ベジータを倒せし者 まみむめ信号機 ︻注意事項︼ このPDFファイルは﹁ハーメルン﹂で掲載中の作品を自動的にP DF化したものです。 小説の作者、 ﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作 品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁 じます。 ︻あらすじ︼ あのベジータが敗北を喫した。しかし敵の正体は分からない。 謎めいた敵を追って、ベジータと悟空は時間を超えて過去に戻るの であった•• ※pixivとのマルチ投稿作品です。 目 次 ベジータを倒せし者 │││││││││││││││││││ 1 ベジータを倒せし者 10月15日の午前7時。突然、悟空の家にベジータがやってき た。これは実に珍しいことだ。 ベジータ﹁カカロット。頼みがある•••。まずは俺の話を聞いて くれ﹂ 寝惚け眼の悟空は、取り敢えずベジータを家の中に入れた。ベジー タは神妙な面持ちである。 ソファーに座ったまましばらく黙っているベジータ。意を決して 悟 空 に 昨 日 の 出 来 事 を 打 ち 明 け る。謎 の 戦 士 に 一 撃 で や ら れ て し ベジータが一発で負けただって 一体、誰だよ相手は﹂ まったという衝撃的敗北の一部始終を•••。 悟空﹁なっ 本当か ねえキスしよ••ねえったらねえ﹂ 聞き役の悟空は信じられない。 ⃝⃝⃝ ベジータ﹁な••﹂ ブルマ﹁ねえ••抱いて タダならぬ艶めいた声が聞こえてきた。 すために寝室に向かった。すると寝室のドアの向こうからブルマの 昨日は珍しくブルマの元に帰ってきたベジータ。修行の疲れを癒 事の成り行きを説明するベジータ。話は以下のようなものだった。 闘力の持ち主だったことは確かだ﹂ らん。何しろいきなり殴られたからな•••。とはいえ恐るべき戦 ベジータ﹁ちっ。静かにしろカカロット。残念ながら敵の顔は見と !? 悟空﹁し•••信じらんねえなあ。ブルマが浮気すっかな よそれ﹂ ? ? 1 ! ベジータ﹁フン••。ブルマの奴は覚えてないとシラを切りやがる がな。俺は確かにその声を聞いた﹂ ⃝⃝⃝ 人の部屋で何してやがる﹂ 話は続く。そこで激怒したベジータは思い切りドアを開けたとい う。 ベジータ﹁誰だぁ ベジータ大丈夫 ﹂ !? ﹂ 見れなくても気は感じただろ。ど、どんな奴だ さんみてえなんか ビルス様か ウイス ? 今まで感じたことのない気だった。あんな攻撃的 ? 悟空﹁不意打ちとは言え、おめえを一撃で倒すなんてな••。顔は ベジータの話は謎が多かった。まず敵の正体が判然としない。 勝った気でいると思うと許せん﹂ ベジータ﹁間男のクセに恐るべき戦闘力だった。しかしあれで俺に ベジータは悔しさで唇を噛みしめる。 ⃝⃝⃝ のまま家を出てしまったという。 を絶する屈辱。意識を取り戻したベジータは、ブルマと口も聞かずそ ブルマの浮気。そして浮気相手の間男に負けてしまうという、想像 これが昨日ベジータを襲った出来事であった。 響き渡った••。 意識を失っていくベジータの頭の中では、ブルマの声だけが何度も ブルマ﹁ちょ だったがために敵の顔を拝む前に意識を失ってしまった。 ベジータは顔を上げて起き上がろうとするも、あまりに強烈な一撃 ベジータ﹁ぐ••ぐっ。き、貴様∼﹂ こむ。 しかしベジータはイキナリ腹に強烈な一撃をくらい、そのまま倒れ ! な気を発散してる奴に出会ったのは初めてだ。何より殺気が凄まじ ベジータ﹁違う ? 2 ! ! い•••﹂ 悟空の顔が険しくなる。かつてない恐ろしい敵がベジータを襲っ たと見受けられた。 ベジータは悟空に一枚の紙を見せる。そこには﹃すまん。許せ﹄と 書かれている。 悟空﹁なんだこれ﹂ ベジータ﹁これが奴が現場に残してった置き手紙だ。ふざけやがっ て•••。