園 だ よ - 元住吉こばと幼稚園

園
だ
よ
り
元住吉こばと幼稚園
2017.3.2.№94
『人 生 で大 切 なことは すべて幼 稚 園 の砂 場 で学 んだ』
園長 三宅悦子
皆様健やかにお過ごしでしょうか。1 月の保護者会では、
「幼稚園時代の遊びや経験が、子ど
も達の根っことなって、これからの生きる力となる。」ことについて話させて頂きました。これ
から生きて行く子ども達の希望や生きる意欲、生きる力を支えるのは、3歳・4歳・5歳の時期
に培われた友達や周囲の人との関わりであったり、遊び込んだ経験であったり楽しい思い出で
あったりします。
20 年程前に『人生で大切なことは すべて幼稚園の砂場で学んだ』(河出文庫 ロバート・フル
ガム)という本が話題になりました。幼稚園の砂場で遊び込むことが、生きる力となり人生で
必要な知恵を与えてくれるという記述が新鮮でした。言い換えると幼児期は、それほど大切な
時期であるという事になります。ともすると、子育てをする方の都合が優先されがちですが、この
幼児期に一人の人間として向き合う事によって私達は、大切な“いのち”を育てる特別な時間を
共有させてもらう事になります。
幼児期に子ども達が言葉を獲得していく中で、どのいう文化に触れ培われて、身に付けていく
のかが導かれ、また、周囲の人や友達との関わり方によって、情緒の安定や自信や意欲を得る
事ができて行きます。更に身体を動かすことで身体感覚などを身に付けて行きます。この時期
に一人の人間としての根っこのところが、かたち造られる。そのような時に幼稚園で子ども達
と関わりを持つことができるのは、本当に嬉しい幸いな時と感謝しています。そして、毎日、
子ども達に教えられる事や、気づかされる事がいっぱいあります。子ども達は遊びの場面場面
で友達の大切さを表現したり、良心を貫いたり、友達の体力差をカバーしたりというふうに、自
ら考えてとっさに行動し、機転をきかせる事ができます。そのような子ども達と、この幼児期に
向かい合う事の幸せは、その瞬間、瞬間に立ち会える喜びです。
子ども達の育ち方によって、社会が変化し、私達の将来も変わって来るということになります。
子ども達の未来のために、平和な人とのつながりの中に身を置く事ができるように、今、何よ
りも私達が「心を尽くして思いを尽くして」子ども達の成長に関わって行きたいと思います。
学期始めより、お正月遊びが園庭で展開されていました。ケン玉や独楽は、瞬間の集中力が必要
となります。赤い玉が静止して、その瞬間に玉をよく見ながら手首と足の屈伸運動がポイント
となったり、独楽の紐の掛け方や丁寧さ、手首のバランスがポイントとなったりします。集中
して見る事や、繰り返しやってみる事など、時々、遊び名人の運転手さん達が、一緒に挑戦し
て楽しさを教えて下さっていました。何度も担任に褒められて、集中して練習する子ども達の
姿も見られ、子ども達の探究心を垣間見る事ができました。
昔ながらの伝承遊びには、不思議な魅力がいっぱい詰まっています。同じ事を繰り返しやっ
てみる力も、子ども達が持っている魅力的な力です。朝登園して来たら毎日、縄跳びを跳んで
いたり、園庭を走り回っていたりと、繰り返し挑戦する事で、知らない間に2・3回から 20 回・
30 回跳べるようになっている。子ども達の繰り返しに学ぶところが沢山あります。
私達は、幼児期の子ども達の可能性や生きる力を、毎日一緒に生活することで目の当りにし
ながら、子育てをし、私達も子ども達に育てられている事に気づき、一人の自立した人間とし
て、向き合う事の大切さを学んで来ました。私達が、子ども達を自立した人間として扱ってい
るかどうか。もう一度、子ども達との向き合い方を見直して、
「育て、育てられる」関係を深め
て行きたいと願います。