生物基礎

2016(平成28)年度
全学部統一入試
(一般入試S日程)
生物基礎
[60 分]
【第 1 問】 細胞に関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 6 )に答えよ。
(解答番号 1 ~ 10 )
A 細胞の基本構造はどの生物でも共通であるが、染色体を包む核膜の有無によって細胞
は大きく 2 つのグループに分けられる。動物や植物は( ア )生物であり、染色体が核
膜で包まれた細胞からできている。一方、大腸菌やネンジュモなどの( イ )生物は、
細胞質基質中に DNA をもつが、それを包む核膜はもっていない。両者の共通点は、細胞
の内外が細胞膜で仕切られていることや、細胞内に DNA をもっていることなどである。
問 1 文章中の空欄(ア)
、
(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 1 イ 2
① 無核
② 無核膜
③ 原核
④ 有核
⑤ 有核膜
⑥ 真核
B 生 物 の 体 内 で 起 こ る 多 く の 化 学 反 応 に は、 酵 素 が 関 係 し て い る。 酵 素 の 本 体 は
( ウ )であり、細胞内でつくられ、生体内で化学反応を( エ )する。酵素には、
細胞内ではたらくものと細胞外ではたらくものがある。例えば、細胞内では、ミトコンド
リアには( オ )に関係する酵素群が、葉緑体には( カ )に関係する酵素群が存在
し、それぞれ決まったはたらきをする。細胞外ではたらく酵素には、( 1 )デンプンをグルコ
ースに分解する際に関係する 2 種類の消化酵素がよく知られている。また、細胞内や血液
中には、過酸化水素を速やかに水と酸素に分解する( キ )という酵素が存在している。
問 2 文章中の空欄(ウ)
、
(エ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑦のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ウ 3 エ 4
① 炭水化物
② リン脂質
③ タンパク質
④ 維持
⑤ 活性化
⑥ 触媒
⑦ 調節
生-1
問 3 文章中の空欄(オ)
、
(カ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 オ 5 カ 6
① 消化
② 発酵
③ 呼吸
④ 吸収
⑤ 光合成
問 4 文章中の空欄(キ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 7
① カタラーゼ
② マルターゼ
③ ペプシン
④ アミラーゼ
⑤ リゾチーム
問 5 文章中の下線部(1)の記述において、これらの酵素は何というか。適当なものを、
次の①~⑤のうちから二つ選べ。 8 9 (順不同)
① カタラーゼ
② マルターゼ
③ ペプシン
④ アミラーゼ
⑤ リゾチーム
問 6 文章中の下線部(1)の記述において、分解する反応のことを何と呼ぶか。最も適
当なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。 10
① 変質
② 反応
③ 変化
④ 同化
⑤ 異化
⑥ 消化
生-2
【第 2 問】 遺伝子とそのはたらきに関する次の文章を読み、以下の問い(問 1 ~問 8 )に
答えよ。
(解答番号 11 - 20 )
タンパク質は、DNA の遺伝情報をもとにつくられる。DNA の遺伝情報を RNA に写し
取る過程を( ア )と呼び、RNA の塩基配列をタンパク質のアミノ酸配列に変換する
過程を( イ )と呼ぶ。
( イ )の際は、RNA の連続した塩基( ウ )個の配列が
1 つのアミノ酸を指定する。
以下のように、 4 位以降の塩基配列が AGA のくり返しである RNA を人工的に合成し
た。この人工 RNA の 1 から 6 位の塩基のうち、いずれか 1 つ、または複数の塩基がない
RNA を用いて、試験管内でタンパク質を合成する実験をした。いずれか 1 つの塩基がな
い RNA を用いたとき、どの場合でもグルタミン酸を含む 2 つ以上のアミノ酸からなるタ
ンパク質が合成され、( 1 ) 3 種類のアミノ酸からなるタンパク質が合成される RNA が 1 種
類だけあった。連続して 2 つの塩基がない RNA を用いたときは、どの場合でもリシンが
含まれており、
( 2 )グルタミン酸を含むタンパク質が合成される RNA が 1 種類だけあった。
ただし、
( イ )は最初の塩基から始まるものとし、アルギニンを指定する塩基配列は
