マックハウス (7603・JASDAQ スタンダード) 2016 年 11 月 18 日 新 業 態 に よ る 店 舗 の 大 型 化 を 加 速 アップデートレポート 今 17/2 期上期は減収、営業赤字。通期業績予想を下方修正 今 17/2 期上期の単独業績は、売上高が前年同期比 4%減収、営業損 益が 26 百万円の赤字(前年同期は 3.0 億円の黒字) 。店舗開発では新 (株)QUICK 佐久間 聰 業態による既存店を中心とした大型化を加速、既存店売上高は 7 月ま ではほぼ計画線で推移したが、8 月の天候不順が響き、会社側の期初予 想(売上高 170.5 億円、営業利益 3.5 億円)に未達だった。 主要指標 2015/11/17 現在 株 価 会社側は今 17/2 期通期の単独業績予想を減額。売上高は期初予想の 787 円 360.0 億円→348.0 億円(前期比 3%減)へ、営業利益も 9.0 億円→5.3 962 円 (01/04) 730 円 (08/31) 億円(同 26%減)へ、それぞれ引き下げた。QUICK 企業価値研究所で 発行済株式数 15,597,638 株 当研究所では、来期(18/2 期)は、売上高が前期比 4%増収、営業 売 買 単 位 100 株 時 価 総 額 12,275 百万円 予 想 配 当 40.0 円 年初来高値 年初来安値 ( 会 社 予 想 ) E P S 0.65 円 ( ア ナ リ ス ト ) 実 績 P B R 0.84 倍 も、前回予想を下方修正し、会社側の修正後予想と同額を見込む。 来期は業績回復を予想。予定している新規大型店舗に注目 利益が同 89%増益を見込む。前回予想を維持、増収増益の見方は前回 と変わらない。店舗数は減少するが既存店売上高の増加で増収へ。増 収で売上総利益率の低下を補い、販管費減も寄与する結果、営業利益 は大幅増を予想。 来期は流動的な要素が多い。会社側が中期的に引き上げを目指して いる売上総利益率の動向だけでなく、店舗数も見通し難い。新業態は 大型店であること等が評価され、デベロッパーからの引き合いが強い。 また、来期には契約満了を迎える店舗数が全体の 3 割以上に当たる 145 直前のレポート発行日 店舗に上る見通し。契約の条件次第で新規・改装出店数および閉店数 リサーチノート 2016/07/29 は変わり、来期の全体の店舗数の計画は想定と違ってくる可能性があ ベ ー シ ッ ク 2016/05/12 る。なお、来期には撤退を進めている米 GAP ブランドの「OLDNAVY」跡 アップデート 2015/11/05 地へ MHSS 大型店を新規出店する予定。注目したい。 業 績 動 向 売上高 百万円 前期比 % 営業利益 百万円 前期比 % 経常利益 百万円 前期比 % 当期純利益 百万円 前期比 % EPS 円 2016/2 2Q(3-8 月) 実 績 17,275 -0.5 297 - 359 - 65 - 4.29 2017/2 2Q(3-8 月) 実 績 16,669 -3.5 -26 - 20 -94.3 -145 - -9.49 2016/2 通 績 35,971 0.1 718 255.7 834 140.1 156 - 10.22 想 36,000 0.1 900 25.2 930 11.5 250 59.5 16.30 34,800 -3.3 530 -26.3 560 -32.9 10 -93.6 0.65 36,000 0.1 900 25.2 930 11.5 250 59.5 16.30 34,800 -3.3 530 -26.2 560 -32.9 10 -93.6 0.65 36,100 3.7 1,000 88.7 1,030 83.9 300 - 19.56 期 実 会 社 予 (2016 年 4 月発表) 会 2017/2 通 期 社 予 想 (2016 年 10 月発表) アナリスト予想 (2016 年 5 月発表) アナリスト予想 (2016 年 11 月発表) 2018/2 通 期 アナリスト予想 (2016 年 11 月発表) アナリストレポート・プラットフォーム 1 業 績 上期は減収、営業 赤字。8 月の天候 会社概要 不順響き予想未達 今 17/2 期上期の単独業績は、売上高が前年同期比 4%減の 166.7 億円、 営業損益が 26 百万円の赤字(前年同期は 3.0 億円の黒字)となった。 赤字店舗の閉鎖を進めており、全体の店舗数が前 16/2 期上期末の 462 店 舗から今 17/2 期上期末は 448 店舗へ減少したため、減収。