第一位の風祭市入り ID:99684

第一位の風祭市入り
よしゆー
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DF化したものです。
小説の作者、
﹁ハーメルン﹂の運営者に無断でPDFファイル及び作
品を引用の範囲を超える形で転載・改変・再配布・販売することを禁
じます。
︻あらすじ︼
一方通行が好きなのでRewriteとのクロスオーバーでも書
こうと思います。
⋮⋮プレイ済みのゲームで内容が強く印象に残ってたのが偶々R
ewriteだったってだけなんだけどね。
因みに作者は受験生なので更新は遅いです。もうホントに、亀以上
にね。ご了承ください。
プロローグ │││││││││││││││││││││││
目 次 風祭市 │││││││││││││││││││││││││
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魔物との遭遇 │││││││││││││││││││││
学校にて ││││││││││││││││││││││││
5
11
18
プロローグ
第三次世界大戦が終戦し少し日にちが過ぎた頃、白い髪で瞳が赤
く、杖をついていて中性的な顔立ちをした少年が学園都市第七学区に
あんたどうして呼ばれたのか分かる
﹂ 存在する通称、窓の無いビルと呼ばれる場所に呼び出されていた。 ﹁一方通行
﹁あァ
アレイスターの考えてる事なンて分かンねェよ﹂ が︽案内人︾を努めているのだ。 を借りなければならない。そのため、
︽空間移動︾系能力者である結標
そしてこの密閉された空間に入る方法は︽空間移動︾系能力者の力
受けても傷一つつかない箱のようなものだ。 簡単に言うと、何処にも抜け道、一ミリの穴もなく、どんな攻撃を
とも出ることも出来ない。 気口も設けられておらず、
︽空間移動︾系能力者でないと内部に入るこ
め、各種インフラが内部で完結しており、窓もドアも廊下も階段も通
建物内で酸素・電気を含む生活に必要なもの全てを生産できるた
る﹂とも噂されている。 特殊装甲で覆われており、その堅牢さは﹁核兵器を受けても耐えられ
窓の無いビルの外周は︽演算型・衝撃拡散性複合素材︾と呼ばれる
ここで窓の無いビルについて少し説明しておこう。 希だ。 レベル4、能力は空間移動能力の一種︽座標移動︾を使用する結標淡
この窓の無いビルの内部に人を運ぶ︽案内人︾としての役割を持つ、
にブレザーを引っかけている女。 カートに金属製のベルトを付け、桃色の布で胸を隠しただけの上半身
左右に結った髪を、自分の背中の方へと流しており、 冬服のミニス
そう問いかけるのは、 髪型はお下げ髪のように耳より低い位置で
?
の一人にして第一位である、学園都市最強の超能力者、一方通行は気
怠げに答えた。 一方通行の能力︽一方通行︾は、運動量・熱量・光・電気量etc
1
?
窓の無いビルについて呼び出された少年、七人しかいないレベル5
?
といったあらゆるベクトル︵向き︶を観測し、触れただけで変換する
能力である。 普段は︽反射︵ベクトルの反転︶︾に設定されており、身体の周囲を
覆うわずかな保護膜に触れた全ての攻撃を、自動的かつ正確に跳ね返
す事が出来るようになっている。 彼の特徴的な白い髪と赤い瞳はこの︽反射︾による弊害である。 受動的な︽反射︾だけではなく能動的な能力としても優秀で、血流
逆転・体内電流操作による体液操作などや、鉄柱飛ばし・身体運動増
幅・風向操作によるM7クラスの暴風、竜巻、飛行・高電離気体・再
生促進・自転操作・レールガン以上の速度の石礫⋮⋮など、戦闘方面
に限らず多岐にわたる応用が可能だ。 このように、一方通行は学園都市最強に相応しい優れた能力を持っ
ているのだ。 ﹁そう。でも学園都市最強の男を態々呼び出すなんて面倒ごとの予感
そうアレイスターが言うと、何も無い空間に画面が現れ、
︽風祭市︾
︽鍵︾
︽ガーディアン︾
︽ガイア︾
︽ドルイド︾などの資料が表示された。
2
しかしないわね﹂ ﹁とにかくアレイスターに会えば全部分かンだろ﹂ 窓の無いビル内の通路を歩いて行くと、広い場所に出た。そしてそ
の空間の真ん中辺りにビーカーが立っており、そしてそのビーカーの
中に人らしきものが浮かんでいる。 ﹁来たか一方通行﹂ ビーカーの中の人らしきものはそう話しかけた。 アレイスター=クロウリー、 学園都市の最高権力者であり学園都
市統括理事長。男にも女にも、子供にも老人にも、聖人にも囚人にも
見える。 窓のないビルに設置されたビーカー、正確には生命維持装置にて外
くだらねェ事で呼び出したン
界を伺い、基本的には表に出ない、謎の多い人物だ。 ﹂ ﹁おい、態々呼び出して何のようだ
じゃねェだろうな
?
