リハビリ通信 - 浅香山病院

平成 28 年 9 月第 17 号
公益財団法人 浅香山病院
リハビリテーション室
リハビリ通信
~糖尿病と運動療法~
近年、よく耳にする糖尿病は中高年だけの病気だと思っていませんか?現在は食文化・生活習慣の変化に
よって 10 代・20 代でも発症し、国民の 5 人に1人が糖尿病予備軍と言われています。その中でも 2 型糖尿
病は全体の 95%を占めています。一度、発症してしまうと完治はしません。しかし、血糖値を正常に保つ
ことで糖尿病はコントロールが可能です。そのためには薬を使用することもありますが、食事療法、運動療
法も必要です。今回は糖尿病と運動の効果、簡単な運動方法についてご紹介したいと思います。
◇糖尿病ってどんな病気?
通常、身体はインスリンというホルモンの作用で体内に取り入れた栄養素をうまくエネルギーとして利用
し生活を送っています。しかし、インスリンの作用が低下したことにより、体内に取り入れられた栄養素が
うまく利用できずに血液中のブドウ糖(血糖)が多くなっている状態のことを糖尿病と言います。
糖尿病には自己免疫・遺伝因子による 1 型と遺伝因子・生活習慣が起因で生じる 2 型があります。
ブドウ糖
インスリン
インスリンの作用が低下すると…
◇なぜ、運動が必要なの?
人は体を動かすことで大量のエネルギーを筋肉で消費します。特に食後の運動は食後血糖の過度な上昇を
抑えるように働きます。そのほか、血糖コントロールの改善が期待でき、糖尿病の原因ともなる肥満の防止
とその改善にも効果があるとされています。
◇運動の効果ってなに?
運動
脂肪燃焼
筋肉が増える
・体重が減る
ストレス解消
・肥満が解消される
や
・インスリンの効きが良くなる
・高血圧や脂質異常症の改善に繋がる
気分転換
・カロリー(血糖)を消費しやすくなる
・基礎代謝が上がる
・筋力低下や骨粗鬆症の予防
・運動能力の向上
血糖値をコントロールしやすくなる
◇運動の方法
種類
強度
時間
有酸素運動
20 分間、楽に続けることができ
軽いトレーニング
強い疲労感を感じない程度
頻度
1日2回
15~20 分
週 3 回以上
◇有酸素運動(一例:ウォーキング)
有酸素運動の代表はなんといってもウォーキングです!
歩くことが運動の基本なのです。
①顎を引く
右の図にある 5 つのポイントを意識して実施することで運
②指を軽く握る
動療法としての効果も高めることができます。
③腕を振る
その他には、自転車運動や踏み台昇降、ランニング、縄
跳びなども有酸素運動になります。しかし、これらの運動
④背筋を伸ばす
⑤歩幅は大きく出す
は強度が強くなりすぎる可能性があるので、手ごろで最適
な手段としてはウォーキングです!
◇運動の時間帯
運動は、食後 30~60 分くらいの時間帯が一
血糖値の変動
番理想的とされています(赤○の箇所)。
それ以降は食べたものが消化吸収され、血糖値
が高くなり始めます。その為、運動によって食
後の血糖上昇を抑えることができます。
(右図)
※低血糖を起こす危険性があるため、空腹時の
血
食
糖
事
食
食
事
事
値
運動は避けるようにしましょう!
…最適な運動時間
※医師より指示がある場合は、低血糖防止のた
め、ブドウ糖を常備しましょう。
時間
◇運動を行う際の注意点
運動の実施を見合わせるとき
運動を中止するとき
・血糖が高い時(当院では 250 以上で中止) ・胸痛や胸部苦悶感を感じた時
・血圧がいつもより高く 180 以上の時
・強い動悸や心拍の欠滞を感じた時
・風邪をひいている時
・めまいやふらつきを感じた時
・頭痛や熱が高い時
・冷や汗、強い空腹感を感じた時
・腹痛や下痢の時
・関節や筋肉に強い痛みを感じた時
・寝不足や二日酔いの時
・体調が思わしくないとき
無理のない範囲で継続して
行うことが最も大切です!