ただ、今 17/2 期上期の既存店売上高は同 0.1%増だった。同社は客数の増加を最優先課題 に掲げており、そのために商品の低価格化を推進している。既存店客単価は 同 5.4%減となったものの、客数は同 5.8%増と補った。図 1 には既存店の 月次売上高の推移を示した。今 17/2 期上期は 7 月まで 5 カ月連続で前年同 月比プラス(前年からは 13 カ月連続)だったが、8 月は台風の接近・上陸 など天候不順や高気温の影響で秋物が売れず、ショーツ等の夏物の欠品も招 いたことから、落ち込んだ。 商品別売上高では、メンズトップスが同 10.9%減、メンズボトムスが同 0.4%減、レディーストップスが同 3.2%減、レディースボトムスが同 4.5% 減、 キッズが同 5.4%減だった。 店舗数の減少や 8 月の落ち込みが影響した。 半面、その他が同 5.9%増と引き続き順調に拡大した。その他はビジカジ(メ ンズジャケット)、インナー・レッグ、雑貨などから成るが、なかでも、ビ ジカジの売り上げは前年同期比 4 割増と好調、インナー・レッグも導入以降 着実に販売が増加している。 売上総利益率は 46.9%と前年同期の 47.1%を若干下回った。PB 商品を増 やすなど商品原価の低下が進んでいるが、セールによる値下げ販売が響いた。 店舗数の減少に伴い人件費などが減少した半面、客数増のための新聞広告費 など販売費の増加により、販管費全体はほぼ横ばい。この結果、営業損益は 赤字となった。 図1. 17/2期上期(16年3~8月)既存店売上高は0.1%増 既存店客単価は5.4%減も同客数は5.8%増 (%) 17.0 20 15 10 (17/2期~) 11.2 11.1 5.5 7.6 4.5 6.7 0.7 5 2.2 3.1 3.0 3.4 0.6 -1.4 0 -5 -10 -15 -20 客単価 -12.2 客数 16/8月、9月は台風等影響 既存店売上高 -13.0 -17.7 15/6 15/7 15/8 15/915/1015/1115/1216/1 16/2 16/3 16/4 16/5 16/6 16/7 16/8 16/916/10 (注1)既存店売上高、客数、客単価いずれも前年同月比伸び率 (年/月) (注2)数字は月次の既存店売上高の伸び率 (出所)会社公表資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 2 業 績 会社側の期初予想(売上高 170.5 億円、営業利益 3.5 億円)との比較では、 会社概要 売上高、営業利益ともに未達となった。今 17/2 期上期末の店舗数は 448 店 舗と会社側の期初計画(449 店舗)にほぼ沿っている。しかし、売上面では、 既存店売上高が前年同期比 0.1%増と期初の想定(前年同期比 3.4%増)を 下回った。会社側によれば、既存店売上高は 7 月まではほぼ計画線で推移し たが、8 月の不振が響いた。利益面でも、売り上げが未達だったことに加え、 値下げセールの影響で売上総利益率が 46.9%と期初の想定(47.2%)を少 し下回った。広告宣伝費など販管費が予想より増えたことも負担となった。 表1. 17/2期上期は減収、営業赤字。期初予想を下回る 16/2期上期 17/2期上期 (億円) 実績 前年同期比 実績(A) 予想(B) 差額(A-B) 前年同期比 売上高 173 -1% 167 171 -3.8 -4% 営業利益 3.0 黒字転換 -0.3 3.5 -3.8 赤字転落 経常利益 3.6 黒字転換 0.2 3.6 -3.4 -94% 純利益 0.7 黒字転換 -1.5 0.7 -2.2 赤字転落 (注)17/2期上期予想は会社側による期初時点のもの (出所)決算資料 上期は 3 店舗新規 出店、既存店を 26 店舗改装 今 17/2 期上期の新規出店数は 3 店舗。その内訳は、新業態「マックハウ ス スーパーストア フューチャー」 (MHSSF、店舗業態の詳細については後 述)が 2 店舗、 「マックハウス アウトレット」が 1 店舗。既存店の改装(移 転含む)は 26 店舗。26 店舗のうち、10 店舗を MHSSF に業態転換した。 会社側によれば、新規出店 3 店舗のうちの 2 店舗で、改装 26 店舗のうち の 21 店舗で売上高が増加しており、全体としてみれば出店・改装は成功し たと評価している。特に、MHSSF の売り上げが良いようだ。