日照不足に対する農作物被害防止対策 平成28年9月29日 農政部経営技術課 日照不足に関する栃木県気象情報第1号(平成28年9月26日14時10分 宇都宮地 方気象台発表)によると、栃木県では、9月中旬から前線や湿った気流の影響で、日照時間 の少ない状態が続き、9月11日から25日までの日照時間は、平年の40パーセント以下 の所が多くなっている。 今後10日間程度は、前線や南からの暖かく湿った気流の影響で、日照時間の少ない状態 が続く見込みなので、農作物の管理等に十分注意する。 ○日照時間(9月11日から9月25日まで)(速報値) 日照時間(h) Ⅰ 平年比(%) 宇都宮 21.9 40 日光 14.8 30 普通作物 1 水稲 (1)出穂期後10日間の高温と、断続的な降雨に伴う玄米水分の変化により、胴割粒が発 生しやすい条件となっている。刈り遅れは胴割粒の他、着色粒、発芽粒等の発生も増 加させることから、適期収穫に努める。 (2)水温が低い地域等で水口付近の生育が大幅に遅れている場合は、刈り分けを行う。 (3)降雨、倒伏等により高水分籾を乾燥機に張り込む場合、2~3時間通風乾燥を行い、 低い温度(35℃程度)から逐次昇温し乾燥を行うなど、きめ細かな対応を行い、胴割 れ防止に努める。 また、コンバイン収穫作業時に詰まったワラを取り除くときには、巻き込まれ事故 を防ぐため、エンジンを止めて作業するなど、農作業安全に努める。 2 大 豆 (1)排水溝を整備する等、排水対策を徹底する。 3 こんにゃく (1)排水溝を整備する等、排水対策を徹底する。 (2)葉枯病や腐敗病等の発生を防ぐため、登録農薬を定期的に散布する。 (3)病害株は速やかに、ほ場外に搬出する。 Ⅱ 野 1 菜 野菜全般 (1)曇雨天時の葉かきや芽かき等は極力控え、これらの管理は晴天日の午前中に行い、 夕方には傷口が乾くようにする。 (2)茎葉が徒長し、生理的落果や病害の多発を招きやすいので、古葉や側枝は早めに取 り、風通しと日当たりを良くする。状況に応じて登録農薬で予防散布を徹底する。ま た、ハウス栽培のかん水は多量に行わず、1回当たりの量を少なくして調節する。追 肥は多肥とならないよう生育に応じて行う。 (3)果菜類では不良果の摘果を行うとともに、小果(S~Mクラス)で収穫し、株の着 果負担を軽くする。 2 いちご (1)炭疽病等の発生が見受けられるので、防除をしっかり行う。また、スカイベリーは 灰色かび病に弱い傾向にあるので、防除を徹底する。 (2)地温上昇を防ぐために設置していた寒冷紗等は速やかに外す。また、定植後の活着 を促進させるため、こまめなかん水を心がけ、土壌の乾燥に注意する。 (3)肥料不足にならないよう、状況に応じて葉面散布等で追肥を行う。 (4)葉面積を確保するため、葉かき作業は最低限とする。 3 トマト (1)育苗中の苗は、徒長を防ぐため株間を広げる。 (2)かいよう病、疫病、茎えそ細菌病等が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹 底する。 (3)早めに炭酸ガス施用の準備を整え、曇天であっても積極的に炭酸ガスを施用して光 合成を促進する。 4 に ら (1)さび病、葉腐病、白絹病等が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹底する。 5 夏秋なす (1)全面マルチ栽培では、マルチ上への滞水を防止する。 (2)花や果実に光が当たるように整枝や葉かきを行う。 (3)うどんこ病や褐色腐敗病等が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹底する。 6 レタス、キャベツ、ブロッコリー、はくさい (1)病害が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹底する。 7 ね ぎ (1)土入れ・土寄せは、降雨後の過湿状態では行わない。 (2)べと病、黒斑病、さび病等が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹底する。 8 ほうれんそう (1)苗立枯病やべと病等が発生しやすいので、登録農薬で予防防除を徹底する。 9 う ど (1)黒斑病が発生しやすいため、登録農薬で予防防除を徹底する。 Ⅲ 果 1 樹 果樹全般 (1)各樹種とも重要病害が発生しやすいため、病害に対応した登録農薬を散布する。ま た、罹病した葉や果実は、次年度の発生源になるので適正に処分する。 (2)降雨が続く場合は、明きょ等による排水対策を実施する。 2 な し (1)収穫終了後、直ちに秋肥を施用する。 Ⅳ 花き全般 日照不足による軟弱徒長で、品質の低下と灰色かび病等の発生が助長されるので、曇雨 天時は遮光せず、できる限り日照を確保する。また、施設内の通気を図り湿度を下げるよ うに努める。 Ⅴ 飼料用とうもろこし 1 湿害を防ぎ機械作業を速やかに行えるよう、ほ場の排水対策を施し、天候の合間を見 て収穫作業を行う。 2 日照不足で生育が遅れている場合は、子実の熟期を確認して適期を判断する。 3 刈り遅れや生育不良で品質低下が懸念される場合は、糖分や乳酸菌等のサイレージ添 加剤を利用する。 4 品質低下や、日照不足による硝酸態窒素の蓄積が懸念されるサイレージは、飼料分析 を行う、泌乳初期の給与量を控えるなど、給与方法に注意する。 (注意) ※ 農薬の使用にあたっては、使用基準(適用作物、希釈倍数、使用時期、使用回数等) を厳守する。同一成分の使用回数にも制限があるので注意する。 ※ 農薬散布にあたっては飛散防止に十分注意する。 9月~11月は「秋の農作業安全確認運動」の実施期間です。 安全作業の第一歩! 機械の日常点検は必ず行いましょう。
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