ILO駐日事務所

企業の安全衛生の課題と対応
<1>日本経団連の対応
<2>鉄鋼業の安全衛生
<3>海外における安全衛生
JFEスチール㈱ 高橋 1.労働環境の変化と課題
環境変化
課 題
①グローバル化のさら
なる進展
②人口減少化の少子
高齢化の進行
①生産性の上昇・国
際競争力の強化
②全員参加型社会の
実現
1
2.日本経団連の基本姿勢
<抜粋>
(1)日本経団連憲章 従業員の安全で働きやすい環境を確保し、
ゆとり豊かさを実現する(2004年)
(2)経営労働政策委員会報告
安全衛生やメンタルヘルスは・・・企業経営上の重
要課題として取り組むべき(2006年)
3.産業界の最近の課題
(1)労働者の高年齢化対応
(2)有害物質(化学物質)管理
(3)生活習慣病の増加と作業関連疾患
(4)メンタルヘルスケア
(5)災害防止対策
①直接原因、背景要因(心身機能低下、メンタルファクター等)の把握
・・・設備・環境、条件設定、作業方法、他者(物)との関わり等
②有効な防止対策の検討
・・・設備・技術、環境、作業方法、保護具、ルール、KY、巡視等
2
4.日本経団連の対応
【安全衛生部会】
(1)産業保健問題WG
①メンタルヘルス対策
②特定健診・保健指導の課題整理
③感染症対策 等
(2)高年齢労働者の安全衛生対策WG
①就業制限、配慮事項
②健康情報の授受と対応 等
(3)労働安全衛生管理システムWG
①リスクアセスメントの推進 等
5.鉄鋼業の安全成績
ー高炉4社・休業災害度数率推移ー
鉄鋼各社とも、2000年以降の度数率(*)は悪化傾向
(業界全体の問題と認識)
JFEスチール
0.70
(*)度数率
100万労働時間あたりの休業災害件数
新日本製鉄
住友金属工業
神戸製鋼所
0.60
0.50
新日鐵 0 .4 7
休
業 0.40
度
数 0.30
率
c
0.20
神鋼
住金
0 .3 6
0 .3 5
JFE
0.29
0.10
0.00
19 97
1 998
199 9
20 00
20 01
2 002
2 00 3
200 4
20 05
2 006
2 00 7
3
6.各国の安全成績
7.JFEスチールの休業災害発生状況
07年の総括
(1)重大(死亡)災害発生を根絶できず、2件発生。(2)休業災
害件数、度数率、強度率は改善のきざし。
区分
地区
千 葉
京 浜
総安内
倉 敷
休業災害 福 山
件数
知 多
研究所
合計
*1
度数率
強度率*2
04年
7(1)
2(1)
2(0)
14(2)
2(0)
0(0)
27(4)
0.31
0.36
05年
8(0)
5(0)
12(4)
8(1)
4(0)
0(0)
37(5)
0.40
0.44
06年 07年
8(0) 5(0)
5(1) 3(0)
14(0) 8(2)
21(1) 7(0)
1(1) 4(0)
0(0) 1(0)
49(3) 28(2)
0.51 0.29
0.31 0.18
*1 100万労働時間あたりの休業災害件数 *2 1000労働時間あたりの労働損失日数
4
8.休業災害の原因別分析(JFE-S 07年)
06年の原因分析と同様にルール違反など危険な行動、不注意な行動等、
人の行動にかかわる災害が多い。特に、作業者のルール違反、管理者の
現場作業の実態の把握、管理不足が挙げられる。
6
指示不足、教育・周知不足
休業以上災害の分析
(原因の重複あり)
ルール違反、手抜き
7
作業状況変化時の一呼吸
7
14
技能未熟、不注意
3
条件設定不備
0
5
10
・歩行中に足をひねる
・ハンマーで指をたたく ・バイクで転倒する
・自分の足にブレーカー
を落とす 等 15
休業災害の原因(件)
9.休業災害型別災害分析(JFE-S 07年)
・「挟まれ」災害が全体の68%を占める。 特に落下物、転倒物(挟まれの42%)による、手の指(挟まれの60%)、
足先(挟まれの25%)を挟む災害が多い。 挟まれ
19
転倒
3
落下物 転倒物
墜落
8
2
その他
4
0
4
止めよう 急に動き
その他
とした
だした
2
4
1
休業以上災害の型別分析
5
10
15
20
休業災害の型別分類
5
10.年齢別休業度数率分析(JFE-S 07年)
1.全災害(不休+休業)では、昨年、今年とも若年層に多い。2.休業以
上災害では、顕著な傾向は無し。
5.00
1.20
06年
06年
07年
07年
平均
休業災害度数率
全災害度数率
4.00
3.00
2.00
0.80
平均
0.40
1.00
0.00
0.00
10代
20代
30代
40代
50代
60代以上
10代
20代
30代
40代
50代
60代以上
11. 災害の教訓(JFE-S 07年)
(1)管理監督者が「作業に潜む危険、正しい作業手順・ルール」を
①把握していない。
②指揮者・作業者に伝えていない、伝わっていない。
③作業者迄伝わったか?実行されているか?確認していない。
(2)作業状況の変化時、作業手順の変更時の「一呼吸」、
「報・連・相」、「KY」ができていない。
(3) 「KY」による対策が具体的な注意事項になっていない。
(4)管理者・監督者による「KY」のチェック、指導が不十分である。
6
12.安全衛生活動方針(JFE-S 08年)
(1)基本理念
『 安全はすべてに優先する 。 』
ー災害の危険があるときは、躊躇せず止めるー
(2)目標
『 全社; 重大災害“0”の達成 』
『 各職場; 災 害“0”の達成 』
13.重点実施項目(JFE-S 08年)
基本的考え方
○コミュニケーション(注)の向上 一体感のある
○職場の課題の共有 安全で健康的な
職場を作る。
○各自の役割の認識と実践 (注)「上司と部下」、「同僚」、「発注者と請負会社」の間の双方向コミュニケーション
(1) 「正しい手順・ルール」、 「作業にひそむ危険」の 確実な指示・伝達とその実践 (2)作業状況の変化時、作業手順の変更時の安全確保
(3)職場で進める心と体の健康づくり
7
14.海外の安全衛生について
(1)海外の事業運営に関して
エジプト、インド、US、中国の例 等
(2)日本の安全衛生管理のアプローチ
①ハード面のアプローチ(設備機器、環境)
②ソフト面のアプローチ(体制・ルール、教育・研修、 労務
管理、監督指導)
③従業員の自主的活動
④法、行政指導・監督、業界活動、相互診断
(3)国際社会への寄与
①作業環境管理 ②作業管理 ③健康管理
④教育・研修 ⑤マネジメント
15. 結 語
8