凝 固 の 知 識 3.測定手技 3-C異常の発見 3-C-1異常の発見 データ異常が見つかった場合、まず、凝固時間、次に凝固曲線を調べます。凝固時間は短縮か、あるいは延長である かの情報が判ります。凝固曲線の情報からは、特にΔHが正常に得られているか、曲線そのものに異常がないかを調べ てください。それらの結果から、異常の原因が、①検体であるのか、②試薬であるのか、③機器であるのか、を推定しま す。通常は原因は一つであり、複合的に異常が発生することはありませんので、如何なる手法を使っても一つに原因を絞 り込むことが重要です。 (1)検体の場合 短縮傾向の結果となる場合には、以下の2点が主要な原因となります。 ①トロンビン等の試薬が検体にコンタミしたためによるもの ②採血ミス、あるいは採血管不良(抗凝固剤の不良や、シリコン処理の不良) 延長傾向の結果となる場合には、多様な原因が考えられますので、例えば次の点を確認し、対応を図りま す。 ①薬剤の投与により、データ異常を引き起こしていないか? ②採血ミス、あるいは採血管不良を起こしていないか?(クエン酸 Na が多い) ③経時変化、保存条件の不良(CO ガスが抜け、pHが高くなっている) ④Clot を発生していないか? ⑤検体のコンタミ、検体の取り違えや血清検体を使用していないか? ⑥特異的な検体であるか、 ⑦他の検体、あるいは他の項目測定結果との比較 (2)試薬の場合 短縮傾向の結果となる場合には、以下の2点が主要な原因となります。 ①トロンビン等の試薬がコンタミしたためによるもの ②試薬溶解方法の間違い、取り違え、試薬設置場所の間違い 延長傾向の結果となる場合には、多様な原因が考えられますので、例えば次の点を確認 し、対応を図ります。 ①溶解手技のミス?、溶解液の取り違え?、溶解液量の間違い? ②溶解後の経時変化?、保存条件の不良? ③洗浄液・緩衝液は良好か? ④試薬設置場所の間違い? ⑤試薬のコンタミ? ⑥他の検体、あるいは他の項目測定結果との比較 (3)機器の場合 ①機器内部の汚れ・故障の状況を調べる。汚れている場合にはその時点できれいに清掃 する。(←次に動作させた時に異常が発見し易くなる) ②データ異常が突発的であるか、継続的であるかを調べる。 ③次に、凝固曲線においてΔHが適正であるか調べる。 ④温度・流体系を調べる。 (試薬や緩衝液・洗浄液の設置間違いや、残量不足であることが以外と多い)。 キャリーオーバーしていないか? 3-C-2対応方法 原因は、検体、または、試薬、または機器のいずれかであって2つが原因となることは、まづありませ ん。―つの原因に絞り込み、対応するようにします。 ただ、「凝固反応そのものがおかしい?」と考えられる場合、フィブリンクロットの形成においては下 記の要因が影響を与えますので、留意しておいてください。 (1) PH (2) 電気伝導度 (3) 浸透圧 (4) Ca (5) 撹拌 (6) 安定化剤 (7) その他の測定条件 設問(20):異常が発生したら、凝固曲線を見るべきである、か? Yes or No
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