なお、もう一方 の新業態である「マックハウス スーパーストア」 (MHSS)は今 17/2 期上期 の出店が無かった。 アナリストレポート・プラットフォーム 3 業 績 大型店舗の新業態 「MHSS」「MHSSF」 会社概要 の出店を強化 を除きマイナス続く 会社側は「従来型店舗(平均 120 坪程度)では売り上げは縮小の一途」と 危機感を強めており、集客のためには、商品の低価格化だけでなく、豊富な 品揃えを実現できる店舗の大型化(200 坪以上)が必須と強調している。こ のために開発した新業態が「マックハウス スーパーストア」(MHSS)およ び「マックハウス スーパーストア フューチャー」(MHSSF)だ。 MHSS の特徴は、内外装や陳列方法などを従来店舗(マックハウス業態) から刷新し、NB(ナショナルブランド)を充実させたアパレルから雑貨まで のフルラインの品揃えを実現した店舗で、都市近郊に 300 坪以上の広さを目 安に出店している。一方、MHSSF は、PB(プライベートブランド)を主体と したフルラインの品揃えを実現した店舗で、ローカルを中心に 200 坪以上の 広さを目安としている(表 2) 。MHSSF の内外装は MHSS を真似ており、店舗 規模と品揃えがやや異なる MHSS の派生型業態だ。 MHSS は前 16/2 期から、MHSSF は今 17/2 期から、 それぞれ出店を開始した。 MHSS は今期上期末時点で計 3 店舗。3 店舗全て前 16/2 期に既存店を改装し て出店した。1 号店は 15 年 3 月に出店したビバモール大井店(埼玉県)、2 号店は同年 4 月のラグーナテンボス蒲郡店(愛知県)、3 号店は同年 11 月の ヤオコーマケットシティ所沢店となっている。3 店舗とも前年を上回る売り 上げを継続しており、好調が続いている様子。店舗規模が大きいこと、清潔 性やビジュアル性に優れていること、豊富な品揃え、などが支持されている。 今 17/2 期上期の出店は無かったが、下期に入り、今年 9 月に初の新規出店 となる MHSS イオンスタイル笹丘店が 4 店舗目としてオープンした。 一方、MHSSF は今期上期末時点で 14 店舗。今 17/2 期から出店を開始した MHSSF の店舗数は今期 1Q 末(16 年 5 月末)には 6 店舗だったが、2Q だけで さらに 8 店舗増えた。今 17/2 期上期末の全体の改装店舗数は期初計画の 19 店を大きく上回る 26 店となっており、会社側では MHSSF の出店を加速した と説明している。 表2. 新業態MHSSとMHSSFの概要 店舗名称 「マックハウス スーパーストア」 (MHSS) 品揃え NB強化型フルラインショップ 出店戦略 人口集積のある都市近郊 店舗規模 300坪以上 売上目標 坪売上80万~150万円以上 店舗数 3店舗 (注)店舗数は17/2期上期末時点 (出所)決算説明会資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 「マックハウス スーパーストア フューチャー」 (MHSSF) PB主体のフルライン型ショップ ローカル中心に全国展開(主に移転を含む改装) 200坪以上 坪売上50万~80万円以上 14店舗 4 業 績 図 2.MHSS の店内 会社概要 (出所)会社 HP 会社側は 17/2 期 通期業績予想を減 額したが下期営業 利益ほぼ据え置き 会社側は上期業績が期初予想に届かなかったことを受けて、今 17/2 期通 期の単独業績予想を減額した(10 月 3 日発表) 。通期の売上高は期初予想の 360.0 億円から 348.0 億円(前期比 3%減)へ、営業利益も 9.0 億円から 5.3 億円(同 26%減)へ、それぞれ下方修正した。期初時点では、今 17/2 期通 期は微増収、営業増益を見込んでいたが、一転、減収減益の見込みとなった。 今 17/2 期下期の業績見通しについては、売上高は期初予想の 189.5 億円 から 181.3 億円(前年同期比 3%減)へ引き下げたが、営業利益は期初予想 の 5.5 億円に対して修正後は 5.6 億円(同 32%増)とほぼ据え置いた。会 社側では、下期に入り、売上面では、台風や残暑の影響で秋物の販売が不振 だった 9 月の落ち込み(既存店売上高は前年同月比 17.7%減)を考慮した ものの、その後は既存店売上高で前年同月比横ばいが続くと想定している (下期の既存店売上高は期初予想の前年同期比 3.4%増→同 1.5%減へ)。 