平 成 2 8 年 度 農作物病害虫 防除対策情報 第7号 平成28年9月30日 秋田県病害虫防除所 なし黒星病菌の越冬量が多くなる予想 ~ 落葉期防除と落葉処理を徹底してください ~ 1.現在までの発生状況と今後の発生予想 本年は6月以降に発生が急増し、9月中旬の巡回調査における果そう葉の発病葉率は0.6%(平年 0.1%)と高く、発生地点率は45.5%(平年19.0%)とやや高かった(図-1、2)。 県内のほとんどのなし園地では8月中旬以降、殺菌剤が散布されておらず、さらに8月中旬~9 月上旬の降水量が平年並~かなり多く推移したことから園地内の菌密度が高まっていると推測され る。 9月29日に仙台管区気象台から発表された東北地方1か月予報によると、向こう1か月の降水量は ほぼ平年並と予報されている。 以上のことから、今後翌年の一次伝染源である秋型病斑(罹病葉:図-3)及び芽りん片病斑が増 加する可能性があるため、防除対策を徹底する必要がある。 2.防除対策 1)落葉期防除 ・芽りん片病斑は果そう基部の病斑(図-4)となり、葉や果実への二次伝染源となる。芽りん片 への感染を予防するため、晩生種の収穫終了後速やかに表-1から薬剤を選択し散布する。散布 7日後の落葉率が50%未満である場合、もう一度散布する。 ・散布液量は300L/10aを目安とする。スピードスプレーヤで防除する場合は、1列おきではなく 全列を走行し、かつ低速で丁寧に散布する。 ・スコア顆粒水和剤等のEBI剤及びナリアWDG等のQoI剤は、耐性菌出現のリスクを増大 させるので落葉期防除には使用しない。 ・収穫終了後に薬剤防除を行った場合、次作の薬剤使用回数としてカウントされるため注意す る。 2)落葉処理 ・秋型病斑による越冬量を減らすため、積雪前に園内の落葉を集め土中深く埋めるか焼却する。 被害果は園地に放置せず速やかに土中深く埋める。 3.資料 発病葉率(本年) 発病葉率(平年) 0.7 発生地点率(本年) 発生地点率(平年) 0.6 60 1 50 0.8 0.6 30 0.4 20 発病葉率( %) 発生地点率( %) 40 発病葉率(%) 0.5 0 0.1 0 5月 6月 7月 8月 0 9月 H18 調査時期 図-1 本年の発生状況の推移(果そう葉) 0.3 0.2 0.2 10 0.4 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 図-2 9月中旬の発生状況の年次推移(果そう葉) - 1 - 図-3 秋型病斑 図-4 果そう基部の病斑 表-1 なしの黒星病の落葉期の防除薬剤 分類 農薬名 希釈倍数 使用回数 各成分の総使用回数 B チオノックフロアブル 500倍 5回以内 ア B トレノックスフロアブル 500倍 5回以内 ア D・A オキシラン水和剤 500~600倍 9回以内 イウ D オーソサイド水和剤80 600~1,000倍 9回以内 イ W デランフロアブル 1,000倍 4回以内 5回以内 A:銅剤 B:有機硫黄剤 D:ポリハロアルキルチオ剤 W:その他の殺菌剤 ア:チウラム(5回以内(休眠期は1回以内)) イ:キャプタン(9回以内) ウ:有機銅(12回以内(塗布は3回以内、散布は9回以内)) 【 問合せ先 】 秋田県病害虫防除所 ℡ 018-881-3660 秋田県果樹試験場 ℡ 0182-25-4224 かづの果樹センター ℡ 0186-25-3231 天王分場班 ℡ 018-878-2251 掲載HP http://www.pref.akita.lg.jp/bojo/ - 2 -
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