人の妻に手を出した挙句、俺を殴りつけて許されると思っ てるのか﹂ 置き手紙をクシャクシャに丸めるベジータ。 ベジータ﹁あれから奴の気はもう宇宙のどこにも感じられない。あ 3 れほどの達人だ。おそらく、この宇宙ではなく別の宇宙から来た猛者 なのだろう。もはや奴を探すことも困難だ﹂ 敵の正体は第七宇宙以外からの来訪者というのがベジータの推測 である。 悟空﹁それで•••オラに頼みってなんだよ﹂ ベジータ﹁頼むカカロット。ブルマが管理しているタイムマシンを ここに持ってきて欲しい。それが奴の正体を突き止める唯一の手段 になるはずだ﹂ かつてセルが、未来から過去に移動する際に使用したタイムマシ ン。これがポイポイカプセルの状態でブルマの家に保管されている のだ。ベジータはこのポイポイカプセルを、ブルマに黙って持ってき て欲しいという。 話すこともできない。だか 悟空﹁そんなことはブルマに頼めよベジータ﹂ ベジータ﹁俺はブルマとは会えない ! ら、お前に頼むしかないんだ﹂ いくらブルマの旦那に頼まれてるとは言え••。事実上の窃盗行 為なので悟空は悩む。 ベジータの説得は続く。 ﹂ ベジータ﹁お前だって、俺を倒した猛者と戦ってみたいはずだ。カ カロット 悟空﹁だけどオラがブルマに怒られちまうぞ﹂ ベジータ﹁俺を倒した野郎はその気になれば銀河だって消せる。そ んな奴を放っておく気か。また来るかもしれんぞ﹂ 確かにベジータを倒すほどの敵であれば、正体を突き止めねばなら ない。地球、いや宇宙の危機でもある。悟空は渋々ながら承諾した。 ⃝⃝⃝ それから約1時間半が経過した。 時は10月15日午前8時50分。 孫家の前の庭に、巨大なタイムマシンが置かれている。悟空はブル マの秘密の部屋から、無事にポイポイカプセルを探し出したのだ。 悟空﹁いや∼探すの大変だったぞコレ﹂ ベジータ﹁よくやった。これで奴の正体を突き止められるぞ﹂ 悟空とベジータはタイムマシンのコクピットに乗り込んだ。 悟空﹁でもベジータ。どうやって動かすんだ﹂ ベジータ﹁ち••。説明書は無しか。だが簡単そうだな。このダイ ヤルを弄ればいいんだな﹂ ベジータは鍵を回し、ダイヤルを昨日に設定してスイッチを入れ る。 ﹂ するとタイムマシンが起動。操作パネルが眩く光る。様々な機器 が作動しだす 悟空﹁うわわっ。すげえな ! ! 4 ! 悟空らを取り囲む周りの景色がグニ∼っと歪んで、そして元に戻っ た。 ベジータ﹁ふうっ。動いた。簡単だったぜ﹂ ﹂ 悟空﹁でも景色はなんも変わってねえぞ。これ本当に昨日に来たん かな 悟空がキョロキョロと景色を眺めていると、家の玄関からチチが出 邪魔だぞ。片付けてけろ﹂ てきた。タイムマシンを見るなりコクピットにいる二人に怒りだし た。 チチ﹁なんだコレ コクピットの中から返事をする悟空。 ! 悟空﹁わりぃチチ。今すぐに片付けっから。ところで今日は何日で ﹂ ? 今は14日の朝9時だぞ。どした悟空さ。大丈夫かだか 今は何時だっけ チチ﹁ん ﹂ ? ベジータ﹁よし 昨日に来たんだな﹂ して事件が起きたというブルマ家の寝室の中へと入っていく。 一瞬で西の都のカプセルコーポレーションへと移動した二人。そ けだ﹂ ベジータ﹁よし。後は俺の家に戻って、奴が来るのを待ち構えるだ まうベジータ。 外に降りてタイムマシンをポイポイカプセルに戻し、ポケットにし チチは家の中に戻って行った。 じゃまだべ﹂ チ チ﹁ん じ ゃ あ、と っ と と そ れ 片 付 け て く れ な。洗 濯 物 干 す の に ! 5 ? ベジータは拳をグッと握りしめた。 ? 悟空﹁おおお•••。ちょっとドキドキすんな∼﹂ ベジータ﹁カカロット。お前はそのクローゼットの中に隠れてろ。 気は消しておけよ。敵が察知するかもしれんからな﹂ 悟空﹁なんかオラが間男みてえだな﹂ 悟空はベジータの指示に従いクローゼットの中へと隠れる。そし てベジータはドアの前で仁王立ちして、間男が現れるのを待った。 