一方、利益面では、商品原価の低減に取り組んだ効果があらわれることか ら、下期の売上総利益率は保守的だった期初予想(45.5%)を上回ることが 可能と判断しており、修正後の予想では 47.8%へ引き上げた(通期の売上 総利益率も期初予想の 46.3%→47.4%へ) 。販管費は期初予想に比べ若干増 加するが、下期の営業利益は期初予想を達成できる見込みと説明している。 表3. 17/2期通期予想を下方修正も、下期営業利益は期初予想をほぼ据え置き 16/2期 通期 下期 会社通期予想 (億円) 実績 実績 期初(A) 今回(B) 差(B-A) 売上高 359.7 187.0 360.0 348.0 -12.0 営業利益 7.2 4.2 9.0 5.3 -3.7 経常利益 8.3 4.8 9.3 5.6 -3.7 純利益 1.6 0.9 2.5 0.1 -2.4 (注)17/2期の会社通期予想の今回は16年10月3日発表の数値 (出所)決算資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 17/2期 前期比 期初(C) -3% 189.5 -26% 5.5 -33% 5.7 -94% 1.8 会社下期予想 今回(D) 差(D-C) 前年同期比 181.3 -8.2 -3% 5.6 0.1 +32% 5.4 -0.3 +14% 1.6 -0.3 +71% 5 業 績 引き続き、営業・商 品・販促の三位一 会社概要 体改革、店舗開発 改革に取り組む 会社側の今 17/2 期下期の施策を次のページの表 4 にまとめた。営業・商 品・販促の三位一体改革に加えて、店舗開発改革にも引き続き取り組む姿勢 だ。これまでと大きな変化は無い。 営業改革では、ボトムスを起点としたメンズ・レディースジャケットなど とのコーディネート提案(同社呼称:コーデ販売)の更なる強化により顧客 一人当たりの販売点数の引き上げを推進し、客単価の維持・引き上げを図る。 店舗での販売成功事例の全社共有や販売ランキングの発表などによる社内 の競争意識の向上に取り組むとともに、接客時間を増やすために高層什器を 導入、ハンギングの多用によるたたみ作業の軽減など店舗オペレーションの 効率化を支援していく。 商品改革では、強みであるジーンズを強化。PB ジーンズでは機能性を訴 求した商品を 2,990 円と 5,990 円で用意し、低価格帯の充実を図る。 一方で、 NB ジーンズではリーバイスに加え、エドウインの新商品を 6,500 円で投入 した。これに合わせるビジカジ(メンズジャケット)では、好評なデニムラ イクジャケットの新色を発売開始。このほか、インナー・レッグでは暖かさ の機能を強化するなど引き続き品揃えを強化。実需商品では、雨具・旅行用 品・靴などの販売拡大を目指す。客数の増加を促すためにレディース・キッ ズ中心に集客の見込める低価格商品を用意する方針。自社ブランド「NAVY」、 「Nyans World」の育成にも取り組む考えだ。 販促改革では、メルマガや LINE によるモバイル会員の獲得を更に強化。 新聞広告も継続していく。ただし、新聞広告の戦略は修正する方針。これま での積極的な新聞広告などで同社の認知度が向上したと判断したため、今 17/2 期上期までの新規顧客獲得を重視した広告戦略から採算向上を重視し た広告戦略に見直す。これまでは幅広い客層(子育て世代からシニア世代) の集客を重視するため低価格目玉商品の「サプライズ施策一辺倒」だったが、 今 17/2 期下期からは「コーディネート」、 「実需」、 「新商品・新機能」を訴 求していく。 商品の低価格化、実需品強化という路線に変更は無い。会社側によれば、 低価格化に対応できる商品調達体制が整ってきており、「低価格でも売上総 利益を確保できるようになり競合他社と戦えるようになった」 (デフレへの 対応が完了)と説明している。現在、同社の既存店の平均年間売上高は 8,000 万円程度(前 16/2 期実績)だが、これらの取り組みにより同 1 億円へ引き 上げていく。 アナリストレポート・プラットフォーム 6 業 会社概要 績 表4. 今17/2期下期の戦略 ~既存店の年間売上高1億円(※)へ向けて次の ステージに転換 (1)営業改革 ・ボトムスを起点としたジャケットなどとのコーディネート提案の更なる強化 ・顧客一人当たりの販売点数の向上 →今17/2期上期平均実績の2.6点を4点へ引き上げる目標。