関わる重要な問題である
ても個人差があるため,養護教諭が体格や体重か
ため,今後さらに問題点の分析と検討がなされ,
ら判断して薬の分量を調節している場合があるこ
よりよい救急処置活動が行われていくことが望ま
とが窺えた.分量を変化させる理由のその他の回
れる.
答として,小学校,中学校,高等学校ともに「精
神的効果を得るため」「プラシーボとして使う」
4)内服薬使用時の保護者への連絡の有無
等がみられた.規定量よりも少な目に与薬しつつ,
保健室や学校行事で内服薬を使用後,保護者に
児童生徒に服薬による安心感を与えようとしてい
連絡を「行っている」と答えた学校は小学校62.2%
で最も多く,上級校ほど低率となった.
救急処置に関する家庭連絡は,江口ら10)によ
292
る工夫がみられた.
本来,医薬品は用法,用量を守り使用すること
が原則であるが,年齢,体格,体質等,様々な個
学枚における医薬品の常備・使用実態
人差がある児童生徒に対応するためには,分量を
験の少ない養護教諭は,前任者が使用していたも
変えざるをえない現状があり,学校医や学校薬剤
のを参考にし,常備している現状が窺えた.適切
師に相談しながら適切な量を与薬することが求め
な救急処置を行うためには,養護教諭同士の情報
られる.
交換,研修等を活用し,医薬品に対して正しい知
識を持ち対応することが望まれる.
2.外用薬
1)外用薬の常備
中村ら2)は,「学校で使用されている救急薬品
2)外用薬の使用
児童生徒に外用薬を使用しているかを尋ねたと
のうち外傷等の外科的なものに使われる外用薬は
ころ,97.9%の学校が使っていると回答し,校種
どこの学校でも常備され,使用されている.」と
別では小学校98.1%,中学校96.1%,高等学校
述べており,本調査においても99.1%と,ほとん
99.2%であり,どの校種でも高率で外用薬が使用
どの学校で外用薬を常備していた.
されていることが明らかとなった.
保健室には,学校で発生する傷病に対応する救
学校における救急処置は,「一時的な手当てで,
急処置に必要な物品が備え付けてある.川崎11)
場合によっては速やかに適切な処置をし,傷病の
や囲澤12)は,保健室に備えておくべき救急用品
悪化防止,患者の苦痛の軽減を図りながら,医療
の例を挙げ,文部省体育局長通達5)によって「保
機関に送るまでの緊急なものもあり,また,軽度
健室の設備の最低基準」が示されているが,その
のすりきず,切りきず,頭痛,腹痛など,医療機
中には常備すべき医薬品については,内服薬同様
関受診を必要としないものもある.」13)とされて
に外用薬についても示されていない.
いる.このように,学校では日常的に発生する様々
そこで,養護教諭が保健室に外用薬を常備する
な傷病に対して適切な救急処置を行う必要がある
際の,その選定理由を尋ねたところ,多く挙げら
ことから,ほとんどの学校で外用薬を使用してい
れたのは「薬の性質を考慮して」「学校薬剤師の
ると考えられる.
推薦」「前任者が使用」「昔から使用」等であった.
外用薬を使用しない学校では「擦過傷や切傷に
外用薬は,内服薬と違い局所に用いられるもので,
消毒薬を使用しないで水洗いするのみ」「消毒薬
体内に直接入ることはないが,選定は薬の性質を
は傷の治りを遅らせるため軽い擦過傷には使用し
考慮して慎重に行われていることが窺えた.
ない」「打撲や捻挫には氷で冷やす」等がその理
また,外用薬の選定理由のその他の回答として
「保健室備付け医薬品基準表を参考にしている」
「薬局(薬剤師)に相談する」「養護教諭の研修
由であり,外用薬によるかぶれ等の副作用を防ぐ
ために医薬品の使用を避けていると考えられる.
また,小学校では「/トさな傷にも処置をする」
の場での使用医薬品の交流」「自分の使いやすい
との回答があったが,小学生には薬を使うと薬効
もの」「試供品」等というものもあった.
のほかに「してもらった」という安心感や満足感
先に「内服薬の常備」でも述べたように,外用
薬の選定に際しても学校医や学校薬剤師の指導や
があり,これによる症状の軽減を期待して行って
いるとのことであった.
