ストレス嘔吐彼女と嘔吐フェチ彼氏 文崎 美生 タテ書き小説ネット Byヒナプロジェクト http://pdfnovels.net/ 注意事項 このPDFファイルは﹁小説家になろう﹂で掲載中の小説を﹁タ テ書き小説ネット﹂のシステムが自動的にPDF化させたものです。 この小説の著作権は小説の作者にあります。そのため、作者また は﹁小説家になろう﹂および﹁タテ書き小説ネット﹂を運営するヒ ナプロジェクトに無断でこのPDFファイル及び小説を、引用の範 囲を超える形で転載、改変、再配布、販売することを一切禁止致し ます。小説の紹介や個人用途での印刷および保存はご自由にどうぞ。 ︻小説タイトル︼ ストレス嘔吐彼女と嘔吐フェチ彼氏 ︻Nコード︼ N5212DK ︻作者名︼ 文崎 美生 ︻あらすじ︼ ストレス嘔吐な女の子が好きな作者による気まぐれ嘔吐作品 ※嘔吐表現あり 1 洗面所で水を出しながら、込み上げてきた酸っぱい液体を吐き出す。 胃のある場所が冷たくて気持ち悪い。 内臓そのものが冷えているような感覚で、部屋着の薄手のTシャツ を握り締める。 胃痙攣でも起こしてるような気になるけれど、ただのストレスから 来る胃痛と嘔吐だ。 げぇげぇ、と吐き続ければ楽になる。 酸っぱい液体と水が混ざりあって、ぐるぐると渦を描いて排水溝へ と吸い込まれていくのを、涙で視界を滲ませたまま眺めた。 あぁ、くそ、あのクソ上司。 いつもいつも無理難題を押し付けてきて、上から目線でパワハラを 仕掛けて来る。 今時男尊女卑なんて流行らないっつーの、と心の中で何度吐き捨て ただろうか。 同僚は心配してくれるが、心配するくらいなら止めてくれ、変わっ てくれ。 そんなこと言ってみたとしても、結局自分が大事なのは知ってるか ら無理だろうけれど。 先輩達も憐れみの目を向けてくるが、そんな同情要らないからこっ ち見んな、と言いたい。 ﹁まーた吐いてんの﹂ 水音と心臓の音で足音に気付かなかった。 背後から聞こえた声と一緒に肩を掴まれて、掴んでいた洗面台から 引き剥がされる。 涙で滲む視界の中に映ったのは、同居人で彼氏の男で、黒縁眼鏡越 2 しに私を見ていた。 何となく恍惚とした、蜂蜜みたいにとろりとした目を向けられて、 冷や汗が項を伝う。 ひくり、喉が、胃が、引き攣って悲鳴を上げる。 汚い音を立てて溢れ出た液体を見て、おぉ、と感嘆の声を上げるの が私の彼氏なのか。 少し選択肢を間違えたような気もするが、そのままフローリングの 上に座り込み、流れ出るそれに咽る。 あぁ、くそ、シンドい。 下を向いたせいで落ちてくる雫が鬱陶しいのに、目の前の男はそん な私の心中を知ってか知らずか、無理やり顎を掴んで視線を合わせ てくる。 何だよお前、胃液の味しかしない口から滑り出た言葉は、酷く掠れ ていて自分の声とは思えなかった。 顔を顰める私を見て、嬉しそうに笑う彼氏はもう常軌を逸している。 変態、嘔吐フェチ、異常性癖、そんな言葉が浮かんでは消えていく。 ﹁あーあ、喉焼けてる﹂ 顎を掴んだまま、逆の手で私の口に指を突っ込み、舌を押さえつけ て喉を覗く彼氏。 マジか、お前、空いた口が塞がらないとはこのことだ。 物理的にも表現的にも。 ﹁もう辞めちゃえば?﹂ あぁ、でも、そしたら吐かなくなる?なんて嫌味ったらしい笑顔で 3 言うのが私の彼氏か。 酸っぱい唾液が口の端から流れて、顎を伝って落ちていくのを見な がら、くそ、と呟く。 それが目の前の彼氏に向けられたものなのか、クソ上司に向けられ たものなのかは、私自身分からない。 ついでに翌日、彼氏の言葉通り辞表を提出してやった時に、胃のあ る場所が温かく感じた。 4 PDF小説ネット発足にあたって http://ncode.syosetu.com/n5212dk/ ストレス嘔吐彼女と嘔吐フェチ彼氏 2016年8月31日20時10分発行 ット発の縦書き小説を思う存分、堪能してください。 たんのう 公開できるようにしたのがこのPDF小説ネットです。インターネ うとしています。そんな中、誰もが簡単にPDF形式の小説を作成、 など一部を除きインターネット関連=横書きという考えが定着しよ 行し、最近では横書きの書籍も誕生しており、既存書籍の電子出版 小説家になろうの子サイトとして誕生しました。ケータイ小説が流 ビ対応の縦書き小説をインターネット上で配布するという目的の基、 PDF小説ネット︵現、タテ書き小説ネット︶は2007年、ル この小説の詳細については以下のURLをご覧ください。 5
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