MANAGE TECHNICAL PRODUCTION

CMP
(Certified Meeting Professional)から
SKILL 18:
MANAGE TECHNICAL
PRODUCTION
SKILL 18: MANAGE TECHNICAL PRODUCTION
Sub skill 18.01 – D
etermine Requirements
for Staging and Technical
Equipment
Sub skill 18.02 – Acquire Staging and
Technical Equipment
Sub skill 18.03 – Install Staging and Technical
Equipment
Sub skill 18.04 – Oversee Technical
Production Operation
CMP 出題頻度:2 〜 4問(合計150問)
点には下記のようなものがあります。
・収容人数:施設が提供する収容人数一覧表はステージや機
器の面積を小さく見積もって計算しているものが多いため、
会場の実面積と、できれば実際の図面を作成して収容人数
を検証する必要があります。
・天井高:同じ部屋でも天井の高いところと低いところがあり
うるので、それぞれの天井高を確認します。機材を搬入す
るための入り口の縦横高さの確認も重要です。
・電源:コンセント位置、タイプ、電源容量のチェックを行い
ます。
・施設の照明タイプ・音響システムと操作方法
・搬入口・搬入方法
・壁:会場の壁にどれくらいの遮音性があるかという点も事
今月はテクニカル・プロダクション、すなわち映像機器を
前に確認しておく必要があります。一見、厚みのある壁に
中心としたステージ上の演出について取り上げます。この分
見えても、空洞のため遮音性が低いこともあります。
野における技術の進歩は目覚ましいものがあり、参加者にメ
ッセージを伝えるための重要な要素で、さらにイベント予算
に占める比率が大きいため、プランナーとしては常に学び続
ける必要のある分野だと言えるでしょう。まずは技術が進歩
しても変わらない基本ルールから確認していきましょう。
この分野における技術は日進月歩ですが、基本的な見積書
の構成要素は下記のとおりです。
・音響:マイクなどの音源(input source)
、音源をスイッチ
ング操作するためのミキサー(mixer)
、音声を拡大して聴
衆に届けるためのスピーカー(speaker/output devices)の
3 つから構成されます。
・映像:コンピューター・タブレットやカメラなどの映像ソー
まずは必要な機能の検討から
Sub skill 18.01 – D
etermine Requirements for
Staging and Technical Equipment
先月も解説した通り、イベントデザインにおいては、まず
参加者に合わせた映像・音響機器を決めることが重要です。
ス、ソースを切り替えるためのスイッチャー、プロジェク
ターなど映像を鮮明に見せるための出力デバイスの3つか
ら構成されます。カメラを使用する場合、プロジェクター
に映し出すことだけが目的の場合と、収録して映像を残す
場合では使用する機材のスペックが異なりますので、見積
を依頼する場合には明示することが望ましいです。
なぜならこの分野の進歩は非常に早く、必要な人員や予算
・照明:舞台照明にはさまざまな種類があります。しかしな
が大きく変動しうるためです。全体予算や人員計画に最も
がら、日本国内で使用されている用語とCIC の統一用語に
大きな影響を与える部分なので、はじめに確定しておきま
は若干のずれがあるようです。CMP 受験を考えている方は、
しょう。
CIC 用語をひととおり覚える必要があります。
映像・音響機器を決める際の基本中の基本は「参加者全員
・舞台装飾:施工物や舞台そのもの、ドレープなどを指しま
からちゃんと見えること」です。このため、参加者の人数や
す。ドレープというのは黒いベルベットの布のことで、機
使用する会場の条件を勘案して決定するわけですが、この際
材の台やコード、背後の壁面を隠すために使用します。
しばしば起こりうる問題として、あらかじめ会場に設けられ
・人員:アメリカなど労働組合の強い国でイベントを開催す
ているさまざまな制限が挙げられます。会場利用ルール、労
る場合には、所定の勤務時間・休憩時間などに留意する必
働契約、消防法、安全性に関連した制限事項などです。
要があります。また、施設によって独自のルールを設けて
このため本来の検討の順番としては(1)
なにを見せるかを
いる場合が多いため、外部調達した人員と施設の人員をう
決める(2)
必要な映像・音響技術を決める(3)
候補会場がそ
まく組み合わせるという工夫も必要です。
の条件に見合っているかどうかを検証する、という順番にな
・運搬および諸費用:機材運搬や保管のための費用のほか、
るでしょう。映像・音響の視点から会場を検討する際の留意
駐車料金、スタッフ交通費・宿泊料金、食費などを合わせ
