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図書館情報大学の情報検索システム
石塚英弘・石川徹也・山本毅雄
表1UNIS−NET提供検索システム
1 情報検索システムに対する多様な要求の実現
データベース名称
本学は,全国で唯一の図書館情報学を専門に探
(内容はか)
求する大学である。大学の使命は研究と教育であ
LC−MARC
ると言われる。したがって,本学における情報検
索システムは,単なる研究用の文献調査トゥール
としてだけではなく,教育と図書館業務にも寄与
するものであることが期待される。このようた観
点から,検索対象のデータベースとして第一にあ
げられたものはMARCであった。その理由を次
に示す。
1)凡ゆる分野の本の目録情報が収録されている
ため,情報検索の理論と実際を教育する際の恰
最新4−5年分,23−29万件
UL I S蔵書ファイル
データベース化中刺
(和書,洋書)
UL I S蔵逐刊目録‡!
NDC相関索引
2万件
L I S A
(抄録付き)
1981年,6千件
国語辞典純
7万件
(NDC第8版)
(三省堂)
2)分類,目録,主題分析を教育する際の生きた
科学技術用語辞典
務に有効である。
これらの利用を可能とするには,情報検索機能
と目録業務用検索機能の2つを合わせ持つシステ
500件
(欧文詩)
英和辞典綱
3)図書館業務,特に参考,目録,選書だとの業
最新4−5年分,60−85万件
Japan−MARC
軒の材料である。
教材である。
期間,データ件数
(三省堂)
6万件
15万件
(インタープレス)
西洋人物辞典紬
(日外アソツェーツ)
1万4千件
ヰ15年計画で全蔵書をデータベース化する予定。
沚 システムは東京大学文献情報センターの
まヨ
TOOL・ULPを移植。
棚 研究用にのみ使用。
ムを早急に開発する必要があった。そこで,MA
RC検索システムの設計開発を精力的に行ない,
良質で興味深いシステムも少なくない。
本学に計算機システム(ULIS−NET,Unive正sity
このように,本学の情報検索システムは多様で
of Library and Information Science−Network
あるが,本稿ではMARC検索システムとその教
System)1〕の主システムが搬入され稼働した昭和
育および図書館業務への利用に絞って述べること
57年1月に,LC−MARC,Japan−MARC両検索
にする。
システムを完成し稼働させたわけである。
なお現在では,MARCのほかにも表1に示す
2.情報検索機能と目録業務用検索機能
検索システムが学内に公開されている。また,こ
本学のMARC検索システムに要求された情報
れ以外に本学の教官が個人的に開発し,管理して
検索機能と目録業務用機能は,これまで2つの異
いる検索システムがある。さらに本学では,学生
なるシステムとして実現されるのが常であった。
が検索システムの利用技術を修得するだけでなく,
白らシステムを作成することもできるように種々
1つはDIALOGs〕やORBIT4〕のような情報検
索システムであり,他の1つはOCLC5〕のよう
のトゥール2〕を用意し,教育効果が上がるように
だ目録業務システムである。この2つの設計哲学
配慮している。実際,色々た主題分野に関する検
は互いに異なっており,その結果として検索機能
索システムが卒業研究によって作成されており,
も異なるものが用意されている。
49
図書館情報入学の情報検索システム
情報検索システムの利用者は,自分の知らない
情報を得ようとして漠然とした知識を基に検索す
る。たとえば,本のタイトルを正確に知っている
3.LC−MARCおよびJ町8m−MARC検索シス
テムの特徴
ことはむしろ稀であり,うろ覚えであることの方
本学のMARC検索システム。一として,Japan−
が多い。著者名についても姓しか知らないことが
MARCおよびLC−MARCを紹介する。これ以
よくある。また,キーワードしか知らずに検索を
外に本学蔵書ファイル検索システム(和書,洋書)
することも多い。そのため,キーワードで検索す
があるが,和書はJapan−MARC検索システム,
る機能や著者名で検索する機能などの,いわゆる
洋書はLC−MARC検索システムを一部改良した
