結婚の意思決定に関する分析 ~「結婚の意思決定に関する意識調査」の

ESRI Discussion Paper Series No.332
結婚の意思決定に関する分析
~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~
佐藤博樹、三輪哲、高見具広、高村静、石田絢子
September 2016
内閣府経済社会総合研究所
Economic and Social Research Institute
Cabinet Office
Tokyo, Japan
論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見解を示すものでは
。
ありません(問い合わせ先:https://form.cao.go.jp/esri/opinion-0002.html)
ESRIディスカッション・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研
究者および外部研究者によって行われた研究成果をとりまとめたものです。学界、研究
機関等の関係する方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図し
て発表しております。
論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見解
を示すものではありません。
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
結婚の意思決定に関する分析 1
~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~
佐藤博樹、三輪哲、高見具広、高村静、石田絢子 2
1 本稿の公表にあたっては、事前審査として行った所内セミナーで、山田昌弘・中央大学
教授から査読コメントと前川守・経済社会総合研究所長、杉原茂・経済社会総合研究所
次長など出席者の方々から有益なコメントを頂いた。ここに記して謝意を表する。本稿
はすべて筆者個人の責任で作成されており、所属する機関の見解を示すものではない。
2 佐藤(中央大学大学院戦略経営研究科教授)
、三輪(東京大学社会科学研究所准教授)
、
高見(独立行政法人労働政策研究・研修機構研究員)
、高村(内閣府経済社会総合研究所
上席主任研究官付)
、石田(内閣府経済社会総合研究所行政実務研修員)
1
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
【要旨】
未婚状態から結婚状態への移行を検討する際、交際へ移行する過程と交際から結婚へ移
行する過程では意思決定に影響を及ぼす要因が異なることが明らかになりつつある。
経済社会総合研究所では、交際から結婚への移行に焦点を当て、若年層の結婚への意思
決定についての考え方の詳細とその変化を検討するための基礎的資料となる調査を行うた
め、全国に居住する 25 歳~34 歳のうち、3 年前に未婚でありかつ恋人として交際していた
異性がいた男女を対象に意識調査(「結婚の意思決定に関する意識調査」)を実施した。調
査では主に出会いや交際、生活や暮らし、働き方、価値観、社会関係性、結婚などについ
て 3 年前と現在または結婚を決めた当時の2時点について調査した。可能な範囲で交際相
手の意識に関する情報も収集した。
また平成 27 年 8 月~平成 28 年 5 月に執筆メンバー等で会し、計 5 回の議論を行った。
本稿の第1部では、独自に実施した意識調査の趣旨、方法及び主な調査結果について報
告する。第2部では意識調査の個票を用いて、未婚者の結婚に対する意思決定について異
なる角度から分析した結果を報告する。分析テーマと主な結論は以下の通りである。
1)20 代未婚者における交際相手との結婚意欲―男女による高まり方の違いと問題―
交際相手のいる 20 代未婚男女の結婚意欲と結婚決定までのプロセスを分析したところ、
女性は 20 代後半(特に 27~29 歳頃)で近いうちの結婚を希望する人が多いが、同年齢層
の男性では「結婚はまだ先でよい」と考える人が多いことが分かった。カップルの結婚を
決定するのは男性が多いという発見と合わせると、男性の結婚意欲が 20 代で高まりにくい
ことが結婚決定の障壁となっていよう。男性の結婚意欲は、正規雇用であるかどうか、将
来的なキャリア展望を描けるかどうかなど、本人の仕事の状況に大きく左右される。加え
て、長い交際期間や密接なやり取りなど、交際相手との関係が深まる中で結婚意欲も高く
なりやすい。さらに、男性は女性と比べて周囲からの影響で結婚意欲が喚起される部分は
少ないが、親戚・親類付き合いがある人では、年齢等の結婚に対する規範意識の高まりを
通じて、結婚意欲も高まりやすい。
なお、男性の気持ちが結婚に向かわない背景には、不安定な働き方に加え、一定の年齢
を越えての親との同居が結婚の便益をイメージしにくくさせている面も考えられる。希望
に応じ進学時や就職時に離家を選択しやすいよう、社会として条件を整える必要があろう。
2)結婚の意思決定と結婚意欲
若年者の結婚に対する考えの詳細とその変化をたどることができるという本調査データ
の特徴を踏まえ、トランジションモデルを用いて若年層の交際状態から結婚に至る3段階
2
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
の意思決定に対する規定要因を順次、分析をした。
その結果、交際の継続という段階では、社会経済的要因の効果はほとんどみられず、交
際継続というイベントに対しては居住年数の長さや相手居住地の近さがプラスに、周囲の
異性や結婚している知人の多さがマイナスに影響した。続いて自分から結婚の意思決定を
行うというイベントに関しては、非正規雇用や自営業だと男性のほうから意思決定しにく
いなどの点が分かった。さらに本人が意思決定をせず相手が先に結婚の意思決定をすると
いう段階に進むと、女性の場合学歴が高いほど相手の男性から意思決定されるというイベ
ントが起こりにくいなどの状況が見られた。社会経済的地位は、概ね、男性の意思決定に
おいて顕現しているとみることができる。
なお本人の結婚意欲は常に結婚の意思決定に強い影響を及ぼす点も合わせて確認された。
3 年前と現在の 2 時点の結婚意欲の中身を比較し構造化したところ、男性はその構造が明確
である一方、女性はその輪郭が曖昧である状況が見られた。
結婚の意思決定に対しては、男性の社会経済的地位の低さや結婚意欲の弱さが妨げとな
っているが、仕事の不安定さや低賃金労働の解消とともに個人の結婚等の希望が実現でき
るライフデザイン教育の中等教育レベルの年代への導入なども求められる。
3)個人の社会関係性が交際から結婚への移行に及ぼす影響
若い世代の交際から結婚への移行に焦点を当て、これまであまり検討されることのなか
った社会関係性の影響について検討を行った。その結果、全体を対象とした分析では近し
い人との親密な人間関係を示す bonding 型(付合い)の社会関係性が結婚に対してプラス
に影響することが確認された。若い世代の結婚への移行をためらわせる要因の1つに男性
の収入が女性の収入よりも低いというカップルの組合せがあることが示されたが、この場
合には、より広い社会的な範囲や多様な価値観と繋がることを可能とする bridging 型(付
合い)の社会関係性や生活スキルの高さに、そのような状況であっても結婚への移行を高
める可能性のあることが示された。雇用状況の改善に加え、bridging 型(付合い)の社会
関係性や生活スキルの蓄積を進める可能性のある離家への支援や、婚活だけを目的とする
のではない、U ターン者受入れや様々な価値観を結び付けやすくする活動機会の提供など
もまた必要とされると考えられる。
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
Abstract
Hiroki Sato
Professor, Graduate School of Strategic Management, Chuo University
Satoshi Miwa
Associate Professor, Institute of Social Science, The University of Tokyo
Tomohiro Takami
Researcher, The Japan Institute for Labour Policy and Training
Shizuka Takamura
Economic and Social Research Institute, Cabinet Office
Ayako Ishida
Economic and Social Research Institute, Cabinet Office
Based upon 'The Survey on Decision-Making of Marriage' conducted by the
Cabinet Office in 2015, this paper attempts to reveal a decision-making mechanism of
transition of one's marital status from unmarried to married.
