三木市立三木特別支援学校 学校通信 No. 7 平成 28 年 11 月 1 日 「生かされている命」に感謝し 自他共に生かす教育の創造 小学部 ともにのびよう 中学部 レッツ チャレンジ ― 「自立」と「充実」 に思う ― 11 月になり、木々の色も少しずつ色づき始め、秋の深まりを感じる今日この頃です。本校の 子どもたちも、『実りの秋』との言葉のとおり、たくさんの行事などを通していろいろなこと を学習し、成長しています。そのつど私はそれらが将来子どもたちの「自立」に向けた力とな っているかを考えます。また、「実」という文字からは「充実」という言葉を連想し、子ども たち一人一人が充実した毎日を過ごせるよう、教育活動が行えているかも考えます。そこで、 今回は子どもたちにとって大切な「自立」と「充実」について少しお話させていただきます。 本校の教育課程では、「自立活動」をしっかりと位置づけ、日々の教育活動に取り組んでお ります。そこでは、個別の教育支援計画や指導計画にも明記しているように、子どもたちが将 来、各々の夢や希望に向かい、彩り豊かなライフステージを実現するための力をつけていくこ とが主なねらいとなります。以前担任した子ども(以下Aさんとします)は、中学 1 年生のと き、将来の夢は「ケーキ屋さんになりたい。」と夢を語ってくれました。保護者も「できれば そのような方面の仕事に就くことができたら嬉しいです。」とおっしゃっていました。そこで、 特に衛生面に気を配った身辺自立や、掃除・片づけ、時間の管理、お金の計算などの学習に力 を入れて取り組みました。その後高等部を卒業し成人されたAさんは、現在洋菓子の製造に携 わっています。お店の方から「仕事は正確かつ丁寧で、お店の信頼も厚いので、難しい仕事を お願いしています。」と頼りにされている話を伺いました。 このように、子どもたちにとって自立に向けた教育活動は大切なものです。しかし一方で、 私たちは充実した学校生活も考えながら取り組む必要があると思います。「充実」を「喜びや 楽しさ」と置き換えてもよいかもしれません。子どもたちは「今」を生きています。その瞬間 その瞬間、『命』の輝きを放ちながら懸命に生きています。「今」の充実がなくては、いくら 「自立」に向けた取組に力を入れても、子どもたちの『命』の輝きを応援することはできませ ん。これも以前担任した子ども(以下Bさんとします)の話ですが、年度当初、Bさんの保護 者から「この子に(学校)教育はどのような意味があるのでしょう・・・。」と切々たる問い かけがありました。そのとき私には、保護者のお気持ちに応える言葉が見つかりませんでした。 ただ、「学校でBさんの笑顔がはじけて、輝ける瞬間をできるだけたくさんつくりたい。」と 強く思い、日々の学習や行事に取り組んでいきました。Bさんはそれに応えて、たくさんの頑 張りとたくさんの笑顔を見せてくれました。保護者もその様子を何度も見られて「先生、この 子がこんなに素敵な笑顔を見せてくれるなんて・・・本当に嬉しいです。学校に通う意味がわ かりました。」と、ある時あらためてお話してくださいました。 私たちは、子どもたちのために何ができるか、日々模索し続けています。その中で、一人一 人に応じて、常にその子の「自立」と「充実」のバランスを考えなが ら教育を行っていくことがとても大切だと思います。今後も私たちは、 子どもたちが素敵な笑顔と頑張りを見せてくれるよう、全力で取り組 んでまいりますのでご理解ご支援をよろしくお願いいたします。 教頭 岩本 充洋
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