(参考2)状態量の満たすべき性質

2016 年 11 月 11 日
戸田昭彦
(参考2)状態量 f (x, y ) の満たすべき性質としての偏微分順序の交換
A.定性的な理解
∆f = M (x, y ) ∆x + N (x, y ) ∆y が経路によらない条件を求める。
a
b
c
d
∆fab − ∆fcd ≅ [M (x, y ) ∆x + N (x + ∆x, y ) ∆y ] − [N (x, y ) ∆y + M (x, y + ∆y ) ∆x]
d
(x, y + ∆y ) → (x + ∆x, y + ∆y )
c↑
N (x + ∆x, y ) − N (x, y ) M (x, y + ∆y ) − M (x, y )
=[
−
]∆x∆y
(x, y )
∆x
∆y
∂N
∂M
∂f
∂f
∴(
)y = (
)x であれば,∆f は経路によらず,df = ( )y dx + ( )x dy と表される。
∂x
∂y
∂x
∂y
∂f
∂f
∂ ∂f
∂ ∂f
このとき M = ( )y , N = ( )x なので, ( ( )x )y = ( ( )y )x
∂x
∂y
∂x ∂y
∂y ∂x
↑b
→
a
(x + ∆x, y )
B.等価であることの証明
(1) df = (
∂f
∂f
∂ ∂f
∂ ∂f
)y dx + ( )x dy であれば,偏微分の順序は交換が可能なので ( ( )y )x = ( ( )x )y
∂x
∂y
∂y ∂x
∂x ∂y
∂M
∂N
)x = (
)y であれば,df = M dx + N dy となる関数f が存在することを証明する。
∂y
∂x
(x, y )
P (x) = x M (η, y ) dη
0
∫x0

↑Q
f (x, y ) = f (x0 , y0 ) + P (x) + Q(x, y )
と定義するとき,

y
(x0 , y0 ) → (x, y0 )
Q(x, y ) = ∫ N (x, ξ) dξ
y0

P
∂f
∂f
f (x, y ) はx − y 平面上で一意的に決まり,全微分可能 df = ( )y dx + ( )x dy である。そこで,
∂x
∂y
(2) 関数M とN について,(
∂Q
∂ y
 ∂f
( ∂y )x = ( ∂y )x = ( ∂y ∫y0 N (x, ξ) dξ)x = N (x, y )


∂P
∂Q
∂ x
∂ y
∂ y
 ∂f
( ∂x )y = ( ∂x )y + ( ∂x )y = ( ∂x ∫x0 M (η, y0 ) dη)y + ( ∂x ∫y0 N (x, ξ) dξ)y = M (x, y0 ) + ( ∂x ∫y0 N (x, ξ) dξ)y
∂M
∂N
)x = (
)y から,
∂y
∂x
y ∂
y ∂
∂ y
( ∫ N (x, ξ) dξ)y = ∫ ( N (x, ξ))ξ dξ = ∫ ( M (x, ξ))x dξ = M (x, y ) − M (x, y0 )
y
y
y
0 ∂x
0 ∂ξ
∂x 0
∂f
∴ ( )y = M (x, y0 ) + M (x, y ) − M (x, y0 ) = M (x, y )
∂x
∂f
∂f
以上より,M dx + N dy = ( )y dx + ( )x dy = df となることが示された。
∂x
∂y
微分と積分の順序は交換が可能であり,(
C.三変数以上の場合も同様に考えればよい。
例えば, (
∂N
∂M
∂L
∂N
∂M
∂L
)z ,x = (
) x , y , ( ) x ,y = (
) y ,z , (
)y ,z = ( )z ,x であれば,
∂y
∂z
∂z
∂x
∂x
∂y
df = L dx + M dy + N dy となる関数f が存在する。
補)ベクトル場 R = (L, M , N ) について, rot R = 0 (R = grad fと表されること) を意味する。
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