The Survey covered 25 to 34 year-old males and females nationwide, and made
comparison of the current situation or the situation at the decision of one's marriage with
that of three years ago, focusing on encounter, dating, daily life, work, sense of values,
social relations, and marriage. The study investigates the following three themes; 1)
Willingness to marry with whom one is currently dating with - difference among
unmarried males and females in his/her twenties-, 2) Decision-making of and willingness
of marriage, and 3) Influence of individual's social relations on transition from dating to
marriage.
Theme one deals with a hypothesis whether growth of willingness to marry shows
a gender bias. The study finds that many 27 to 29 year-old females tend to have a
willingness to get married, while many males at the same age group think they would
rather get married later. The study also finds that the decision maker is male in most of
the cases, and that that is the barrier for marriage matchmaking as their willingness to
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
marry is not matured in their twenties.
Theme two analyses crucial factors of three transitional stages of marriage decision
through the Transition Model. The analysis finds that in the first stage, i.e. continuation
of dating, there is little effect from socio-economic factors but that length of living
together and living closer has a positive effect, while the number of acquaintances of
opposite sex and that of married acquaintances worked negative. In the second stage,
making one's decision, males in non-regular employment or self-employment tend to wait
until their partner makes a decision first. In the third stage, partners' decision-making
prior to the examinees' decision, females with higher education tend to have less
possibility of making a decision after her partner. Socio-economic status generally
works on a decision making of the male side.
Theme three investigates young generation's transition from dating to marriage
with a focus on social connectedness, and finds that the Bonding Type works positive on
marriage. On the other hand, the Bridging Type has possibilities of facilitating transition
to marriage of the couples in a dating stage that males have less income than their partners
albeit such income combination pattern of couples in a dating stage is one of the major
negative factors for marriage decision.
Keywords: marriage decision, willingness to marry, transition from dating to marriage,
factor of marriage
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
目次
序
「結婚の意思決定に関する研究」
佐藤博樹
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
第1部 「結婚の意思決定に関する意識調査」について
石田絢子
1 調査の趣旨・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
2 調査について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
2-1 調査方法
2-2 回答状況
3 主な調査の結果について・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14
3-1 結婚に対する希望について
3-2 交際相手との結婚の希望について
3-3 家族形成に対する意識について
3-4 結婚後の生活に関する意識について
3-5 仕事や生活に関する意識について
4 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
第2部 個票データによる分析
第1章 20 代未婚者における交際相手との結婚意欲―男女による高まり方の違いと問題―
高見具広
1 問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
2 結婚意欲はどう問題なのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
3 結婚意欲を左右するもの―男女の違い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
3-1 結婚意欲有無の理由から
3-2 仕事の状況と結婚意欲
3-3 交際相手との関係性と結婚意欲
3-4 周囲からの影響と結婚意欲
4 20 代の未婚男女における結婚意欲の規定要因・・・・・・・・・・・・・・・・42
4-1 20 代男性における結婚意欲の規定要因
4-2 20 代女性における結婚意欲の規定要因
5 結論と考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46
第2章 結婚の意思決定と結婚意欲
三輪哲
1 はじめに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49
2 研究方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
2-1 データ
2-2 分析手法
2-3 変数
3 分析結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・56
3-1 結婚に至る要因
3-2 結婚までの過程における諸要因の影響
3-3 結婚意欲がある人にとっての結婚意思決定までの考えの道筋
3-4 結婚意欲がない人にとっての結婚意思決定までの考えの道筋
