指導法改善に向けて(理科)

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指導法改善に向けて(理科)
∼平成27年度鹿児島学習定着度調査の結果から∼
義務教育課
小学校
平成28年1月に実施した鹿児島学習定着度調査の結果では,小学校5年生理科の平均通過率は68.2%
で,このうち「基礎・基本」の問題については71.0%,
「思考・表現」の問題は62.8%で,
「基礎・基本」,
「思考・表現」ともに概ね定着が図られていました。
しかし,「基礎・基本」については,結露の仕組み,乾電池のつなぎ方と電流の向き,雲の動き方と
天気の変化などの問題の通過率が低く,「思考・表現」については,水溶液の性質,水の体積変化など
の問題に課題が見られ,特に,記述式の問題については無答率が高い傾向にありました。
今後,課題を解決するために,児童が確かな見通しをもって問題解決を進めていくような授業に改善
していく必要があります。今回は,出題された問題を用い,授業改善のポイントを紹介します。
授業改善のための3ポイント
県教育委員会では,子供の考えや意見が生かされ,子供が活躍する魅力ある授業や確かな学力の定着
を図るための質の高い授業の創造を目指して,「目標の明確化と学習課題の工夫」,「見通しと振り返り
の活動の重視」,「主体的・協働的な学習活動の工夫」を授業改善の3ポイントとして設定しています。
目標の明確化と
学習課題の工夫
「水蒸気を調べ
よう」のような
活動目標ではなく,
問題解決的な「め
あて」を示し,
「何
を学習するのか」
明確にします。
見通しと振り返り
の活動の重視
ただ実験さ
せるのではなく,
「実験がどのよ
うな結果になれば,
予想したことが正
しいと言えるの
か?」などの教師
の「発問」が,学
習の見通しにつな
がります。
主体的・協働的な
学習活動の工夫
考察は,まず
は自分の言葉で
ノートにまとめ,
その後,ペアやグ
ループで話し合わ
せて,練り上げま
す。教師がキーワ
ードを示すなど,
思考を促す工夫を
行いましょう。
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指導法改善に向けて(理科)
∼平成27年度鹿児島学習定着度調査の結果から∼
義務教育課
中学校
平成28年1月に実施した鹿児島学習定着度調査の結果では,中学校1年生理科の平均通過率は47.1%
でした。このうち「基礎・基本」の問題については52.2%で,あまり定着が図られていません。光の反
射,月の位置や形などの問題の通過率が低い状況でした。「思考・表現」の問題は38.3%で,定着が図
られていません。音の性質,光合成,密度の活用などについて通過率が低く,身近な生活と関連させた
問題などに課題が見られました。
また,中学校2年生理科の平均通過率は54.7%でした。「基礎・基本」は57.3%で,圧力の計算,緊急
地震速報の仕組み,重力の図示などが通過率が低い状況でした。「思考・表現」については,平均通過
率は48.9%であり,化学反応式,火成岩の成因など通過率が低い状況でした。結果を基に推測し,説明
を記述することに課題が見られました。
これらの課題を解決するためには,小学校同様,生徒が確かな見通しをもって問題解決を進めていく
ような授業に改善していく必要があります。今回は,出題された問題を用い,授業改善のポイントを紹
介します。
目標の明確化と
学習課題の工夫
□
観察からの気付きや疑問をノートにまとめ,グループでのホワイトボードを活用しな
がら,自分の考えを説明させる。
「火成岩を調
べよう」のよう
な活動目標では
なく問題解決的な
「めあて」を示し,
「何を学習するの
か」明確にします。
見通しと振り返り
の活動の重視
ただ観察さ
せるだけではなく,
「共通点」と「相
違点」という視点
をもたせて観察さ
せることが,学習
の見通しにつなが
ります。
主体的・協働的な
学習活動の工夫
まずは自分の言
葉でノートにまと
め,その後,グル
ープで話し合わせ
て,練り上げます。
その際,
「なぜ,
そのような違いが
あるのだろうか?」
など,生徒の思考
を促す教師の「発
問」が効果的です。
理科の授業改善のポイント
1
2
3
4
(「学びの羅針盤」から)
子供自身が問題を見い出し,問題解決への確かな見通しをもてるようにする。
子供一人一人が観察,実験の主体となるようにする。
結果を分析し,解釈する場面で効果的に言語活動を取り入れる。
まとめの場面では,教室内の全ての実験結果を生かす。