化学基礎

2016（平成28）年度
全学部統一入試
（一般入試Ｓ日程）
化学基礎
［60 分］
各問題を解くにあたって，必要があれば次の数値を使用せよ。
原子量 H　1．
0
C　12
O　16
Zn　65
アボガドロ定数　6．
0 × 1023 /mol
標準状態で 1 mol の気体が占める体積　22．
4L
13
1
【問題 1 】　次の問 1 ～11 に答えよ。（解答番号　～
）
問 1 次のａ・ｂに当てはまるものを，それぞれの解答群の 1 ～ 7 のうちから一つずつ
選び，番号で答えよ。
ａ　単体であるもの　1
1 塩酸　2 硫化水素　3 アンモニア　4 エチレン
5 臭素　6 リン酸カルシウム　7 酢酸
ｂ　単結合のみからなる分子　2
1 酸素　2 二酸化炭素　3 酸化カルシウム　4 塩化銀
5 アンモニア　6 ポリエチレンテレフタラート　7 窒素
化－1
ウ
ア
問 2 原子核と電子殻の構造に関する次の文章中の空欄
（～
）
に当ては
まる語句や数字の組合せとして最も適当なものを，下の 1 ～ 8 のうちから一つ選び，
番号で答えよ。　3
ア
原子核に含まれる陽子の数をという。原子核の中の陽子の数と中性子の
イ
数の和をという。電子殻は内側から順に
K 殻，L 殻，M 殻，N 殻などとよ
ウ
ばれる。ナトリウム原子の L 殻には電子が個存在している。
ア
イ
ウ
1
原子番号
質量数
1
2
原子番号
質量数
8
3
原子番号
原子量
1
4
原子番号
原子量
8
5
価数
質量数
1
6
価数
質量数
8
7
価数
原子量
1
8
価数
原子量
8
化－2
問 3　338 g の硝酸カリウムに 20 g の塩化ナトリウムが混じっている混合物を 200 g の水
かくはん
（室温）に加え，撹拌しながら徐々に温度を上げ溶解させていった。ちょうど 80 ℃ま
で加熱した時，すべて溶解した。これを 10 ℃に冷却して硝酸カリウムを分離した。
次の（1）・（2）の問いに答えよ。ただし，硝酸カリウムと塩化ナトリウムの水に対す
る溶解度と温度の関係を図 1 に示す。溶解した塩化ナトリウムの存在は硝酸カリウム
の溶解度に影響を与えないものとする。また，溶解した硝酸カリウムの存在も塩化ナ
トリウムの溶解度に影響を与えないものとする。
180
溶解度（g/水 100g）
160
硝酸カリウム
140
塩化ナトリウム
120
100
80
60
40
20
0
0
10
20
30
50
40
温度（℃）
60
70
80
図1
（1）このように少量の不純物を含んだ固体物質を適当な液体
（溶媒）に溶かし，温度
による溶解度の変化などにより固体の物質中の不純物を除く操作を何というか。次
の 1 ～ 7 のうちから最も適当なものを一つ選び，番号で答えよ。
4
1 ろ過　2 蒸留　3 分留　4 再結晶
5 昇華による分離　6 抽出　7 ペーパークロマトグラフィー
（2）本操作では何 g の固体の硝酸カリウムを分離することができたか。次の 1 ～ 8
のうちから最も近い数値を一つ選び，番号で答えよ。ただし，得られた固体の硝酸
5
カリウムには塩化ナトリウムや水は含まれないものとする。
g
1 140　2 150　3 160　4 170
5 270　6 290　7 310　8 330
化－3
問 4 図 2 は元素の性質が原子番号（横軸）とともに変化する様子を示している。A，B そ
れぞれの縦軸は何の変化を示しているか。その組合せとして最も適当なものを，下の
6
1 ～ 9 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
A
B
大
大
0
1
5
10
15
0
18
1
5
原子番号
10
原子番号
図2
A
B
1
イオンの価数
イオン化エネルギー
2
イオンの価数
電気陰性度
3
イオンの価数
原子の半径
4
価電子の数
イオン化エネルギー
5
価電子の数
電気陰性度
6
価電子の数
原子の半径
7
原子の原子価
イオン化エネルギー
8
原子の原子価
電気陰性度
9
原子の原子価
原子の半径
化－4
15
18
問 5　次の周期表では，各領域がア～ケで概略的に示されている。各領域に関する下の記
述
（ａ～ｅ）のうち誤りを含むものが二つある。その組合せとして最も適当なものを，
周期
1
下の 1 ～ 0 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
