造影超音波ガイド下RFAの有用性とその工夫 静岡県 松浦 由佳,大井

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造影超音波ガイド下 RFA の有用性とその工夫
◎松浦 由佳 1)、大井 直樹 1)、角越 信郎 1)、定野 真希子 1)、大石 三穂 1)、石川 由美子 1)、
津谷 真理子 1)、久留島 幸路 1)
磐田市立総合病院 1)
RFA 施行には腹部超音波検査(以下 US)での腫
ことで針先を確認した。腫瘤内に穿刺針が貫
瘤の描出が必須である。しかし、近年造影
通していることを確認し焼灼を開始した。一
MRI の EOBプリモビストの登場で以前よりも小さ
週間後の MRI にて HCC が焼灼されていること
な肝細胞癌(以下 HCC)が発見されるようになり、
を確認した。
US ではその腫瘤の同定に苦慮する事がある。
【考察】Sonazoid を用いた造影では中・低分化
今回我々は US では同定できなかった腫瘤を
型の HCC は動脈相で濃染し、クッパー相で造影
Sonazoid による造影 US で同定し、造影
欠損像を呈する特徴を持つ。造影欠損像は造
USガイド下での RFA を経験したので、その工
影剤投与 10 分後から 1 時間以上安定して描出
夫と共に報告する。
され、検出感度は非常に高い。また、Bモードで
【症例】52 歳男性。2014 年 4 月より C 型肝硬
同定できない腫瘤ではクッパー相で造影欠損像を
変で当院消化器内科に通院。US と MRI にて
確認し、さらに造影剤の再投与で濃染を認め
フォローされていた。2015 年 8 月の MRI で肝左葉
れば HCC と診断できる。本症例の腫瘤は
外側区に HCC を疑う腫瘤を認め、RFA が計画
クッパー相においてコンベックスプローブではやや境界
された。
不明瞭、リニアプローブでは境界明瞭な造影欠損像
【MRI 所見】肝左葉外側区に最大径 6mm の結
として描出された。そのためリニアプローブによる
節を認めた。造影動脈相で濃染し、肝細胞造
ガイド下で穿刺を行った。しかし穿刺針の描出
影相で造影欠損部となり HCC を疑った。
が不良で画像上で確認できず、穿刺針内に空
【血液所見】WBC 4500/μl、Hb 13.9g/dl、Plt
気を通すことで針先を確認した。造影モードで
59000/μl、PT 14.7 秒、T.Bil 1.6mg/dl、AST
は通常の Bモードより MI 値が低く設定されてお
134U/l、ALT 162U/l、Alb 3.7g/dl、AFP
り、深部主体に画像全体の観察条件が不良に
159.1ng/ml、PIVKA-Ⅱ 11mAU/ml。
なりやすく、穿刺針や肝内・肝外の構造物等
【US 所見】Volume navigation を使用したが
が認識しにくくなる。また RFA 施行時には長
Bモード上は MRI 指摘部位に腫瘤像は同定でき
時間病変部に超音波を当てることになるため、
なかった。造影するとクッパー相で S3 に造影欠
MI 値を低くしていても造影剤のバブルが壊れて
損像を認めた。コンベックスプローブではやや境界不
画像が劣化することがある。よって事前検査
明瞭だったが、リニアプローブでは境界明瞭な
時に腫瘤周囲や肝外の構造、腫瘤が描出可能
6mm の腫瘤として描出された。造影剤の再投
な MI 値、穿刺に使用するプローブ等を十分に評
与で腫瘤は濃染し HCC と診断した。これらの
価することや、穿刺針の描出の為あらかじめ
所見より造影 USガイド下における RFA が計画
穿刺針内に空気を通しておく等の工夫が必要
された。
である。今後もこれらの工夫を生かして積極
【RFA】クッパー相で腫瘤を確認し、焼灼範囲
的に造影下での RFA を施行していくべきであ
20mm の cool tip を穿刺した。この際、造影
ると考える。連絡先:0538-38-5000(内線 2600)
モードでは針先の位置が確認できず、冷却用の
水からチューブ先端を引き抜き空気を針内に通す