第17講 熱容量と比熱 教科書P.140~141 熱容量と比熱について理解する。 熱量保存の法則を理解し,計算できる ようにする。 内部エネルギーの概念を理解する。 熱と仕事の関係を知る。 1 【A 比熱と熱容量】 a.比熱 質量1gの物質に熱を与えた(奪った)ときの,温度の変化量 を表す量 1Jの熱を与えたとき,1gの物質が1K上昇するときの比熱 ⇒ 1[J/(g・K)] 表 種々の物質の比熱 物質 比熱[J/(g K)(温度) 水 4.19(15℃) 水の比熱はとても大きい! 氷 2.10(0℃) 氷は水の半分の比熱 アルミニウム 0.901(25℃) 鉄 0.448(25℃) 銅 0.386(25℃) エタノール 1.71(40℃) サラダ油 約2.1 銅の比熱は金属の 中でもとても小さい! 油の比熱は水の約半分 短時間で温度が上 がるので,揚げ物を するときは注意!! 【A 比熱と熱容量】 a.熱容量 「物体」の温度を1Kだけ上昇させるのに必要な熱量 質量m[g],比熱𝑐[J/g・K]の物体の熱容量𝐶[J/K]は 𝐶 = 𝑚𝑐 単位 : J/K 熱容量𝐶の物質の温度を∆𝑇[K]上げる為の熱量𝑄[J] 𝑄 = 𝐶 ∙ ∆𝑇 = 𝑚𝑐∆𝑇 単位 : J 熱容量は,その物体の材質・質量で変化 (問題) 10gの水と,200gの銅,温まりやすいのはどちらか? 水10gの熱容量 :10g × 4.19 J/g・K=41.9 J/K 銅200gの熱容量:200g × 0.386J/g・K=77.2 J/K 【A 比熱と熱容量】 1mの板の両端に1Kの温度差がある とき,その板の面積1m2の面を通し て1s間に流れる熱量 ●比熱と熱伝導率 熱が伝わりにくい 銅製の鍋は,比熱が 小さく熱伝導率が高い ので,すぐむらなく加 熱できる 性能は高いけど, 高価すぎ!! 物質 SUS Al 熱伝導率 [W/(m K)(温度) 14.2(25℃) 237(25℃) 比熱 [J/(g K)(温度) 0.481(25℃) 0.901(25℃) Cu Ag Au 386(23℃) 429(25℃) 318(27℃) 0.386(25℃) 0.235(0℃) 0.128(0℃) Fe 72(27℃) 0.448(25℃) 質量あたりの熱容量が大きくなるので,蓄熱 効果が高い 【B 熱量保存】 2つの物体が接触して熱平衡状態に達したとき,高温物 体の失った熱量は,低温物体が得た熱量に等しい 金属は温度が減少 → 熱を奪われた 水は温度が上昇 → 熱を得た 𝑇2 比熱𝑐2 質量𝑚2 𝑇 比熱𝑐1 𝑇1 質量𝑚 1 𝑄 液体が得た熱量 金属が失った熱量 𝑚1 𝑐1 (𝑇 − 𝑇1 ) 等しい 𝑚2 𝑐2 (𝑇2 − 𝑇) 【B 熱量保存】 2つの物体が接触して熱平衡状態に達したとき,高温物 体の失った熱量は,低温物体が得た熱量に等しい エネルギー保存 の法則 𝑇2 比熱𝑐2 質量𝑚2 𝑇 比熱𝑐1 𝑇1 質量𝑚 1 𝑄 【熱量保存の法則】 (高温物体が失った熱量)=(低温物体が得た熱量) 𝑚1 𝑐1 𝑇 − 𝑇1 = 𝑚2 𝑐2 𝑇2 − 𝑇 【C 内部エネルギー】 a.内部エネルギー 物体を構成する原子・分子 の全エネルギー(系のエネ ルギー) • • • 運動エネルギー 結合のエネルギー 振動のエネルギー 1 𝑚𝑣 2 2 1 𝑚𝑣 2 2 1 𝑚𝑣 2 2 1 𝑚𝑣 2 2 1 𝑚𝑣 2 2 物体の温度が上がると.... 固体の場合 格子振動が激しくなる 液体・気体の場合 原子・分子の運動速度が増加 1 𝑚𝑣 2 2 1 𝑚𝑣 2 2 (内部エネルギー) = (気体) 𝑖 1 2 𝑣𝑣 2 内部エネルギーの増加 【C 内部エネルギー】 a.内部エネルギー 個体の場合 物体の温度が上がると.... 気体・(液体)の場合 【C 内部エネルギー】 a.熱膨張 物体は,温度が上がると体積が膨張し,温度が下がると 収縮する。 (固体) 自由に動くことができないので,ごく わずかに増加 【気体】 熱運動が活発になって,運動速度が増加 するため,行動範囲が広くなる 【C 内部エネルギー】 ●熱膨張 物体は,温度が上がると体積が膨張し,温度が下がると 収縮する。 【D 熱と仕事】 現在は栄養学の世界で のみ使われている ●カロリー(cal)について... かつては熱量の単位としてカロリー(cal)が使われていた。 1calは,1gの水を1℃温度を上げるのに必要な熱量。 ●熱と仕事の関係 容器内の羽根車が回転 熱の仕事当量 𝑊 = 𝐽𝑄 𝐽 =4.2J/cal 10℃上昇する熱 量で,50kgの物 体を約8.6m持ち 上げられる 水100g お も り が 落 下 断熱容器 お も り が 落 下
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