一次検索機能のほかに,検索結果をチェックしだ
ものであるので,本稿では説明を省略する。前述
から絞り込んでいく時に用いるANDや,類縁語
で検索して得られた集合の和を採るORなどの集
報検索用と目録業務用の2種類の検索コマンドを
の分析に基づいて,これらの検索システムでは情
合操作機能(二次検索機能)が必要とされる。
用意することにした。表2に情報検索用検索コマ
一方,目録業務システムの利用者は,手元に本
ンドを示す。これらのコマンドは不明確た情報を
を持ち,その日録情報を得ようとして検索する。
基に再現率の高い検索をする際に有効である。ま
著者名やタイトルは,うろ覚えではなく正確にわ
た,表3に目録業務用の検索コマンドを示す。こ
かるのである。いわば,既に知っている情報がデ
れらのコマンドは,本に記入してあるデータその
ータベースにあるかたいかを調べる検索となる。
もの,あるいは単純た加工をしたもので,手早く
そこで,手短に検索できることが望まれ,I S B
検索できる点が特徴である。
Nによる検索や,タイトル,著者名から簡単に作
データベース中の表記の仕方に従った検索入力
れる短縮キーによる検索などが必要とされる。集
でしか検索できないのが,検索システム元来の姿
合操作機能は必要としないというよりむしろ,絞
である。しかし,データ表記はデータベースによ
り込みを要するようだノイズの多い検索では役に
って微妙に異なるものであり,また,同一データ
立たたいのである。
ベースの中であっても表記の揺れが見られること
たお,目録業務システムは検索機能は弱いもの
がある。これはMARCの場合も例外ではない。
の,検索結果を取り込み編集して自飾用の目録と
このような事態に対応するために,本検索システ
する機能を備えている点が優れている。そこで本
ムでは,特に次に示す機能を持つ検索コマンドを
学では,MARC検索システムを図書館業務トー
設計し,開発した。
タルシステムの中に組み込むことにより,情報検
1) うろ覚えであっても,本質的た部分が正しい
索機能を強化した日録業務システムを実現した。
検索入力であれば,必要とするレコードを含む
これについては5節に述べる。
結果が得られる。
2) データベース中の形式と完全に一致しなくと
表2情報検索用検索コマンド
コマンド}
特 徴
対象とする索引
タイトル,件名
SEARCH一
OR検索主体。類似語をカンマで区切って並べ,入力
川…1 LC−MARC
○
○
○ ,
O
する。
TITLE■
タイトル
自動的AND検索。うろ覚えの不完全なタイトルでも
よい。
AUTHOR■
著者名
SH
件 名
出版者
直接入力‡!
DC分類コード
PUBLISHER■■
姓,名の形式。LC−MARCではFirst Name,Middle
Nameはイニシ十ルでもよい。
自動的AND検索。語順が前後してもよい。
自動的AND検索。不完全な名称でもよい。
LCではDC,J−MARCではNDC。
i○
○
○ ≡ O
X
○
O
O
一 」
}下線部分は省略形を示す。
‡王コマンドなしに,検索キーを直接入力する。
50
大学図書館研究XXVI(1985.5〕
表3目録業務用検索コマンド
下「丁二特
I S B N
I S BN■ 一
検索速度が速く,
とが多い。
一■’一
=。二一__一_=
徴
一
■ 1
一 一 L 上 … 一
J−MARC
I o
ノイズがない。本に記入してあるこ
○
LC−MARC
1
1 」 1
○
L C C N
L C C N
同上
X
○
J PNO
日本書誌番号
検索速度が速い。
○
X
短縮キー
各種短縮キー
コマンドなしで直接入力。検索速度速い。OC L C類
各単語について3,2,2,1字
X
○
各単語について4,1,1字
X
O
標題から4字,著名者から4字
X
○
○
○
似。
標題短縮キー
著老名短縮キー
標題・著者短
縮キー
T I T L E
タイトル
前述
』 ⊥ I ■ ⊥ 皿 一 ■
一 』 一 一
‡下線部分は省略形を示す。
も,外部で広く流通している形式,あるいは原
資料に印刷された形式で入力することにより,
必要とするレコードを含む結果が殆どの場合得
られる。
4 検索機能の酵細と実行例
4.1 TITLEコマンド
TITLEコマンドは,検索入力文字列を空白や