7
族
12
1
6
4
5
6
7
8
9
10
11
13
14
ウ
3
5
3
15
16
17
18
ア
2
4
2
キ
ク
イ
エ
オ
カ
7
ａ　領域クの元素をハロゲン元素という。
ｂ　領域ア，カ，キの元素は非金属元素である。
ｃ　領域ケの元素を希ガス元素という。
ｄ　領域イの元素をアルカリ金属元素という。
ｅ　領域ウとエの元素をアルカリ土類金属元素という。
1 ａ・ｂ　2 ａ・ｃ　3 ａ・ｄ　4 ａ・ｅ　5 ｂ・ｃ
6 ｂ・ｄ　7 ｂ・ｅ　8 ｃ・ｄ　9 ｃ・ｅ　0 ｄ・ｅ
化－5
ケ
問 6　次の記述（ａ～ｈ）のうちで誤りを含むものはいくつあるか。最も適当な数を下の 1
8
～ 9 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
ａ　不対電子の数と価標の数は等しい。
ｂ　分子式，イオン式，組成式，化学式などを総称して構造式という。
ｃ　イオン結合している原子間に電荷のかたよりがあるとき，結合に極性があるという。
ｄ　ドライアイスは二酸化炭素分子が規則正しく並んでできたイオン結晶である。
ｅ　H2O 分子には 2 組の共有電子対と 2 組の非共有電子対がある。
ｆ　アンモニアの分子模型は正四面体形である。
ｇ　原子価はその元素のもつ不対電子の数に等しい。
ｈ　17 族の元素の不対電子の数はゼロである。
1 1　2 2　3 3　4 4　5 5
6 6　7 7　8 8　9 0
問 7　表 1 は原子（ア～エ）の中性子の数と原子番号を表わしている。下のａ～ｃに当ては
まる組合せとして最も適当なものを，下の 1 ～ 8 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
9
表1
原子
ア
イ
ウ
エ
中性子の数
22
20
20
22
原子番号
18
19
20
19
ａ　互いに同位体であるもの
ｂ　陽子と中性子の数が同じもの
ｃ　原子 1 個あたりの質量がもっとも大きいもの
ａ
ｂ
ｃ
1
アとエ
イ
ウ
2
アとエ
イ
エ
3
アとエ
ウ
ウ
4
アとエ
ウ
エ
5
イとエ
イ
ウ
6
イとエ
イ
エ
7
イとエ
ウ
ウ
8
イとエ
ウ
エ
化－6
問 8　図 3 の原子の電子配置
（A ～ E）に関して，下のア～ウに当てはまる記号または数字
の組合せとして最も適当なものを，下の 1 ～ 8 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
ただし，中心の丸（　）は原子核
（n は陽子の数）
を，その外側の同心円は電子殻を，
円周上の丸（
）は電子をそれぞれ表す。
Ａ
Ｂ
－
2＋
－
－
－
－－
8＋
10
Ｃ
－
－－－
－－
－
－
Ｄ
－
－－－
－
－
12＋
－
Ｅ
－
－－－
－－－
－
－
－
－
－
16＋
－
－
－
－
－
－－－
－
図3
ア　化学的性質の似ている原子の組合せ
イ　陽イオンになりやすいものの数
ウ　二価の陰イオンになりやすいものの数
ア
イ
ウ
1
BとE
2
1
2
BとE
2
2
3
BとE
3
1
4
BとE
3
2
5
AとD
2
1
6
AとD
2
2
7
AとD
3
1
8
AとD
3
2
化－7
－
－
11＋
－
－
－－
－
問 9　身の回りの製品や現象に関する次の記述
（ａ～ｅ）のうちで誤りを含むものはいくつ
あるか。最も適当な数を，下の 1 ～ 6 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
11
ａ　洗剤を構成する分子は，水になじみやすい部分と水になじみにくい部分とからな
り，ある濃度以上になるとミセルという粒子を作り油汚れを包み込む。
ｂ　冷たい飲み物を入れたガラスコップの表面に水滴がついた。この現象を凝固とい
う。
ｃ　鉄が酸化するときの発熱作用は携帯用カイロに利用されている。
ｄ　ポリエチレンテレフタラートは，バケツやポリ袋などに広く使われている。
ｅ　鍾乳洞は，セッコウを主成分とする石灰石が地下水により溶けてできた洞穴であ
る。
1 1　2 2　3 3　4 4　5 5　6 0
問 10　有史以来人類の採掘した金の総量は約 17 万トン
（t）という。それはオリンピック
プール約何個分になるか。最も適当な数値を，次の 1 ～ 9 のうちから一つ選び，番号