客単価の維持・上昇図る ・店舗での販売成功事例の全社共有 ・販売ランキングの発表などによる社内競争(競争意識の向上) ・低価格化戦略を推進するための店舗オペレーションの効率化 →高層什器導入、ハンギング多用で作業を軽減し、接客等の増加を促す (2)商品改革 ・同社の強みであるボトムスを強化(PBおよびNBジーンズ) →PBジーンズは2990円、5990円の品揃えを強化し50万点の販売を見込む →NBジーンズはリーバイスに加え、エドウインの新製品を投入 ・ビジカジ(メンズジャケット)の拡大 →売れ筋のデニムライクジャケットの新色を発売、15万点の販売を見込む ・インナー・レッグの増強 →暖かさの機能強化などにより220万点の販売を見込む ・実需商品の充実 →雨具・旅行用品・靴など50万点の販売を見込む ・低価格プロジェクト拡大 →レディース・キッズ中心に200万点の販売を見込む ・自社ブランド「NAVY」、「Nyans World」などによる差別化 (3)販促改革 ・メルマガやLINEによるモバイル会員の獲得を更に強化 ・新聞広告を継続 →「サプライズ施策一辺倒」から「コーディネート」「実需」「新製品・新機能」訴求へ変更 (4)店舗開発 ・店舗の大型化を推進(既存店強化には200坪以上が必要) →MHSS、MHSSFを出店。増床および売場移転を積極的に実施 (※)1店舗当たりの平均。前16/2期実績は8000万円 (出所)決算説明会資料より当研究所作成 図 3.自社ブランド NAVY の機能性 PB ジーンズ (出所)会社 HP アナリストレポート・プラットフォーム 7 業 績 中期的に売上総利 益率 50%を目指 会社概要 すことを改めて表 明 会社側は中期的に売上総利益率 50%を目指すことを改めて表明(図 4)。 以前も、PB 比率を高めることなどにより中期的に売上総利益率を向上する 目標を掲げたことはあったが、競争激化に伴う値引きセールの増加で売上総 利益率は低迷した。しかし、今回、商品の低価格化を実現できる体制が整っ たことで、再び挑戦していく姿勢を明らかにした。 その具体策について解説する。会社側によれば、 (1)値入率の向上、(2) 在庫削減の継続、 (3)売価変更率の抑制、により持続的な採算の向上を図っ ていく方針。いずれも同社がこれまで注力してきたことではあるが、徐々に 成果が現れてくると自信をみせている。 (1)値入率の向上については、特に商品の仕入原価の低減に注力してい く。同社は海外の商品調達先を変更することで仕入原価を低減させたが、さ らに仕入原価の低減を進めていく。海外製造工場と直接交渉を重ね、取引実 績を積み上げていくなかで、商社を介さずに現地工場と直接取引する割合 (直貿)を高める方針。中間マージンを排除していく効果が大きくなってく る見通しだ。 (2)在庫削減の継続については、メンズおよびレディスのトップスなど は流行の変化が激しい。見切りによる悪い意味での値引きセールの温床とな りやすいため、過剰な商品在庫を回避していく。ただし、実需商品であるイ ンナー・レッグは一度に複数点の購入が見込め、かつ流行性に乏しい“腐り にくい商品”のため、欠品を防ぐ目的で十分な在庫を抱えていく考え。 (3)売価変更率の抑制については、副次的な効果であり、仕入原価の低 減に伴う商品の低価格化を進めていくことで、結果として値引き余地が小さ くなる見通し。また、在庫削減の進展とともに値引きセールも減少していく。 売上総利益率の悪化を回避できる見込みだ。 図4. 中期で売上総利益率50%を目指す 50.0% これまでもPB比率を高める など向上に取り組んだが、近年は 競争激化で低迷した 49.5% 49.0% 48.5% 48.5% 48.0% 48.0% 47.5% 49.0% 47.4% 48.0% 47.0% 46.5% 46.5% 46.3% 主な取り組み (1)値入率の向上 (2)在庫削減の継続 (3)売価変更率の抑制 46.1% 46.0% 45.5% 45.0% 13/2期 14/2期 15/2期 16/2期 17/2期 18/2期 19/2期 20/2期 (注)16/2期までは実績。17/2期以降は会社予想 (出所)決算資料より当研究所作成 アナリストレポート・プラットフォーム 8 業 績 当 研 究 所 も 今 17/2 期通期業績 会社概要 予想を会社側の修 正後予想と同額へ 下方修正 当研究所では、今 17/2 期通期の単独業績予想について、売上高は前期比 3%減の 348 億円、営業利益は同 26%減の 5.3 億円を見込む。前回予想(売 上高は前期比微増の 360 億円、営業利益は同 25%増の 9 億円)を下方修正 し、会社側の修正後予想と同額に見直す。