2016年11⽉11⽇ 優先証券の繰上償還延期リスクについて スタンダード・チャータードが優先証券の繰上償還を延期 Q&A ⽇頃より『ゆうせん君シリーズ』をご愛顧賜り誠にありがとうございます。 11⽉1⽇、スタンダード・チャータード銀⾏は、2017年1⽉に初回の繰上償還可能⽇が到来する期 間の定めのない優先証券(永久劣後債と表記される場合もあります)を、その繰上償還可能⽇には 償還しない⽅針だと発表しました。 このレポートでは、Q&A⽅式で詳細についてご説明いたします。 <Q1>優先証券の繰上償還延期リスクとはなんですか?(P2) <Q2>なぜ、繰上償還を延期するのですか? (P3) <Q2-2>初回繰上償還⽇以降のクーポン⽔準が相対的に低い優先証券は、必ず繰上償還が 延期されるのですか? <Q2-3>「近い将来市場で資本調達するかどうか」は客観的に(だれでも)わかりますか? <Q3>スタンダード・チャータードはなぜ繰上償還を延期したのですか? (P4) <Q3-2>スタンダード・チャータードが繰上償還を延期することを予測できなかったの ですか? <Q3-3>今回のスタンダード・チャータードのように信⽤⼒が悪化していなくても繰上償還 を延期するケースが、今後、同社の他の銘柄、または他の発⾏体で発⽣することは ありますか? <Q4>優先証券の繰上償還の状況について教えてください(P4) 1/4 ■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであ り、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものでは ありません。■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成してお りますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記 載されている今後の見通し・コメントは、作成日現在のものであり、事前の予告 なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運用実績等に関するグ ラフ、数値等は過去のものであり、将来の運用成果等を約束するものではあり ません。■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証する ものではありません。 大和住銀投信投資顧問株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第353号 加入協会 一般社団法人投資信託協会 一般社団法人日本投資顧問業協会 2016年11⽉11⽇ Q1.優先証券の繰上償還延期リスクとはなんですか? A1. 優先証券固有のリスクの⼀つです。 優先証券は他に「法的弁済順位が低い」、「借⼊期間が、数⼗年、永久 (償還期⽇がない)など超⻑期」等の特徴があるため、⼀般的に利率 (クーポン)は同発⾏体の普通社債等よりも⾼い傾向にあります。 ●繰上償還延期リスク 優先証券等には、一般的に繰上償還(コール)条項が付与されています。この繰上償還をいつ実施するか は発行体が決定することとなっているため、長期間償還されないこともあります。 繰上償還が期待されている中で、繰上償還が実施されなかった場合、あるいは繰上償還されない見込み となった場合には、当該証券の価格が大きく下落することがあります。 <ご参考> 一般的に、優先証券は以下のような特徴があります。 普通社債などと比べ、法的弁済順位が低い 発行体は一定の条件のもと、利息の支払いを繰り延べる権利をもつ 発行体は事前に決められた期日に繰上償還することができる 借入期間(発行日から償還日までの期間)が、数十年、永久(償還期日がない)など超長期 利率(クーポン)は同発行体の普通社債等よりも高い 普通社債と優先証券の利回りの比較(イメージ図) 2/4 ■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記載されている今後の見通 し・コメントは、作成日現在のものであり、事前の予告なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来 の運用成果等を約束するものではありません。■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2016年11⽉11⽇ Q2.なぜ、発⾏体は繰上償還を延期するのですか? A2. 主に2つの状況(理由)があると考えられます。 ①信⽤⼒が悪化して、新たな調達ができない状況 ②繰上償還を延期することにより、経済合理性が得られる状況 ②についての補足 優先証券は、初回繰上償還日以降クーポンが固定金利から変動金利に変わる仕組みのものが多く存在していま す。