台風9号に対する農作物技術対策(第2報) 平成28年8月23日 農政部経営技術課 Ⅰ 普通作物 1 水 稲 (1) 冠水や浸水の被害を受けたほ場は、速やかに排水を行う。 (2) 水尻を開け、水位の低下とともに排水するが、倒伏・冠水しているようなほ場は 畦畔を切って早めに排水する。 (3) 収穫期の地域において、倒伏や穂発芽の発生などにより品質の低下が懸念される 場合には、可能な限り速やかに収穫作業を開始する。 (4) 倒伏したほ場の収穫作業は、土壌を取り込まないよう高めに刈取り、速度を落と して丁寧に行う。 (5) 籾が汚れた場合は仕分け収穫する。 (6) 高水分籾を収穫した場合は、急激な乾燥を避ける。 (7) 普通植は、白葉枯病、いもち病の発生が懸念されることから、適切な防除を行う。 2 大 豆 (1) 冠水や浸水したほ場は、速やかに排水を行う。 (2) 腐敗粒やべと病等の発生が懸念されることから、適切な防除を行う。 3 そ ば (1) 冠水や浸水したほ場は、速やかに排水を行う。 4 はとむぎ (1) 冠水や浸水したほ場は、速やかに排水を行う。 (2) 葉枯病の発生が懸念されることから、適切な防除を行う。 Ⅱ 野 菜 いちご (1) ハウス周辺に土のう等を配置し、新たな浸水を防ぐ。 (2) 水中ポンプ等を利用して、速やかに排水対策を行う。 (3) ベッドが崩れている場合には、速やかに修繕を行う。大規模に崩壊した場合は、 土壌水分が適湿になるのを待って、畝上げ機等を利用して畝の修復を行う。 (4) 根部が洗い出されたものは株元に土寄せを行う。 (5) 今後定植ほ場の準備を行う場合は、土壌水分が適湿になるのを待ってから行う。 (6) ゴミ等が流れ込んでいる場合には、速やかに除去する。 (7) 炭疽病の発生が懸念されるので、速やかに登録農薬を散布する。 (8) 高冷地育苗など土耕で育苗を行っている場合、泥はねによる炭疽病やイチゴメセ ンチュウなどの発生が懸念されるので、特に、生長点付近に付いた土砂を動噴等を 用いてよく洗い流す。その後、採苗までほ場が固まらないように中耕を行う。 (9) ほ場全体が冠水し、病害虫の発生が懸念される場合には、ほ場がある程度乾燥す るのを待って、早急に土壌消毒を行う。定植前の土壌消毒が2回目になる場合には、 前回と同一成分の登録農薬は使用しないよう注意する。 (10) 花芽分化した苗の定植作業が遅れる場合には、苗の老化を防ぐため、窒素入り葉 面散布剤等を散布する。 (11) 本ぽでは、草勢維持のため、窒素入り葉面散布剤等で追肥する。 1 - 1 - (12) 破損したハウス等は、速やかに修繕を行う。また、夜冷庫など電気設備について は、必ず通電や動作確認を行う。 2 夏秋なす (1) 冠水や浸水等を受けたほ場は、明渠の拡大や水中ポンプの利用により、速やかに 排水を行う。 (2) 大雨等により支柱が傾倒したものは修復し、誘引がずれたものは誘引をやり直す。 側枝が折れたものは剪定する。 (3) 風ずれにより発生した傷果は摘果する。損傷の著しい葉も摘葉する。 (4) 灰色かび病、菌核病、褐色腐敗病等が発生しやすいので、登録農薬で予防的に防 除する。 (5) 冠水・浸水等による根傷みが懸念されるので、摘果や若どりにより着果負担を軽 減する。また、窒素入り葉面散布剤等の散布により草勢の回復を図る。 (6) 草勢維持のため、10a当たり窒素、加里を成分で3㎏程度追肥する。 3 ブロッコリー (1) 冠水や浸水等を受けたほ場は、明渠の拡大や水中ポンプの利用により、速やかに 排水を行う。 (2) 定植直後で、農作物が冠水または流失した場合は、補植するか他品目へ変更する。 (3) 黒腐病、軟腐病等が発生しやすいので、天候の回復を待ち、登録農薬で予防的に 防除する。 (4) 生育促進を図るため、10a当たり窒素・加里を成分で2㎏程度追肥する。 4 ズッキーニ (1) ハウス栽培の場合は、周辺に土のう等を配置し、新たな浸水を防ぐ。また、湛水や 浸水等を受けたほ場は、明渠の拡大や水中ポンプの利用により、速やかに排水を行う。 (2) 葉が折れたものは摘葉し園外に持ち出す。 (3) 傷果は摘果する。損傷の著しい葉も摘葉する。 (4) 軟腐病等が発生しやすいので、天候が回復次第、登録農薬で予防的に防除する。 (5) 冠水・浸水等による根傷みが懸念されるので、 摘果や若どりにより着果負担を軽減 する。また、窒素入葉面散布剤等の追肥により草勢の維持・回復を図る。 5 ね ぎ (1) 冠水や浸水等を受けたほ場は、速やかに排水を行う。 (2) 倒伏したものは直ちに起こす。 (3) 土壌の乾燥を待ち、再度土寄せする。 (4) べと病、さび病、黒斑病等が発生しやすいので、天候が回復次第、登録農薬で予防 的に防除する (5) 草勢の回復を図るため、10a当たり窒素・加里を成分で3㎏程度追肥する。 Ⅲ 果 樹 1 な し (1) 落下した果実は速やかにほ場外へ持ち出し処分する。 (2) 浸水しているほ場は、速やかに排水を行う。 - 2 - Ⅳ 畜産 飼料用とうもろこし (1) ほ場に排水溝を設けて滞水を排出し、ほ場に機械が入れる状態になったら早めに収 穫する。 (2) 倒伏したとうもろこしを収穫する際は、ハーベスタに詰まりやすいので作業速度を 控えめにし、土砂を混入させないよう高刈りする。土砂等の付着したとうもろこしは、 サイレージの品質を劣化させるので収穫しない。 (3) 倒伏したもの、水分の高いもの、刈り遅れたものは品質劣化が避けられないので、 細断・踏圧などの基本技術を励行し、乳酸菌などのサイレージ添加剤を利用する。 (4) 水分調整が必要な場合は、ふすまやビートバルプなどで調整する。 (5) 熟期が若く折損や倒伏が軽微な場合は、回復の可能性もあるので適期収穫に努める。 1 Ⅴ 特用作物 1 こんにゃく (1) 冠水や浸水したほ場は速やかに排水を行う。 (2) 表土が流出して芋や根が露出した場合には早急に土寄せを行う。 (3) 腐敗病等が発生しやすいので、ボルドー液に抗生物質(登録農薬)を加えて防除 する。 2 たばこ (1) 浸水したほ場は速やかに排水を行う。 (注意) ※ 農薬の使用にあたっては使用基準(適用作物、希釈倍数、使用時期、使用回数等)を 厳守する。同一成分の使用回数にも制限があるので注意する。 ※ 農薬散布にあたっては飛散防止に十分注意する。 ※ 倒伏、冠水等により土壌等が付着すると、放射性物質に汚染される恐れがあるので、 収穫物に混入しないよう注意する。 - 3 -
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