未病医療への臨床検査技師としての模索

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未病医療への臨床検査技師としての模索
◎髙木 洋子 1)、横田 佳子 2)
臨床検査技師会北九州地区会員 1)、元 川崎市健康安全研究所 2)
(はじめに)
し、血糖・血圧を測定、生活相談を実施した。
未病とは、健康と病気との間の状態、すなわ
通常より血圧は高め、栄養のかたより、水分
ち、まだ症状はないが検査結果は病気が現れ
の摂取不足などが見受けられた。病気を発症
る恐れを示唆している場合や、症状はあるが
する前の未病の段階での関わりや、傾聴する
検査結果は正常な場合で、まだ病気だとは診
ことの大切さを痛感した。
断されないような状態を表す。私たちは、こ
(考察)
の未病の時期の医療支援を効果的に実践して
現在、私たちは現職から退いているが、臨床
いきたいと考えている。そこで、今までの活
検査技師としての活動は継続し、未病専門指
動と経験を活かした未病医療への貢献につい
導師の資格の取得をめざしている。目標とし
て考察した。
ていることは、特定の疾患の予防だけではな
(活動概要)
い。そのためには、広い視野に立ち、異なる
1)保健所・研究所での活動
医療職種間等との連携を強化し、活動を継続
健診後の境界域者を対象に、チーム連携によ
していく必要がある。
る指導を行った。更に、簡易測定法・迅速測
定法などの調査・研究を行い、常に最新情報
の収集に努めて関係者に情報を発信し、研修
指導を行った。
2)病院と地域での活動
SAS(睡眠時無呼吸症)の検査や NST(栄養サポー
トチーム)では、各職種が協力して患者の治療
方針を討議した。地域での予防活動では、住
民の健康支援のための活動に参加した。
(未病医療への取り組み)
日本未病システム学会臨床検査部会の活動を
通じて、未病に関して積極的に行政が関わっ
ている神奈川県の活動を紹介した。地域での
活動等により健康長寿社会への貢献をめざし
た。
(熊本県地震災害時の支援経験)
本年4月に熊本県で大きな地震が発生し、多
くの住民が被災した。今回、日本糖尿病療養
指導士として、熊本県での医療支援ボランテ
ィアとして参加した。医師・看護師・薬剤
師・栄養士・理学療法士などでチームを編成
連絡先:093-642-0796