AGA と AGG の 2 種類、グリシンを指定する塩基配列は GGA、GGC、GGG、GGU の 4
種類のみとする。
123456
人工 RNA の塩基配列:AAGAGAAGAAGAAGA・・・・・
問 1 文章中の空欄(ア)
、
(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑧のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 11 イ 12
① 転写
② 発現
③ 複製
④ スプライシング
⑤ 転移
⑥ 分裂
⑦ 翻訳
⑧ 分化
生-3
問 2 文章中の空欄(ウ)に入る数字として最も適当なものを、次の①~⑥のうちから一
つ選べ。 13
① 1
② 2
③ 3
④ 4
⑤ 5
⑥ 6
問 3 グルタミン酸を指定する塩基配列として適当なものを、次の①~⑧のうちから二つ
選べ。 14 15 (順不同)
① AAA
② AGA
③ AAG
④ GAA
⑤ GGA
⑥ AGG
⑦ GAG
⑧ GGG
問 4 リシンを指定する塩基配列として最も適当なものを、次の①~⑦のうちから一つ選
べ。 16
① GGG
② GGA
③ AGG
④ AAG
⑤ AGA
⑥ GAG
⑦ GAA
生-4
問 5 文章中の下線部(1)の RNA は何位の塩基がなかったと考えられるか。最も適当
なものを、次の①~⑥のうちから一つ選べ。 17
① 1
② 2
③ 3
④ 4
⑤ 5
⑥ 6
問 6 文章中の下線部(1)の 3 種類のアミノ酸の組み合わせとして最も適当なものを、
次の①~④のうちから一つ選べ。 18
① グルタミン酸、リシン、アルギニン
② グルタミン酸、リシン、グリシン
③ グルタミン酸、アルギニン、グリシン
④ リシン、アルギニン、グリシン
問 7 文章中の下線部(2)の RNA は何位の塩基がなかったと考えられるか。最も適当
なものを、次の①~⑤のうちから一つ選べ。 19
① 1 と 2
② 2 と 3
③ 3 と 4
④ 4 と 5
⑤ 5 と 6
生-5
問 8 A と G だけからなる RNA を用いた際、アルギニンとリシンのみを含み、その比率
が 3 : 1 となるタンパク質が合成された。このときの A:G の比率として最も適当な
ものを、次の①~⑦のうちから一つ選べ。 20
① 1 : 1
② 1 : 2
③ 1 : 3
④ 2 : 1
⑤ 2 : 3
⑥ 3 : 1
⑦ 3 : 2
生-6
【第 3 問】 ホルモンに関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 7 )に答
えよ。(解答番号 21 - 30 )
A 生体には、体液中のホルモン濃度を適正な値に調節するしくみが備わっている。例え
ば、甲状腺から分泌される( 1 )チロキシンの場合、その分泌量は( ア )から分泌され
る甲状腺刺激ホルモンの作用を受けており、
( ア )はさらに( イ )の支配を受け
ている。( 2 )血液中のチロキシンの濃度により( イ )からの甲状腺刺激ホルモン放出ホ
ルモンの分泌量は変化する。
問 1 文章中の空欄(ア)
、
(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 21 イ 22
① 視床下部
② 副腎髄質
③ 副甲状腺
④ 脳下垂体前葉
⑤ 副腎皮質
⑥ 脳下垂体後葉
問 2 文章中の下線部(1)のはたらきとして最も適当なものを、次の①~④のうちから
一つ選べ。 23
① 血糖濃度の上昇
② タンパク質合成の促進
③ 物質代謝の促進
④ 血管の収縮
問 3 文章中の下線部(2)に関する説明として最も適当なものを、次の①~④のうちか
ら一つ選べ。 24
① チロキシンの濃度が高くなると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌量は増
加する。これを正のフィードバックという。
② チロキシンの濃度が高くなると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌量は低
下する。これを負のフィードバックという。
③ チロキシンの濃度が低くなると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌量は増
加する。これを正のフィードバックという。
④ チロキシンの濃度が低くなると、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌量は低
下する。これを負のフィードバックという。
生-7