4 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67
第3章 個人の社会関係性が交際から結婚への移行に及ぼす影響
高村静
1 問題意識・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・70
2 先行研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・71
3 個人の社会関係性の計測と状況・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・73
(1) 個人の社会関係性とその計測
(2) 個人の社会関係性の状況
(3) 離家の経験と社会関係性
4 個人の社会関係性が交際から結婚への移行に与える影響・・・・・・・・・・・84
(1) 交際から結婚への移行に与える直接的な影響
(2) 交際から結婚への移行に与える間接的な影響
(3) 男女の雇用形態や収入の組合せ別交際から結婚への移行に与える影響
5
結論・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
参考資料
調査票・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 100
単純集計表・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 142
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
序
「結婚の意思決定に関する研究」
佐藤
博樹
(調査研究の目的)
少子化の進展が止まらない。従来は、少子化の背景要因として、既婚カップルの出生率の
低下(完結出生児数の減少)が議論されてきた。既婚者の出生率の緩やかな低下も無視でき
ない課題ではあるが、最近は、未婚化や晩婚化が少子化の主因として重視されるようになっ
てきている。未婚化は合計特殊出生率の低下の主因であるが、さらに結婚しても晩婚の場合
には、既婚カップルの出生率の低下をもたらすことにつながる。晩婚の場合、例えば、第 1
子は出産できても、妊娠確率が低下するなどのため、第 2 子以降の出産が難しくなること
などによる。この点を踏まえると、結婚だけでなく、子どもを持つことも希望する場合には、
早めの結婚が望ましいことになる。
上記を踏まえて未婚化に議論を限定すると、未婚化の原因として大きく 2 つの要因に分
けることができる。第 1 は、結婚を希望しない者が増えている可能性で、第 2 は、結婚を希
望していても、その希望の実現を阻害する要因が存在している可能性である。前者に関して
は、未婚者の結婚希望に関する調査で確認することができ、幾つかの調査によると、結婚希
望(意欲)には緩やかな低下が確認できるが、結婚を希望しない者、言い換えると独身を希
望する者が増えているわけでないことが知られている。つまり、未婚化が進展している主因
は第 2 の要因にあると考えられる。
未婚化の主因と考えられる第 2 の要因は、さらに3つに分けることができる。第 1 は異
性と出会う機会がないこと、第 2 は異性と出会う機会があっても結婚を希望するような相
手、すなわち「恋人関係」になることができる異性と出会えないこと、第 3 は、
「恋人関係」
にある異性がいても、結婚に踏み切れない要因があることなどである。最後の第 3 の結果
として、最近では、交際期間の長期化が指摘されている。上記のそれぞれを例示すると、第
1 は、勤務先が同性ばかりの職場で異性と出会う機会がないことなど、第 2 は、異性と出会
う機会があるが、互いの価値観が異なるなど結婚相手としては難しいことなど、第 3 は、経
済的に結婚が難しいことや自分からはなかなか結婚を決断できないことなどである。
未婚化に関する先行研究を取り上げると、第 1 や第 2 の要因に関する研究は多いものの、
第 3 の要因やその要因の解消に関する研究は皆無に近い。そうしたことから今回の調査研
究は、この課題を正面から取り上げた。そのため、個人調査は、ある時点に「恋人関係」に
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
あるパートナーがいる男女を対象として、その時点からの交際の推移(結婚への移行、交際
継続、離別など)を規定する要因を明らかにできるように設計した。調査対象者の選定や調
査方法、さらに全体の調査の結果の概要に関しては、第 1 部の石田論文を参照されたい。
(調査研究の概要と政策への示唆)
ここでは第2部以下の分析のポイントを紹介すると同時に、その結果に基づく政策的イ
ンプリケーションを紹介する。詳しい分析結果は、各章を参照されたい。
第 1 に、交際相手がある男女が、結婚を決断するかどうかは、結婚への意欲が高まること
が重要となる。高見論文によると、男性と女性では、結婚意欲の高まりにずれがあり、20 歳
台では女性に比較し男性の結婚意欲が低く、そのことが結婚への移行を阻害している可能
性が高い。言い換えれば、女性の結婚意欲の高まりに、男性が答えることができていない実
態がある。また、結婚意欲を規定する要因は男女で異なり、男性では一定の年齢を越えての
親との同居が結婚意欲を低下させ、他方、正規雇用や将来のキャリアを描けること、親戚・
親類との付き合いがあることなどは、結婚意欲を高めることになる。こうしたことから、男
性の結婚意欲を高めるために、希望に応じ進学時や就職時における親からの早期の独立(離
家)や、将来のキャリアを描ける安定した雇用機会の提供などの支援が有効となろう。
第 2 に、三輪論文も同じく男女の結婚に至る経路を詳細に分析する。高見論文は、20 歳
代の分析であったが、25歳~34歳の今回の調査対象者をすべて含めた分析でも、結婚を
希望する理由は男女で異なるが、男女ともに結婚意欲が結婚の意思決定を規定することが
明らかにされている。その中で、男性の社会経済的地位の低さが、女性ではなく、男性の結
婚への意思決定を阻害することが見られた。交際期間が長くなると、
「恋人関係」が安定化
するためか、特に男性において結婚への意思決定が遅れることも確認できた。従って、男女
ともに個人の結婚等の希望が実現できるライフデザイン教育を導入すること、併せてとり
わけ男性の結婚意欲を高め、早期に結婚を決断できるように、雇用機会の不安定さの解消が
必要となろう。
第 3 に、高村論文は、個人の社会関係性に着目し、それが交際から結婚への移行確率を高
めることを明らかにしている。個人の社会関係性が豊富であることは、直接的に結婚への移
行を促進するだけでなく、多様な社会関係性が豊かな結婚観を形成することを通じて、間接
的に結婚への移行にプラスに影響している可能性がある。さらに、社会関係資本の中でも
「橋渡し型」では、現在のところ結婚全体に占める比率の低いカップル(女性よりも男性の
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
収入が低いなど)が、結婚に繋がるという可能性が示唆された。
未婚化を解消するための取り組みとして、自治体などは、男女の出会いの機会の提供や結
婚へのアドバイスなど多様な事業を展開している。今後は、男女が出会いの機会の提供に加
えて、カップルが形成された後の、結婚への意思決定を促進する取り組みが求められる。出
会いだけでなく、結婚へのハードルを引き下げる取り組みが必要なのである。しかし、その
取り組みに特効薬があるわけではない。男女の社会経済的状況の改善、とりわけ男性の雇用
機会の安定化を通じた将来のキャリア見通しの改善、ライフデザイン教育の充実、地域社会
における多様な社会関係資本の構築支援、進学や就職などの際の親から独立支援など多様
な取り組みが必要となろう。
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
第1部
「結婚の意思決定に関する意識調査」について
石田
1
絢子
調査の趣旨
我が国の出生率の低下をもたらしている 1970 年以降の婚姻率の低下については、人口動
態統計(厚生労働省)によれば 1970 年には 10‰であった婚姻率が 2014 年には 5.1‰とな
り、その内初婚の割合は 1970 年の夫が 91.7%、妻が 94.0%から、2014 年には夫が 80.7%、
妻が 83.4%に減少している。
この変化は量的な変化のみならず、質的な変化(初婚タイプの変化)も伴っていると言わ
れている。減少した初婚タイプは、お見合い結婚や職縁結婚などの高度経済成長型マッチメ
ーキングに支えられた結婚、年齢や学歴等がつり合う若しくは夫が上位となる結婚、性別役
割分業に基づく結婚、直系家族世帯を形成する結婚である。一方で増加している初婚タイプ
は、婚前同棲を経ている結婚、夫あるいは妻が非正規雇用の結婚、夫あるいは妻が専門職の
結婚、長男である夫が妻方と同居する結婚である(岩澤(2013)
)
。
