骨伝導技術を利用した耳鼻科診療用椅子の実用化

骨伝導技術を利用した耳鼻科診療用椅子の実用化
○ 石 橋 睦 美 *1)、 神 田 浩 一 *1)、 三 上 和 正 *2) 、 小 林 丈 士 *2) 、 宇 田 川 好 隆 *3)
1.はじめに
耳鼻科診療時に、聴力の弱い人や治療
圧電式骨伝導スピーカ
によって一時的に気導聴力が低下してい
る人との会話が困難となる場合がある。
この問題を解消し、診療時の秘話性を確
保するため、耳鼻科診療椅子のヘッドレ
ウレタンフォーム
ストに装着して使用する、骨伝導スピー
図1 着脱可能な骨伝導スピーカ内蔵枕カバー
カ 内 蔵 の 枕 カ バ ー を 開 発 し た( 図 1)。マ
イクロフォンにより収音した音を、骨伝
導スピーカから再生し、直接、聴感覚器に伝達して、音を聞かせるものである。着脱可能
な枕カバーとするため、薄型の圧電式骨伝導スピーカを使用した。骨伝導スピーカによる
聴力補助の効果を把握するため、単語了解度に関する主観評価実験を行った。
2.実験方法
骨伝導スピーカ
実験システムを図 2 に示す。四音節から成る
マイクロフォン
フィルター
内蔵枕カバー
単語を話声再生用スピーカから、受聴位置にお
話声再生用
け る 一 単 語 の 等 価 騒 音 レ ベ ル が 50dB と な る よ
スピーカ
う 再 生 し た ( 条 件 I)。 さ ら に 、 話 声 再 生 用 ス ピ
ーカからの音をマイクロフォンにより収音し、
フィルターを通して、枕カバーに埋め込まれた
暗騒音
骨 伝 導 ス ピ ー カ か ら 再 生 し た ( 条 件 II、 III)。
再生用
スピーカ
条 件 II で は 中 央 と 両 端 の 3 個 の 骨 伝 導 ス ピ ー カ 、
条 件 III で は 中 央 を 除 く 4 個 の 骨 伝 導 ス ピ ー カ
コンピュータ
から再生した。暗騒音として、2 つのスピーカ
図 2 実験システム図
か ら -6dB/oct. Band の 周 波 数 特 性 を 持 つ 定 常 雑 音
を 受 聴 位 置 で 45dB と な る よ う に 再 生 し た 。
被験者は診療椅子に座り、ヘッドレストに頭をつけた状態で、スピーカから再生された
単 語 を 2 回 繰 り 返 し て 聞 い た 後 、 そ の 単 語 を 口 頭 で 回 答 し た 。 単 語 数 は 各 条 件 50 個 で あ
る 。 被 験 者 は 加 齢 性 又 は 伝 音 性 難 聴 者 を 含 む 50 歳 ∼ 60 歳 の 男 女 7 名 で あ る 。
4.まとめ
耳鼻科診療時における会話を補助するために、
骨伝導技術を利用した耳鼻科診療椅子を開発し、
その有用性を主観評価実験により検討した。さら
に小さい再生レベルでも単語了解度を向上させる
ため、フィルターを検討して改善を図りたい。
条件I
100
90
正答率 [%]
3.結果・考察
4 つの音節すべてを正答した単語の割合を、被
験者ごとに図 3 に示す。いずれの被験者も、話声
再生用スピーカのみの場合(■)に比べて、骨伝
導スピーカを付加した場合に、正答率が増加する
結果が得られた。この結果から、骨伝導スピーカ
による聴力補助の効果が認められた。
表
条件II
条件III
YYYYYYYYYYYY
80
70
60
50
A
図 3
B
C
D
E
被験者
F
単語了解度実験の結果
*1) 光 音 グ ル ー プ 、 *2) エ レ ク ト ロ ニ ク ス グ ル ー プ 、 *3) 有 限 会 社 京 浜 医 科 工 業 所
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