ベジータ﹁いつでも来やがれ••。昨日のようにはいかんぞ﹂ そこに誰かがガチャリとドアを開けて寝室に入ってきた。ブルマ だ。しかし彼女は酔っ払っている。 ブルマ﹁あ∼ら。ベジータじゃな∼い。珍しいわね、この時間に戻 ﹂ 間男と一緒じゃない ブルマ﹁旦那にほっとかれてる妻は寂しいのよ•••﹂ クローゼットの中から隠れて部屋の様子を伺っている悟空は困惑 した。 悟空﹁な•••なんだこの展開は。オラ、なんか見ちゃいけねえも のを見てる気がすんぞ••﹂ これから恐るべき猛者 そんな悟空の気も知らずに、酔ったブルマはベジータに迫りまく る。 ベジータ﹁や•••やめろブルマ。離れろ ! 6 るなんて。どうしたの∼﹂ ﹂ 見て分かるでしょ∼。私は一人よ∼ ? ベジータ﹁ブルマ•••お前は本当に一人か のか••• ブルマ﹁間男って誰よ ? ベジータ﹁分かったが、なんで朝から酔っ払ってるんだ•••﹂ ? ベジータの言動に呆れるブルマ。 ? と決着をつけなきゃならん。そしてお前の目を醒ましてやる ベジータに抱きつくブルマ。 抱いて ねえキスしよ••ねえったらねえ﹂ ﹂ ブルマ﹁もう∼。ベジータったらそんな話ばっかり••。ねえ•• ! 可愛い ﹂ やめろ。カカロットがそこから見てるん 完全に想定外な展開に大いに焦るベジータ。 ベジータ﹁ば•••ばか だぞ﹂ ブルマ﹁んー。何を照れてんの∼ ベジータ﹁‼﹂ ! じたベジータ。 ついに来やがったな。相変わ ! ベジータ﹃これだ この気こそ奴だ その時、寝室のドア越しに恐るべき殺気を発散する強者の存在を感 ? ! ﹄ 人の部屋で何してやがる﹂ ﹂ ﹂ ジータ。イキナリ、敵の腹に強烈な一撃を入れてしまう。 敵は堪らず腹を抱えて蹲ってしまった。 ﹁ぐ••ぐっ。き、貴様∼﹂ 昨日の俺じゃないか ベジータはその姿に見覚えがあった。自分である。 ベジータ﹁こ、こいつは•••俺だ ベジータ大丈夫 ! !? ! •••まさか•••。俺を倒した敵の正体は俺だったのか ブルマ﹁ちょ !? じゃあ 部屋に乱入してきた敵の剣幕が凄まじいために、恐怖を感じたベ ﹁誰だぁ その殺気の主はドアを開けて部屋に乱入してきた。 まじい らず恐るべき戦闘力を発散させてやがる•••。何よりも殺気が凄 ! 私が酔いすぎちゃってるのかしら••。ベ !? ジータが二人いるように見えるわ∼••﹂ ブルマ﹁ん•••んー 突然に腹を殴られた昨日のベジータは意識を失ってしまった。 ! 7 ? ! ! ベジータ﹁生まれてこのかた感じたことのない気だと思ったら•• •まさか俺自身の気だったとは••﹂ 意識を失った昨日のベジータを見下ろしながら、今日のベジータは 思わず寝室にあった紙に﹃すまん、許せ﹄と書き置きをして逃げてし まった。 一部始終を見ていた悟空は唖然とした。 悟空﹁オ•••オラは何しにここに来たんだ﹂ 史上最強の敵と戦うつもりでいたのに、寝室のクローゼットに一人 孫くんがなんでここから出てきたの 私、相当ひど 取り残されてしまった悟空。ゆっくりとクローゼットから出てきた。 ブルマ﹁あれ く酔ってるみたいね•••﹂ ドラゴンボールに登場するタイムマシンは、時間軸を分岐させて未 ⃝⃝⃝ おしまい •。 二人は虚しい気持ちでタイムマシンで15日へと戻って行く•• 悟空﹁気にすんな•••﹂ ベジータ﹁付き合わせてすまなかったなカカロット•••﹂ えていた•••。 外は涼しい風が吹いている。二人は、なんとも言えない寂寥感を抱 ジータ。 意識を失った昨日のベジータをそのままにして家を出た悟空とベ ? 来を変えちゃうタイプなので、本来こんな感じにはならないと思われ 8 ? ますが••• 今回は過去に遡っても、未来を変えられないタイムマシンというこ とにして書かせてもらいました。 9
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