﹁ふむ、先ずはこの資料を見てくれ﹂ ?
資料をよく読んで要約すると、風祭市という都市に魔術とも、学園
都市の超能力とも違う力を操る集団がいるらしい。そしてその集団
は︽鍵︾というものを巡って争っているとの事。超能力集団を︽ガー
ディアン︾、魔物というものを操る集団を︽ガイア︾、そして︽鍵︾を
守ろうとしている集団は︽ドルイド︾という集団と書かれている。 ﹁オマエは俺に何をさせようとしてンだ。勿体ぶらずに早く言えよ﹂
一方通行は資料を提示された資料を短時間で全て暗記してそう聞
いた。学園都市最高の頭脳を持つ一方通行であればこの程度の暗記
など造作もないことだ。 ンなこと出来ンのかよ。超能力者じゃまず無
﹁この鍵という存在は使い方を誤れば世界を滅ぼしかねない存在なの
だよ﹂ ﹁世界を滅ぼすだァ
理だし、魔術師でもンなこと出来る奴なンていねェだろ﹂ ﹁極少数だが世界を滅ぼす事のできる魔術師は存在する。だが今はそ
んな事はどうでもいい﹂ ア レ イ ス タ ー の 言 葉 を 聞 い て 一 方 通 行 は 内 心 と て も 驚 い て い た。
一方通行は学園都市最強、つまり超能力者の頂点だ。その一方通行で
も世界を滅ぼすなんてことは不可能だ。それを魔術師はやって見せ
るという。 ﹁今回一方通行を呼んだのは、この鍵が原因で起こる世界の滅亡を止
﹂ めて欲しいからだ。この危機を回避出来るのなら手段は問わない﹂ ﹁⋮⋮魔術師の方はどうすンだ
せいで頭蓋を損傷し、言語機能と計算能力の一切を失った。 去に打ち止めを救うために頭を銃弾で撃ち抜かれた経験があり、その
一方通行はその説明に一応は納得しておいた。だが、一方通行は過
らう﹂ 色々と不味いのでね。一方通行、君に代わり風祭市に行って止めても
うとはしていない。だが、もし行動に移したときに私が不在なのは
﹁魔術師の方は世界を滅ぼす力を持っているだけで今のところ滅ぼそ
?
3
?
冥土帰しの用意した機器でミサカネットワークから演算能力を補
助してもらうことで、歩行時に杖を必要とするものの日常生活に支障
なく行動できる程度まで回復したのだが、バッテリーで動く機器を使
用する関係上、行動全てに時間制限が課せられている。 日常生活のみなら約48時間、能力を全開で使うとわずか30分し
か持たないので、風祭市に行っている間はバッテリー管理はどうする
のかが気掛かりだった。 ﹁おい、俺が演算補助デバイス無しに行動出来ねェのは知ってンだろ
うが。そこンとこはどうするつもりだ﹂ ﹁それについては問題ない。新しい演算補助デバイスを用意しておい
た﹂ アレイスターがそう言うと、一方通行の前の空間からチョーカー型
の演算補助デバイスが現れた。 ﹁それは太陽光や光で充電出来るソーラー仕様だ。裏切り対策にこち
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らから遠隔操作出来るようになっているが、能力は常時使えるように
なっている。だが能力を全開で使用した時のバッテリーの消費は激
しいから、一日中杖無しの全開使用は出来ない。能力はよく考えて使
用してくれ﹂ 確かにこれなら専用の機器無しでも充電出来る。一方通行は新し
いチョーカー型演算補助デバイスに問題が無いことを確認すると、今
つけている演算補助デバイスと取り替えた。 ﹁それと君は風祭市に滞在中、 風祭学院高校に通ってもらう。学校
﹂ に通う際に名前が一方通行だと何かと不便だろう。偽名を考えてお
く事をおすすめするよ﹂ ﹁あァ、分かった。学園都市を出るのはいつだ
いビルを後にした。 そう一方通行は呟き、側で話を一緒に聞いていた結標と共に窓の無
﹁そォかよ﹂ 話した﹂ ﹁詳しい日程などは追って連絡する。ひとまず今話すべきことは全て
?
