84 当院での臨床検査技師による病棟採血実施の経緯と現状について ◎清水 憲雄 1) 磐田市立総合病院 1) 【はじめに】当院(500 床、市立基幹病院)で 上を実現、創出した人材を活用して H19.05~ は、H15.10 より看護師業務支援を目的に臨床 外来採血業務を、すべて検査科の人員で実施 検査技師による病棟採血について検討を始め、 することによって、外来採血室の看護師 2 名 出来ることからひとつずつ計画、実行、検証 は看護業務に専念していただくことを可能と の繰り返しによって、問題を解決してきた。 した。また、開始時間を 8:15 から 7:30 に早め 当時は、検体検査のブランチ化も検討される ることによって朝の混雑を緩和し、待ち時間 中、生き残りをかけて検査科の業務拡大を図 の短縮をはかるとともに、限られた人員の中 ってきたので、経緯と現状について報告する。 で安定した運営をできるようにした。同時に 【経緯】H15.10 病院長や看護部からの要望に 病棟採血業務を 8 病棟に拡大、午前中病棟に より、病棟採血について検討することになっ 検査技師 3~6 名を派遣し早朝指定採血以外の た。当時、外来採血業務は看護師 2 名と技師 採血を検査科で行うこととした。医師の理解 2 名で行っていたものの、病棟採血業務の参入 と協力により採血時間を分散化することによ については否定的な技師が多数を占めた。技 って、およそ 100 件の採血を可能とした。 師からの理解を得るために、H15.12~試行期間 【業務量の変化と現状】平成 15 年度:人員 として検査科役職者(8 名)が交代で、2 病棟 (常勤換算)29 名・平成 20 年度:人員 を対象に 7:00~始業(8:15)までの間、早 37.5 名、検査実施点数 約 5000 万点・平成 朝採血業務を開始、問題点の抽出を行い看護 26 年度:人員 42.5 名、検査実施点数 約 師との連携などマニュアル作成に取り組んだ。 8400 万点・現在、外来採血は 1 日平均件数約 H16.03~正規技師 21 名のローテーションによ 300 件で 7:30~最大技師 7 名で対応、採血待 り 2 病棟で採血業務開始。看護部代表との定 ち時間 10 分以内 90%以上を目標に改善を続け 期的なミーティングにより、業務改善を繰り ている。病棟採血は 1 日平均件数約 100 件で 返すとともに、技師の採血技術の向上を柱と 8:15~8 病棟に技師 5~6 名を派遣し、一般病 して OJT による育成を進めた。限られた病棟 棟の約 75%の採血を技師が行っている。 のみでの実施であったが、技師による病棟採 【まとめ】業務拡大のためには、一部の検査 血業務が看護師支援として、経営層に高く評 業務に焦点をあてた効率化ではなく、検査全 価されると同時に、技師の意識においても採 体を捉えた効率化によりマンパワーを創出し 血がチーム医療への参画の一つとして認識さ ていかなければならない。また、院内各部門 れるようになった。H18 には、検体検査部門の とのコミュニケーションを充実させ、問題点 再構築と業務の効率化による業務拡大を目指 を明確にすること。次に、問題解決のための して、経営層に対して検査薬卸業者等のプロ 共通の目標を設定することによって、検査科 ポーザルによる検査科運営支援を含めた検体 内のチームワークを構築し、出来ることから 検査機器リース契約の検討をアピール。 ひとつずつ計画、実行、検証の繰り返しによ H19.04~検査薬卸業者による FMS 開始により、 って、問題を解決していく必要がある。 検体検査機器の更新と業務の効率化、収益向 連絡先:0538-38-5000(内線 6328)
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