3)本システムで出力された形式で入力すれば,
コンマなどの区切り記号によって単語に分割し,
必要とするレコードを含む結果が必ず得られる。
検索してANDを取る。一方データベースの中の
このように,検索入力の制限を大幅にゆるめる
タイトルのデータも,同様に区切り記号によって
と,副作用として多少のノイズが混ざることがあ
単語に分割し,それぞれ別々に索引に出している。
るが,制限が厳重であることによる検索洩れや使
そのため,ピリオドとコロンとを間連えても,ま
いにくさに比べれば,問題は少ないと考えられる。
た単語の順序が違っていても,正しく人力した場
さらに機能の特徴を詳しく述べれば,次の4点に
合と同じ結果を得ることができる。なお,TITLE
なろう。
コマンドではストップワード処理も行なっている。
a)英大文字,小文字の違いを気にする必要はな
検索入力したタイトルの中にあるストップワード
い。Japan−MARCではカナ,ロー一・字の両方
は自動的に無視されて検索されるので,利用者は
から検索できる。
本システムのストップワードのリストを知らなく
b)TITLE,AUTHOR,SH,PUBLISHER コ
ても検索ができる。
一∼ソトなどでは,区切り記号(コンマ,ピリオ
図1にLC−MARCの例を示す。TITはTIT
ド,アポストロフィ,ハイフン,かっこたど)
LEニュマソドの省略型である。“T:”はプレフ
や数字だとも,“あるがまま”,“見たまま”に
ィクスと言われるもので,その単語がタイトルか
入力して良い。勿論,システムの扱い方に慣れ
ら索引に出されていることを示す。各々の単語で
れば本質的でない区切り記号を空白に換えて入
は多くの文献がヒットするが,AND処理の結果
力してもよし・。
は1件となる。”D”は結果を出力するDISPLAY
c)I S BNは,ハイフンの付け方に種々の慣行
コー∼ソトの省略型である。教育上の配慮からタグ
があるが,どれでも良い。
やインディケータなどもそのまま出力される。タ
d)TITLE,SH,PUBLISHERコ.“ノドなどは
一部の単語だけでも検索できる。また,AUT
HORコマンドは前方一致機能によりFami1y
Nameだけからでも検索できる。
グ245のデータと検索入力とを比較すれば,うろ
覚えの名前であってもシェークスピア全集(ケン
ブリッジ版)が検索できたことが理解されよう。
図2にJapan−MARCのTITLEコマンドの
例を示す。日本語は単語単位に分かれていないの
で,Jap㎜一MARCの場合は分かち書き形式で検
51
図書館情報大学の情報検索システム
TYPE I” C0””^ND
1! TIT COHPLE−E
IIτ
COHPLE−E
一0RKS SH^【.≡SPE^RE C^HlヨRIDGE
一0RKS S.・1^【ESPE^RE C^門口RI06E
EOI1−10N
EDITION
RETRIEリ^L KEYS:τ:00日PLE1’I≡!T:一〇日K!T:SH^kESPE!”I:ER^EPSEK!T:C^”8RIDG!”T:EGDIR8“^/
■ 22‘2 1一:COHPLEIE
● 6716 T:一0R【
■ 576 i一:SH^KESPE
■ 5ヨ8 ’一:ER^EPS・≡【
■ 759 τ:C^”8RI06
■ 751 ”T=E60IR8一^
■ 2160 丁:EDI1−ION
■ 1 1/ 1,T:COHPL■≡1−I≡Il ^ND l−T=一〇RK11^N0 ,1I:SH^kESPEll ^ND l1”τ:I≡R^
\ \
ヒIット数文散集合香
2! D
0
( 1〕
O01= ;602859三
245:048’丁^・oo■pユ.t・H0rk昌。f“iけi8■Sh舳・;p帥m; ab舳e C舳bridgo oditio
n t.’t, 8o os odit.d by “i」I−i8■1^ユdis uright. ino⊥udinO tho Tonpユe
not●s;iμはt固t●dby Rook舳^k叩t。■i舳Profaoo by ChristoPh帥H
orユ●y
2‘O:08a G81Id・o City, 6.Y. 日b Doubユ・day, Doi・80 8 oo■p8ny, ino., ao 1936,
300: 舵2v. 舳什。証s.・i【ユus.・P18tos. ao珊。■.
