№ 2016- 88 2016 年 9 月 2 日 団 体 年 金 事 業 部 米国 新規受注、生産の一時的な低下による調整(16 年 8 月 ISM 製造業景気指数) ~製造業は緩やかな回復基調~ 当社のシンクタンク、株式会社第一生命経済研究所の桂畑主任エコノミストによる「米国 新 規 受 注 、 生 産 の 一 時 的 な 低 下 に よ る 調 整 (16 年 8 月 ISM 製 造 業 景 気 指 数 )~ 製 造 業 は 緩 や か な回復基調~」をお届けいたします。(別添参照) 以上 U.S.Indicators 米国 新規受注、生産の一時的な低下による調整(16年8月ISM製造業景気指数) 発表日:2016年9月1日(木) ~製造業は緩やかな回復基調~ 第一生命経済研究所 経済調査部 桂畑 誠治 03-5221-5001 ISM製造業景気指数の推移 総合 16/01 16/02 16/03 16/04 16/05 16/06 16/07 16/08 48.2 49.5 51.8 50.8 51.3 53.2 52.6 49.4 新規受注 51.5 51.5 58.3 55.8 55.7 57.0 56.9 49.1 生産 50.2 52.8 55.3 54.2 52.6 54.7 55.4 49.6 雇用 45.9 48.5 48.1 49.2 49.2 50.4 49.4 48.3 在庫 43.5 45.0 47.0 45.5 45.0 48.5 49.5 49.0 入荷遅延 50.0 49.7 50.2 49.1 54.1 55.4 51.8 50.9 受注残 43.0 48.5 51.0 50.5 47.0 52.5 48.0 45.5 仕入価格 33.5 38.5 51.5 59.0 63.5 60.5 55.0 53.0 輸出受注 47.0 46.5 52.0 52.5 52.5 53.5 52.5 52.5 輸入 51.0 49.0 49.5 50.0 50.0 52.0 52.0 47.0 (出所)ISM:the Institute for Supply Management 製造業景気指数は 49.4 と前月比 3.2%ポイン ト低下 16年8月のISM製造業景気指数(季節調整値)は、49.4と前月比3.2%ポイント低 下し、拡大縮小の分岐点である50を6カ月ぶりに下回った(市場予想中央値52.0、筆者 予想52.8)。総合指数を構成する全5項目が前月から低下した。構成項目別の総合指数 への寄与度をみると、新規受注(前月比▲1.56%p)、生産(前月比▲1.16%p)、雇用 (前月比▲0.22%p)、入荷遅延(前月比▲0.18%p)、在庫(前月比▲0.10%p)が押 し下げ寄与となり、総合指数は前月比3.2%ポイント低下した。重要な新規受注が49.1、 生産が49.6と急激に低下し、全体を大きく押し下げた。また、総合(全18業種)で拡大 した業種は、印刷・関連サポート活動、非鉄、コンピューター・電子機器、その他製造 業、食品・飲料・タバコ、化学製品の6業種(前月11業種)に減少した一方で、縮小し た業種は、アパレル、電気設備・部品、プラスチック・ゴム、家具・同関連、輸送機器、 一般機械、繊維、紙製品、石油・石炭、一次金属、加工金属の11業種(7業種)に増加 した。木材製品は変わらずとなった。 米国製造業の活動は、ドルの下落や原油価格の上昇、石油掘削リグの稼働数の増加、 在庫調整の進展等を背景に、ここ数カ月安定していたが、8月の製造業景気指数は49.4 と50を小幅下回り、製造業活動が縮小したことを示した。ただし、ISMによると、 49.4はGDP成長率が2%成長していることを示す水準である。また、前月から大幅に 低下した主因である新規受注や生産の悪化については、以下の理由から7月にかけて高 い水準だった反動による一時的な動きと考えられる。まず、縮小を示した一般機械でさ え「売上高が今年前半の基調を上回った」と報告、縮小を示したプラスチック・ゴムで は「人手不足」が指摘されるなど需要の悪化などを示す企業の報告がなかった。さらに、 新規受注は輸出受注が50台を維持しているなかで国内受注の減少によって低下したが、 国内需要は個人消費や建設投資など堅調に推移している。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 1 今後、製造業景気指数 は緩やかな拡大を示す 水準に回復する公算 今後、依然として高い水準のドル実効レートや世界的な需要鈍化の影響を受けるもの の、所得等の拡大を背景に個人消費を中心とした国内需要は堅調さを持続するとみられ、 新規受注、生産は拡大すると予想される。以上より、今後のISM製造業景気指数は、 在庫調整を続ける業種が足かせとなるものの、国内最終需要の増加に支えられる形で、 製造業の緩やかな拡大を示す水準を早期に回復すると予想される。 (%) (図表)ISM製造業景気指数の推移 70 生産 新規 受注 65 60 55 50 45 総合 40 35 30 25 20 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (出所)ISMデータより当社加工 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 2
© Copyright 2024 ExpyDoc