ベジータを倒せし者 ID:101742

ベジータを倒せし者
まみむめ信号機
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︻あらすじ︼
あのベジータが敗北を喫した。しかし敵の正体は分からない。
謎めいた敵を追って、ベジータと悟空は時間を超えて過去に戻るの
であった••
※pixivとのマルチ投稿作品です。
目 次 ベジータを倒せし者 │││││││││││││││││││
1
ベジータを倒せし者
10月15日の午前7時。突然、悟空の家にベジータがやってき
た。これは実に珍しいことだ。 ベジータ﹁カカロット。頼みがある•••。まずは俺の話を聞いて
くれ﹂ 寝惚け眼の悟空は、取り敢えずベジータを家の中に入れた。ベジー
タは神妙な面持ちである。 ソファーに座ったまましばらく黙っているベジータ。意を決して
悟 空 に 昨 日 の 出 来 事 を 打 ち 明 け る。謎 の 戦 士 に 一 撃 で や ら れ て し
ベジータが一発で負けただって
一体、誰だよ相手は﹂
まったという衝撃的敗北の一部始終を•••。 悟空﹁なっ
本当か
ねえキスしよ••ねえったらねえ﹂ 聞き役の悟空は信じられない。 ⃝⃝⃝ ベジータ﹁な••﹂ ブルマ﹁ねえ••抱いて
タダならぬ艶めいた声が聞こえてきた。 すために寝室に向かった。すると寝室のドアの向こうからブルマの
昨日は珍しくブルマの元に帰ってきたベジータ。修行の疲れを癒
事の成り行きを説明するベジータ。話は以下のようなものだった。
闘力の持ち主だったことは確かだ﹂ らん。何しろいきなり殴られたからな•••。とはいえ恐るべき戦
ベジータ﹁ちっ。静かにしろカカロット。残念ながら敵の顔は見と
!?
悟空﹁し•••信じらんねえなあ。ブルマが浮気すっかな
よそれ﹂ ?
?
1
!
ベジータ﹁フン••。ブルマの奴は覚えてないとシラを切りやがる
がな。俺は確かにその声を聞いた﹂ ⃝⃝⃝ 人の部屋で何してやがる﹂ 話は続く。そこで激怒したベジータは思い切りドアを開けたとい
う。 ベジータ﹁誰だぁ
ベジータ大丈夫
﹂ !?
﹂ 見れなくても気は感じただろ。ど、どんな奴だ
さんみてえなんか
ビルス様か
ウイス
?
今まで感じたことのない気だった。あんな攻撃的
?
悟空﹁不意打ちとは言え、おめえを一撃で倒すなんてな••。顔は
ベジータの話は謎が多かった。まず敵の正体が判然としない。 勝った気でいると思うと許せん﹂ ベジータ﹁間男のクセに恐るべき戦闘力だった。しかしあれで俺に
ベジータは悔しさで唇を噛みしめる。 ⃝⃝⃝ のまま家を出てしまったという。 を絶する屈辱。意識を取り戻したベジータは、ブルマと口も聞かずそ
ブルマの浮気。そして浮気相手の間男に負けてしまうという、想像
これが昨日ベジータを襲った出来事であった。 響き渡った••。 意識を失っていくベジータの頭の中では、ブルマの声だけが何度も
ブルマ﹁ちょ
だったがために敵の顔を拝む前に意識を失ってしまった。 ベジータは顔を上げて起き上がろうとするも、あまりに強烈な一撃
ベジータ﹁ぐ••ぐっ。き、貴様∼﹂ こむ。 しかしベジータはイキナリ腹に強烈な一撃をくらい、そのまま倒れ
!
な気を発散してる奴に出会ったのは初めてだ。何より殺気が凄まじ
ベジータ﹁違う
?
2
!
!