これらの増加が確認された初婚タイプは、従来の戦後から続く家族の姿を前提とする社
会では、結婚の意思決定を遅らせる要因を含むものである。今もなお、結婚後に期待される
男女の役割が強固なゆえに、多くの若者が結婚を希望していても諦めざるを得ない状況に
なっている(佐々木(2015)
)
。また非正規雇用であることは、経済的役割を期待される男性
だけでなく、女性においても結婚に影響を与えているとの指摘がある(酒井・樋口(2005)
)
。
しかし、そういった状況の中でも、希望通りに結婚を実現している男女も存在する。
本調査は、個人が希望するタイミングでの結婚の実現が、未婚化ひいては少子化の状況の
緩和をもたらすという考えに基づき、どのような要因を背景にして結婚の意思決定が成さ
れたのか、あるいはされなかったのかに着目した分析を行うため、25 歳から 34 歳の男女を
対象に実施したものである。本調査の特徴として挙げられるものは以下のとおりである。
(1)先行研究を踏まえると、異性と出会い交際に至る要因と結婚の意思決定に至る要因は
異なると考えられる。この後者の要因に焦点をあてた分析を実施するため、既に恋人と
して交際している異性がいる者を調査対象とした。具体的には、
「3年前の時点で恋人
として交際している異性がいた者」に対し、現在の交際状況を「恋人として交際してい
る異性がいない」
、
「結婚していないが恋人として交際している異性がいる」
、
「結婚して
いる(結婚が決まっている)」に分け、3年前の状況と、現在の状況(結婚している(結
婚が決まっている)者については結婚を決めた当時の状況)を尋ねた。
(2)質問項目は結婚に対する意識や本人の属性の他、仕事のやりがい、生活満足、充実感
を覚える事柄、社会関係資本に対する信頼感など、生活全般に関わる意識についてであ
り、一部の項目については交際相手の状況についても調査している。
(3)目標有効回答数は 10,200 人と大きく、男女別にそれぞれ目標数の半数以上を、未既
婚の別についても同様にそれぞれ半数以上を集めた。また、回答率の高かった女性や未
婚者については、半数を超えて収集し、より詳細な分析を可能とした。
11
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
本稿(第1部)では、第2節で「結婚の意思決定に関する意識調査」について実施方法や
回収状況などを概説し、第3節で主な調査結果について紹介する。
調査結果については、男女別・現在の交際状況別に、3年前及び現在または結婚を決めた
当時の結婚に対する意識、交際相手と結婚したい理由・結婚したくない理由、家族形成・結
婚後の生活・仕事や生活満足に関する意識についての質問の集計結果を示し、男女の意識の
差及び本調査の特徴である3年前に交際している異性がいた者の現在の交際状況別の意識
の差異を概観する。
2
調査について
2-1 調査方法
「結婚の意思決定に関
調査の企画・設計・分析に当たっては、学識経験者の参集 3を求め、
する検討会」を開催し、調査対象、調査票の内容、調査結果等について検討を行った。
調査の実施は以下のとおりである。
調査名:結婚の意思決定に関する意識調査
調査方法:株式会社イデア・プロジェットによる請負調査。調査会社の登録モニターに対
するインターネット調査
調査期間:平成 28 年 2 月 29 日~3 月 25 日
調査区域:全国
調査対象:年齢 25 歳以上 34 歳以下の男女
対象条件:
「3 年前には未婚であり、恋人として交際していた異性がいた者」かつ、
「現在も未婚であり、本人・交際相手とも結婚経験がない者、または、現在は既
婚であり、初婚同士の者」
有効回答数:13,321 名(目標有効回答数 10,200 名以上)
回答者の構成:未既婚、性別は目標有効回答数に対し半数以上を確保し、地域(北海道、
東北、関東、中部、近畿、中国・四国、九州・沖縄)について国勢調査と比
較して極端な偏りがないよう収集。
主な調査内容:3 年前と現在又は結婚を決めた当時の、それぞれの時点において、
○出会い・交際について(交際(結婚)相手と知り合ったきっかけ、交際
を始めたきっかけ、別離の理由、交際期間、コミュニケーション頻度)
○生活・暮らしについて(親との同居、居住地や居住意向、兄弟姉妹の
数、日常的に行う家事、消費と貯蓄の傾向、余暇の過ごし方)
○働き方について(労働時間、週の休日、就業時間帯、就業区分、職種、
年収、従業員規模、仕事のやりがい、将来の目標)
○価値観について(生活満足や将来の見通し、充実感、夫婦の分業)
3
参集者:佐藤博樹(中央大学)、三輪哲(東京大学)
、高見具広(労働政策研究・研修機構)
12
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
○社会関係資本について(信頼しているもの、参加している活動、異性と
の出会いの機会)
○結婚について(交際相手との結婚意欲、結婚したい理由・結婚したくな
い理由、結婚相手と結婚した理由)
2-2 回答状況
回答者の未既婚・性別・地域構成は表 2-2-1 のとおりであり、現在の交際状況別の構
成は表 2-2-2 のとおりである。
本調査は「3 年前に恋人として交際している異性がいた者」という条件を設けており、
当該条件に当てはまる人口数を把握する既存のデータが存在しない。このため、地域別に
明確な数字で回答者数を割り付けることはできないものの、すべての地域において、未既
婚の別及び現在の交際状況別にそれぞれ、100 名以上の回答者を得ている。また、男女と
もに目標有効回答数 10,200 名の半数 5,100 名以上の回答を得た。女性については、男性
よりも回答数が多く、8,155 名となった。
表 2-2-1 未既婚・性別・地域別回答状況
性別
未既婚
既婚
未婚
男性
北海道
東北
関東
中部
近畿
中国・四国
九州
計
北海道
東北
関東
中部
近畿
中国・四国
九州
計
計
61
113
696
305
326
124
160
1,785
143
170
1,410
557
602
223
276
3,381
5,166
女性
196
229
1,668
844
804
318
439
4,498
171
262
1,217
676
609
289
433
3,657
8,155
合計
257
342
2,364
1,149
1,130
442
599
6,283
314
432
2,627
1,233
1,211
512
709
7,038
13,321
13
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「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
表 2-2-2 現在の交際状況・性別・地域別回答状況
現在の交
際状況
地域
北海道
東北
結婚して 関東
おらず、恋 中部
人もいな 近畿
い
中国・四国
九州
計
北海道
東北
結婚して 関東
いないが 中部
恋人がい 近畿
る
中国・四国
九州
計
北海道
東北
結婚して 関東
いる(結婚 中部
が決まっ 近畿
ている)
中国・四国
九州
計
計
3
性別
男性
69
73
668
277
286
118
118
1,609
48
66
523
195
206
62
106
1,206
87
144
915
390
436
167
212
2,351
5,166
女性
73
103
450
265
208
128
170
1,397
61
87
496
226
220
99
137
1,326
233
301
1,939
1,029
985
380
565
5,432
8,155
合計
142
176
1,118
542
494
246
288
3,006
109
153
1,019
421
426
161
243
2,532
320
445
2,854
1,419
1,421
547
777
7,783
13,321
主な調査の結果について
3-1 結婚に対する希望について
3 年前の時点における結婚に対する希望について「一生の間に、いずれ結婚したい」と
いう意見に対する考えを尋ねたところ、女性では、現在の交際状況別にいずれも 50%以上
の人が「一生の間に、いずれ結婚したい」という意見にあてはまると回答した。特に、現
在結婚している(結婚が決まっている)人では 69.5%があてはまると回答した。男性で
は、あてはまると回答した割合が最も高いのは、現在は結婚している(結婚がきまってい
る)人の 49.6%であり、現在の交際状況別にいずれも女性よりも低い水準となっていた
(表 3-1-1)
。なお、2010 年の「第 14 回出生動向基本調査(独身者調査)
」によると、
一生を通じて考えた場合、
「いずれ結婚するつもり」と考える未婚者 4の割合は男性で
86.3%、女性で 89.4%となっている。この違いは、出生動向基本調査は「いずれ結婚する
つもり」
「一生結婚するつもりはない」の二択であるのに対し、本調査では、生活満足度