問 4 ホルモン分泌に関する説明として適当なものを、次の①~⑤のうちから二つ選べ。 25 26 (順不同)
① 血液中のカルシウム濃度が減少すると、パラトルモンの分泌量が増加する。
② 体液中の塩類濃度が増加すると、バソプレシンの分泌量が減少する。
③ 血液中の糖質コルチコイド濃度が増加すると、副腎皮質刺激ホルモンの分泌量が
抑制される。
④ 血糖値が上昇すると、インスリンの分泌量が減少する。
⑤ 血圧が低下すると、アドレナリンの分泌量が減少する。
生-8
B ネズミの甲状腺除去手術を行い、 4 週間後から毎日、チロキシンを一定量注射した結
果、ホルモンの血中濃度には、次の図のような変化がみられた。
血中濃度(相対値)
チロキシン
10
5
0
ホルモンA
15
a
10
b
5
0
c
0
↑
甲状腺
除去
4
↑
チロキシン
注射開始
週
図
問 5 図中のホルモン A の名称として最も適当なものを、次の①~⑧のうちから一つ選
べ。 27
① バソプレシン
② 副腎皮質刺激ホルモン
③ 甲状腺刺激ホルモン
④ パラトルモン
⑤ アドレナリン
⑥ 鉱質コルチコイド
⑦ グルカゴン
⑧ 成長ホルモン
問 6 チロキシンの注射量を 5 倍に増やした場合、ホルモン A の血中濃度の変化を示す
図中の曲線として最も適当なものを、次の①~③のうちから一つ選べ。 28
① a
② b
③ c
生-9
問 7 チロキシンの注射量を 5 倍に増やし、 6 か月が経過した場合のネズミの状態として
適当なものを、次の①~⑤のうちから二つ選べ。 29 30 (順不同)
① 酸素やグルコースの消費が増え、代謝が亢進した。
② 成長ホルモンの分泌量が増え、体重が著しく増加した。
③ 活動が活発になり、体重が著しく減少した。
④ 呼吸数が減り、体温が低下し、活動がにぶくなった。
⑤ 成長や組織の分化が遅れ、低血糖になった。
生-10
【第 4 問】
バイオームに関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 5 )に
答えよ。
(解答番号 31 - 40 )
A 陸上におけるバイオームは、おもに気候と降水量や季節変動など地域の環境に適応し
た特徴を示し、森林、草原、荒原に分けられる。これらの環境では、さまざまな植物や動
物が生活している。
次の表は、陸上のバイオームの一部についてまとめたものである。
表
相観
バイオーム
気候
代表的な植物
熱帯多雨林
一年中高温多湿である
( オ )
雨緑樹林
( ウ )
チーク
( ア )
( エ )
草原
ステップ
温帯で雨量が少ない
( カ )
荒原
( イ )
年平均気温がマイナス 5 ℃以下
コケ植物
ジャコウウシ
ホッキョクヤナギ
( ク )
森林
と極めて低い
代表的な動物
ナマケモノ
ジャガー
( キ )
ベンガルトラ
コルクガシ
アナウサギ
オリーブ
ムフロン
スナネズミ
モウコノウマ
問 1 表中の空欄 (ア)
、
(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ア 31 イ 32
① 夏緑樹林
② サバンナ
③ 照葉樹林
④ 針葉樹林
⑤ ツンドラ
⑥ 硬葉樹林
生-11
問 2 表中の空欄(ウ)
、
(エ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうちか
らそれぞれ一つずつ選べ。 ウ 33 エ 34
① 多雨であるが低温の時期がある。
② 熱帯、亜熱帯と同じ気候にあり、雨季と乾季がある。
③ 冬は温暖で降水量が多く、夏は暑くて乾燥する。
④ 熱帯、亜熱帯の乾燥地域である。
⑤ 温帯や熱帯の乾燥地で、年間降水量が極端に少ない。
⑥ 冬の寒さが穏やかな暖温帯地域である。
問 3 表中の空欄(オ)
、
(カ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうちか
らそれぞれ一つずつ選べ。 オ 35 カ 36
① カラマツ
② サボテン
③ ウェルウィッチア
④ フタバガキ
⑤ アザミのなかま
⑥ ミズナラ
問 4 表中の空欄(キ)
、
(ク)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうちか
らそれぞれ一つずつ選べ。 キ 37 ク 38
① トナカイ
② イタチ
③ フェネック
④ サソリ
⑤ シマウマ
⑥ アジアゾウ
生-12
B 日本のマングローブは、世界のマングローブの中で最北に位置し、南西諸島から九州
の南端の亜熱帯地域にかけて分布している。マングローブは、潮が満ちると海水に浸る泥
質土壌の場所での生育に適応した生活形をもつ樹木で構成されている。これらの樹木には