100=1088 Shak05Poar8, 一i【1■i■■, 8d 1564−1616.
横尖,ステム完・.一一。.l11一.j」と1’.別’r君ため,ユーザり入力はトI線で示した。
図1
2/T工丁
ISDS
IIT 工SDS
LC−MARC検索システムのTITLEコー・ソト使川例
フォーマ・,I・ ヲヨウ,≡■
フォー{ット ヲヨウラヨ
RETRIEΨ^L kEYS;丁:工SDS!T:フォー{ット/T:ヲヨウヨヨ
■ 1 T:ISDS
■ 3 T:フォー{ット
遼 30 T:,ヨウヲヨ
■ 1 2! ,,T:工SDS” 一ND
・丁:フオ■∼ヲトI, ^HD ,IT:…’ヨウ;■ヨ,’ END NOS^ΨE
3/旦
D
‘ 1)
001:80041914
251:@A 国際逐次刊行物データシステムI SDS交換フォーマット仕様書 @
F 逐次刊行物登録国際センター11紀
751:◎B 逐次刊行物登録国際センター
020:a^ JP aB 80041914
3! 0 Z モートzぜ揃,止由zは令制のフィールドを出力するモード,
D Z
( 1)
O01:80041914
020:a^ JP aB 80041914
100:a負 19801202 1976 H JPN 1:;12
251:@A 国際逐次刊行物データシステムISDS交換フォーマット仕儒書 ◎
F 逐次刊行物量録国際センター11着
270:@A 〔東京〕 @B 国立国会図書館 ◎D 1976
275:◎A 15p @]B 26o−n
551:@B 251
658:◎B 逐次刊行物 @B 図書館11オートメーション
751:◎B 逐次刊行物登録国際センター
551:舳]州チグジカ)]ウフ^ツチ^一”耐ア伽デイーエス]ウカコフォー{外ラヨ刷aXKoku.
aitiku・ik・・kobut・d・t・・1・ut・…くISDS・k・kanh㎝・tt・siyosy0
658:舳チクシ加]ウフ^ツaXTik・・ik・・k・b・t・舳ト刺〕オートメー湖aXT。。yok。。Ot
○皿eSyOn
677:a^ 014.75
685:a台 UL554
751:船チクシ舳ウフ“ハ用]州セルaXTik・・ika・k.b・tutorokukokusai。。
nta
905:a^ uL554_9
図2Japan−MARC検索システムのTITLE・・一・・ンド使用例
52
大学図書館研究XXVI(1985.5〕
索入力を行なう。単語分割して検索しl ANDを
取るところはLC−MARCの場合と同じである。
そのため,不完全たタイトルでも検索することが
4.4 SEARCHコマンド
SEARCHコマンドは典型的な情報検索用のコ
できる。
区切って複数入力すれば,自動的にOR検索する
マンドであり,検索キーとして類縁語をコンマで
分かち書きの仕方は規則化しにくく,揺れが生
ようにたっている。さらに,検索タームがタイト
じやすい。そこで,分かち書きしたいタイトルの
ルのフィールドにあるカ㍉あるいは件名のフィー
読みも索引に出しており,これもTITLEコマン
ルドにあるかを知らないでも検索できるように,
ドで検索することができる。キーの長さは12文字
本システムでは両方からSEARCHコマンド用に
であるが,タイトルが長い場合はうしろから12文
索引を出している。この点で,自動的にフィール
字を逆転して索引に出している。TITLEコマン
ドの検索入力も12文字より長い場合には,前12文
ドが指定される TITLE,SH,PUBLISHERコ
マンドとは異なっている。
字と後12文字で自動的にANDを取るようにたっ
また,本システムではコマンドなしに直接検索
ているので,長いタイトルについても十分対応で
キーを入力することも許している。ただし,一度
きる。この検索は分かち書きで検索する場合に比
に入力できる検索キーは1つのみであ机
べ,ANDを取らないため検索速度が速く,ノイ
ズも少ない。ただし,検索入力のタイトルは正確
4.5 ISBNコマンド
図4に,ISBNコマンドではハイフンの入れ
でたければならたい。
方によらず求める本が検索できることを示す。な
4.2 AUTHORコマンド
お,検索された本はUK−MARCのマニュアルで
AUTHORコマンドは姓,名の形式で入力する。
ある。
LC−MARCではFirst Nameがイニシャルにた
っているデータもあるので,索引ではイニシャル
5/ IS8N O−900220−47−3
IS8” O−900220−47一;
に正規化してある。またAUTHORコマンドで
1 5ノ 目”;0900220473
入力された人名も同じように正規化するので,
6! IS8N 090022047三
First NameやMidd1e Nameは完全た形で入力
IS8N 0900220473
してもイニシャルにしても同i二結果が得られる。
1 6/ 8N;0900220473
(図3参照)
:;! ^uTHOR DOYLE, ^RTHuR COは^”
図4 I S BNコマンド使用例
^uIHOR D0ソLE, ^RIHuR CON^N
4.6短縮キー
REIRIEV^L KEYS:”^…DO㍗LE ^Cl,
これはコマンドなしに直接短縮キーを入力する
■ 28 3! ^:DOYLE ^C
もので,書名短縮キー,著者名短縮キー,著者書
4’ ^Uτ DOYLE, ^. C.