今 17/2 期下期の業績見通しにつ いて、売上高は前年同期比 3%減の 181.3 億円、営業利益は同 32%増の 5.6 億円を予想する。 今 17/2 期末の店舗数は会社側の計画と同じ 432 店舗(前 16/2 期末比 20 店舗減)を想定。前回予想から変更していない。前述したように、会社側は 赤字店舗の閉鎖を進めていく方針を変えていない。 下期に入って、前述したように 9 月の既存店売上高は台風や残暑の影響で 前年同月比 17.7%減と落ち込んだ(客数は前年同月比 13.4%減、客単価は 同 4.9%減) 。続く 10 月も上旬まで高気温が続いたためアウター等の秋物商 品の販売が苦戦、その後の気温低下で秋物商品の販売は回復したものの、同 1.4%減だった(客数は同 0.5%増、客単価は同 1.9%減) 。ただし、10 月の 減少率は小さいため巻き返しは十分可能とみる。 下期の売上総利益率も会社側の修正後予想と同じ 47.8%を見込む(通期 も会社側の修正後予想と同じ 47.4%)。同社の過年度の下期の売上総利益率 の推移をみると、13/2 期下期は 48.0%だったが、その後は 14/2 期下期 45.0%→15/2 期下期 45.6%→前 16/2 期下期 45.1%と 13/2 期下期に比べ低 い状況が続いている。競争激化による値引きセールが大きく響いた。依然、 競争は激しい状況が続いている。ただ、在庫の削減が進展していることも事 実。今 17/2 期上期末の商品は前年同期末比 5%減少(前期末と比べても 6% 減少) 。インナー・レッグを豊富に用意する半面、春夏物商品は前年同期末 比 34%減と計画通りに減少したと会社側は説明している。会社側では今 17/2 期末には前期末比 15%減を計画している。一方で、会社側によれば、 レディース・キッズの低価格目玉商品でも売上総利益率は 50%と高い水準 を確保できる体制が整っているようだ。当研究所では、今 17/2 期下期の売 上総利益率は前 16/2 期下期に比べ改善すると想定している。 表5. 当研究所は今17/2期予想を減額し、会社側修正後予想と同額を見込む 18/2期は前回予想を据え置き、業績回復を見込む 17/2期 当研究所予想 会社予想 (億円) 前期比 前回(A) 今回(B) 差(B-A) 前期比 売上高 348.0 -3% 360.0 348.0 -12.0 -3% 営業利益 5.3 -26% 9.0 5.3 -3.7 -26% 経常利益 5.6 -33% 9.3 5.6 -3.7 -33% 純利益 0.1 -94% 2.5 0.1 -2.4 -94% (注)17/2期会社予想は修正後(16年10月3日発表) (出所)決算資料、当研究所 アナリストレポート・プラットフォーム 18/2期 当研究所予想 前期比 361.0 +4% 10.0 +89% 10.3 +84% 3.0 30倍 9 業 績 来期は増収増益を 予想するが、売上 会社概要 総利益率や店舗数 の動向など流動的 来期(18/2 期)の単独業績予想について、当研究所では売上高は 361 億 円、営業利益は 10 億円とした前回予想を据え置く。今 17/2 期の単独業績予 想を下方修正したため、売上高の伸び率は前期比 4%増、営業利益は同 89% 増を見込む。増収増益の見方は前回予想から変えていない。 18/2 期末の店舗数は赤字店舗の閉鎖により今 17/2 期末当研究所予想比 20 店舗減の 412 店舗を想定。また、厳しい競争環境が続くと考え、売上総利益 率は 46.0%を想定。どちらも前回予想から変更していない。売上総利益率 は今 17/2 期当研究所の修正後予想(47.4%)から低下する見込み。前掲し た図 3 のように、会社側の売上総利益率を向上させる取り組みの進捗に期待 しているが、近年は厳しい実績だったことを考慮した。今 17/2 期下期の売 上総利益率や今 17/2 期末の商品在庫など動向を見守りたい。 売り上げ面では、全体の店舗数は減少が続くものの、客数の増加が見込め る新業態 MHSS および MHSSF の出店(新規・改装)を進めることにより既存 店売上高が伸び、増収を確保すると予想。利益面では、売上総利益率は低下 するが、増収により売上総利益は増加し、店舗数の減少を主因とする販管費 の減少も寄与する結果、営業利益は大幅な増益を予想する。 来期は流動的な要素が多い。上述した売上総利益率だけでなく、店舗数の 見通しも難しい。