い•••﹂ 悟空の顔が険しくなる。かつてない恐ろしい敵がベジータを襲っ
たと見受けられた。 ベジータは悟空に一枚の紙を見せる。そこには﹃すまん。許せ﹄と
書かれている。 悟空﹁なんだこれ﹂ ベジータ﹁これが奴が現場に残してった置き手紙だ。ふざけやがっ
て•••。人の妻に手を出した挙句、俺を殴りつけて許されると思っ
てるのか﹂ 置き手紙をクシャクシャに丸めるベジータ。 ベジータ﹁あれから奴の気はもう宇宙のどこにも感じられない。あ
3
れほどの達人だ。おそらく、この宇宙ではなく別の宇宙から来た猛者
なのだろう。もはや奴を探すことも困難だ﹂ 敵の正体は第七宇宙以外からの来訪者というのがベジータの推測
である。 悟空﹁それで•••オラに頼みってなんだよ﹂ ベジータ﹁頼むカカロット。ブルマが管理しているタイムマシンを
ここに持ってきて欲しい。それが奴の正体を突き止める唯一の手段
になるはずだ﹂ かつてセルが、未来から過去に移動する際に使用したタイムマシ
ン。これがポイポイカプセルの状態でブルマの家に保管されている
のだ。ベジータはこのポイポイカプセルを、ブルマに黙って持ってき
て欲しいという。 話すこともできない。だか
悟空﹁そんなことはブルマに頼めよベジータ﹂ ベジータ﹁俺はブルマとは会えない
!
ら、お前に頼むしかないんだ﹂ いくらブルマの旦那に頼まれてるとは言え••。事実上の窃盗行
為なので悟空は悩む。 ベジータの説得は続く。 ﹂
ベジータ﹁お前だって、俺を倒した猛者と戦ってみたいはずだ。カ
カロット
悟空﹁だけどオラがブルマに怒られちまうぞ﹂ ベジータ﹁俺を倒した野郎はその気になれば銀河だって消せる。そ
んな奴を放っておく気か。また来るかもしれんぞ﹂ 確かにベジータを倒すほどの敵であれば、正体を突き止めねばなら
ない。地球、いや宇宙の危機でもある。悟空は渋々ながら承諾した。
⃝⃝⃝ それから約1時間半が経過した。 時は10月15日午前8時50分。 孫家の前の庭に、巨大なタイムマシンが置かれている。悟空はブル
マの秘密の部屋から、無事にポイポイカプセルを探し出したのだ。 悟空﹁いや∼探すの大変だったぞコレ﹂
ベジータ﹁よくやった。これで奴の正体を突き止められるぞ﹂ 悟空とベジータはタイムマシンのコクピットに乗り込んだ。 悟空﹁でもベジータ。どうやって動かすんだ﹂ ベジータ﹁ち••。説明書は無しか。だが簡単そうだな。このダイ
ヤルを弄ればいいんだな﹂ ベジータは鍵を回し、ダイヤルを昨日に設定してスイッチを入れ
る。 ﹂ するとタイムマシンが起動。操作パネルが眩く光る。様々な機器
が作動しだす
悟空﹁うわわっ。すげえな
!
!
4
!
悟空らを取り囲む周りの景色がグニ∼っと歪んで、そして元に戻っ
た。 ベジータ﹁ふうっ。動いた。簡単だったぜ﹂ ﹂ 悟空﹁でも景色はなんも変わってねえぞ。これ本当に昨日に来たん
かな
悟空がキョロキョロと景色を眺めていると、家の玄関からチチが出
邪魔だぞ。片付けてけろ﹂ てきた。タイムマシンを見るなりコクピットにいる二人に怒りだし
た。 チチ﹁なんだコレ
コクピットの中から返事をする悟空。 !
悟空﹁わりぃチチ。今すぐに片付けっから。ところで今日は何日で
﹂ ?
今は14日の朝9時だぞ。どした悟空さ。大丈夫かだか
今は何時だっけ
チチ﹁ん
﹂ ?
ベジータ﹁よし
昨日に来たんだな﹂ して事件が起きたというブルマ家の寝室の中へと入っていく。 一瞬で西の都のカプセルコーポレーションへと移動した二人。そ
けだ﹂ ベジータ﹁よし。後は俺の家に戻って、奴が来るのを待ち構えるだ
まうベジータ。 外に降りてタイムマシンをポイポイカプセルに戻し、ポケットにし
チチは家の中に戻って行った。 じゃまだべ﹂ チ チ﹁ん じ ゃ あ、と っ と と そ れ 片 付 け て く れ な。洗 濯 物 干 す の に
!
5
?
ベジータは拳をグッと握りしめた。 ?