で答えよ。ただし，金の密度を 19 g/cm3 とし，また，オリンピックプールは長さ
12
50 m，幅 25 m，深さ 3 m の直方体とみなして計算せよ。
個分
1 2．
4
2 4．
6
3 8．
8
4 24
5 46
6 88
7 240
8 460
9 880
化－8
問 11　次の金属に関する記述（ａ～ｇ）のうちで誤りを含むものはいくつあるか。その個
数として最も適当なものを，下の 1 ～ 8 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
13
ａ　アルミニウムは軽い金属であり，すべての金属の中で展性が最大である。
ｂ　銀はフィルム写真の材料・食器・装飾品などに用いられる。
ｃ　鉄は湿った空気中に放置すると，赤さびを生じる。
ｄ　金は化学的に非常に安定であり，さびを生じることはない。
ｅ　銅は赤色の光沢があり，すべての金属の中で電気を最もよく導く。
ｆ　金属の単体は常温ではすべて固体である。
ｇ　金属結合の力は分子間力より小さい。
1 1　2 2　3 3　4 4
5 5　6 6　7 7　8 0
化－9
26
14
【問題 2 】　次の問 1 ～4 に答えよ。（解答番号　～
）
問 1 次の（1）
～（4）
の問いに答えよ。
（1）2015 年 3 月における空気中の二酸化炭素分子数の割合は 0．
04 ％であった。空気
1 mol の中には二酸化炭素分子は何個あるか。最も適当な数値を次の 1 ～ 9 のうち
14
から一つ選び，番号で答えよ。
個
1 5．
5 × 1019　2 1．
5 × 1020　3 1．
8 × 1020　4 2．
4 × 1020
5 5．
5 × 1020　6 1．
5 × 1021　7 1．
8 × 1021　8 2．
4 × 1021
9 5．
5 × 1021
（2）次のａ～ｃに記す原子や分子の数がアボガドロ数より少ないものはどれか。最
も適当なものを下の 1 ～ 7 のうちから一つ選び，番号で答えよ。
15
ａ　オゾン 40 g の分子の数
ｂ　ポリエチレン 15 g に含まれる炭素原子の数
ｃ　標準状態で 20 L のアルゴンの中に含まれるアルゴン原子の数
1 ａ
2 ｂ
6 ｂ・ｃ
7 ａ・ｂ・ｃ
3 ｃ
4 ａ・ｂ
5 ａ・ｃ
（3）質量パーセント濃度が 46．
0 ％の酢酸水溶液の密度は 1．
05 g/cm3 である。この溶
液 300 mL に含まれる酢酸の物質量は何 mol か。最も適当な数値を次の 1 ～ 0 のう
16
ちから一つ選び，番号で答えよ。
mol
1 0．
242
2 0．
276
3 0．
336
4 0．
828
5 1．
12
6 2．
42
7 2．
76
8 3．
36
9 8．
28
0 11．
2
（4）マグネシウムの同位体の存在比を 24Mg：25Mg：26Mg＝8：1：1 とするとき，マ
グネシウムの原子量はいくらか。最も適当な数値を次の 1 ～ 0 のうちから一つ選
び，番号で答えよ。ただし，24Mg，25Mg，26Mg の相対質量はそれぞれ 24．
0，25．
0，
26．
0 とする。　17
1 24．
1　2 24．
2　3 24．
3　4 24．
4　5 24．
5
6 24．
6　7 24．
7　8 24．
8　9 24．
9　0 25．
0
化－10
問 2 不純物を含む亜鉛片を 0．
50 g，1．
00 g，1．
50 g，2．
00 g，2．
50 g となるように測り取
り，それぞれを 2．
0 mol/L の希塩酸 15 mL と混合し水素を発生させた。標準状態で
水素の体積を測定したところ，以下のようになった。下の
（1）
～（3）の問いに答えよ。
ただし不純物は希塩酸とは反応せず，また用いた亜鉛片は均質であるとする。
反応させた亜鉛片の質量〔g〕
0.50
1.00
1.50
2.00
2.50
発生した水素の体積〔mL〕
157
314
336
336
336
（1）反応させる亜鉛片の質量が 1．
50 g 以上の場合，発生する水素の体積が同じであ
る理由として最も適当なものを，下の 1 ～ 6 から一つ選び番号で答えよ。
18
ち
1 亜鉛片の表面に緻密な酸化物の被膜を作ったため。
2 反応によって出来る塩が酸の水溶液に溶解せず，亜鉛片に付着したため。
3 発生した水素が亜鉛片に付着したため。