助言を受けながら行われることが望まれる.
外用薬選定の理由を校種別にみると,「副作用
が少ない」では小学校,中学校が高等学校に比べ
ると有意に多い結果となった.経験年数別にみる
3)外用薬の用途
外用薬を「消毒薬」「湿布薬」「塗布薬」「目薬」
「その他」の5種類に分類して児童生徒への使用
と,経験年数の少ない養護教諭は「前任者が使用」
率を調べたところ,「消毒薬」95.2%,「湿布薬」
していたものを使用している割合が高かった.医
94.3%,「塗布薬」93.7%,「目薬」89.5%,「そ
薬品の常備に関して,明確な基準がない中で,経
の他」25.0%であり,外用薬はどの種類において
293
安部 奈生・土蔵かおり・竹中 美喜・堂腰 律子・岸本 希・芝木美沙子・笹嶋 由美
も高率の使用傾向がみられた.
古田ら7)の研究においても,殺菌・消毒薬
99.6%,冷湿布薬95.9%,消炎・鎮痛塗布薬
75.5%,虫刺され・湿疹・皮膚炎薬98.2%,目薬
85.3%と外用薬の使用は極めて高率であり本調査
と同様の傾向であった.
2)中村朋子・清水真理子:学校救急薬品の使用実態に
ついて,茨城大学教育学部紀要35号:111−126,1985
3)小倉 学・玉井カツ子:学校救急薬品に関する考察,
養護教諭の職務研究第2集:25−32,東山書房1966
4)国崎 弘:新学校保健実務必携,第7次改訂版:
659−725,第一法規,2003
5)前掲書4):539−541
6)前掲書4):576−577
7)古田敬子・美馬 信・岡崎延之:保健室の医薬品に
Ⅴ.まとめ
本調査によって,ほとんどの学校で保健室には
医薬品が常備されており,非常に高い割合で医薬
品が使用されている実態が明らかになった.
関する研究,学校保健研究,44(9):82−83,2002
8)安藤志ま:保健室の医薬品は学校医の指示で,健康
な子ども,19(5):26,1990
9)中村邦彦:2003年最新版くすりのすべて:689,主婦
の友社,2002
10)江口篤寿:現代学校保健全集第10巻,救急処置・看
内服薬の使用に関しては,半数以上の養護教諭,
護:7,ぎょうせい,1982
特に小学校に勤務する者が副作用やアレルギー等
11)川崎憲一:新保健室の救急事典:96−97,東山書房,
の恐れから「学校での内服薬使用は望ましくない」
と考えていることが明らかとなったが,日常起こ
る様々な疾病に対応する中で,学校の実情等によ
りやむを得ず内服薬を使用せざるをえない現状が
1999
12)国澤賢治:CARA養護教諭実践講座,第7巻:2,
こチブン,1995
13)国立大学附属学校養護教諭部会:学校における救急
処置のてびき:23,東山書房,1985
あることが窺えた.
外用薬の使用に関しては,日常突発的に起こる
傷害に対して症状の悪化の回避や苦痛の横和が優
(安部 奈生 北海道教育大学附属旭川小学校
養護教諭 元旭川校大学院生)
先され,全校種において使用されているが,選定
(土蔵かおり 旭川校大学生)
する際には「薬の性質を考慮」しており,外用薬
(竹中 美喜 旭川校大学生)
の選択は慎重に行われていることが明らかになっ
(堂腰 律子 北海道千歳高等学校養護教諭)
た.にもかかわらず,湿布薬や塗布薬等によるか
(岸本 希 北海道教育大学附属旭川中学校
ぶれ等の事例も報告されており,使用する際には
問診や観察等を丁寧に行うことが望まれる.
医薬品の常備と使用のあり方は,養護教諭の職
務範囲の解釈にも関わる重要な問題であり,今後
さらに問題点の分析と検討がなされ,よりよい救
急処置活動が行われることが望まれる.
最後に,本調査にご協力いただきました332校
の養護教諭の皆様に感謝申し上げます.
Ⅵ.文 献
1)山名康子・中薗伸二・岡田 潔・松岡 弘:養護教
諭の職務と養成に関する調査研究,学校保健研究,44
:181−190,2002
294
養護教諭)
(芝木美沙子 旭川校助教授)
(笹嶋 由美 旭川校教授)