風祭市
アレイスターと窓の無いビルで話してから一週間後の今日、一方通
行は風祭市のバス停に立っていた。 冷たく乾いた風が吹き、冬の訪れが近くに感じられる。一方通行の
今の服装は、第三次世界大戦時に来ていた白い防寒着に白いズボンを
着ている。髪の色も肌の色も杖の色も白いので全身真っ白な状態で
ある。 それなのに瞳だけは赤いので、周りの人からは稀有なような物を見
る目を向けられていた。 ﹁ここが風祭市ねェ⋮⋮、見た感じ緑が多い以外は普通の街って感じ
だがなァ⋮⋮﹂ 一方通行が風祭学院高校に通い始めるのは、キリのいい三学期に
なってからだ。また、
︽鍵︾がいつ現れるかは分からないので、
︽鍵︾が
現れるまでは、普通に学校生活を送ってくれとの事らしい。 一方通行はまともな学校生活送った経験が無かったので、少し楽し
みでもあった。 一方通行が風祭学院高校に入るに当たって、偽名を使う必要がある
のだが、一方通行自身は特に名前に執着は無いし、そもそも名前をつ
けるのが面倒くさかったので、打ち止めと番外個体に丸投げしたとこ
ろ、 鈴科モヤシ という名前を初めとした不名誉な名前をつけられそうになったの
で︵主に番外個体︶、結局自分で考えることにした。 そして決めた名前は、 鈴科冬馬 考えたというよりも適当に、とある不幸なヒーローの名前の漢字を
変えただけである。一方通行にとって名前というものは、そのくらい
どうでもいい事だった。 ﹁取り敢えずアレイスターが用意したマンションに行って、その後に
街を見回ってみるかァ﹂ 5
アレイスターが用意したマンションを確認した後に、一方通行は風
祭市内の地形を覚えるのを目的に、街を見回っていた。 帰り道にコンビニでブラックコーヒーを買い占め、パンパンになっ
たビニール袋を持ちながらいつもの癖で路地裏に入ったのだが、その
なンだここは⋮⋮
﹂ 時に一方通行を違和感が襲った。 ﹁あァ
一方通行が学校に着くと、職員室に通され、担任らしき先生に詳し
がチラチラと一方通行を見ていた。 やはり白髪で赤い瞳の一方通行は目立つのか、周りにいる生徒たち
いていた。 一方通行は風祭学院高校の制服に身を包み、杖をついて通学路を歩
学期初めの登校日、つまり一方通行の学校生活一日目に当たる日だ。
一方通行が風祭市にやって来て二ヶ月ほど日にちが経ち、今日は三
なかったので、警戒レベルを上げる程度で済ませた。 経験が一度では確定的な答えは出ないだろうし、分かるような事でも
のかを一方通行がさっきした経験を通して考えてみたのだが、やはり
どのようにしてあそこに入り、どのようにして抜けることが出来る
いた。 一方通行は元の風祭市に戻ってきてからあの空間について考えて
の風祭市に戻っていた。 一方通行が周りを警戒しながら路地裏を暫く歩いていると、また元
しねェ。死ンだ街みてェだ︶
ねェが⋮⋮、今のこの場所はさっきまでの所と違って生きてる感じが
︵やっぱこの風祭っつゥー街は何かが違うみたいだなァ。上手く言え
くりなのだが、明らかに何かが違うのだ。 一方通行が感じた違和感。見た目は風祭市内にある路地裏にそっ
?
く話を聞き、1ーBと書かれた教室に案内された。 6
?
﹁鈴科君。呼ぶまでそこで待っていて下さい﹂ どうやら、ホームルームで転校生が来ると説明しているらしい。 暫くその場で立って待っていると先生声をかけてきた。 ﹁鈴科君。自己紹介をお願いします﹂ 教室に入ると、クラスの皆の視線が一方通行に集中する。一方通行
はその視線に特になんの反応も示さずに自己紹介を始めた。 ﹁鈴科冬馬だァ。よろしくゥ﹂ こうして一方通行の学校生活が始まった。 今日は三学期最初の登校日だったので、ホームルームが終わった後
はすぐ放課後になる。一方通行が発する独特な雰囲気のおかげか、転
校生特有の質問攻めに会うことはなかった。 一方通行は、放課後の時間を使って校内の把握を始めた。もし、校
その新聞部の井上さンが俺に何のようなンですかァ
﹂ ?
﹁ンで
たってわけ
それにしてもホントに真っ白だね∼。うさぎみたい
!
7
内で戦闘になった場合や緊急事態に陥った場合。校内事情を知って
るか知っていないかだったら、知っておいて損はしないと考えたから
だ。 最悪学校ごと破壊することも出来るのだが、そんな事をしたらもう
風祭学院高校にはいられないだろう。さらに、必要以上に能力を使用
して怯えられても面倒だ。 校内を散策しながら歩いていると目の前に一人のカメラを持った
﹂ 人 に 名 前 尋 ね る と き は 自 分 か ら 名 乗 り ま
ねえねえ、いくつか質問するから答えてくれな
女子生徒が立ち塞がった。 ﹂ ﹁噂の転校生発見
い
﹁あ ァ 誰 だ オ マ エ
しょうって習わなかったンですかァ
?
!
﹁噂 で 真 っ 白 な 転 校 生 が 来 た っ て 聞 い た か ら ね。直 々 に 確 認 し に 来
?
﹁あ、ごめんごめん。あたし新聞部の井上って言うの。はじめまして﹂
?
?
?
♪﹂ ﹁うさぎって言うンじゃねェ
﹂ オマエ初対面の人に対して失礼すぎ
だろ。つゥーか質問ってなンだよ
新聞部としてここは引けないでしょ
﹂ ?
