【順天堂人のためのメンタルヘルス講座 第35回】 獨協医科大学越谷病院こころの診療科教授 井原 裕 こころの健康法としての書類管理 書類の発掘作業は、 メンタルヘルスを損ないます。大切な書類をなくしてパニックに 陥ったことはないでしょうか。 どこを探しても見つからず、 うつ状態になったことはないで しょうか。 「ここに置いたのに、誰か盗みやがった」 と被害妄想を抱いたことはなかったで しょうか。 そんな方のために、捜索書類の9割を30秒以内に発見できる方法(個人の感想) をご 教示いたします。 まず、机の袖の引き出し (W390×D600×H270ミリ程度) を空にします。 ついで、 角型2号封筒 (240×332ミリ、 使用済みのものの再利用でよし) を大量に用意します。 書類を封筒に入れて、内容を左端に極太マジックで大書する。 そして、使った封筒を引き 出しの必ず一番手前にしまう。 すでに入っている封筒は、 奥に追いやられる。 これだけです。 野口悠紀雄氏のベストセラー『「超」整理法』 と基本的な方法は同じ。ただし、私ども 医療関係者は守秘義務を負っていますので、野口氏のような書棚ではなく、施錠管理の できる引き出しの方がいいのです。それに、椅子から立ち上がって書棚に行く代わりに、 引き出しなら座ったまま取り出せます。 私の場合、平成28年7月現在、引き出しの手前に、 「8/4さいたま地裁○○事件うちあ わせ」 「8/6-7川越がんリハビリ研修会」 「8/31兵庫保険医協会新聞」 「8/20入間市講 演」 「8/5副学長への報告」 「7/27教授会資料」 「7/28セカンドオピニオン外来資料」 「8/15までDr.高橋論文校正」 「7/11医事新報コラム」などと書かれた封筒が入ってい ます。いずれも最近作ったり、使ったものばかりです。奥には、部下の名が記された人事 書類があって、 これは2月の年度末に使って、 その後は使っていません。おそらくこのまま 押し込まれて、来年の2月までは開かれないことでしょう。 この方法は、重要性と更新日時とは強く相関するという法則を利用しています。 その結 果、手前には重要なものばかり、奥には重要でないものばかりが整然と置かれます。必要 な書類は、 引き出しを開けたらすぐそこにあるわけです。 日頃、探し物でイライラしておられる方は、ぜひ一度お試しください。 <執筆者紹介> ▼東北大学(医)卒。順天堂大学講師、准教授を経て、2008年から現職。 日本の大学病院で唯一の薬に頼らない精神科を主宰。
© Copyright 2024 ExpyDoc