4 加えた希塩酸がすべて反応に使われたため。
5 不純物のイオン化傾向が小さかったため。
6 反応の初期では亜鉛は水素より陽イオンになりやすかったが，反応の後期では
陽イオンになりにくくなったため。
（2）実験に用いた亜鉛片中の亜鉛の質量パーセントはいくらか。最も適当なものを
19
％
次の 1 ～ 5 から一つ選び，番号で答えよ。
1 98　2 96　3 91　4 65　5 46
（3）亜鉛を次に示す他の金属と置きかえた場合に水素を全く発生しないものはどれ
か。最も適当なものを次の 1 ～ 7 から一つ選び，番号で答えよ。
1 K
2 Pb
6 Na
7 Mg
3 Hg
化－11
4 Ni
5 Al
20
問 3 過酸化水素水の濃度を測定するために，濃度既知の過マンガン酸カリウム水溶液
を徐々に加えて滴定を行った。この滴定に関する（1）～
（4）の問いに答えよ。
エ
ア
（1）この滴定の反応を表す次の化学反応式の係数
（～
）
の組合せと
して最も適当なものを下の 1 ～ 6 から一つ選べ。
21
＋
－
2＋
ア
イ
ウ
エ
→　O
＋ H
H
2O2 ＋ 2MnO4 ＋ H
2 ＋ 2Mn
2O
ア
イ
ウ
エ
1
1
6
4
10
2
2
4
4
4
3
3
2
5
4
4
4
8
4
8
5
5
6
5
8
6
6
8
5
10
オ
キ
（2）この滴定実験の条件についての次の文章中の空欄
（～
）
に当て
はまる用語の組合せとして最も適当なものを下の 1 ～ 8 のうちから一つ選べ。
22
オ
反応を酸性条件下で行うためを加える。滴定の終了は過マンガン酸イ
カ
キ
オンの色が安定して
ことを指標とする。
オ
カ
キ
1
硝酸
赤紫
消えなくなる
2
硝酸
赤紫
消える
3
硝酸
緑
消えなくなる
4
硝酸
緑
消える
5
硫酸
赤紫
消えなくなる
6
硫酸
赤紫
消える
7
硫酸
緑
消えなくなる
8
硫酸
緑
消える
化－12
（3）この滴定において，2 種の水溶液の体積を正確に測定するそれぞれの器具の組合
せとして最も適当なものを次の 1 ～ 8 から一つ選び，番号で答えよ。
過マンガン酸カリウム水溶液の体積
過酸化水素水の体積
1
ビュレット
メスフラスコ
2
ビュレット
コニカルビーカー
3
ビュレット
ホールピペット
4
ビュレット
メスシリンダー
5
メスフラスコ
ビュレット
6
コニカルビーカー
ビュレット
7
ホールピペット
ビュレット
8
メスシリンダー
ビュレット
23
（4）濃度を測定する過酸化水素水 10．
0 mL に酸を加え，0．
030 mol/L の過マンガン酸
カリウム水溶液 12．
50 mL を加えたところで滴定が終了した。過酸化水素水のモル
濃度として最も適当な数値を次の 1 ～ 8 の中から一つ選び，番号で答えよ。
24
mol/L
1 0．
038
2 0．
056
3 0．
075
4 0．
094
5 0．
11
6 0．
15
7 0．
19
8 0．
23
化－13
問 4 次の（1）
・（2）
の問いに答えよ。
（1）
次の水溶液（ａ～ｃ）を，pH の小さな順に並べたとき，その順序として最も適
当なものを，下の 1 ～ 6 の中から一つ選び，番号で答えよ。
25
ａ　0．
02 mol/L の塩酸 10．
0 mL と 0．
02 mol/L のアンモニア水を 10．
0 mL 混合した
水溶液。
ｂ　0．
02 mol/L の塩酸 10．
0 mL と 0．
02 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を
10．
0 mL 混合した水溶液。
ｃ　0．
02 mol/L の酢酸 10．
0 mL と 0．
02 mol/L の水酸化ナトリウム水溶液を
10．
0 mL 混合した水溶液。
1 ａ＜ｂ＜ｃ　2 ａ＜ｃ＜ｂ　3 ｂ＜ａ＜ｃ
4 ｂ＜ｃ＜ａ　5 ｃ＜ａ＜ｂ　6 ｃ＜ｂ＜ａ
（2）下線で示す物質が還元剤としてはたらいている化学反応式を，次の 1 ～ 5 から
一つ選び，番号で答えよ。　26
1 Fe2O3 ＋ 3CO → 2Fe ＋ 3CO2
2 Fe ＋ 2HCl → FeCl2 ＋ H2
3 NaClO ＋ 2HCl → NaCl ＋ H2O ＋ Cl2
4 CaO ＋ H2O → Ca（OH）2
5 2Na ＋ 2H2O → 2NaOH ＋ H2
化－14

Download Report