﹁おい、そこのオマエ。この教室はなンだ 本棚っぽいのが見えた
一方通行はその女子生徒に疑問に思った事を聞いてみた。 普通の生徒はここには来ないのだから。 いなかったのだろう。一方通行を見た瞬間とても驚いていた。実際
その女子生徒もまさかこんな何も無い場所に人がいるとは思って
がとても学校とは思えない物だった。 そしてその女子生徒が教室の扉を開いた時にちらっと見えた室内
ある教室から一人の女子生徒が出てきた。 ここらへんには何もないと判断して帰ろうと思った一方通行だが、
の姿もない。 校舎の端っこにあり、使用されている部屋がないため、生徒や教師
一方通行は寂れた感じの一画にやってきた。 その隙に一方通行は井上から離れて校内散策を再開した。 か逃げて、いなくなったように映っているだろう。 るが、井上本人からはちょっと目を離した隙に一方通行がいつの間に
の結果、第三者から見れば一方通行と井上は相対しているように見え
触れている光の向きを操作して、井上の目に入らないようにした。そ
一方通行は井上が一瞬自分から視線を外したタイミングで、自分に
る判断をした。 ら殺してやると内心怒りながら、これ以上の追求を避けるために逃げ
一方通行は中途半端に自分の身分を偽ったアレイスターに帰った
﹁イヤだ。帰る﹂ るんだって
いのね。そしてあたしは思ったわ。きっとあなたには何か秘密があ
冬馬ってこと以外何も分からなかったのよ。こんなの普通ありえな
﹁転校生君についてちょっと調べさせて貰ったんだけど、名前の鈴科
?
!
が図書室って訳でもねェし、それに何より生活感が出てるのはおかし
?
8
!
いだろ﹂ ﹂ ﹁私が住んでるのよ。ここに。あと私の名前は千里朱音。オマエじゃ
ないわ。鈴科冬馬﹂ ﹁⋮⋮なンで俺の名前知ってンだ
﹁おまえ結構有名人なのよ。白髪で白い肌、赤い瞳、おまけに杖をつい
﹂ ている。これだけ目立つ人間がこんな時期に転校してきたら嫌でも
噂になるわ﹂ ﹁そォか、ンで、住ンでるってのはどういう事だ
れるかもしれないと思い、朱音に聞いた。 ﹁なァ、オカルト研究会って部員募集してたりすンのか
まさか入部したいの
﹁あァ、風祭市のオカルトについて興味がある﹂ ﹁えっ、してないけど⋮⋮。なに
﹂ ﹂ 情、正確にはあの謎の空間について、そして︽鍵︾についても調べら
そして、風祭学院高校のオカルト研究会なら風祭市のオカルト事
の謎の空間に入った事を思い出した。 一方通行はオカルト研究会のオカルトという言葉を聞いてこの間
うと納得した。 し、気にする人もいないから勝手に教室を私室にして使ってるのだろ
一方通行は朱音の言葉を聞いて、要するに誰にも迷惑掛けてない
一人だけだし、ここ先生も生徒も来ないから誰も文句言わないし﹂ ﹁オカルト研究会としての活動として使ってるだけよ。メンバーも私
?
半ば諦めかけていたときに、偶然その監視対象と出くわし、さらに
上げ状態だったのである。 怪しい事この上ないくせに、調べても何も出て来ないのだからお手
一切不明なのだ。 がなんの関係もないただの一般人なのだが、一方通行の場合は経歴が
のか、転校生に対して朱音は逐一確認するようにしている。まぁ殆ど
ガイアに対する害となるか、それとも味方なのか、ただの一般人な
う名前しか把握出来ていなかったのである。 一方通行について調べていたが、新聞部の井上と同じで鈴科冬馬とい
朱音は一方通行の言葉を聞いて、内心嬉しかった。朱音は真っ先に
?
?
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?
?
