解説速報

平成28年度 第三種電気主任技術者(電験三種)
『電 力』の解答及び解説
中央工科デザイン専門学校 電験三種研究会
問1.答え(5)
発電出力を求める。
発電使用水量=60m3/s、発電運転時間8hなので、発電に使用した水の質量mkgは
m=60m3/s×8h×3600s×1000kg/m3
総落差400m、発電損失水頭3%なので、発電に寄与した落差H発は
H発=400×97%
発電に寄与した水の力学的エネルギーは9.8m/s2×m×H発(J)となり、このエネル
ギーを使って8時間(=8×3600秒)発電したので、発電出力(W)は
発電出力(W)=9.8m/s2×m×H発(J)/8×3600(s)
=198,485×103(W)≒198,500(kW)
揚水入力を求める。
揚水量=50m3/sなので、1秒間に50m3の水が揚水され、その水の質量は
50×103kg/s
となる。また総落差400m、揚水損失水頭3%なので、揚水に要する落差H揚は
H揚=400×103%
揚水に必要とされる力学的エネルギーは9.8m/s2×m×H揚(J)となり、1秒間に入
力される力学的エネルギーは
1秒間の揚水の力学的エネルギー=9.8m/s2×m×H揚
=9.8×50×103×400×103%(J/s)
で与えられる。揚水ポンプの運転効率85%なので、揚水入力(W)は
揚水入力(W)=9.8×50×103×400×103%/85%(J/s=W)
≒237,500(kW)
全揚水量を求める。
発電に要した水量(m3)=60m3/s×8h×3600s(m3)を、揚水量=50m3/
sで貯めることになるので、これを割り算し、時間単位に換算すると約9.6時間
揚水総合効率を求める。
揚水入力(W)=237,500(kW)で9.6時間稼働で、揚水に伴う全入力(J)は
全入力(J)=237,500(kW)×9.6時間
=237,500(kW)×9.6×3600(s)
一方、全出力(J)は発電出力=198,500(kW)で8時間発電なので
全出力(J)=198,500(kW)×8時間
=198,500(kW)×8×3600(s)
したがって、揚水総合効率は両者の比率から69.6%
よって、
(5)
問2.答え(1)
水力発電と汽力発電に使用されるタービンの特徴について、理解することが求められる
問題。考えるヒントとしては、水流速度と蒸気速度では蒸気速度の方が早いことから、解
答を類推することができる。
問題文にもあるように、タービン発電はタービンの回転速度が速いので半径方向に短い
方が有利であり、出力電圧の周波数は一定(50/60Hz)のため、タービン発電の方が
極数数が少なくなる。水車発電が突極機、タービン発電が円筒機となる。
同期インピーダンスは同期発電機を発電端から見たときの出力インピーダンスと考えれ
ばよい。銅機械は電気子巻線の導体数が多いが、鉄機械は少ない。出力インピーダンスが
小さい方が電圧変動率が小さく、安定度も高い。したがって線路充電容量が大きく取れる。
よって、
(1)
問3.答え(2)
(2)節炭器はボイラ給水を飽和温度以上に加熱することはできない。
よって、
(2)
問4.答え(1)
軽水炉で利用されるウランの濃縮度は3~5%程度
使用済み核燃料からウラン、プルトニウムを分離抽出することを再処理
ウランとプルトニウムの混合燃料をMOX燃料
ウラン238のプルトニウムへの変換を利用し、消費核分裂物質よりも多くの量の核分
裂物質を作る炉を高速増殖炉
よって、
(1)
問5.答え(4)
風力発電の発電電力は風速の3乗に比例する。
問6.答え(2)
変圧器の並列運転。変圧器A、Bの基準容量が異なるので、一方の基準容量に合わせる。
ここでは、変圧器Aの容量5000KVAに合わせると、変圧器Bの%インピーダンスは
7.5%×5000KVA/1500KVA=25%
並列運転している変圧器A、Bに6000KVAの負荷をかけると、それぞれの変圧器の
負荷の分担容量は
変圧器Aの分担=6000KVA×25%/(9%+25%)=4412KVA
変圧器Bの分担=6000KVA× 9%/(9%+25%)=1588KVA
変圧器Bが過負荷運転状態となり過負荷運転率は
過負荷運転率=1588KVA/1500KVA×100%=105.9%
よって、
(2)
問7.答え(5)
直流電流の場合、電流ゼロ点がないため遮断は難しい。
よって、
(5)
問8.答え(1)
(ア)