前述したように、今 17/2 期上期末の全体の店舗数は 448 店舗と計画(449 店舗)にほぼ沿った形となったが、MHSSF の出店を加速し たため改装店舗数は 26 店と計画(19 店)を大きく上回った。今 17/2 期下 期も MHSSF の出店(新規・改装)を加速する姿勢だ。会社側によれば、MHSS および MHSSF は大型店であること等が評価され、デベロッパーからの引き合 いが強い。実際に、撤退を進めている米ファストファッション大手 GAP(ギ ャップ)ブランドの「OLDNAVY」 (オールドネイビー)の大型店跡地へ、MHSS の大型店を来期に 1 店舗新規出店する予定を会社側は明らかにしている。ま た、来期には契約満了を迎える店舗数が全体の 3 割以上に当たる 145 店舗に 上る見通し。契約の条件次第で MHSS、MHSSF の新規・改装出店数および閉店 数は変わり、全体の店舗数の計画は当研究所の想定と大きく違ってくる可能 性がある。 ただ、流動的な要素が多いというのは、見方を変えれば可能性を秘めてい るとも言える。来期の「OLDNAVY」跡地への MHSS 大型店の新規出店は「リス クはあるが挑戦する」(白土社長)姿勢を示したもの。同社の将来を占う試 金石であり、注目したい。 アナリストレポート・プラットフォーム 10 (出所)㈱QUICK 上記チャート図の一部又は全部を、方法の如何を問わず、また、有償・無償に関わらず第三者に配布してはいけません。 上記チャート図に過誤等がある場合でも㈱QUICK 社及び東京証券取引所は一切責任を負いません。 上記チャート図の複製、改変、第三者への再配布を一切行ってはいけません。 2014/02 株 価 推 移 2015/02 2017/02 予 (アナリスト) 2016/02 株価(年間高値) 円 1,133 1,040 971 - 株価(年間安値) 円 795 837 815 - 月間平均出来高 百株 2019.42 1049.25 2238.67 - 高 百万円 36,749 35,952 35,971 34,800 売 上 営 業 利 益 百万円 1,140 202 718 530 経 常 利 益 百万円 1,251 347 834 560 百万円 549 -123 156 10 業 績 推 移 当 期 純 利 益 E P S 円 35.84 -8.06 10.22 0.65 R O E % 3.4 -0.8 1.0 0.1 流動資産合計 百万円 20,277 20,067 18,884 - 固定資産合計 百万円 7,737 7,576 6,705 - 資 百万円 28,015 27,644 25,590 - 産 合 計 貸借対照表 流動負債合計 百万円 9,391 9,877 8,387 - 主 要 項 目 固定負債合計 百万円 2,642 2,496 2,371 - 負 百万円 12,033 12,374 10,759 - 株主資本合計 百万円 15,974 15,236 14,817 - 純 資 産 合 計 百万円 15,981 15,269 14,830 - 営業活動による CF 百万円 -817 -1,720 -1,459 - 投資活動による CF 百万円 -352 -403 1,584 - 財務活動による CF 百万円 -904 -706 -651 - 現金及び現金同等 物の期末残高 百万円 9,143 6,313 5,787 - キャッシュフ ロー計算書 主 要 項 目 債 合 計 アナリストレポート・プラットフォーム 11 リ 事 関 ス ク す 業 る リ 会社概要 分 析 に ス ク ●商品計画について 取り扱う衣料品は、季節性が高く、冷夏や暖冬等の天候による影響を受け る可能性がある。またファッションの流行や顧客の嗜好の変化による影響、 競合他社の価格政策などによっても売り上げが左右される。このため、需要 動向の変化によっては、業績に影響を及ぼす可能性がある。 ●商品生産の特定地域への依存リスク 取り扱う衣料品の多くは、主として中国をはじめとするアジア各国からの 輸入によるものであるため、中国などの生産国の政治・経済情勢、為替相場、 法制度等に著しい変動があった場合や、大規模な自然災害の発生などにより、 商品原価や商品供給そのものに影響を及ぼす可能性がある。 ●店舗賃貸借物件について 店舗の大部分は、デベロッパーや地主から賃借しており、出店に際し敷金 および保証金を貸主に差し入れている。その一部は賃料等で相殺されるが、 一部は契約期間満了時まで全額の返還がされない。契約期間が長期の場合、 その間における貸主の倒産等によっては保証金の一部または敷金全部が回 収出来なくなる可能性がある。