16 MICE Japan 2016・10月号
考えるMICEのグローバルスタンダードと日本基準
ると、かなり大きな金額になります。このため、イベント
とおり会場を点検して設営具合をチェックします。イベント
ごとに必要な項目をつど精査することで、不要な出費は抑
の参加者になったつもりで、その導線を歩いてみるとよいで
えたいところです。
しょう。
機材の発注
Sub skill 18.02 – Acquire Staging and
Technical Equipment
プロダクション工程管理
Sub skill 18.04 – O
versee Technical Production
Operation
さて、機材を発注するにあたっては R FP(Request for
イベントの規模や内容に応じて、そのステージ・プロダクシ
Proposals:見積・提案依頼書)を出すことになります。基本
ョンにはさまざまな役割があります。見積書ではよく「技術要
的な内容としては、想定会場・セットアップ形式、おおまか
員」
(英語では engineer)という記載がありますが、特に一定
なプログラム・タイムテーブル、発注者の連絡先や連絡方
の資格があるわけではないため、サプライヤーによってその
法、提出締切といった情報が必要です。可能であれば会場
技術・経験レベルはまちまちです。サプライヤーはプランナ
図面や関連情報も併せて提供します。複数のサプライヤー
ーとの連絡窓口となる担当者(project manager)を置くため、
に RFP を出すと、おそらくそれぞれから細かな質問が来る
すべてのやりとりはこの担当者を通じて行います。さらにイ
と思います。不明点を明らかにして、各社の見積条件に認
ベントの規模に応じてプロデューサー、テクニカル・ディレク
識のずれがないかどうかを精査したうえで、価格・提案内容
ター、ステージマネージャーなどといった役割を持つ人も出
を総合的に検討して発注先を決定します。こうした RFP の
てきます。
やりとりはプランナーにとって非常に貴重な学習の機会で
開会式などのセレモニーがある場合は、かならずリハー
もあるので、追加発注による予算オーバーを避けるために
サルの時間を設けてください。出演者自身が出席できない場
も、このプロセスはぜひ、面倒がらずに時間をかけて、丁
合も代理を立てて、ひととおり映像・音響・照明などの tech
寧に進めてください。
rehearsalを行います。念には念を入れて準備したとしてもハ
CIC 9th manual P201 〜 203では音響機器、ビデオ、照明、
プニングが起こるのがイベントです。あらかじめ指示命令系
スタッフ、ウェブキャスト、ハイブリッド・ミーティングそれ
統を明確に決めておき、スタッフを信頼して、想定外の問題
ぞれの RFPを出す際の注意事項がまとめられています。紙面
が起きても冷静に対応できるようにしておきましょう。
の関係上、ここですべてを紹介することはできませんが、実
際に RFPを出す予定のある方、CMP 受験をお考えの方は、
ぜひご一読ください。また、日本の一般的な書式とは異なり
ますが、RFP のサンプルもConvention Industry Council の
ウェブサイトで見ることができます。
機材の設営
Sub skill 18.03 – Install Staging and Technical
Equipment
運営用のタイムテーブルを準備する際、機材の搬入・設営
時間を設けることを忘れないでください。撤去についても同
様です。事前にサプライヤーおよび施設と話し合い、段取り
を決めておきましょう。また、梱包資材などを保管するため
の保管場所を確保しておくことも重要です。専用の部屋を設
けたり、通路や会場の一角にパーテーションを置くこともあ
ります。消防法が関わるため、保管場所の設置に当たっては
設備の担当者と相談が必要です。
設営の際にはその進捗が把握できるように、設営担当者の
連絡先を把握しておいてください。設営が完了したら、ひと
押さえておきましょう! CMP 用語集(terminology)
Hybrid event 演
オンライン・オフライン共存
型イベント
Virtual event オ
ンライン上のイベント
Request for proposals 見
積提案依頼書
Tech rehearsal 映
像音響などの確認も含めた
リハーサル
西本 恵子
Keiko Nishimoto, CMP
日本コンベンションサービス
(株)
MICE 都市研究所 主任研究員
Convention Industry Council で CMP 試験
問題作成委員および国際標準委員を担当。ICCAアジアパシ
フィック部会担当理事。
大学院での地方創生の取り組みとして、今月はリスボンの日
本料理店を厨房ごとお借りしてパーティーを開催しました。
天草市からすし職人が渡航。料理店スタッフにとってはオー
センティックな調理技術に触れる機会、すし職人にとっては
海外展開に向けた布石となりました。
MICE Japan 2016・10月号 17