(イ)電圧による誘導なので、キャパシタンスで静電誘導
(ウ)
(エ)電流による誘導なので、相互リアクタンスで電磁誘導
(オ)単位長さ当たりの相互リアクタンスがMで線路の並行区間長がLなので、全リアク
タンスはMLとなる。誘導電圧=2πf×ML×I
よって、
(1)
問9.答え(3)
送電端電圧Vs=22,200V、受電端電圧Vr=22,000Vから、三相送電線に
おける電圧降下を表すと、線電流I、線路抵抗r、線路リアクタンスx、力率cosθと
すると
Vs-Vr=√3×I×(r×cosθ+x×sinθ)
に、それぞれ値を入れ線電流Iを求めると
I=67.57A
負荷の有効電力=√3×I×Vr×cosθ
=1.73×67.57×22,000×0.85
≒2188(KW)
よって、
(3)
問10.答え(5)
マーレーループ法ではケーブルの全長が必要である。
よって、
(5)
問11.答え(4)
(d)地中配電線路の開閉器としてSF6ガスを使ったものもある。
(e)供給用配電箱には変圧器はない
問12.答え(3)
(ア)配電用変圧器
(イ)並列に接続することで電圧降下を減少できる
(ウ)次々と停電する=カスケード
(エ)区分ヒューズの動作時間が、高圧カットアウトヒューズの動作時間より短くなるよ
うに保護協調する。
問13.答え(1)
各線路の線路抵抗値を回路図中に示す(往復で2線分の抵抗なので0.6×長さ×2Ω)。
0.06Ω
0.24Ω
電流i
0.12Ω
0.18Ω
また、線長50mに流れる電流をiとすると点F-点B間で電圧降下を計算すると
107V-96V=0.06Ω×i+0.24Ω×(i-60)
一方、点Fから時計回りでキルヒホッフの第二法則を使うと
0.06×i+0.24×(i-60)+0.18×(i-60-I)+0.12×(i-60-I-80)=0
上の2式から求めたい電流Iを計算すると
I=29.4A
よって、
(1)
問14.答え(4)
鋼心アルミより線は、
「中心に亜鉛メッキ鋼より線を配置し、その周囲に軟アルミ線」と
なっているが、硬アルミ線が正しい。
よって、
(4)
問15.
(a)答え(3)
、
(b)答え(5)
(a)C点とD点のエンタルピー差は3380-2560=820KJ/kgで、使用蒸気
量は100t/hなのでタービンに入力されるエネルギーは単位時間当たり
820KJ/kg×100×103kg/3600秒
タービン出力は18MWなので、タービン効率を計算すると
タービン効率(出力/入力)=18MW/(820KJ/kg×100×103kg/3600秒)×100%
=79%
よって、
(3)
(b)送電端電力が16MWで、所内比率5%なので、発電端電力は
発電端電力=16MW/95%=16.84MW
タービン出力(=発電機入力)が18MWなので、発電機効率は
発電機効率=16.84MW/18MW×100%=93.6%
よって、
(5)
問16.
(a)答え(1)
、
(b)答え(2)
(a)2次側の線間電圧が66KVなので、2次側の相電圧は66/√3KVとなる。
66/√3KV
300Ω
100Ω
地絡時の状態は上図のようになるので、地絡電流Isは
I=66/√3KV÷400Ω=95.3A
よって、
(1)
(b)基準容量はいづれも10000KVAなので、%インピーダンスの変換は不要。
2次側において線間電圧が66KVで、定格負荷時に10000KVAとなるので、定
格電流Inは
In=10000KVA/(√3×66KV)=87.48A
次に、A点から見た%インピーダンスの合成は和でよいので
25%+10%+5%=40%
したがって、短絡電流Isは
Is=In/%Z=87.48A/40%×100%=218.7A
よって、
(2)
問17.
(a)答え(1)
、
(b)答え(1)
(a)バランサをつなぐ前は、下図赤矢印のように電流が流れている。これのバランスを
とるためのバランサは、下図青矢印のように電流が重畳されれば、バランスが取れる。
したがって、バランサのa’-b’間に流れる電流は5Aとなる。
5A
30A
10A
10A
20A
5A
(b)バランサ接続後の電流は下図のようになる。
25A
0A
25A
バランサ接続前後の線路損失をそれぞれ計算すると
接続前損失=0.1×302+0.15×102+0.1×202=145W
接続後損失=0.1×252+0+0.1×252=125W
したがって、その変化量は
145W-125W=20W
よって、
(1)
以上