2016/10/31作成

*グローバル投資環境
No.1482
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ご参考資料
髙木証券投資情報部
前回会合での予告通りに金利据え置き。追
ロシアの金融政策会合~ 加緩和の可能性は来年前半との見方も維持。
2016年10月31日作成
ロシア中央銀行は10月28日に開いた金融政策会合において、
政策金利を10%で据え置いた。同中銀は、昨年1月30日の金
融政策会合での200ベーシスを皮切りに同年7月31日の会合ま
で5会合連続、累計で600ベーシスの利下げを実施した後は利
下げを休止していたが、今年6月10日に50ベーシス、さらに1
会合おいて、9月16日に開いた前回会合でも50ベーシスの利
下げを実施、しかし9月会合の声明文では、「インフレの持続
的な低下トレンドを強めるためには、2016年の終わりまで現
在の金利を維持する必要がある」として、追加利下げの可能
性があるのは、2017年の第1四半期から第2四半期にかけてと
の見方を示していたため、今回の据え置きは想定通りである。
政策金利をリファイナンシング
レートから1週間もの入札
金利に変更
CPIは8月の前年同月比6.9%から9月の6.4%に低下している
が、声明文では、10月24日時点のCPIを6.2%と推計している。
また、先行きについては、「2017年の10月に4.5%、2017年
の末に目標の4%」との見方を示しているが、インフレ低下の
主な背景は一過性の要因であり、インフレ予想の減速は不安
定だと述べて、前述した金利見通しを維持している。
一方、景気について中銀は、2016年通年の成長率を0.5~
0.7%のマイナスと予想するが、第4四半期には多少のプラス
成長が可能だと述べている。一方、2017年の成長率は高くは
なく、1%以下にとどまるという見通しも前回同様だが、IMF
は10月4日に発表した「世界経済見通し」において、ロシア
の2017年の成長率を1.1%と予想しているほか、中銀の見通
しの前提となる原油価格は1バレル=40ドルであるため、現
状の原油市況が持続すれば上振れの余地があろう。
なお、格付け会社のフィッチは10月14日、ロシアの格付け
「BBB-」の見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引き上
げており、同社は、石油価格の急速な下落に対して、柔軟な
為替レート、インフレターゲットの導入、金融セクターの支
《大手格付け会社による格付け一覧》
援など、当局が一貫性と安心感のある政策対応を行ってきた
自国通貨建 外貨建
見通し
ことが、経済の調節と、国内の信頼感の緩やかな回復をもたら
ムーディーズ Ba1
Ba1
安定的
したことを指摘している。他の格付け会社でも、ムーディーズ
S&P
BBBBB+
安定的
が昨年12月3日に外貨建、自国通貨建とも「Ba1」としている格
フィッチ BBBBBB安定的
付けに対する見通しを「ネガティブ」から「安定的」に変更したほか、今年の9月16日には
S&Pが外貨建「BB+」、自国通貨建「BBB-」の見通しを「ネガティブ」から「安定的」に引
き上げている。格付け会社各社は一昨年の3月から昨年1月にかけて複数回にわたってロシア
の格付けを引き下げてきたのに対して、先に述べた一連のアクションによって、一段の格下
げリスクはほぼ払拭されたとみられるが、欧米諸国による制裁が続いていることなどから、
格上げ、とりわけ、ムーディーズからの「投資適格」を回復することは簡単ではないだろう。
(文責:勇崎 聡)
(データ出所:ロシア中銀、格付け会社各社及びBloombergのデータより髙木証券作成)
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