ラクチルセグメントの開発と応用 - 京都工芸繊維大学研究戦略推進本部

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増谷一成
繊維科学センター
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繊維科学センター木村良晴研究員
繊維科学センター山本真揮研究員
繊維科学センター・繊維学系山根秀樹教授
研究員
京都工芸繊維大学繊維科学センター
■ 背景
国内で最大量の未利用バイオマスは、農山村地域で
年間約2000万m 3発生する林地残材といわれている。
リグニン
SIP-Lignin
本研究では、林地残材より得られた副産多糖類の高度
低コスト生産による乳酸オリゴマーの合成
合成
また、鎖延長剤を用いてラクチルセグメントの高分子
高機能性樹脂素材
合成
ラクチルセグメント結合体
ラクチルセグメント
末端に反応性の水酸基を有する乳酸オリゴマーである。
粗精製乳酸
開発し、
その応用展開を図る。
ラクチルセグメントは両
糖化液
セルロース残渣
乳酸を用いて新規機能性素材、
ラクチルセグメントを
乳酸プレポリマー
乳酸オリゴマー
利用技術の開発を目的としている。抽出された粗精製
林地残材
鎖延長
年産約800万トンの林地残材
量化も行っており、
これらを用いて農業用資材等に応
用可能な高機能性樹脂素材の開発に取り組んでいる。
■ ラクチルセグメントとは
ラクチルセグメント：環境調和型高機能性プレポリマー
試料
結晶化温度
(ºC)
融点
(ºC)
結晶化度
(%)
2500Ｌ
3000Ｌ
2500 (Ｌ+Ｄ)
3000 (Ｌ+Ｄ)
94.6
96.3
53.1
64.7
121.5
129.7
179.4
191.1
2.0
4.5
35.1
50.6
CH3
CH3
H
ラクチルセグメントの熱的特性
OCHC
CHCO
R
H
m
n
O
O
ラクチルセグメントの特徴
①両末端に反応性の水酸基を有する
②両末端官能基は水酸基だけでなくカルボキシル基にも設計が可能
③高結晶性かつ高融点を有するハードセグメントとして利用可能
④鎖延長反応により高分子量化（ラクチルセグメント結合体）が容易
鎖延長反応
（高分子量化）
ラクチル
セグメント
ソフトセグメントとの鎖延長
HO-(CH2)m-OH
+
ラクチルセグメントの応用展開
Sc型ラクチルセグメント結合体
ラクチルセグメントは新たな機能性ハード
セグメントとして利用展開が可能となる。
ラクチルセグメント・ソフトセグメント結合体
HOOC-(CH2)n-COOH
250
Succinic acid (C4)
ラクチルセグメント
200
ラクチルセグメントD結合体
融点 (oC)
150
Sebacic acid (C10)
100
150
100
50
50
0
0
0
1
2
3
4
5
6
ジオールの
ルの構成炭素数（ｍ）
2000
40
L-2.5k
Sc-2.5k
200
Adipic acid (C6)
7
L-2.5k
Sc-2.5k
L-5k
Sc-5k
破断点伸度 (%)
(1)
ラクチルセグメントL結合体
結晶化度 (%)
ラクチルセグメントの開発と応用
■ お問い合わせ先
融点 (oC)
C
Ce
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30
20
10
L-5k
Sc-5k
20
40
60
80
100
ソフトセグメント組成（wt%）
1000
500
0
0
0
L-2.5k
L-5k
Sc-2.5k
Sc-5k
1500
0
20
40
60
80
100
ソフトセグメント組成（wt%）
0
20
40
60
80
100
ソフトセグメント組成（wt%）
ソフトセグメント組成（wt%）
現在利用されている脂肪族ポリエステルポリオールは融点が100℃を超えるものが少なく、その用途が
制限されている。
ラクチルセグメント-Lおよび-D単独では結晶性が低いが、その混合物はステレオコン
プレックス(Sc)形成により、高結晶かつ高融点のプレポリマーとなる。
＊本研究は、総合科学技術イノベーション会議・内閣府が統括するSIP（戦略的イノベーション創造プログラム）
次世代農林水産業のSIPリグニンの課題内で実施されています。
ソフ
フ
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増谷一成
繊維科学センター
研究員
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繊維科学センター木村良晴研究員
繊維科学センター山本真揮研究員
繊維科学センター・繊維学系山根秀樹教授
ラクチルセグメントの開発と応用
■ お問い合わせ先
京都工芸繊維大学繊維科学センター
■ ラクチルセグメントの市場開拓
ラクチルセグメントは被覆肥料等の農業用資材だけでなく他の分野にも応用できることが期待される。
ステ
レオコンプレックス結晶を形成したラクチルセグメントは高耐熱性および高結晶性を有しており、
ソフトセグメ
ントを含有することでコーティング剤や発泡体、熱可塑性エラストマー等の弾性体として応用することも可能で
ある。現在、被覆肥料等の農業用資材だけでなくラクチルセグメントの様々なニーズ探索を行っている。
種々のラクチルセグメント - ソフトセグメント結合体の用途展開
ソフトセグメント
ハードセグメント
用途
具体例
ラクチルセグメント
高強度部材
射出成型品
ポリエステルポリオール
PTMG、PPG、APG
ラクチルセグメント
熱可塑性エラストマー
樹脂改質剤、フィルム、エラストマー、コーティング剤、
肥料や種などの被覆材
アジピン酸系ポリエステル
ラクチルセグメント
ホットメルト接着剤
本などのバインダー
PEG
ラクチルセグメント
易分解型被覆材
肥料等の被覆材、易分解性コーテイング材、食品ワッ
クス材、3Dプリンター用サポート剤、ハイドロゲル
シロキサンジオール
ラクチルセグメント
熱可塑性エラストマー
フィルム
反応型シロキサン
ラクチルセグメント
塗装膜
コーティング剤
PCL、PEG
ラクチルセグメント
細胞スキャホールド
細胞足場材、ハイドロゲル
ー
ラクチルセグメント-ソフトセグメント結合
ラクチルセグメント-ソフトセグメント結
合体
体試
試作例
熱可塑性エラストマー
発泡体
ハイドロゲル
(2)
未処理
特許
情報
水中浸漬
3 Dプリンター用フィラメント
ステレオコンプレックス結晶性ポリ乳酸プレポリマー組成物出願番号：2013-101269
（有限会社 NKリサーチ）
＊本研究は、総合科学技術イノベーション会議・内閣府が統括するSIP（戦略的イノベーション創造プログラム）
次世代農林水産業のSIPリグニンの課題内で実施されています。

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