^u1. DOYLE. ^. ε.
名短縮キーの3種がある。いずれも各単語から決
RETRIEΨ^L KEYS=1,^:DOYLI≡ ^C1I
‘ 28 4! ^:D口YLE ^C
まった字数を取ってコンマで繁げる方式である。
書名短縮キーではタイトルの最初の単語の頭3字,
図3AUTHORコマンド使用例(LC−MARC)
次の単語の頭2字,その次から2字,その次から
Japan−MARCでは名は完全な形で入力する。
ら始める。また,タイトルが短く途中で単語がた
一姓しかわからたい時は姓のあとのコンマのうしろ
くたった場合はコンマのみ繋げる。同様に,著者
1字取る。最初の単語が冠詞の場合は次の単語か
に前方一致検索を示す*を入力すればよい。
名短縮キーは4字,1字,1字であり,著者書名
4.3 SHコマンドとPUBLISHERコマンド
短縮キーは著者名4字,書名4字である。
・いずれもTITLEコマンドと同様の処理を行な
う。異たる点はプレフィクスがそれぞれ“SH:”
集合操作を伴わたいので検索速度が速い点が特
徴である。3種類の短縮キーのうち著者書名短縮
と“P R:”であること,Japan−MARCには出版
キーが最もノイズが少なく有効一1生が高い。
老の読みのテークがたいためPUBLISHERコマ
図5に書名短縮キーによってシェークスピアの
ンドが使えないことである。
“A11’s we11that㎝ds we11”を検索した例を示す。
53
図書館情報大学の情報検索ソステム
7! ^LL,一E’IH,.≡
■ 1 7!
81 0
0
( 1〕
001= 77098;59
245:1000 ^1【I5 ”oユI− that ond5 H0【ユ / ao uiLLio■ Shak●sP■oro ; 8ditod by Jon
8S^.801・iS一.
260:06‘”■H Y01一一, “.一. : ab P■ngoin 8oo−5, ao 1980,
300= a8 1;6 p、 ; io 18 o■.