メヒルギ、オヒルギなどのように体を支えるための( ケ )根をもつものや、ハマザク
ロのように酸素不足を補う役割となる、
( コ )根をもつものが存在する。
問 5 文章中の空欄(ケ)
、
(コ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑥のうち
からそれぞれ一つずつ選べ。 ケ 39 コ 40
① 支柱
② 液胞
③ 呼吸
④ 塩類
⑤ 菌
⑥ 吸収
生-13
【第 5 問】
生態系の保全に関する次の文章(A・B)を読み、以下の問い(問 1 ~問 8 )
に答えよ。
(解答番号 41 - 50 )
A 自然の生態系では、構成する生物の種類や個体数、非生物的環境などは、ある程度変
動しながらも、一定の範囲内に保たれていることが多い。これを、
( ア )という。し
かし、大きな攪乱が生じると、生態系が別の状態に移行する。
アメリカの( イ )は、
( ウ )年に、特定の生物の有無によってバランスが乱れ、
多様性が失われる生態系があることを実験で示した。ある岩礁の潮間帯では、岩の上には
りつき、ゆっくりと移動しながら生活するカサガイやヒザラガイ、岩に固着して生活する
イガイ、フジツボ、カメノテなどの動物が多数みられた。このほかに、巻貝やヒトデなど
の動物がみられた。
( イ )は、この場所からヒトデを除去する操作を続け、この岩礁
にヒトデが全く存在しない状態を保った。すると、( 1 ) 2 種類の動物の個体数が著しく増加
したが、他の動物はほとんどみられなくなってしまった。この結果から、潮間帯岩礁に生
活する動物の集団の構造には、ヒトデの存在が大きい影響を与えていることが明らかにな
った。この潮間帯岩礁におけるヒトデのように、生物の集団の構造に強い影響力を与える
生物を( エ )種という。
次の図の矢印の向きは、捕食される向きを示し、矢印が太いものほど多く捕食されるこ
とを示している。
ヒトデ
巻貝
カメノテ
フジツボ
イガイ
カサガイ
ヒザラガイ
図
問 1 文章中の空欄(ア)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 41
① 自然浄化
② 生物多様性
③ 生物的環境
④ 生態系のバランス
⑤ 生態ピラミッド
生-14
問 2 文章中の空欄(イ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 42
① フンボルト
② クレメンツ
③ タンズリー
④ ベイリス
⑤ ペイン
問 3 文章中の空欄(ウ)に入る数字として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 43
① 1951
② 1956
③ 1961
④ 1966
⑤ 1971
問 4 文章中の空欄(エ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 44
① パイオニア
② キーストーン
③ グリーンアノール
④ チャルガル
⑤ シャルガフ
生-15
問 5 文章中の下線部(1)について、ヒトデを除去し続けた結果、個体数が著しく増加
したと考えられる動物の組み合わせとして最も適当なものを、次の①~⑧のうちから
一つ選べ。 45
① カサガイ、ヒザラガイ
② カサガイ、イガイ
③ カサガイ、フジツボ
④ カサガイ、カメノテ
⑤ ヒザラガイ、フジツボ
⑥ イガイ、フジツボ
⑦ イガイ、カメノテ
⑧ フジツボ、カメノテ
B 河川の環境汚染の度合いは、( オ )生物を調査することによって知ることができ
る。
( オ )生物は、比較的( カ )環境条件に生息する生物である。淡水の水質に
関しては、( 2 )Ⅰ群(比較的きれいな水域に生息)
・Ⅱ群(ⅠとⅢの中間的な水域に生息)
・
Ⅲ群(有機物汚染の進んだ水域に生息)の( オ )生物が知られている。
問 6 文章中の空欄(オ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~⑤のうちから一
つ選べ。 46
① 尺度
② 標準
③ 評価
④ 基準
⑤ 指標
問 7 文章中の空欄(カ)に入る語句として最も適当なものを、次の①~④のうちから一
つ選べ。 47
① 幅の広い
② 流れの速い
③ 流れの遅い
④ 幅の狭い
生-16
問 8 文章中の下線部(2)に生息する生物として適当なものを、次の①~⑧のうちから
三つ選べ。 48 49 50 (順不同)
① サカマキガイ
② セスジユスリカ
③ サワガニ
④ ミズムシ
⑤ イモリ
⑥ トビケラ類の幼虫
⑦ ヒル類
⑧ イトミミズ類
生-17