2016 年度後期 数学通論 II 演習 小テスト 第 2 回 10 月 13 日 (木) (X, d) を距離空間, Od を距離 d が定める X 上の位相 (開集合系) とする. 任意の点 x ∈ X, 部分集合 A ⊂ X について, 以下の二条件を考える. 条件 (i) 位相 Od について, x は A の内点. 条件 (ii) 距離 d について, x は A の内点. 条件 (i) を仮定して 条件 (ii) を示せ. 解答例: 条件 (i) を仮定して条件 (ii) を示す. 示すこと: ∃ ε > 0 such that U (x; ε) ⊂ A. 条件 (i) より x ∈ O ⊂ A となる開集合 O ∈ Od がとれる. 距離空間における開集合の定義より U (x; ε) := {y ∈ X | d(x, y) < ε} ⊂ O となるような ε > 0 がとれる. いま O ⊂ A であるから, 先の ε について U (x; ε) ⊂ A. ポイント: 距離空間の部分集合については, その内点, 内部, 触点, 閉包などの概念が定義されていた (数学通 論 I でやった). 一方で, 位相空間の部分集合に対しても, その内点, 内部, 触点, 閉包などの概念が定義される. 距離空間は位相空間でもあるので, これらの両方の意味で「部分集合の内点, 内部, 触点, 閉包」の概念が定義 されたことになる. もし両者の意味が異なっていたら大きな混乱を招くところであるが, 実際には両者の意味 は一致している (そうなるようにうまく定義している).
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