100:1008 S一●k05p・01・●。 一iユエio■。 ‘■d 15‘4−1616,
020= 08 0140714三08 (pbヒ.〕 : ao 62.50
図5書名短縮キーの使用例
4.7 その他のコマンド
周してしまうことを防ぐことができる。また,本
このほかにAND,OR,D I Fといった集合
操作のコマンド,リニアサーチを行うLIMITコ
マンド,さらに結果出力用のDISPLAYコマン
学では学生実習室に35台の端末が設置されており,
ド,オフライン・プリント用のPRINTコマンド
のため,種々試行錯誤をすることができ,一層の
などがあるが,紙面の都合上説明は省略する。詳
教育効果をあげている。
講義や実習,演習で使う時間以外でも,学生は9
時30分から20時まで自由に使うことができる。そ
しくはマニュアル〒」を参照されたい。
4.8本システムのコマンドと0RIONのコマ
ソト
6 図書館業暁システムの中核としての利用
本学の図書館業務トータルシステムLIAISON
この検索システムは,ユーザにとって使い易い
(Libmry Admi㎡stration aエ■d Informatio口Sys−
システムを目指して,汎用検索システム0RION
tem On・1㎞e戸は,貸出・返却サブシステム,1ω
の上に構築したものである。これまで紹介したコ
図書の購入請求から発注,受入そして目録業務ま
マンドはORIONのコマンドとは異なる独自のコ
マンドである。一方,本システムでは0RIONの
でを行なう図書管理サブシステム,11」会計的処理
をも含む逐次刊行物管理サブシステム(昭和60年
コマンドも実行できるようにたっている。このよ
6月稼働開始の予定)の3つのサブシステムが,
うな仕組みを実現するためにT00L−IR㎝0RI
データベースを中心に連係,融合したシステムと
ON3』の手法が用いられた。
たっている。また,図書管理サブシステムはMA
RCの情報検索システムとも強く結合している。
5.教育における利用
このようにして,単なる個別業務対応の機械化で
図書館情報大学では,情報検索に早い時期から
はなく,トータルな視点に立った図書館業務機械
慣れさせるため,学生全員に一年生の1学期から
化を実現した。本稿では,図書管理サブシステム
本学の検索システムを使ったMARCの検索を課
におけるMARC検索システムの利用について述
している。検索コマンドが他のシステムよりも使
べる。
い易いので,コマンドに対する困惑はたいようで
Japan−MARCとLC−MARCを可能な限り有
ある。検索コマンド修得に時間を取られないため,
効に活用することによって,業務処理の迅速化と
検索洩れやノイズを考慮した検索戦略の立て方と
データの正確さを図ることができる。目録業務で
言った情報検索本来の問題を,早い時期に身を持
MARCを検索し,その緕果得られる書誌データ
って理解させることができる。また,2年次に行
を蔵書目録データベースに取込むことは,近年広
われる分類・目録の演習においても本システムが
島大学や筑波大学のシステムたどで実現されてい
利用され,教育効果をあげている。
る。著者らは,MARCから得られるデータを購
本学では4−5年分という比較的大量のデータ
入請求から日録までの統合化した業務の中で活用
をオンライン・ファイルに持たせている。これに
するために,いずれの業務処理の途中からでも検
よって,少ないデータでは誤った検索戦略でも通
索取込が可能なシステムを実現した。たとえば,
54
大学図書館研究XXVI(19855)
購入請求の段階で取込まれた書誌データはそれ以
降の業務,すたわち発注,受け入れ,目録などす
要であり,かなりの工夫を要すると思われる。
べての業務で使うことができる。
8.終わりに
目録業務では既に述べたように,I S BNや短
このMARC検索システムは,以前に筆者らが
縮キーたどによる簡単な検索によって必要な情報
東京大学大型計算機センターで開発したT00L−
を得ることができる。この程度の検索であれぽい
IR on ORIONを基にして,大幅な改良を行なっ
わゆるDBMSで行なうことも可能である。しか
たものである。また,LC−MARC検索システム
し,購入請求の段階では,書名,著者名だとの書
は,設立されて未だ日の浅かった東京大学文献情
誌事項が正確に分かっていることはむしろ稀であ
って,うろ覚えの情報でも検索できるシステムと
報七ソターに,LC−MARC Seria1sの調査研究用
たっている必要がある。この目的にはDBMSは
に移植されてもいる。たお,LC−MARCは現在
US−MARCとなっているが,本稿では旧称を用
不十分であるので,既に述べた強力な検索機能を
いた。
有するしC−MARC検索システムおよびJapan−
MARC検索システムが使えるようにしたのであ
最後に,MARC検索システムの開発に際して,
る。12j
機能設計の点で有益な助言をいただいた機能検討
ワーキング・グループの方々に,またプログラム
住成に御尽力いただいた㈱ファコム・ハイタック
7.考 察
の関係者各位に,深謝して筆を置くものである。
LC−MARCにはCIPデータが含まれており,
このデータは後目来る正式のデータによって置換
されるべきものである。この置換処理は手間が掛
引用文畿
1)『図書館情報システム開発センター概要U L I S−
かるため実施せず,CIPデータと正式データとを
NET』筑波犬学研研学園都市,図書館情報大学図
共存させている情報処理センターもあるが,本学
書館情報システム開発センター,1984年。
ではこのデータベースの運用を管理している図書
2)山本毅雄,石塚英弘1石川徹也“UL I S−NET
館情報システム開発センターの努力により,置き
における情報検索システム”r情報処理学会第29回
換えを実施している。
全国大会論文集」19凶年,p.903−904.
