会員 寄稿 - 新潟県医師会

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会員
寄稿
アキレス腱断裂と手術を経験しての雑感
藤
中学時代から、ソフトテニスをしていたことも
あり、大学に入ってからもソフトテニス部で活動
していました。東医体で団体戦優勝・上位入賞、
全医体も2回ほど選抜され参加しました。ソフト
テニスをやめられず、医師になってからも時々プ
レイしていました。我が家は、子供たちも含め全
員が、中学時代はソフトテニス部という家族です。
その後大学までソフトテニスを続けている息子が
3人ほどいます。
さて、子供たちが中学生の頃は、試合をしても
負かされることは少なかったのですが、さすがに
大学生になると状況は一変します。その上、自身
は加齢にて足腰が衰え、体力がなくなってきてい
ます。次男、三男にも太刀打ちできなくなり、最
近では四男と実力伯仲状態でした。そんな矢先、
四男との試合中に無理をしてしまいアクシデント
は発生しました。
四男が、私自身の居る場所と反対方向へのボ
レーをした瞬間に反応して、走り出す時に、
「何
か石の上に載ったような感覚」と「ブツ」という
音とともに、右肘から転倒してしまいました。左
足を動かすことができず、
「ブツ」という音とと
もに、アキレス腱部分が触知できなくなっており、
アキレス腱断裂と自己診断できました。
さて、日曜でしたので、
どこの医療機関にかかっ
たらよいか悩みましたが、いつもお世話になって
いる同級生の塚田弘樹先生にお願いし、新潟市民
病院救急外来を受診いたしました。以前勤務して
いた病院でご一緒させていただいたことのある泌
尿器科の今井先生が対応してくださり、すぐに整
形外科の山田先生、伊藤先生が診てくださいまし
た。また手術希望に合わせて、新潟中央病院をご
紹介いただきました。
新潟中央病院では、若手の前田先生が丁寧に対
応してくださり、翌日の手術を予定してくださいま
した。山崎昭義院長のご配慮により、この分野の専
門家である岡田洋和先生に手術いただけることにな
森
勝
也
りました。丁寧なご説明、腰椎麻酔から手術までの
職人芸を体験いたしました。
本当に感謝しております。
また手術当日、山崎院長にもお会いでき、院長
自身の「アキレス腱断裂に対する手術を受けられ
た体験談」を、わざわざ私にしてくださり、不安
の気持ちを払拭してくださいました。ありがとう
ございます。初の手術体験で、医師ではあります
が、どんなに心強かったことか。本当にありがた
いと思いました。
また看護師さんの患者さんに寄り添う態度、声
掛けなど「さすが」でした。病院の最大勢力、看
護部、本当によくやっていますね。改めて、看護
部の底力を感じた次第です。
それにしても、
「アキレス腱」
、重要な部分です
ね。松葉杖で動くことのバランスの悪さ、転倒の
危険性など、改めて感じました。また、自宅や、単
身赴任中のアパートの階段の上り下りなど本当に大
変でした。
トイレ、
着替え、
どれをとっても不自由です。
今回辛い経験でしたが、期せずして体験するこ
とができ、足の不自由がどれくらい大変なのか、
障害者トイレの普及、バリアフリーなどの施設対
策の重要性、当たり前ですが身に染みました。
日本は、いま急速に高齢化を迎えています。介
護を受ける3大疾患は、脳血管疾患、骨関節疾患、
認知症です。認知症に関しては、2025年までの9
年間で、現在の520万人から、700万人を突破する
ほど増加すると推定されています。骨関節疾患も
介護を必要とする疾患です。今回の手術、ギブス
固定、松葉杖生活で、患側の筋力が相当程度低下
いたしました。骨が弱くならないようにし、骨格
筋量や筋力を増強することは、将来介護を受けな
いようにするために大切であることを、身をもっ
て体験いたしました。
「サルコペニア」にならな
いよう、骨格筋量や筋力を維持するよう、アキレ
ス腱を断裂しない程度に運動を再開したいと思っ
ております。
(県立柿崎病院)
新潟県医師会報 H28.10 № 799