レアメタルフリーな多成分連結反応 による立体選択的 ホモアリルアルコールの合成法 富山大学 工学部 環境応用化学科 准教授 堀野良和 従来技術とその問題点 従来の合成技術で製造可能なホモアリルアルコール誘導体の例 OH OH R1 R R1 R1 R2 R2 学術的にも合成 例は非常に多い OH OH OH 学術的にも 合成例は多い 4 R3 R R4 R1 学術的にも 合成例は多い R3 R3≠ H, R4≠ H 学術的にも困難 従来の合成技術で製造困難なホモアリルアルコール誘導体の例 OH OH R3 R1 R2 R3 R3 R1 R2 R3 三置換アルケンを有するジアステレオ選択的なホモアリルアルコールの製造法 は極めて困難。Aggarwal, V. K. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 6145–6149. 従来技術とその問題点-1アリルホウ素によるアリル化反応 O R1 H R2 O B OH O -78 ºC~r.t. R3 R1 R2 R3 反応剤の別途合成が必要:スケールアップが困難 (ただし,キラルなアリルホウ素反応剤調整には有効) R2 s-BuLi (-)-sparteine H H O R1 O NiPr2 Et2O, -78 ºC R2 B(pin) MgBr2 R1 H B(pin) Matteson, D. S.; Mah, R. W. H. J. Am. Chem. Soc. 1963, 85, 2599. Corey, E. J. et al. Tetrahedron: Asymmetry 1997, 8, 3711. 従来技術とその問題点-2アリルスズによるアリル化反応 R2 O R1 SnBu3 R3 H OH 150 ºC R1 R3 R2 反応剤の別途合成が必要:スケールアップが困難 R2 Br R3 LiSnBu3 R2 SnBu3 R3 従来技術とその問題点-3α, α–二置換アリル反応剤の別途合成が極めて困難 O R1 OH R2 H M R3 R1 R3 R3 R2 R3 M = B(pin), SnBu3 s-BuLi (-)-sparteine R3 H O R3 O NiPr2 Et2O, -78 ºC B(pin) R2 R3 R3 MgBr2 R2 B(pin) Aggarwal, V. K. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 4382–4385. R2 Br R3 Br R3 B(pin) t-BuLi THF, -78 ºC R3 R3 R2 B(pin) Roush, W. et al. J. Am. Chem. Soc. 1986, 108, 3422–3434. 新技術の特徴・従来技術との比較 今回開発した新規分子変換技術 AcO O R1 H R2 SnBu3 R3 R3 B OH R3 R3 R1 R2 R3 特許出願番号:特願2016–0747757,発明者:堀野良和 発明の名称:ホモアリルアルコール誘導体の製造法 高価な遷移金属触媒を用いない 立体選択的にホモアリルアルコールを与える 含水溶媒またはアルコール溶媒を使用できる 溶存酸素を利用して実施できる。 新技術の特徴・従来技術との比較 AcO O R1 R2 H SnBu3 R3 R3 B OH R3 R1 R3 R2 R3 実施例(イメージ図) 含水有機溶媒 o r BEt3 アルコ ール溶媒 PhCHO OH 50 ºC Ph Et Ph Et ■ 遷移金属を 用いない OAc Ph ■ 完璧な立体選択性 SnBu3 ■ 非常に簡便な実験操作 ■ スケールア ッ プ が容易 特許出願番号:特願2016–0747757,発明者:堀野良和 発明の名称:ホモアリルアルコール誘導体の製造法 想定される用途 OH OH HO OH OH HO アガサレジノール OH OH セクイリンC OH 林業分野: スギの心材部分に,黒色を呈する異常材が希に見られる。 → 林業上の価値は極めて低くなる。 スギの心材には成分として,アガサレジノールやセクイリン Cといったノルリグナンと呼ばれる化合物群が多く含まれて いる。心材の色に成分の量的供給を可能にする。 その他にも医農薬品中間体合成としての利用。 実用化に向けた課題 • 脂肪族アルデヒド,芳香族アルデヒドのいず れに対しても広い反応性を示す。 • シン体とアンチ体の作り分けを検討中。 • 実用化に向けて,環境基準で問題となるスズ をホウ素で代替できるよう技術を確立する必 要もあり。 • ホモアリルアミンの合成技術へ展開中。 企業への期待 • ラジカル反応の技術を持つ,企業との共同研究 を希望。 • ホモアリルアミンやホモアリルアルコール誘導体 を扱う企業との共同研究を希望。 • ホモアリルアルコール誘導体の合成を行ってい る企業には,本技術の導入が有効と思われる。 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 : ホモアリルアルコール 誘導体の製造法 • 出願番号 :特願2016‒0747757 • 出願人 :富山大学 • 発明者 :堀野 良和 産学連携の経歴 • 2003年 株式会社東ソーファインケム と共同研究実施 「含フッ素フォトレジスト剤モノマー合 成」 (相模中央化学研究所) お問い合わせ先 国立大学法人富山大学 研究推進機構 産学連携推進センター 産学連携コーディネーター 岡田 哲朗 同上 髙橋 修 TEL076-445-6391(岡田)、6120(髙橋) FAX076-445-6939 [email protected](岡田) [email protected](髙橋)
© Copyright 2024 ExpyDoc