オカルト研究会に入部したいと言ってきた。朱音は、このチャンスを
利用して、調べて出てこないのなら、部活内で共に過ごしてみて一方
通行の人間性について見極めようと思った。 なので朱音は一方通行の入部したいという願いを了承することに
した。 ﹁ええ、分かったわ。これ入部用紙ね﹂ 一方通行は入部用紙を受け取り、サインをして朱音に返す。 ﹁結構。オカルト研究会へようこそ﹂ ﹁おォ、よろしくゥ﹂ ﹁活動は、明日からにするわ。明日の放課後またここに来るように﹂ そう朱音が言ったのに頷いて一方通行は自分の住むマンションに
帰っていった。
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学校にて
一方通行が朱音に初めて会い、オカルト研究会に入部する事になっ
た日、マンションに戻った一方通行は愛飲しているブラックコーヒー
を飲もうと冷蔵庫を開けたが、買い置きが全て無くなっていたので、
コーヒーを補充する為に近場のコンビニに向かって歩いていた。 ︵この街ではスキルアウトみたいに絡ンでくる奴らがいなくて気が楽
だなァ。まァ、ここじゃあ俺については知られてねェから当たり前
かァ︶ 学園都市では一方通行は学園都市最強だと知っている一部のスキ
ルアウト達から、こうしてコンビニにコーヒーを買いに行くだけでも
よく絡まれていた。 スキルアウト達は一方通行を︽学園都市最強︾と理解はしていても、
一方通行がどんな能力を使うのかまでは把握していなかったし、一方
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通行の見た目は一般男性に比べて筋肉も少なく痩せ型だった事もあ
り、生身の喧嘩が強そうとは思えなかったのだ。 という考えにいたり、一方通行を襲
その結果スキルアウト達は、大人数で一気に叩けば学園都市最強と
いえども勝てるのではないか
に入ると風祭市に来た日に路地裏に入った時と同じ違和感に襲われ
会計を終えコンビニから出て帰り道の途中、いつものように路地裏
に気にする事なく対応していた。 ジに持って行く。一方通行のこの行為はいつもの事なので、店員も特
り、棚に置いてあるブラックコーヒーを買い物かごに入るだけ入れレ
そんな事を考えていたらコンビニに着いていたので、コンビニに入
はこの状況をありがたく思うことにするかァ︶ ︵まァ、この日常も学園都市に帰るまでなンだがなァ。取り敢えず今
であった。 毎回絡んでくるのは鬱陶しく感じていたので、今の状況は喜ばしい事
一方通行自身はスキルアウト達を脅威と微塵も思ってなかったが、
日常的に繰り返されていたのである。 撃した訳だが、結果は一方通行の反射によって全滅。そのような事が
?
た。 ︵またここかァ。この間からこの路地裏を通ってるが、ここに入るの
は二回目。ここに来るのは二ヶ月ぶりぐらいだが、規則性でもあンの
か、それともランダムなのか、あと一回くらい入りゃその辺も分かっ
てくるだろォな︶ 一方通行は冷静に二回目の圧縮空間、ガイアからは︽石の町︾、
︽人
口来世︾と呼ばれている場所に入った時期を計算していた。この未知
の場所を知るためにどのくらいの周期でこの場所に迷い込むのかを
調べようと考えたのだ。 規則性があれば時間がこの場所に紛れ込むのに必要な条件であり、
またランダムであれば時間は関係なく、また別の要因が絡んでいると
考える事ができる。 明らかに非常識なこの現象は︽鍵︾に繋がるヒントになると思い、こ
の場所について詳しく調べようとしていた。 ︵取り敢えず、今出来ることからしていくかァ︶ 一方通行は路地裏の壁に手をつき、五本の指先に力を入れる。そし
てその指先の力の向きをそれぞれが離れていくように変える。 分かりやすく言えば五個の同じ極の磁石を一箇所に集めておいた
ようなものだ。同じ極の磁石は互いに離れていく性質を持っている。
今回一方通行がやったのはその磁石の部分を力にしたようなものだ。
そうした結果、路地裏の壁が破壊され、粉々になった。 ︵どォやらここでも物理法則は成り立ってるみてェだな。なら俺の能
力もここの物質に対しても充分に使える︶ 一方通行は自分の能力がこの場所に干渉出来る事を確認し終える
と、今度は自分にかかる重力の向きを操作し、空に飛んだ。いわゆる、
︽飛行︾と呼ばれるものだ。 一方通行はこの圧縮空間の様子を上空から観察する。 ︵風祭市そのものって感じだなァ。この間は路地裏しか分かンなかっ
たが、風祭市を模写してる事は間違いなさそうだ。やっぱこの街には
普通じゃない何かがあるなァ︶ 12
一方通行は自分の住むマンションの前に降り立ち、中に入ろうと思
い共有玄関を開けた。そして中に入ったら、元の風祭市の生活感溢れ
る光景に戻っていた。 ︵元の風祭市に戻って来る条件は不明ねェ⋮⋮。取り敢えず今回は幾
つか収穫があったからまァいい。次に入るときに、そこンとこは調べ
るかァ︶ 一方通行はそんな事を考えながら、ブラックコーヒーの入った袋を
片手に持ち、自分の部屋へと戻っていった。 翌日、一方通行は登校し教室の自分の席に座って周りで雑談してい
るクラスメイトの事を眺めていると、教室の扉が勢い良く開かれ、カ
!
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メラを首から下げた少女││││新聞部の井上が入ってきた。 一方通行は井上の姿を見た瞬間露骨に顔を歪め、自分の席から立ち
上がり井上が入ってきたドアとは別のドアから出ようとしたが、それ
は井上に腕を引かれる形で遮られた。 ︵危ねェ⋮⋮ 反射設定切ってなかったらコイツに怪我させるとこ
逃げることないでしょ
﹂ 向けられる殺意には気づく事が出来るので、簡単に対処出来る自信が
しかも一方通行は学園都市の暗部に所属していた事もあり、自分に
た。 徒との接触の方が確率的に高かったので、反射設定を切ることにし
撃してしまったら面倒な事なる事は明確であり、尚且つ襲撃よりも生
不意による襲撃に対する防御面の心配があったが、生徒に誤って攻
えていたからだ。 じゃれ合いなどにより、今のような事が起こる可能性は高いと予め考
一方通行は学校内では反射設定を切っている。学校内では生徒の
だったぞ⋮⋮︶ !?