や将来の見通しに関する意見について、あてはまるかどうかを複数回答で尋ねた質問の選
択肢の一つであるという、質問方法の違いが影響していると考えられる。
また、現在または結婚を決めた当時における結婚をすることに対する規範意識について
は、
「ある年齢になれば結婚することが自然と考えている」に対して、男性の 53.1%、女性
4
18~34 歳の未婚者
14
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
の 61.8%が「そう思う」あるいは「少しそう思う」と回答していた。現在の交際状況別に男
女を比較すると、いずれの交際状況においても、女性の方が「そう思う」あるいは「少しそ
う思う」と回答する割合が高くなっていた。また、結婚している(結婚が決まっている)人
はその他の交際状況にある人に比べて、肯定的な回答割合が高くなっていた(表 3-1-2)
。
表 3-1-1 結婚に対する希望(構成比)
【3 年前】
3年前の結婚
に対する希望
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
一生の間に、
いずれ結婚し
たいと思って
いた
%
43.3%
37.2%
39.2%
49.6%
64.0%
51.1%
54.9%
69.5%
表頭:3年前の時点で、「一生の間にいずれ結婚したいと思っていた」という意見にあてはまると回答した割合(Q18)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
表 3-1-2 結婚することに対する規範意識について(構成比)
【現在または結婚を決めた当時 5】
現在または結婚を決めた当時の
結婚することに対する規範意識
全体
ある年齢になれば結婚するのが自然と考えている
そう思う
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
%
11.9%
9.0%
8.8%
15.4%
17.5%
11.7%
12.7%
20.1%
少しそう思う
%
41.2%
35.8%
38.3%
46.4%
44.3%
37.3%
38.5%
47.6%
あまりそう思
そう思わない
わない
%
29.3%
32.3%
31.5%
26.1%
23.4%
29.7%
28.7%
20.5%
%
17.6%
22.9%
21.4%
12.0%
14.8%
21.3%
20.1%
11.8%
表頭:現在または結婚を決めた当時、「ある年齢になれば結婚するの自然と考えている」ということについてどう思うか(Q45、Q68、Q97)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
3-2 交際相手との結婚の希望について
実際に交際している相手との結婚意欲について、3 年前に交際していた相手との 3 年前
時点での結婚意欲を尋ねたところ、
「近いうちに結婚したいと考えていた」と「将来的には
5
現在の交際状況別に「結婚しておらず、恋人もいない」人及び「結婚していないが恋人がいる」人につ
いては現在の状況、
「結婚している(結婚が決まっている)
」人については結婚を決めた当時の状況につい
て尋ねている。
15
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
結婚を考えていた」が男性で 67.2%、女性で 73.5%であり、半数以上が結婚を意識して交
際していた(表 3-2-1)
。次に、現在の交際状況別で結婚していないが恋人がいる人の、
現在の交際相手との結婚意欲は、
「近いうちに結婚したいと考えている」が男性で 18.2%、
女性で 20.4%と 3 年前の男性 12.4%、女性 17.6%から増加していた。また、
「結婚しない
だろうと考えている」も男性 10.4%、女性 10.0%で、3年前の男性 13.1%、女性 16.2%か
ら減少していた(表 3-2-2)
。
表 3-2-1 3 年前の交際相手との結婚意欲(構成比)
【3 年前】
3年前の交際相手との結婚意欲
近いうちに結 将来的には 結婚するか 結婚しないだ
婚したいと考 結婚を考え どうかはわか ろうと考えて
えていた
ていた
らなかった いた
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
%
24.6%
14.4%
12.4%
37.8%
36.1%
20.5%
17.6%
44.6%
%
42.6%
35.1%
43.9%
47.1%
37.4%
33.4%
37.9%
38.3%
%
21.9%
31.4%
30.5%
11.0%
16.5%
23.6%
28.3%
11.8%
%
10.9%
19.1%
13.1%
4.1%
10.1%
22.5%
16.2%
5.4%
表頭:3年前の交際相手との結婚に関して、3年前の時点でどのように考えていたか(Q25)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
表 3-2-2 現在の交際相手との結婚意欲(構成比)【現在】
全体
男性
女性
n
1,206
1,326
現在の交際相手との結婚意欲
近いうちに結 将来的には 結婚するか 結婚しないだ
婚したいと考 結婚を考え どうかはわか ろうと考えて
いる
えている
ている
らない
%
18.2%
20.4%
%
41.6%
40.0%
%
29.7%
29.5%
%
10.4%
10.0%
表頭:現在の交際相手との結婚に関して、どのように考えているか(Q73)
表側:性別(SC1-1)
対象:現在の交際状況「結婚していないが、恋人がいる」人(SC3)
3 年前の交際相手との結婚について「近いうちに結婚したいと考えていた」と回答した人
にその理由を尋ねたところ、
「家族になりたいと思える相手だったから」が男女ともに割合
が高く、特に現在結婚している(結婚が決まっている)女性で 72.6%となっていた(図 4)
。
次に、
「結婚相手に求める状況を満たしていると思ったから」
「子どもがほしかったから」が
男女ともに割合が高い傾向にあったが、
「自分が特定の年齢になるから」
「交際期間が長くな
ったから」
「婚期を逃したくなかったから」といった時期に関わる理由については、現在の
交際状況別にいずれも、女性の方が男性よりも割合が高くなっていた(図 1、図 2、図 4)
。
現在の交際相手と近いうちに結婚したいと考えている理由は、男性では「家族になりたい
と思える相手だから」が 61.4%、「結婚相手に求める条件を満たしていると思うから」が
49.5%であり、女性では、
「家族になりたいと思える相手だから」が 71.0%と3年前より増
加し、
「子どもがほしいから」が 49.2%、「自分が特定の年齢になるから」が 48.1%であっ
た(図 3)
。
「結婚相手に求める条件を満たしていると思うから」については女性が 37.4%で
16
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
あり、男性の方が割合が高くなっており、「自分が特定の年齢になるから」については男性
が 19.5%、
「子どもが欲しいから」は男性が 30.9%で女性の方が割合が高かった(図 3)
。
さらに、現在結婚している(結婚が決まっている)人の結婚しようと思った理由は、
「家
族になりたいと思える相手だったから」が男性は 65.2%、女性は 72.7%、
「結婚相手に求め
る条件を満たしていたから」が男性は 47.9%、女性は 37.3%と男女ともに多くなっていた。
これに対し、
「自分が特定の年齢になるから」は女性では 27.8%であるが、男性は 12.7%で
あり、男女で差が生じていた(図 5)。
また、3 年前の交際相手との結婚について「近いうちに結婚したいと考えていた」以外を
回答した人の、近いうちの結婚を考えていなかった理由は、現在結婚している(結婚が決ま
っている)人を除いて、
「結婚する必要性をまだ感じなかったから」が最も多く、
「結婚を決
めるタイミング、きっかけがなかったから」
「結婚後の経済状況に不安があったから」が続
いた(図 6、図 7)
。なお、現在結婚している(結婚が決まっている)人では「結婚を決める
タイミング、きっかけがなかったから」が男女ともに最も多くなっているものの、女性はい
ずれの選択肢も選択する割合が低く、男女で異なる傾向を示していた(図 9)
現在、結婚していないが恋人がいる人の、現在の交際相手との近いうちの結婚を考えてい
ない理由は、
「結婚する必要性をまだ感じないから」が男性は 34.7%、女性は 23.5%、「結
婚を決めるタイミング、きっかけがないから」が男性は 25.1%、女性は 37.9%、
「結婚後の
経済状況に不安があるから」が男性は 20.3%、女性は 22.5%と多くなっていた(図 8)
。
図 1 3 年前の交際相手と近いうちに結婚したいと考えていた理由
(現在の交際状況:結婚しておらず、恋人もいない)
