巻 頭 言 全国大会への賛歌 全老健顧問、多可赤十字病院名誉院長 志賀周郎 全国の老健施設は、国民の温かい応援により大 リハビリへの取り組みなどもあったが、最も関 きな評価をいただきながら運営されている。日々 わったのが全国大会である。経験した医師の学会 の施設の運営を担う介護実務者を中心とする仲間 などとは異なる雰囲気で満たされる。 たちが、全国介護老人保健施設大会に集う。 全国大会で特に感じたものを簡略に述べる。 第 1 回の山梨県石和町(現笛吹市)で開催され ① 参加者が非常に多く、皆がそれぞれに意欲を た大会以降、毎年多彩なプログラムが展開され、 持っている。施設の長が日頃の対応に感謝し、 第27 回「めっちゃ好きやねん老健 大阪大会」 それに報いるためにかなりの人数の職員を大会 を迎えた。この全国大会は、施設で働く皆にとっ に参加させるなどの話も聞き及んだことがある。 て最大の関心事であり、大会に参加することに 参加者は、女性が多い。 なった職員の大会に寄せる憧れと期待は、その使 命とも合わせて如何ばかりかと推察される。一方、 開催を担当する側は、その期待に沿うべく懸命の 準備を講ずる。優に 3 年間を超えて計画が練られ、 ② 演題が非常に多い。看護、介護職の発表が多 くみられる。厚労省の方から「演題が多いです な」と耳にしたこともある。 ③ 研修会の会場では、しばしば満席となり立ち 参加者の希望に応えるべく渾身の力を込める。今 見となることもある。他の研修会などではこの までのどの大会にもそれぞれの工夫があり、新鮮 ような光景はあまり見かけない。 な香りがただよう広い視野のもとで、特別講演、 シンポジウム、研修会の取り組みがあった。特に 今回の大阪大会ではナイトセミナーまで開催され、 ④ 特別講演は幅広い分野から講演者が登壇し、 多彩でユニークな話が堪能できる。 ⑤ 懇親会ではご馳走が早めになくなり、お酒は 一層内容の充実した大会となった。 売れ行きが悪い。時には用意されたご馳走が 大会の 2 日目、会場となった大阪国際会議場に すっかりなくなり、あわてて追加を準備した思 居合わせた。お昼時とあって大勢の参加者であふ い出がある。この場でも、女性のパワーを再認 れるエレベーターを 2 度見送る羽目になり、 3 度 識。 目に乗る。その時、エレベーターに発表を終えた 毎年の大会を経て、演題発表の内容も奥深いも と思われる 3 人の女性が、丸いお弁当を持って乗 のがみられるようになり、優秀奨励賞の選考もな り込んできて隣り合わせになった。会話の内容か されるようになってきたが、施設で経験した素直 ら無事に発表を終えた笑顔があった。 な内容の演題に共感することもしばしばである。 施設で選ばれて 1 つの演題を発表するために、 川合秀治大会会長の「大阪にようおこし」との 演題の選定から原稿の作成、予行演習を繰り返し、 呼びかけに始まったこの大会。全国から参集され 発表に辿り着くまでの様子がうかがわれた。緊張 た方のスーツケースの整理に黄色のユニフォーム から解放された安堵感で、さぞ、お昼のお弁当は で汗を流されていたスタッフ約40 人の姿こそが おいしかったに違いない。 全老健の支えであると納得した全国大会であった。 昭和63 年の老健施設の誕生から全老健にそれ 次の中国四国ブロック松山、全国大会への確か なりの関わりを持ってきた。マニュアルの作成、 な足音を受けとめている。 老健 2016.12 ● 3 003巻頭言(三)1110.indd 3 2016/11/10 13:50:43
© Copyright 2024 ExpyDoc