あったのも要因の一つだ。 ﹁ちょっと
!
﹁おい
腕引っ張ンじゃねェ
杖ついてンのが見えねェのか
﹂
!
﹁はァ⋮⋮。何のようだ
﹂ きながら井上に向かい合った。 ない事を確信し、面倒な奴に目をつけられたと思い、内心ため息をつ
井上はムスッとした表情で一方通行を見る。一方通行は逃げられ
﹁鈴科君が逃げるからいけないんじゃないの﹂ !
﹂ ?
真っ白なの
﹂ ﹁ふーん、なるほどね。じゃあ次の質問ね。どうして鈴科君の経歴は
故 が 頭 に 銃 弾 を ぶ ち 込 ま れ た 事 だ な ん て 露 ほ ど も 思 わ な い だ ろ う。
いくら新聞部でインタビュー慣れしている井上でも、まさか交通事
カーが無いと日常生活すら送れない。 力を完全に使用しなければ杖無しに歩くことは出来ないし、チョー
一方通行は真実に嘘を混ぜつつ質問に答えた。実際、一方通行は能
は障害のある脳の働きを補助する機械だ﹂ で杖無しじゃ歩けねェ身体になっちまっただけだ。このチョーカー
﹁⋮⋮昔、交通事故にあってよォ。脳に障害負っちまったンだよ。ン
に巻いてある機械について、それ何
﹁ええ、それでいいわよ。まずは⋮⋮そうね。杖をついている訳と首
あンだろ。それが条件だ﹂ 答えてやる。オマエにも人に言いたくない秘密の一つや二つぐらい
﹁分かった。オマエの質問する中で俺が答えていいと思った事だけに
の人間に話すわけにはいかない。 問に答えようと考えた。さすがに世界の滅亡やら能力の事を無関係
もう言い逃れ出来ないと思った一方通行は、妥協案を出すことで質
えて﹂ ﹁鈴科君の秘密について調べに来たの。今から幾つか質問するから答
?
考えているかなんて読めるわけがないのだが、こんな面倒な事を引き
これは一方通行も知らないことだ。そもそもアレイスターが何を
﹁知るか。俺の保護者に聞け﹂ ?
14
!
起こす原因になったアレイスターを帰ったらぶっ殺そうと再び誓っ
た一方通行であった。 ﹁いや鈴科君の保護者とか知らないし⋮⋮、まあいいわ。ホームルー
ムまで時間もないし、一応質問には答えてもらったから今日はこれで
戻るね﹂ 井上は一方通行から聞いた交通事故について過去の記事から調べ
てみようと思っていた。自分でまず調べてみて、それでも分からない
ところは本人に聞きに行くのが彼女のスタンスだ。 まあいくら調べたところで一方通行の記事が見つかる事はないの
だが⋮⋮。 井上が自分の教室に戻ってからは平穏に時間が過ぎていき、今は放
課後になっている。 一方通行は昨日入部したオカルト研究会の使用している空き教室
に行くため、廊下を歩いていた。 道中特に何も起こらず、空き教室につくとドアをノックした。 ﹁おい、鈴科だ。来たから開けろ﹂ そういうとドアの鍵を開け、朱音が出てきた。 ﹁待ってたわ。入ってちょうだい﹂ 一方通行は朱音に促され空き教室に入る。そして教室内の様子に
目を見開いた。 ベッド、ソファ、パソコン、果てはシャワールームと完全に教室に
あるものでは無かった。なるほど、これなら確かに住んでいると言わ
れて納得できる。 ﹁オマエ、マジでここに住ンでンのかよ⋮⋮﹂ ﹁別に良いじゃない。誰も文句言わないんだし﹂ 一方通行は本棚のある所に行き、本棚を物色し始め、朱音はそれを
一瞥した後、パソコンの前の椅子に座りゲームをし始めた。 一方通行はオカルトに関して書かれた本を片っ端から手に取り、朱
音からは死角になる位置に座り、物凄いスピードで読んでいく。ここ
で も 一 方 通 行 の 学 園 都 市 最 高 の 頭 脳 は そ の 優 秀 さ の 片 鱗 を 見 せ た。
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一方通行はオカルトに関しての書かれている本を片っ端から全て
読んでみたが、大した情報は得られなかった。 ここに置いてある本のオカルトは風祭市には関係のない、小さな子
供が噂して楽しむようなものばかりだった。 ﹂ ︵チッ⋮⋮。期待していたわけじゃねェがさすがにこれはねェだろォ
よ⋮⋮︶ ﹁おい千里、オカルトについて書かれた本ってここだけか
﹂ 会なんてものを作ったのだろうか。 ?