悟空﹁おおお•••。ちょっとドキドキすんな∼﹂ ベジータ﹁カカロット。お前はそのクローゼットの中に隠れてろ。
気は消しておけよ。敵が察知するかもしれんからな﹂
悟空﹁なんかオラが間男みてえだな﹂ 悟空はベジータの指示に従いクローゼットの中へと隠れる。そし
てベジータはドアの前で仁王立ちして、間男が現れるのを待った。 ベジータ﹁いつでも来やがれ••。昨日のようにはいかんぞ﹂ そこに誰かがガチャリとドアを開けて寝室に入ってきた。ブルマ
だ。しかし彼女は酔っ払っている。 ブルマ﹁あ∼ら。ベジータじゃな∼い。珍しいわね、この時間に戻
﹂ 間男と一緒じゃない
ブルマ﹁旦那にほっとかれてる妻は寂しいのよ•••﹂ クローゼットの中から隠れて部屋の様子を伺っている悟空は困惑
した。 悟空﹁な•••なんだこの展開は。オラ、なんか見ちゃいけねえも
のを見てる気がすんぞ••﹂ これから恐るべき猛者
そんな悟空の気も知らずに、酔ったブルマはベジータに迫りまく
る。 ベジータ﹁や•••やめろブルマ。離れろ
!
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るなんて。どうしたの∼﹂ ﹂ 見て分かるでしょ∼。私は一人よ∼
?
ベジータ﹁ブルマ•••お前は本当に一人か
のか•••
ブルマ﹁間男って誰よ
?
ベジータ﹁分かったが、なんで朝から酔っ払ってるんだ•••﹂ ?
ベジータの言動に呆れるブルマ。 ?
と決着をつけなきゃならん。そしてお前の目を醒ましてやる
ベジータに抱きつくブルマ。 抱いて
ねえキスしよ••ねえったらねえ﹂ ﹂ ブルマ﹁もう∼。ベジータったらそんな話ばっかり••。ねえ••
!
可愛い
﹂ やめろ。カカロットがそこから見てるん
完全に想定外な展開に大いに焦るベジータ。 ベジータ﹁ば•••ばか
だぞ﹂ ブルマ﹁んー。何を照れてんの∼
ベジータ﹁‼﹂ !
じたベジータ。 ついに来やがったな。相変わ
!
ベジータ﹃これだ
この気こそ奴だ
その時、寝室のドア越しに恐るべき殺気を発散する強者の存在を感
?
!
﹄ 人の部屋で何してやがる﹂ ﹂ ﹂ ジータ。イキナリ、敵の腹に強烈な一撃を入れてしまう。 敵は堪らず腹を抱えて蹲ってしまった。
﹁ぐ••ぐっ。き、貴様∼﹂ 昨日の俺じゃないか
ベジータはその姿に見覚えがあった。自分である。 ベジータ﹁こ、こいつは•••俺だ
ベジータ大丈夫
!
!?
!
•••まさか•••。俺を倒した敵の正体は俺だったのか
ブルマ﹁ちょ
!?
じゃあ
部屋に乱入してきた敵の剣幕が凄まじいために、恐怖を感じたベ
﹁誰だぁ
その殺気の主はドアを開けて部屋に乱入してきた。 まじい
らず恐るべき戦闘力を発散させてやがる•••。何よりも殺気が凄
!
私が酔いすぎちゃってるのかしら••。ベ
!?
ジータが二人いるように見えるわ∼••﹂ ブルマ﹁ん•••んー
突然に腹を殴られた昨日のベジータは意識を失ってしまった。 !
7
?
!
!
ベジータ﹁生まれてこのかた感じたことのない気だと思ったら••
•まさか俺自身の気だったとは••﹂ 意識を失った昨日のベジータを見下ろしながら、今日のベジータは
思わず寝室にあった紙に﹃すまん、許せ﹄と書き置きをして逃げてし
まった。 一部始終を見ていた悟空は唖然とした。
悟空﹁オ•••オラは何しにここに来たんだ﹂ 史上最強の敵と戦うつもりでいたのに、寝室のクローゼットに一人
孫くんがなんでここから出てきたの
私、相当ひど
取り残されてしまった悟空。ゆっくりとクローゼットから出てきた。
ブルマ﹁あれ
く酔ってるみたいね•••﹂ ドラゴンボールに登場するタイムマシンは、時間軸を分岐させて未
⃝⃝⃝ おしまい •。 二人は虚しい気持ちでタイムマシンで15日へと戻って行く••
悟空﹁気にすんな•••﹂ ベジータ﹁付き合わせてすまなかったなカカロット•••﹂ えていた•••。
外は涼しい風が吹いている。二人は、なんとも言えない寂寥感を抱
ジータ。 意識を失った昨日のベジータをそのままにして家を出た悟空とベ
?
来を変えちゃうタイプなので、本来こんな感じにはならないと思われ
8
?
ますが••• 今回は過去に遡っても、未来を変えられないタイムマシンというこ
とにして書かせてもらいました。
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