プレートテクトニクス 2016-4 講義骨子メモ 5 プレート境界(3)収束境界 5.1 収束型境界 convergent boundary • 沈み込み帯 subduction zone • 一方のプレートが他方のプレートの下に沈み込む • 深発地震面によって明らか • 島弧ー海溝系を形成 • 海洋プレート(海底がプレートの大半を占めるプレート)が大陸プレート(大陸がプ レートの大半を占めるプレート)の下に沈み込む場合 • • 古い海洋プレートが新しい(若い)海洋プレートの下に沈み込む場合 • • 千島、日本、南海、スンダ、ジャワ、中米、ペルー、メキシコ.......多数 伊豆小笠原、マリアナ 衝突体 collision zone • 大陸プレートどうし、もしくは比較的大きな大陸地殻を持つプレートどうしが収束 • • ヒマラヤ、伊豆 褶曲山脈の形成とプレート境界の移動 5.2 沈み込み帯の構造 5.2.1 (島)弧ー海溝系 arc-trench system • 海溝外縁隆起帯 trench outer buldge , アウターライズ outer rise • • • • プレート沈み込みに伴い、海溝海側に生じるゆるやかな高まり:海溝から120150km プレートの弾性的なまげで形態的には説明される 海溝 trench • 弧をなす∼球殻テクトニクス • 大規模重力異常 前弧 forearc • 付加型:海溝に堆積した陸源砕 物と海洋プレートと共に運ばれてきた遠洋堆積 物や海洋性地殻の断片が、前弧域で圧縮され逆断層と褶曲の発達によって陸側に おしつけられて上盤側プレートに付け加わった地層を付加体 accretionary prism と呼ぶ • 典型例:南海トラフ( 中部山岳(多雨+隆起)から富士川を経て多量の陸 源物質の供給) • 侵食(浸食)型: 沈み込む海洋プレート上に地溝・地塁地形が発達し、地溝の一 部が海底地滑り堆積物などで埋められた状態で沈み込む • • 典型例:日本海溝 火山弧・火山フロント volcanic arc , volcanic front • 海溝からみて最初の火山帯のはじまり • スラブの深さの等深線10km程度の場所に位置する プレートテクトニクス 2016-4 講義骨子メモ • • 日本海溝の場合は概ね海溝から300km付近 背弧 backarc • 伸張場になることがある=背弧拡大・背弧海盆の形成 5.2.2 沈み込むスラブ slab • 基本は660km不連続面まで(上部マントル) • 660km付近で停滞(stagnant) • 突発的に下部マントルに崩落 5.2.3 沈み込み帯の2類型 5.2.3.1 チリ型 • 浅い海溝、比較的浅い(30度)スラブの沈み込み角 • 比較的若い年代の(暖かい)プレートが沈み込む • 上盤プレートの内部は圧縮場が卓越 5.2.3.2 マリアナ型 • 深い海溝、急なスラブの沈み込み角 • 比較的古い年代の(冷たい)プレートが沈み込む • 上盤プレートの内部は伸張場が卓越∼背弧拡大 5.2.4 背弧の地質構造 • 主に西太平洋の縁辺(太平洋の西側)で太平洋プレートが沈み込む島弧ー海溝系におい て、背弧に海洋性地殻からなる小規模な盆地(海盆)が形成される:背弧海盆 backarc basin • マリアナ型沈み込み帯では、背弧が伸張場となり背弧拡大が進行 • 背弧リフト(正断層による凹地の形成)から海底拡大へ進化 • どのような条件で背弧が伸張場になるかは諸説ありいまだに決定的な説明なし 5.3 なぜ沈み込むのか • 沈み込みが続行するためには、スラブの密度が周囲のアセノスフェアの密度より大きいこ とが必要(負の浮力):計算例は別添メモ参照(瀬野「プレートテクトニクスの基礎」よ り) • 大陸地殻は平均密度が小さく、かつ地殻の厚さが厚いので、プレート全体の平均的な 密度が比較的小さく、沈み込むことができない。 • 海洋地殻は平均密度が大陸よりは大きい(マントル物質よりは軽い)が、地殻の厚さ が薄いので、収束境界においてプレートが十分に冷えて(古くなって)いれば、プレー ト全体の平均的な密度は周囲のアセノスフェアより大きくなり、沈み込みが可能 • • 上記の冷却の効果のみを考えると、概ね40百万年より古くなると沈み込み可能 非常に若い海底で、リソスフェアの平均密度がアセノスフェアよりも軽いとしても、 連続する収束境界の他の部分が古くて沈み込んでいれば(もしくは既に古いプレート の沈み込みが過去に進行しているのであれば)、ひきずられて沈み込む可能性はある。 • 例:チリ海嶺の沈み込み、四国海盆の南海トラフ沈み込み プレートテクトニクス 2016-4 講義骨子メモ • 沈み込んだスラブが深さ90km程度に達すると、地殻を構成する玄武岩はエクロジャイ ト相(高圧変成相)に変わり、アセノスフェアより高密度になる。従って、沈み込み は助長される。 • 沈み込みの開始がどのように起こるかは未解決の問題 • 例:マッコーリ海嶺、日本海東縁 5.4 プレート境界地震 • 逆断層(だけではない)の発達 • 歪み速度が大きく断層が活動的な幅は広い • 発散境界における広い狭い境界域と対照的 5.4.1 プレート境界地震 • 逆断層型、巨大地震(M>8)はほぼこのタイプ • 南海地震(1946), 太平洋東北沖地震(2011), スマトラ地震(2004).......... • 沈み込むプレートの深さが10-40,50kmまでの範囲:地震発生帯 seismogenic zone • それより浅いところで安定すべり プレート境界非地震帯 aseismic zone 5.4.2 沈み込むプレート内部の地震 • 海溝外縁隆起帯での浅い正断層型の地震+深部では圧縮型も: 北海道東方沖(2007) • 例外的に2012.4スマトラで横ずれ巨大断層が発生(張力場はプレートまげで説明 できる。プレートの断裂帯に沿って割れたか) • スラブ内地震 • 二重深発地震面 深さ~200km程度まで • やや深発∼深発地震 • 本来は断層運動が起こる温度圧力条件ではない • やや深発(~400km)ではdown-dip tension, 深発(∼650km)ではdown-dip compression型の地震が発生 • 発生メカニズムについてはいまだよくわからない 5.4.3 上盤プレート内部の地震 • 圧縮場で地質構造や温度構造の不均質による弱線に沿って断層運動 • 逆断層+横ずれ断層が多い • 規模はM7クラスでも都市直下のため被害が大きくなることが多い • 兵庫県南部地震(1995) 5.5 島弧火成活動 • 中央海嶺下と異なり、地下の温度(くさび状マントル部分)は高くない • 島弧下に沈み込む海洋プレートの上部(主に海洋性地殻の部分)には、粘土鉱物など の変質鉱物として水が十分に含まれている。岩石の割れ目に遊離の水としても存在す る。 • 沈み込みに際して(ある温度圧力になると)水が絞り出されてくさび状マントルに供 給される プレートテクトニクス 2016-4 講義骨子メモ • マントル物質のとけはじめる温度は、無水か含水かによって大きく異なり、水を含む 場合はとけはじめ温度が下がる :加水融解 • 上盤プレートに既に存在する地殻とも反応∼多様な組成に
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