対象:現在の交際状況「結婚しておらず、恋人もいない」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「近いうちに結婚したいと考えていた」と回答した人(Q25)
17
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
図 2 3 年前の交際相手と近いうちに結婚したいと考えていた理由
(現在の交際状況:結婚していないが恋人がいる)
対象:現在の交際状況「結婚していないが恋人がいる」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「近いうちに結婚したいと考えていた」と回答した人(Q25)
図 3 現在の交際相手と近いうちに結婚したいと考えている理由(Q73)
(現在の交際状況:結婚していないが恋人がいる)
対象:現在の交際状況「結婚していないが恋人がいる」人(SC3)
かつ、現在の交際相手との結婚に関して、「近いうちに結婚したいと考えている」と回答した人(Q73)
18
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
図 4 3 年前の交際相手と近いうちに結婚したいと考えていた理由
(現在の交際状況:結婚している(結婚が決まっている))
対象:現在の交際状況「結婚している(結婚が決まっている)」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「近いうちに結婚したいと考えていた」と回答した人(Q25)
図 5 結婚相手と結婚した理由(Q103)
(現在の交際状況:結婚している(結婚が決まっている))
対象:現在の交際状況「結婚している(結婚が決まっている)」人(SC3)
19
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
図 6 3 年前の交際相手と近いうちの結婚を考えていなかった理由
(現在の交際状況:結婚しておらず、恋人もいない)
対象:現在の交際状況「結婚しておらず、恋人もいない」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「将来的には結婚を考えている」
「結婚するかどうかはわからない」「結婚しないだろうと考えている」と回答した人(Q25)
図 7 3 年前の交際相手と近いうちの結婚を考えていなかった理由
(現在の交際状況:結婚していないが恋人がいる)
対象:現在の交際状況「結婚していないが恋人がいる」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「将来的には結婚を考えている」
「結婚するかどうかはわからない」「結婚しないだろうと考えている」と回答した人(Q25)
20
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
図 8 現在の交際相手と近いうちの結婚を考えていない理由(Q76)
(現在の交際状況:結婚していないが恋人がいる)
対象:現在の交際状況「結婚していないが恋人がいる」人(SC3)
かつ、現在の交際相手との結婚に関して、3年前当時「将来的には結婚を考えている」
「結婚するかどうかはわからない」「結婚しないだろうと考えている」と回答した人(Q73)
図 9 3 年前の交際相手と近いうちの結婚を考えていなかった理由
(現在の交際状況:結婚している(結婚が決まっている))
対象:現在の交際状況「結婚している(結婚が決まっている)」人(SC3)
かつ、3年前の交際相手との結婚に関して、3年前当時「将来的には結婚を考えている」
「結婚するかどうかはわからない」「結婚しないだろうと考えている」と回答した人(Q25)
21
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
3-3 家族形成に対する意識について
結婚したいと考えていた、あるいは結婚した理由に関して、
「家族になりたいと思える相
手だったから」が多いことから、家族形成に関する意識についての質問の回答をみると、ま
ず、
「父親・母親になった時の自分を(なんとなく)イメージできる」に対しては、
「あまり
そう思わない」
「そう思わない」が男性は 60.7%、女性は 61.3%であり半数以上となった
(表 3-3-1)
。次に、
「一生のうち、自分が子どもをもてなくてもかまわない」かどうかに
ついては、男性の 61.4%、女性の 69.1%が「あまりそう思わない」あるいは「そう思わな
い」と回答していた。特に、結婚している(結婚が決まっている)人ではその他の交際状況
の人よりも、
「そう思わない」の割合が高く、
「そう思う」の割合が低くなっており、子ども
を持つことに対する意欲が高いことがうかがえる(表 3-3-2)
。
表 3-3-1 親になることに対する意識(構成比)
【現在または結婚を決めた当時】
現在または結婚を決めた当時の
親になることに対する意識
父親・母親になった時の自分を
(なんとなく)イメージできる
全体
そう思う
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
%
7.0%
6.8%
6.3%
7.6%
8.4%
7.9%
6.6%
8.9%
少しそう思う
%
32.2%
28.8%
30.7%
35.3%
30.4%
27.6%
28.9%
31.5%
あまりそう思
そう思わない
わない
%
37.4%
36.6%
37.0%
38.2%
37.0%
34.1%
35.9%
38.0%
%
23.3%
27.8%
26.0%
18.8%
24.3%
30.5%
28.7%
21.6%
表頭:現在または結婚を決めた当時、「父親・母親になって時の自分を(なんとなく)イメージできる」ということについてどう思うか(Q45、Q68、Q97)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
表 3-3-2 子どもを持つことに対する意識(構成比)
【現在または結婚を決めた当時】
現在または結婚を決めた当時の
子どもを持つことに対する意識
全体
一生のうち、自分が子どもをもてなくてもかまわない
そう思う
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
%
11.3%
15.3%
13.2%
7.5%
12.1%
18.8%
17.9%
8.9%
少しそう思う
%
27.4%
27.4%
27.1%
27.4%
18.8%
21.7%
21.0%
17.5%
あまりそう思
そう思わない
わない
%
34.4%
31.8%
34.6%
36.1%
30.8%
29.1%
30.0%
31.4%
%
27.0%
25.5%
25.1%
28.9%
38.3%
30.5%
31.0%
42.2%
表頭:現在または結婚を決めた当時、「一生のうち、自分が子どもをもてなくてもかまわない」ということについてどう思うか(Q45、Q68、Q97)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
22
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
3-4 結婚後の生活に関する意識について
掃除、料理、洗濯といった家事の夫婦の分業について尋ねたところ、3 年前では、
「夫・
妻に関わらず、時間に余裕のある方が主に行う」が男女ともに割合が高く、男性は 46.9%、
女性は 43.9%であった。
「妻が主に行う」と考える人の割合は男性が 18.8%、女性が 32.8%
と女性の方が高く、男女ともに現在結婚している(結婚が決まっている)人がその他の交際
状況の人よりも割合が高くなっていた(表 3-4-1)。
現在または結婚を決めた当時の夫婦の分業についての考えを、現在結婚していないが恋
人がいる人と結婚している(結婚が決まっている)人に尋ねたところ、
「夫・妻に関わらず、
時間に余裕のある方が主に行う」が最も割合が高く、男性で 51.3%、女性で 45.4%であり、
「妻が主に行う」は結婚している(結婚が決まっている)女性で割合が高く 37.6%であっ
た(表 3-4-2)
。
「夫が主に行う」はどちらの時点でも最も割合が低いが、女性よりも男性の方がわずかに
高くなっていた(表 3-4-1、3-4-2)
。
表 3-4-1 掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について(構成比)
【3 年前】
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
3年前の掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について
夫・妻に関わ
夫・妻に関わ
らず、時間に
夫と妻が同じ