本MARC検索システムは昭和57年1月の稼働
以来,本学の教育,研究,業務に利用されている
が,これ以外に本学で毎年夏に実施される現職者
を対象とする専門公開講座でも採り上げら九,参
3)藤川正信,牛島訳『D I AL OGデータベースガイ
ド」Vo1.1−m,1978年(Guide to DlAL㏄一Da−
tabases Vo1.I−IIIの翻訳)。
4)『ORBITユーザマニュアル日本語版」東京,㈱
日本エステイージー,1982年(S㏄SearchServ・
加者が実際に端末を操作して理解を深めている。
ice:・0RBIT User Manua1”,Rev.ed.,1982の
このように成果を上げているが,Japan−MARC
翻訳)。
検索システムでは機能的に不十分た点もある。
5a)“On・Line Cataloging㏄LC”Co1ombul,Ohio,
PUBLISHERコマンドが使えないこと,そして
The Ohio Stata University Libraries Public日一
読みで検索するために同音異義語によるノイズが
tions Committee,1973.
入ることである。前者については出版者の読みの
データがないためである。本学蔵書ファイル(利
書)検索システムでは目録データ作成時に読みを
入力するので問題はないが,Japan−MARCの出
版者すべてに読みをふることは著しく困難と言え
乱後者については読みと漢字形を対応させた索
引を出せばよい。13一京都大学の検索システム川で
b)Manheimer,Martha L.“㏄LC:An lntroduc−
tion to Searching and Input”,Rev.ed.,New
York,Neal−Schumm Publish6rs・1981.
6)石塚英弘,石川徹也,山本毅雄“図書館情報大学の
情報検索システム”『第13回ドクメソテーシ目ソ・
シンポジウム予稿集」1983年,p.18−21.
7)“T00L−IR on ORION LC−MARC,Japan−
MARC検索の手引き”r図書館情報システム開発セ
も一部類似の処理をしているが,これを全面的に
ソター利用の手引き その1」筑波研研学園都市,
行なうためには,分かち書きされた読みと分かち
図書館情報大学図書館情報システム開発セノター,
書きされていたい漢字形とを対応させることが必
1982年,第5章。
55
図書館情報大学の情報検索システム
8)山本毅雄,牛丸 守,根岸正光,石塚英弘,松原英
12)石塚英弘,石川徹也,池上信男,山本毅雄“情報検
一,池上信男“TOOL−IR on ORION1異なる惰
索システムとDBMSの融合一図書館システムヘ
報検索システムの結合”r情報処理学会第22回全国
の応用一”『情報処理学会第27回全国大会論文集』
大会論文集」1981年,p.517−518.
1983年,p.763−764.
9)石川徹也,石塚英弘,山本毅雄“図書館情報大学の
13)石塚英弘“国文学論文情報検索:日本語データベー
図書館トータルシステム:L IA I SON一デー
ス用ユーザ志向型検索システムの開発とその応用”
タベースを利用しての書誌データの育成一”『第14
『東京大学情報図書館学研究センター紀要」No.1.
回ドクメソテーション・シンポジウム予稿集』19幽
1982年,p−39−52.
年,p.62−65.
14)小田泰正ほか“JAPAN!MARCデータベース
10)図書館情報大学図書館業務機械化ワーキング・グル
“JMARC”の利用について”『京都大学大型計算機
ープ“図書館情報大学附属図書館における業務の機
センター広報』15(3)p−149−161。
械化ω 貸出・返却ノステムー”『大学図書館
研究』N0.22.1983,p.86−94.
11〕図書館情報大学図書館業務機械化ワーキング・グル
<60.4.23受理
いしつか・ひでひろ 図書館情報大学
図書館情報学部 助教授,
ープ“図書館情報大学の図書館トータルシステム:
いしかわ・てつや 同助教授,
LIAISON 図書管理サブソステム”「第14回ト
やまもと・だけお 同教授〉
クメンテーション・シンポジウム予稿集』1984年,
p.66−70。
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