2016年 冬季棚田学会若手研究者発表会 日 時 2016年12月10日(土) 13:30 ~ 17:00 (12:30 受付開始) 12:40 ~ 13:20 プロローグ: ITLA (国際テラス農地景観会議)の報告 は会は 2015年度より発表会に名称変更) 13:30 開会 会 場 早稲田大学早稲田キャンパス 16号館 発表① 発表者 308教室 姨捨棚田における後継者問題と棚田米販売 田中 未来 氏、小金谷 知広 氏 (立正大学文学部社会学科4年) 発表の概要 長野県千曲市にある姨捨棚田では、後継者問題の一つの 解決策として、行政が中心となり棚田米の「ブランド化」及びそ の販売を試みようとしている。この試みは後継者問題に対し て効果的なのか否か、私たちは姨捨棚田の地権者に対して 質問紙を用いたアンケート調査と行政、民間団体などの仲介 者、米の販売店などにヒアリング調査を行った。調査の結果、 「ブランド化」を実現 ・ 継続するためには、1. 耕作環境の整備、 2. 各主体同士の連携、3. 知名度向上が必要であることが明ら かになった。 販売店は高品質の米を求めている。生産者が高品質の米を多く作るには、耕作環境の整備が必要である。他方、行 政や民間団体は、「ブランド化」に対する考えがそれぞれ異なっていた。まずは「ブランド化」の定義やビジョンを設定す ることが重要である。そして、姨捨棚田の知名度を更に上げることも「ブランド化」の継続を可能にする。 現状の姨捨棚田は景観の美しさといった地域のプラスイメージはある。しかし、観光客の増加につながるような活動 資源としてその役割を果たせていない。観光客を増加させるためにも、観光課や観光協会の活動が必須である。行政 は「ブランド化」することにより、農家の収入も見込まれ、後継者が集まると期待している。しかし、「ブランド化」実現のた めには、知名度向上を前提に、ハード面の整備はもちろん、各主体間の効果的な連携が必要であろう。そこではじめて 持続可能な棚田米の「ブランド化」およびその販売が可能となり、後継者問題解決へのささやかな第一歩がはじまるの ではないだろうか。 発表➁ 発表者 地域資源を活用したオンリーワンの地域活性化の取組 -伊豆大島におけるツバキを活用した事例- 金子 雄 氏 (東京都立大島高等学校農林科主任教諭) 発表の概要 東京都の離島である伊豆大島は、ヤブツバキ約 300 万本が自生する「ツバキの 島」として知られている。戦前は椿油と三原山の観光で栄え、戦後の離島ブームなど もあったが、近年は高齢化と過疎化の進行に伴う人口の減少と産業の衰退が大きな 課題となっている。ツバキの里山も手が入らなくなり、放置林が増加している。 そこで、本校ではツバキという地域資源を活用した地域活性化に取り組んでいる。 一つ目は椿油をはじめとする特産品づくり。二つ目は「椿学」と名付けた、ツバキを 活用した地域貢献活動。三つ目は本校椿園の「国際優秀つばき園」認定である。こ れらの活動は、様々な場面で評価され、メディアにも取り上げられるようになった。 地域資源の魅力は、外部の評価を得て気づくことが多いと言われるが、伊豆大島 のツバキはまさにその典型といえよう。これらの取組の内容と、地域・生徒がどのよ うに変容していったかを報告する。 発表③ 発表者 能登の里山から繋がる地域との連携 笹尾 つかさ 氏 (石川県立七尾東雲高等学校総合経営学科2年) 村山 唯 氏 (石川県立七尾東雲高等学校総合経営学科1年) 発表の概要 日本では、私達の住む能登半島が、棚田の景観「千枚田」や「揚げ 浜式塩田」、農耕儀礼である「あえのこと」などが継承され、里山・里 海の豊かな自然と文化生活が一体で維持されている価値が認められ、 平成23 年 6 月、石川県能登半島に広がる「能登の里山・里海」が日本 で初めて、また先進国として初めて世界農業遺産に認定されました。 私達が住むこの地域の認定は、過疎や後継者不足に悩む地域の 人々にとっては朗報であり、伝統ある生活の維持に大きな自信となり ました。しかし世界農業遺産を認定する国際連合食糧農業機関(FAO)は、今後も能登の人々が、山や海の良好な環境 を保ちながら、この地域の「優れた里山景観」、「伝えていくべき伝統的な技術」、「文化・祭礼」など、そして里山・里海の 生産性と生物多様性を確保して生活していくことを求めています。 皆さんは、里山環境保全というと木を植える、というイメージですが、植林活動以外にも、里山の管理活動やコミュニ ティ・フォレスト活動といった森林の保全活動もあります。また木材や木材製品の積極的な利用による、持続可能な森林 経営を推進するといった間接的な活動などもあります。そこで、私達がこれまでに実施してきた、里山の環境教育や里 山保全・棚田復元活動などの活動内容を報告します。 発表④ 人類の共通言語としての「里山」 〜アマゾン先住民の暮らしに見る里と森の豊かな関係、内包する課題 下郷 さとみ 氏 (フリーランスライター) 発表者 発表の概要 アマゾン先住民の村で生活を共にして発見したのは、「ここも里山 だ!」ということでした。過酷で冷徹な自然と折り合いをつけながら、 自然に働きかけ、ほどよく手を加え、その恵みをいただく。そんな暮ら しの場が「里山」だとすれば、ここも同じだ。地球上のどこであれ、地 に足の着いたひとの暮らしには共通する豊かさがある、と実感したの です。房総の農村に移住した私が、里山暮らしの知恵と技術を日々 教わってきた長老たちの姿が、アマゾンの森の向こうに、ひと連なり に見える思いがしました。 しかし、いまアマゾンの森は、大豆を主とする輸出用作物の大規模農業開発のために破壊が進んでいます。かたや 日本では、農村の過疎化が進み里山が荒廃するなか、遠い国の森を破壊して作られた食糧を大量に輸入しています。 アマゾンの「里山」のありようや、日本の農村と根底において共通する豊かさ、そして両者が内包する課題について、 現地で撮影したスライドを上映しながらお伝えします。 参加費 : 会員及び学生は無料 一般参加者は資料代 500 円 終了後懇親会予定 会費 3,500 円、学生 3,000 円 お問合わせ & 参加申し込み : E-mail:[email protected] FAX:042-385-1180 電話及び郵便による申し込み不可 (申込締切:12月 3 日) 懇親会は同時にお申し込みください。 氏名 連絡先 TEL □ 会員 □ 学生 □ 一般 〒 FAX E-mail この情報は棚田学会の事務連絡以外には使用いたしません □発表会 □懇親会
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