また賃借店舗については定期建物賃借契約を 締結している場合があるが、借地借家法第 38 条により、契約期間終了後、 同社に再契約の意志があったとしても、相手方の意思により再契約できない 場合があり、業績に影響を及ぼす可能性がある。 ●人件費等の増加等に関するリスク 多数のパートタイム従業員を雇用しており、従業者に占める割合が高く、 雇用保険料率、健康保険組合料率等の引き上げ、今後の年金等に関する改正 等、種々の要因により、人件費の増加が予想され、業績に影響を及ぼす可能 性がある。 ●個人情報の取扱について 個人情報保護法の制定に伴い、個人情報保護方針・マニュアルの制定およ び従業員教育を含めた社内制度の強化を推し進めているが、個人情報の流出 により問題が発生した場合には、社会的信用の失墜および損害賠償責任等に より、業績等に影響を及ぼす可能性がある。 ●減損会計の影響について 店舗業績の悪化などにより一部の事業用資産等について、減損損失が発生 する可能性がある。 アナリストレポート・プラットフォーム 12 デ ィ ス ク レ ー マ ー 1.本レポートは、株式会社東京証券取引所(以下「東証」といいます。 )が実施する「アナリストレポー ト・プラットフォーム」を利用して作成されたものであり、東証が作成したものではありません。 会社概要 2.本レポートは、本レポートの対象となる企業が、その作成費用を支払うことを約束することにより作 成されたものであり、その作成費用は、当該企業が東証に支払った金額すべてが、東証から株式会社 QUICK (以下「レポート作成会社」といいます。 )に支払われています。 3.本レポートは、東証によるレビューや承認を受けておりません(ただし、東証が文面上から明らかに 誤りがある場合や適当でない場合にレポート作成会社に対して指摘を行うことを妨げるものではありま せん) 。 4.レポート作成会社及び担当アナリストには、この資料に記載された企業との間に本レポートに表示さ れる重大な利益相反以外の重大な利益相反の関係はありません。 5.本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を唯一の目的として作成されたもので、有価証券の 取引及びその他の取引の勧誘又は誘引を目的とするものではありません。有価証券の取引には、相場変 動その他の要因により、損失が生じるおそれがあります。また、本レポートの対象となる企業は、投資 の知識・経験、財産の状況及び投資目的が異なるすべての投資者の方々に、投資対象として、一律に適 合するとは限りません。銘柄の選択、投資判断の最終決定は、投資者ご自身の判断でなされるようにお 願いいたします。 6.本レポート作成にあたり、レポート作成会社は本レポートの対象となる企業との面会等を通じて、当 該企業より情報提供を受けておりますが、本レポートに含まれる仮説や結論は当該企業によるものでは なく、レポート作成会社の分析及び評価によるものです。また、本レポートの内容はすべて作成時点の ものであり、今後予告なく変更されることがあります。 7.本レポートは、レポート作成会社が信頼できると判断した情報に基づき記載されていますが、東証及 びレポート作成会社は、本レポートの記載内容が真実かつ正確であり、そのうちに重要な事項の記載が 欠けていないことやこの資料に記載された企業の発行する有価証券の価値を保証又は承認するものでは ありません。本レポート及び本レポートに含まれる情報は、いかなる目的で使用される場合におきまし ても、投資者の判断と責任において使用されるべきものであり、本レポート及び本レポートに含まれる 情報の使用による結果について、東証及びレポート作成会社は何ら責任を負うものではありません。 8.本レポートの著作権は、レポート作成会社に帰属しますが、レポート作成会社は、本レポートの著作 権を東証に独占的に利用許諾しております。そのため本レポートの情報について、東証の承諾を得ずに 複製、販売、使用、公表及び配布を行うことは法律で禁じられています。 <指標の説明について> 本レポートに記載の指標に関する説明は、東京証券取引所ウェブサイトに掲載されております。 参照 URL ⇒ http://www.jpx.co.jp/listing/ir-clips/analyst-report/02.html アナリストレポート・プラットフォーム 13
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