初回繰上償還日以降のクーポン水準が相対的に低い場合、新たに資金を調達するより繰上償還をしない方が 有利と判断できる状況のこと Q2-2.初回繰上償還⽇以降のクーポン⽔準が相対的に低い場合、必ず繰上償還が 延期されるのですか? A2-2. いいえ 今後の資⾦調達を含め総合的に経済合理性を判断する必要があるからです。 一般的に、投資家の期待に反して繰上償還を延期し、その後資本市場で新たな調達を行う場合、投資家は同程度 の信用力の発行体よりも高い上乗せ金利を要求するため、結果的に発行体は高い調達コストを支払うことになりま す。つまり、近い将来新たな資金調達を計画している場合は、発行体にとって繰上償還の延期は経済合理性を持つ とは言い切れないと考えられるからです。 Q2-3.「近い将来市場で資本調達するかどうか」は客観的に(だれでも)わかりますか? A2-3. いいえ 外部から判断するためには専⾨的な知⾒を要します。 発行体が発表しない限り、以下のような様々な情報から判断する必要があります。 (ア)自己資本の状況 (イ)収益状況 (ウ)優先証券の条件(条件により繰上償還延期後の資本への算入され方が異なる) したがって、外部から判断するためには専門的な知見を要します。 3/4 ■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記載されている今後の見通 し・コメントは、作成日現在のものであり、事前の予告なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来 の運用成果等を約束するものではありません。■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。 2016年11⽉11⽇ Q3.スタンダード・チャータードはなぜ繰上償還を延期したのですか? A3. Q2②の経済合理性が理由と思われます。 今回の優先証券は、現在の6.409%の固定金利が、初回繰上償還日以降「LIBOR+1.51%」の変動金利となる仕組 みです。Q2②にあるように、初回繰上償還日以降のクーポン水準が相対的に低い場合、新たに資金を調達するよ り繰上償還をしない方が有利と判断できる状況です。 また繰上償還を延期した後も、自己資本として一定割合算入が認められる優先証券です。 Q3-2.スタンダード・チャータードが繰上償還を延期することを予測できなかったのですか? A3-2. 価格が償還価格近辺だったことから、市場では予測されていなかったと 考えられます。 初回繰上償還日以降のクーポン水準が相対的に低くなることは認識されていましたが、近い将来市場で資本調達 する可能性があることなどから、総合的な経済合理性から、繰上償還されると考えられていました。 また、同様の属性を持つロイズ・バンキング・グループ発行の優先証券の繰上償還が9月27日に発表され、11月14 日に繰上償還されることとなったことも、スタンダード・チャータードの優先証券が繰上償還されると予想される理由 となりました。 Q3-3.今回のスタンダード・チャータードのように信⽤⼒が悪化していなくても繰上償還を延期 するケースが、今後、同社の他の銘柄、または他の発⾏体で発⽣することはありますか? A3-3. 可能性はあります。 ただし、スタンダード・チャータードは1銘柄のみ発表しただけで、すべ ての優先証券の繰上償還を延期すると発表したわけではありません。 Q2にあるように「初回繰上償還日以降のクーポン水準が相対的に低い優先証券」が必ず繰上償還を延期するわけ ではなく、総合的に判断する必要があります。 Q4.優先証券の繰上償還の状況について教えてください A4. 繰上償還の延期は⼀部の銘柄に限られているものであり、優先証券市場全 体に拡⼤しているわけではありません。引き続き最初の繰上償還⽇に繰上 償還された銘柄は多数存在しています。 4/4 ■当資料は情報提供を目的として大和住銀投信投資顧問が作成したものであり、特定の投資信託・生命保険・株式・債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。 ■当資料は各種の信頼できると考えられる情報源から作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。■当資料に記載されている今後の見通 し・コメントは、作成日現在のものであり、事前の予告なしに将来変更される場合があります。■当資料内の運用実績等に関するグラフ、数値等は過去のものであり、将来 の運用成果等を約束するものではありません。■当資料内のいかなる内容も、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。
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