らず、得意な
妻が主に行う 夫が主に行う
その他
余裕のある
くらい行う
方が主に行う
方が主に行う
%
18.8%
14.2%
12.6%
25.1%
32.8%
23.7%
21.9%
37.8%
%
2.1%
1.6%
1.7%
2.7%
0.4%
0.7%
0.2%
0.4%
%
46.9%
42.2%
48.9%
49.2%
43.9%
43.5%
46.4%
43.4%
%
12.5%
13.3%
15.4%
10.5%
9.6%
12.7%
14.2%
7.6%
%
12.5%
16.0%
13.9%
9.4%
9.6%
12.2%
11.1%
4.1%
%
7.1%
12.6%
7.4%
3.2%
3.8%
7.2%
6.2%
1.4%
表頭:掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について、3年前の時点でどう考えていたか(Q20)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
表 3-4-2 掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について(構成比)
【現在または結婚を決めた当時】
全体
性
別
×
現
男性
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
女性
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
在
の
交
際
状
況
n
5,166
1,206
2,351
8,155
1,326
5,432
現在または結婚を決め当時の掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について
夫・妻に関わ
夫・妻に関わ
らず、時間に
夫と妻が同じ
らず、得意な
妻が主に行う 夫が主に行う
その他
余裕のある
くらい行う
方が主に行う
方が主に行う
%
19.4%
10.5%
23.9%
33.8%
17.9%
37.6%
%
1.6%
1.1%
1.9%
0.3%
0.2%
0.3%
%
51.3%
51.3%
51.3%
45.4%
49.5%
44.3%
%
12.8%
15.6%
11.4%
9.3%
15.5%
7.8%
%
11.6%
15.9%
9.4%
9.2%
12.5%
8.4%
%
3.2%
5.6%
2.0%
2.0%
4.3%
1.5%
表頭:掃除・料理・洗濯などの夫婦の分業について、現在または結婚を決めた当時どう考えていたか(Q64、Q93)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
対象:現在の交際状況「結婚していないが恋人がいる」人、「結婚している(結婚が決まっている)」人
23
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
3 年前当時、結婚後自分もしくは相手の親と同居する予定があるかどうかについては、
「同
居するつもりはなかった」が最も割合が高く、現在の交際状況別に、結婚しておらず、恋人
もいない人では、男性が 34.5%、女性が 41.2%、結婚していないが恋人がいる人で、男性
が 41.5%、女性が 44.7%、結婚している(結婚が決まっている)人で男性が 64.2%、女性
が 72.6%で、特に結婚している(結婚が決まっている)女性でその割合が高くなっていた
(表 3-4-3)
。
表 3-4-3 結婚後の親との同居予定について(構成比)
【3 年前】
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
3年前当時の結婚後の親との同居予定について
自分の親と 相手の親と
同居するつも どちらか決め
同居するつも 同居するつも
わからない
りはなかった ていなかった
りだった
りだった
%
8.5%
10.3%
7.2%
8.0%
3.5%
5.3%
4.2%
2.8%
%
1.8%
1.8%
1.2%
2.2%
2.6%
3.0%
2.2%
2.6%
%
49.7%
34.5%
41.5%
64.2%
62.7%
41.2%
44.7%
72.6%
%
22.9%
27.3%
26.7%
18.0%
16.3%
20.9%
21.5%
13.8%
%
17.0%
26.0%
23.3%
7.7%
16.0%
29.6%
27.4%
8.2%
表頭:3年前の時点で、結婚後もそれぞれの親(父親、母親、またはその両方)と同居する予定はあったか(Q7-2)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
3-5 仕事や生活に関する意識について
仕事のやりがいや目標などについて、3 年前の時点では男女ともに「当時の仕事にはやり
がいがあった」
、
「当時の職場の人間関係について不満に思うことがあった」
、
「希望すれば、
5 年後も当時の職場で働き続けられそうだった」にあてはまるとした人の割合は、現在、結
婚している(結婚が決まっている)人で高くなっていた。また、
「当時の職場で、昇給や昇
進は見込めなかった」にあてはまる割合は、現在の交際状況による差があまり見られなかっ
た(表 3-5-1)
。
現在または結婚を決めた当時においては、
「仕事にはやりがいがある」、
「希望すれば、5 年
後も現在の職場で働き続けられる」にあてはまるとした人の割合が、結婚している(結婚が
決まっている)人で高くなっており、「職場の人間関係について不満に思うことがある」に
あてはまっている人の割合は、女性において、結婚している人(結婚が決まっている人)で
高くなっていた。また、
「昇給や昇進は見込めない」とした人の割合は男性では、結婚して
おらず、恋人もいない人で 27.8%、結婚していないが恋人がいる人で 21.1%、結婚してい
る(結婚が決まっている)人で 13.8%となっており、女性でも、結婚しておらず、恋人もい
ない人で 36.2%、結婚していないが恋人がいる人で 31.7%、結婚している(結婚が決まっ
ている)人で 24.5%と、3 年前と異なり、交際状況毎に差が生じていた(表 3-5-2)
。
24
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
表 3-5-1 仕事のやりがいや目標について(複数回答・構成比)
【3 年前】
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
4,310
1,266
962
2,082
6,863
1,135
1,063
4,665
3年前当時の仕事のやりがいや目標について
当時の職場
当時の職場 当時の職場
当時の仕事 の人間関係
の経営状態 で、昇給や昇
にはやりがい について不
について不 進は見込め
があった
満に思うこと
安があった なかった
があった
%
50.4%
46.5%
48.4%
53.6%
47.9%
44.9%
42.5%
49.9%
%
29.0%
28.4%
29.1%
29.4%
39.9%
38.3%
36.7%
41.0%
%
14.7%
16.2%
13.3%
14.4%
13.5%
14.2%
14.3%
13.1%
%
20.6%
22.9%
20.7%
19.2%
27.6%
28.3%
28.5%
27.2%
3年前当時の仕事のやりがいや目標について
希望すれ
5年後も当時 定年まで当
仕事の上で
ば、5年後も
の職場で働 時の職場で
具体的な目
当時の職場
き続けたかっ 働き続けた
標があった
で働き続けら
た
かった
れそうだった
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
%
18.9%
16.7%
16.7%
21.3%
28.0%
21.4%
20.1%
31.5%
%
8.9%
6.8%
8.5%
10.4%
10.1%
10.1%
7.8%
10.6%
%
6.5%
4.8%
5.6%
7.9%
3.5%
3.5%
3.2%
3.6%
%
11.2%
11.1%
12.7%
10.5%
7.4%
8.1%
8.7%
6.9%
表頭:3年前の時点での職場や仕事の状況について(Q14-2)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
対象:3年前の就業区分が無職、学生、その他以外の人(Q3)
25
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
表 3-5-2 仕事のやりがいや目標について(複数回答・構成比)
【現在または結婚を決めた当時】
現在または結婚を決めた当時の
仕事のやりがいや目標について
現在の職場
現在の仕事 の人間関係
にはやりがい について不
満に思うこと
がある
がある
