楽読 (ラクヨミ) 2016年9月30日 Vol. 1,146 世界経済の成長加速に向け、 再活性化が望まれる世界貿易 足元で世界貿易に停滞感が見られるようになっています(下の左グラフ参照)。その主な背景として、世界 経済の成長鈍化などに伴なう需要の伸び悩みや、景気拡大が緩やかな先進国での投資の低迷などのほか に、反グローバル化の動きに象徴される、内向き志向の拡がりが指摘されています。 世界の貿易量は1980年代以降、世界金融危機が起きるまで、世界のGDPを概ね上回る高い伸びを続け、 世界の高成長に貢献してきました。しかし、95~00年の平均で約7%に及んだ世界の貿易量の伸びは、12 年から15年まで4年連続で3%を下回り、GDPの伸びとほぼ同水準にとどまりました。さらに、9月27日には、 4月時点で前年比+2.8%であったWTO(世界貿易機関)の16年の貿易量の見通しが、同年の予想GDP成 長率をも下回る、僅か+1.7%に下方修正されました(下の右グラフ参照)。また、17年の見通しについても、 +3.6%から+1.8%~+3.1%へ引き下げられました。 世界経済は、新興国の持ち直しなどから、17年以降、成長率が高まるとみられるものの、内向き志向の拡 がりなどによって自由貿易の流れに歯止めがかかるような場合、低成長への悪循環につながる恐れも考え られます。例えば、欧州では、英国が国民投票でEU(欧州連合)離脱を選択したことにより、域内貿易の枠 組みの先行きが不透明となっています。また、現在、参加各国による批准段階にあるTPP(環太平洋経済連 携協定)を例にすると、11月に大統領選挙を控える米国では、民主・共和両党の大統領候補がともに反対し ているなど、早期批准は厳しい状況です。そして、批准が遅れれば、日欧間や米欧間、さらに、日中韓と ASEAN(東南アジア諸国連合)との間の経済連携など、他の貿易交渉に悪影響が及ぶと懸念されます。 ただし、その逆に、TPPが批准されれば、参加を希望する国がさらに拡がるとみられるほか、他の貿易交 渉の加速が促されるなど、プラスのドミノ現象が期待されます。TPPに限らず、世界貿易の再活性化に向け た動きが今後、台頭し、世界経済の成長加速に貢献することが望まれます。 世界の貿易量の伸びとGDP成長率の比較 世界の貿易量と伸び率の推移 120 (2010年1月~2016年7月) (2010年平均=100) 世界の貿易量(左軸) 貿易量の伸び (倍) (1981年~2016年予想) (%) 10 20 GDP成長率 貿易量の伸び/GDP成長率 (右軸) 4 15 3 (倍)(%) 10 4 6 2 3 4 5 1 2 0 80 5 2 1 -5 70 0 0 -10 0 110 20 100 8 (%) 15 90 10 同伸び率*(右軸) 16年は WTO予想 貿易量の伸び GDP成長率 (いずれも左軸) 0 -1 貿易量の伸び/GDP成 *3ヵ月平均値の3ヵ月前比 注:GDPは市場為替レート・ベース (倍) (%) 60-5 -2 20 4 -1 -15 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年 81年 86年 91年 96年 01年 06年 11年 オランダ経済政策分析局のデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 WTOのデータをもとに日興アセットマネジメントが作成 15 3 -10 -2 -2 -3 16年 ※上記は過去のものおよび予想であり、将来を約束するものではありません。 10 2 -15 -3 ■当資料は、日興アセットマネジメントが市況等についてお伝えすることを目的として作成したものであり、特定ファンドの勧誘 81年 86年 91年 96年 01年 06年 11年 16年 資料ではありません。また、弊社ファンドの運用に何等影響を与えるものではありません。なお、掲載されている見解は当資料 5 1 作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。■投資信託は、値動きのある資産(外貨建 資産には為替変動リスクもあります。)を投資対象としているため、基準価額は変動します。したがって、元金を割り込むことが あります。投資信託の申込み・保有・換金時には、費用をご負担いただく場合があります。詳しくは、投資信託説明書(交付 0 0 目論見書)をご覧ください。 1/1
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