タ イ ト ル : 『インドネシアの日本語教師不在地域における テレビ会議システムを活用した日本語教育の可能性と問題点』 発 表 者 : 甲賀 真広(首都大学東京大学院 人文科学研究科) 共 著 者 : 小澤 貴之*1;新垣 李加子*1(*1首都大学東京大学院 人文科学研究科) 高野 駿*2;田中 美緒*2(*2首都大学東京 都市教養学部) 概 要 本発表はインドネシア国内において日本語学習環境にない学習者に、 日本語を楽しむ機会を提供するため、テレビ会議システムによるe-Learning 授業を試み、考察したものである。 この試みを通じて日本語話者と会った 時に基礎的な会話ができることを目指した。 特に人間行動学の観点 か ら 対 面 授 業 と 比 べ た e-Learning 授 業 の 問 題 点 と 利 点 を 考 察 し た 。 まず、問題点は以下の通りである。 1 視線や指さし方式による指名、指示が伝わりにくい動作学的問題 2 直接触れての指名や注意ができない身体接触論的問題 3 現場指示用法の指示詞(こそあ)の近称(こ)、中称(そ)、遠称(あ) の指導の問題 4 教師と学習者との距離の調節による授業のメリハリがつけられない 近接空間論的問題 5 教室内での机間巡視が制約され、一人一人の学習行動を把握、 統制ができない問題 また、利点は以下の通りである。 1 ズーム機能を用いた視線管理により、見せたいものを限定して 効果的な提示ができる。 2 口元をズームすることで、後列の生徒も口の動きを模倣できる。 3 チームティーチングを行う際に、複数人の教師がいることによる 圧迫感を与えない。 4 文化差や男女差による教師と学習者との物理的距離の考慮がいらない。 5 懸念されたマガーク効果が見られなかったことで、音声教育の際に 口元を見せて教えることができた。 本発表の結果から、人間行動学の観点から見てもテレビ会議システムを活用 し言語教育を行う意義が確認できた。
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