63 造影超音波ガイド下 RFA の有用性とその工夫 ◎松浦 由佳 1)、大井 直樹 1)、角越 信郎 1)、定野 真希子 1)、大石 三穂 1)、石川 由美子 1)、 津谷 真理子 1)、久留島 幸路 1) 磐田市立総合病院 1) RFA 施行には腹部超音波検査(以下 US)での腫 ことで針先を確認した。腫瘤内に穿刺針が貫 瘤の描出が必須である。しかし、近年造影 通していることを確認し焼灼を開始した。一 MRI の EOBプリモビストの登場で以前よりも小さ 週間後の MRI にて HCC が焼灼されていること な肝細胞癌(以下 HCC)が発見されるようになり、 を確認した。 US ではその腫瘤の同定に苦慮する事がある。 【考察】Sonazoid を用いた造影では中・低分化 今回我々は US では同定できなかった腫瘤を 型の HCC は動脈相で濃染し、クッパー相で造影 Sonazoid による造影 US で同定し、造影 欠損像を呈する特徴を持つ。造影欠損像は造 USガイド下での RFA を経験したので、その工 影剤投与 10 分後から 1 時間以上安定して描出 夫と共に報告する。 され、検出感度は非常に高い。また、Bモードで 【症例】52 歳男性。2014 年 4 月より C 型肝硬 同定できない腫瘤ではクッパー相で造影欠損像を 変で当院消化器内科に通院。US と MRI にて 確認し、さらに造影剤の再投与で濃染を認め フォローされていた。2015 年 8 月の MRI で肝左葉 れば HCC と診断できる。本症例の腫瘤は 外側区に HCC を疑う腫瘤を認め、RFA が計画 クッパー相においてコンベックスプローブではやや境界 された。 不明瞭、リニアプローブでは境界明瞭な造影欠損像 【MRI 所見】肝左葉外側区に最大径 6mm の結 として描出された。そのためリニアプローブによる 節を認めた。造影動脈相で濃染し、肝細胞造 ガイド下で穿刺を行った。しかし穿刺針の描出 影相で造影欠損部となり HCC を疑った。 が不良で画像上で確認できず、穿刺針内に空 【血液所見】WBC 4500/μl、Hb 13.9g/dl、Plt 気を通すことで針先を確認した。造影モードで 59000/μl、PT 14.7 秒、T.Bil 1.6mg/dl、AST は通常の Bモードより MI 値が低く設定されてお 134U/l、ALT 162U/l、Alb 3.7g/dl、AFP り、深部主体に画像全体の観察条件が不良に 159.1ng/ml、PIVKA-Ⅱ 11mAU/ml。 なりやすく、穿刺針や肝内・肝外の構造物等 【US 所見】Volume navigation を使用したが が認識しにくくなる。また RFA 施行時には長 Bモード上は MRI 指摘部位に腫瘤像は同定でき 時間病変部に超音波を当てることになるため、 なかった。造影するとクッパー相で S3 に造影欠 MI 値を低くしていても造影剤のバブルが壊れて 損像を認めた。コンベックスプローブではやや境界不 画像が劣化することがある。よって事前検査 明瞭だったが、リニアプローブでは境界明瞭な 時に腫瘤周囲や肝外の構造、腫瘤が描出可能 6mm の腫瘤として描出された。造影剤の再投 な MI 値、穿刺に使用するプローブ等を十分に評 与で腫瘤は濃染し HCC と診断した。これらの 価することや、穿刺針の描出の為あらかじめ 所見より造影 USガイド下における RFA が計画 穿刺針内に空気を通しておく等の工夫が必要 された。 である。今後もこれらの工夫を生かして積極 【RFA】クッパー相で腫瘤を確認し、焼灼範囲 的に造影下での RFA を施行していくべきであ 20mm の cool tip を穿刺した。この際、造影 ると考える。連絡先:0538-38-5000(内線 2600) モードでは針先の位置が確認できず、冷却用の 水からチューブ先端を引き抜き空気を針内に通す
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