﹂ ?
﹂ ﹂ オカルト研究会の
?
絶対に自分の話を信じてないと一方通行は思いながら、ここで調べ
﹁そんな事ある訳ないでしょ。白昼夢でも見たんじゃない
部長さんよォ
たっつゥー経験をしたンだが、何かしらねェか
﹁なァ、普通に歩いていたら雰囲気がガラッと変わって変な空間にい
一方通行はダメ元で圧縮空間について聞いてみた。 では。 間の一人だった。魔術師という非科学的な力を扱う人間に出会うま
んて非科学的な事を信じないのが普通なのだ。一方通行もそんな人
も学園都市という科学の最先端の街で住んでいる人間はオカルトな
しては前までは全く信じていなかったので強くは言えない。そもそ
一方通行は頭を抱えたくなった。だけど一方通行もオカルトに関
んて思わないでしょ
かったの。それにオカルト研究会なんて胡散臭い所誰も入ろうだな
に 今 と な っ て は 名 前 だ け よ。こ の 空 き 教 室 が 使 え る な ら 何 で も よ
﹁作ったわけではないわ。元々あったのを私が引き継いだだけ。それ
﹁じゃあなんでオカルト研究会なンて作ったンだよ
﹂ いるのにオカルトを信じてないと言う。それなら何故オカルト研究
一方通行は自分の耳を疑った。朱音はオカルト研究会に所属して
﹁はァ⋮⋮
いてある本だもの。私、オカルトなんて信じてないから﹂ ﹁ええ、だってその本、ここがオカルト研究会って証明する為だけに置
?
?
?
16
?
﹂ られる事はまず無いと確信する。しかし、入部してしまった以上部員
として活動しない訳にはいかないだろう。 ﹂ ﹁オカルト研究会って普段どンな活動してンだァ
ンじゃもう来なくていいのか
﹁⋮⋮してないわよ、活動なんて﹂ ﹁あァ
﹁駄目よ。おまえは部員でしょうが﹂ ﹁何してりゃあいいンだよ⋮⋮﹂ ?
勝手に一人でやってろよ﹂ 介な人達がいて私一人じゃ捌ききれないのよ﹂ ﹁知るか
﹁あら
じゃあおまえは何をするつもりなのかしら
時間を潰せるものなんて大して無いのだけれど﹂ ﹁⋮⋮⋮⋮﹂ この部室で
﹁鈴科。する事無いのだったら私と一緒にFPSやりなさい。最近厄
し、一方通行に向けて言った。 朱音は少し悩んだ素振りをして、ふと何かを思いついたような顔を
?
放課後、一方通行にFPSを強制的に一緒にやらせるという日常が今
頭脳の優秀さをFPSをやる時においても発揮し、それを見た朱音が
結局一方通行は朱音に無理矢理FPSをやらされ、一方通行がその
?
!
日から始まったのであった。
17
?
?
魔物との遭遇
一方通行が朱音にFPSを強制的にやらされる事になり、結局最終
下校時刻までゲームをした日。 一方通行は暗くなった風祭市内を歩き、帰路についていた。 ︵ったく⋮⋮俺の周りにはロクな女がいねェなァ⋮⋮。炊飯器でしか
飯を作らない教師に家で引きこもってるニート、性悪イタズラ女に秘
密探ってくる新聞部の女、それに加え教室を私室化するゲーム脳で引
きこもり気質の女ときたもンだ⋮⋮。一番ガキの打ち止めが一番マ
トモってどういう事だよクソッタレ⋮⋮︶ 一方通行にとって今日は散々な日だった。井上にはこれからしつ
こく付きまとわれる事が確定し、オカルトについて調べようと入部し
たオカルト研究会の部長の朱音はオカルトなんて微塵も信じておら
ず、おまけにこんな時間までゲームをやらされたのだ。 こりゃまた新しい情報
たためチョーカーをいじり能力を完全に使えるようにする。 一方通行がチョーカーをいじり終えるのと同時に一体のハウンド
が一方通行の頭部を目掛けて噛み付いてきた。 だが一方通行の頭部に触れた瞬間、顎がありえない方向に曲がっ
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一方通行がFPS内で無双してしまったため、帰り際の朱音は随分
と機嫌が良かった。恐らくこれからもゲームをやらされると一方通
行は思い始めており、人知れずため息をつくのであった。 そんな事を考えながらもはや通学路となっている路地裏を歩いて
いた一方通行だが、再びあの違和感に襲われた。 ︵二 日 連 続 ね ェ ⋮⋮。こ の 空 間 に 入 る の に 時 間 は 関 係 ね ェ み た い だ
な︶ 一方通行がそう結論づけ、圧縮空間内の路地裏を歩いていると、目
ここにも生物がいンのか
の前に狼││││ガイアの扱う魔物︽ハウンド︾が五匹現れた。 ︵狼かァ⋮⋮
?
一方通行はそう考えながらも、目の前のハウンド達から敵意を感じ
が手に入って好都合だ︶ ?