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
4,822
1,434
1,099
2,289
7,493
1,229
1,167
5,097
%
53.6%
48.0%
49.3%
59.2%
47.5%
44.0%
43.4%
49.3%
現在の職場
の経営状態
について不
安がある
%
27.0%
28.0%
26.4%
26.8%
37.5%
34.7%
31.4%
39.6%
%
18.2%
23.4%
20.1%
13.9%
16.4%
21.2%
20.1%
14.4%
現在の職場
で、昇給や昇
進は見込め
ない
%
19.6%
27.8%
21.1%
13.8%
27.5%
36.2%
31.7%
24.5%
現在または結婚を決めた当時の
仕事のやりがいや目標について
希望すれ
定年まで現
ば、5年後も 5年後も現在
在の職場で
現在の職場 の職場で働
働き続けた
で働き続けら き続けたい
かい
れる
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
%
21.8%
19.8%
21.5%
23.1%
27.7%
22.8%
23.5%
29.8%
%
13.3%
12.9%
13.7%
13.2%
10.6%
10.7%
10.6%
10.6%
仕事の上で
具体的な目
標がある
%
9.5%
7.9%
8.5%
11.0%
4.7%
4.7%
5.0%
4.6%
%
12.9%
14.6%
13.9%
11.4%
7.0%
7.5%
10.3%
6.2%
表頭:現在または結婚を決めた当時での職場や仕事の状況について(Q41-2、Q59-2、Q88-2)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
対象:現在または結婚を決めた当時の就業区分が無職、学生、その他以外の人(Q32、Q50、Q79)
生活への満足度や将来の見通しについて、3 年前の時点では「当時の生活に満足してい
た」
、
「自分の将来の仕事や生活に希望があった」、
「今後 5 年間の収入は増えると思ってい
た」という意見にあてはまる人の割合は、男女ともに、現在結婚している(結婚が決まって
いる)人がそれ以外の交際状況の人よりも高くなっていた(表 3-5-3)
。
現在または結婚を決めた当時では、
「生活に満足している」、
「自分の将来の仕事や生活に
希望がある」にあてはまる人の割合は結婚している(結婚が決まっている)人で高く、「今
後 5 年間の収入は増えると思っている」については男性のみ結婚をしている(結婚が決ま
っている)人の割合が高くなっていた(表 3-5-4)。
26
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
表 3-5-3 生活満足や将来の見通しについて(複数回答・構成比)
【3 年前】
3年前当時の生活満足や将来の見通しについて
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
自分の将来
当時の生活
の仕事や生
に満足してい
活に希望が
た
あった
%
47.9%
43.9%
46.0%
51.6%
44.3%
40.4%
36.9%
47.1%
%
25.9%
22.5%
23.4%
29.5%
23.7%
22.8%
21.3%
24.4%
日本の社会
には希望が
あった
人生は変え
ることができ
ると思ってい
た
%
5.6%
6.3%
6.0%
5.0%
1.8%
2.6%
2.3%
1.5%
%
22.3%
22.5%
23.5%
21.5%
19.7%
21.3%
20.4%
19.0%
3年前当時の生活満足や将来の見通しについて
私個人の力
では、政府の
決定に影響
を与えること
はできないと
思っていた
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
%
21.0%
20.0%
19.9%
22.2%
23.6%
20.8%
23.1%
24.5%
社会の一員
として何か社 雇用状況は
会のために 良くなると
役立ちたいと 思っていた
思っていた
%
15.4%
14.7%
16.0%
15.5%
12.2%
12.3%
12.7%
12.0%
%
8.2%
8.1%
9.2%
7.7%
5.6%
6.2%
6.0%
5.4%
一生の間に、
今後5年間の
いずれ結婚
収入は増え
したいと思っ
ると思ってい
ていた
た
※再掲
%
23.9%
19.8%
23.1%
27.2%
16.8%
15.5%
15.9%
17.4%
%
43.3%
37.2%
39.2%
49.6%
64.0%
51.1%
54.9%
69.5%
表頭:3年前の時点での生活満足や将来の見通しについて(Q18)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
27
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
表 3-5-4 生活満足や将来の見通しについて(複数回答・構成比)
【現在または結婚を決めた当時】
現在または結婚を決めた当時の
生活満足や将来の見通しについて
全体
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
n
5,166
1,609
1,206
2,351
8,155
1,397
1,326
5,432
自分の将来
現在の生活
の仕事や生
に満足してい
活に希望が
る
ある
%
40.8%
29.2%
35.8%
51.3%
42.0%
23.9%
30.2%
49.5%
%
26.4%
21.7%
21.1%
32.4%
23.3%
18.8%
16.8%
26.0%
日本の社会
には希望が
ある
%
6.2%
7.5%
6.4%
5.2%
1.8%
2.3%
2.0%
1.6%
人生は変え
ることができ
ると思ってい
る
%
23.4%
26.4%
25.6%
20.3%
20.9%
25.3%
26.2%
18.4%
現在または結婚を決めた当時の
生活満足や将来の見通しについて
私個人の力
では、政府の
決定に影響
を与えること
はできないと
思っている
性
別
×
現
在
の
交
際
状
況
男性
女性
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
結婚しておらず、恋人もいない
結婚していないが恋人がいる
結婚している(結婚が決まっている)
%
20.4%
23.0%
22.9%
17.4%
22.8%
27.7%
25.7%
20.9%
社会の一員
として何か社 雇用状況は
会のために 良くなると
役立ちたいと 思っている
思っている
%
14.4%
15.9%
16.4%
12.3%
11.3%
15.7%
15.2%
9.2%
%
6.9%
5.5%
7.0%
7.9%
4.3%
4.3%
3.9%
4.4%
今後5年間の
収入は増え
ると思ってい
る
一生の間に、
いずれ結婚
したいと思っ
ている
%
23.4%
19.6%
21.1%
27.3%
13.5%
14.2%
14.1%
13.1%
%
40.2%
40.0%
42.4%
39.2%
56.6%
54.2%
58.4%
56.8%
表頭:現在または結婚を決めた当時の生活満足や将来の見通しについて(Q43、Q62、Q91)
表側:性別(SC1-1)、現在の交際状況(SC3、Q30)
4
まとめ
調査の集計結果から、若年層の結婚や家族形成、生活に関する意識は、性別や交際状況
によってそれぞれ特徴があることが示された。さらに交際状況が同一であった3年前の
意識についても、現在の交際状況別にみると異なる傾向を示すことから、これらの意識の
あり方が、その後の交際状況、ひいては結婚の成立に関係している可能性が示唆された。
第2部では、本調査を用いて、20代男女の交際相手との結婚意欲の高まり方、結婚の
意思決定の要因、社会関係資本が交際から結婚への移行に及ぼす影響について検証した、
3つの分析を掲載する。
28
ESRI Discussion Paper No.332
「結婚の意思決定に関する分析~「結婚の意思決定に関する意識調査」の個票を用いて~」
参考文献
岩澤美帆(2013)
「失われた結婚,増大する結婚:初婚タイプ別初婚表を用いた 1970 年代
以降の未婚化と初婚構造の分析」人口問題研究 69-2(2013.6)pp.1-34
厚生労働省(2016)
「人口動態統計」
国立社会保障・人口問題研究所(2010)
「第 14 回出生動向基本調査 結婚と出産に関する
全国調査 独身者調査の結果概要」
酒井正・樋口美雄(2005)
「フリーターその後;就業・所得・結婚・出産」日本労働研究雑
誌 No.535, pp29-41
佐々木尚之(2015)
「未婚男女の出会いの阻害要因」ESRI Discussion Paper Series No.323
29