た。一方通行がそこで追撃し、地球の自転のベクトルを乗せたパンチ
をハウンドに叩き込むと、ハウンドは音速を越えるスピードで路地裏
の奥の壁に突っ込んでいった。 一方通行はふっ飛ばしたハウンドを確認しにいくと、一方通行の目
これがアレイスターの言ってた魔物っ
の前でハウンドは跡形もなく消えていった。 ︵死体が残らねェだと⋮⋮
だ と し た ら 俺 を 襲 っ て き た の は ガ イ ア っ て 事 に な る
︶ !
﹂ ﹂ も通り撤収しようと思ったのだが今回は相手が悪かった。 にハウンドがやられる事は、別段珍しいことでは無かったので、いつ
使い自身は戦闘域からは離れている事が普通だ。今回のように超人
そもそも魔物使い自身の身体能力は一般人と変わらないので、魔物
だが︶ 超人だと確信した。︵実際にはガーディアンは全くもって関係ないの
ンドに攻撃を仕掛けさせたが、逆に返り討ちにされてガーディアンの
の五人は、一般人に魔物の存在を見られたために消そうと思ってハウ
ガイアの魔物使い、正確に言うなら洲崎の率いる強硬派の魔物使い
り、その場所に向かって物凄いスピードで飛んだ。 知しながら、人間から微弱に出ている別の放射線のベクトルを感じ取
一方通行は残りのハウンドを蹂躙し、周囲の放射線のベクトルを感
ラップにしてやるよ三下共がァ
なァ。今日散々な目にあってイライラしてたところだしよォ、スク
て奴かァ
?
﹁こんにちわァ。スクラップの時間だぜェ
﹁⋮⋮
?
ぶち込まれ、脳味噌を撒き散らしながら言葉を発する事なく絶命し
た。 残りの魔物使い達は呆然とその様子を眺めていた。 ﹁何が起きたか分かンねェって顔してやがンな。ただそこら辺に落ち
てる石ころを音速でぶち込ンでやっただけだ﹂ 魔物使い達はそれを聞いて戦慄する。この超人は音速で物を飛ば
すのを﹁だけ﹂で済ました。この超人はこれまで相手にしてきたどの
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?
魔物使いの一人が驚き目を見開くが、物凄いスピードで石が頭部に
!?
超人よりも化け物じみていると思い、こんな化け物をガーディアンは
今まで隠していたという新事実を受け、上に連絡を取ろうとその場か
ら離れようとしたが、一方通行相手にそんな事は不可能だった。 一方通行はその場を離れようとした一人に物凄いスピードで近づ
き、肌に触れ、生体電流、いわゆる身体の動きをつかさどる電気の流
れをズタズタに乱す。 その結果、声をあげることなくまた一人の人間の命が消えた。 ﹂ ﹁おいおい、先に手ェ出して来たのはテメェらだろォが、まさかこれで
終わりだなンて言わねェよなァ
魔物使い達に残っていたのはもう恐怖心だけだった。目の前の白
い悪魔は人を殺す事に躊躇せず、尚且つこちらが束になっても敵わな
い力を持っている。 後先構わず逃げ出そうとしたが一方通行はそれを許さない。 残る三人のうち一人は体内の血流を逆流させられ、また一人は全身
の骨をぐしゃぐしゃにされ、残った最後の一人は一体目のハウンドと
同様に音速を越える速さで壁に頭から叩き込まれ、それぞれ絶命し
た。 ﹁チッ⋮⋮雑魚が。つまんねェ⋮⋮﹂ 一方通行はそう吐き捨て、元いた路地裏に戻って行った。 一方通行が路地裏に戻ると同時に、元の風祭市に戻り、帰路を歩き
ながら脳内で考えを纏める。 いや、決めつけンのはよくねェな。それにいきなり
︵あそこには魔物がいた。つまりあそこはガイアの用意した拠点みた
いな場所かァ
てェだな。それにしても魔物ってあンなもンなのか⋮⋮
連中だとしても正直拍子抜けだぞ︶ いったレベルなのだ。 下っ端
想定していたのだが、いざ蓋を開けてみればレベル3でも対処可能と
と聞かされていたので、弱くてレベル4、最悪エイワス並みの戦力を
なっていた。世界を滅ぼす原因になりうる︽鍵︾を巡って争っている
一 方 通 行 の 中 で は 今 の ガ イ ア の 脅 威 性 は 想 定 よ り も か な り 低 く
?
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?
襲い掛かって来たところをみるに一般人に見られるのは不味いみ
?
︵まァ、まだ下っ端連中にしか遭遇してねェから雑魚と決めつけンの
よく分かンねェが、そういう可能性も
も早いかァ。それよりあの場所にガイアは間違いなく関係してそォ
だ。あそこに鍵がいンのか
考えていた方がいいかもな︶ 一方通行は今日新たに分かった情報を脳内で整理し、そのままマン
ションに帰っていった。
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