4K、VR 中継車が揃った「2016 NAB シ ョー」の「アウトドア・モバイル

4K、VR 中継車が揃った「2016 NAB シ
ョー」の「アウトドア・モバイル・メディア」
神谷 直亮 「2016 NAB ショー」に関しては、本誌
ザイン社製であった。具体的には、ATEM
くと同時に息抜きの場を提供していた。説
6 月号、7 月号ですでに触れたが、最後に、
2 M/E 4K ス イ ッ チ ャ ー、HyperDeck
明員によれば、
「NextVR 社は、FOX スポ
中央ホールと南ホールの間に設営された「ア
Studio 12G 4K レ コ ー ダ ー、Smart
ーツと契約して、各種スポーツイベントの
ウトドア・モバイル・メディア」における
VideoHub 4K ビデオ・ルーターなどが目
VR ライブストリーミングを請け負ってい
展示内容についてレポートする。この特設
についた。ちなみに、モニターはソニー製
る」という。
会場には、毎年のように最先端の大型中継
の 55 インチ 4K LED、オーディオミキサ
G&A 社は、この他、NEP 社向けのスー
車、車載局、可搬局が集結し、業界動向を
ーは Behringer 製 X32 であった。
パー・シューター大型中継車、クラーク・
知る格好の場になる。
ブースのセールスマンに、アメリカでは
プロダクション向けの側面拡張型スーパー・
今年の特色としてまず挙げられるのは、
何台の 4K 中継車が稼働しているのかと聞
スタリオン超大型中継車を紹介した。
4K に対応したコンパクトな中継車と仮想
いてみたら「モバイル TV グループと NEP
既述の 2 社以外に、今回ビデオ伝送を実
現実(VR)制作用の大型中継車が初めて登
グループがすでに運用を始めていると聞い
現する車載局、可搬局を出展した代表的な
場した。
ているが、何台所有しているかは分からな
メーカーとしては、AvL テクノロジーズ、
次いで、バイアサット、KaSat、O3b ネ
い」との回答であった。
サテライト・インフォメーション・サービ
ットワーク、インマルサットなど、Ka バン
「NAB ショー」初の VR 中継車を出展し
ス(SiS)
、ジェネラル・ダイナミックス・
ド衛星が世界的に普及してきたという現状
たのは、大型中継車や車載局の分野で 30
サトコム・テクノロジー(GD サトコム)
、
を踏まえて、これらの衛星にアクセスする
年の歴史を誇るガーリング & アソシェイ
コブハム・サトコム、オンコール・コミュ
車載局や可搬局が増えた。
ツ(G&A)社である。顧客名を聞いてみた
ニケーション(On Call)があげられる。
さらに、機動性を重視するマンパックシ
ら「このスーパー・スタリオン型 VR ユニ
アメリカを代表するアンテナメーカーと
ステムや平面アンテナの出展が目立った。
ットを契約した相手は、カリフォルニア州
して知られる AvL テクノロジーズは、C、X、
4K 中継車の初出展を飾ったのは、TV
ラグナビーチに本社を構える NextVR 社」
Ku に加えて Ka バンドにも対応できるクワ
Pro Gear 社(本社、カリフォルニア州グ
と答えていた。車内を見せてもらったら
ッド型アンテナ・システムを出展して注目
レンデール)だ。今回、同社が公開したの
NASCAR スプリントカップ開幕戦「デイ
を集めた。直径は 2.5m で、耐風圧性能を
は、非常にコンパクトでかつ経済性を重視
トナ 500」のレースの模様を魚眼レンズで
向上させた最新の製品という。同社は、も
した「Flypak」と名付けた中継車である。
撮影した映像がソニーの 4K テレビで再生
う一つの新製品として、Ka バンドを搭載し
車内を見せてもらったら、4K モニターと
されていた。さらに、オキュラス・リフト
た O3b 周回衛星をシームレスに追尾でき
オーディオミキサーを除いて、導入されて
やサムスン・ギアーを使った VR 体験コー
る直径 2.4m の可搬局を紹介して、来場者
いるほとんどの機器がブラックマジックデ
ナーが設けられており、来場者の興味を引
の耳目を集めていた。
写真 1 TV Pro Gear 社は、非常にコンパクトで経済性を重視した 4K 中継車を
初出展して注目を集めた。
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FDI・2016・08
写真 2 ガーリング & アソシエイツ社は、NextVR 社の VR ライブ映像制作用大
型中継車を紹介して話題を呼んだ。
写真 3 AvL テクノロジーズ社は、O3b ネットワーク社の Ka バンド周回
衛星をシームレスに追尾できる可搬局を披露した。
写真 4 サテライト・インフォメーション・サービス社(SiS)は、極限までコンパ
クト化を図ったという「ManPak60」
」や「ManPak 60T」を出展して PR に余念が
なかった。
(日本では、エーティコミュニケーションズ社が、販売を請け負っている)
イギリスを本拠とする SiS 社は、極限
TV2 が実用化している」とアピールしてい
タイプに仕上がっている」という。どの Ka
までコンパクト化を図った「ManPak60」
た。
「8100」に関しては、
「アンテナ直径
バンド衛星を対象としているのかという質
「uPak 60」
「ManPak 60T」
(いずれも
は 1m で、Ku バンドに加えて Ka バンド
問には、
「バイアサット 1 衛星」と答えて
アンテン直径 60cm)を揃えて PR に余念
にも対応する新製品。Ka バンドについては、
いた。また、
アンテナのメーカーについては、
がなかった。3 種とも折り畳んで専用のリ
すでにバイアサット 1 衛星とインマルサッ
AvL テクノロジーズと語っていた。
ックサックに入れて持ち運びが可能で、ア
ト 5 衛星にアクセスした実績がある」と説
カ ナ ダ の C-COM 社 は、
「iNetVu FLY-
ンテナの展開は 30 秒以内に実現できると
明していた。
75V」と「iNetVu980」を目玉にして出展
のことであった。念のため「ManPak60」
On Call 社 は、AvL テ ク ノ ロ ジ ー ズ 製
した。前者は直径 75cm のアンテナを有す
の才数と重量を確認したら「折り畳んだ
のアンテナを搭載した車載局を出展し、こ
る可搬局で、後者は直径 98cm の車載用ア
状 態 で、 長 さ 67、 幅 35、 高 さ 29cm。
れ を 使 っ た「Quick SPOT」 と「Secure
ンテナ・システムである。同社は、これら
重 量 は 12kg 以 内 」 と の こ と で あ っ た。
Skies」と呼ばれる 2 種の衛星通信サービ
の他にバイアサットの Ka バンドサービス
「uPak60」は、
「ManPak60」より一回り
スを紹介した。共に IP ベースで「前者はイ
をサポートする「iNetVu Ka-75V」シス
大きいが、
「IATA 規格に基づいて 1 個の荷
ベントの映像伝送、後者は災害時の緊急サ
テムの PR にも余念がなかった。これらの
物として旅客機で運搬が可能。HDTV の伝
ービスに特化している。特色は、スタジオ
他に同社のブースでは、現在、鋭意開発中
送にも適している」
と PR していた。さらに、
や災害対策本部からリモコンでカメラやエ
という「iNetVu On-The-Move」の PR が
ブースの販売担当者は、
「日本では、すでに
ンコーダのコントロールができる点にある」
行われていた。高さを 33cm に抑えた平面
エーティコミュニケーションズ社に販売を
という。モニターも車体の側面に 2 台設置
アンテナで、バイアサット社の Ka バンド
委託しておりお馴染みのはず」と付け加え
されており、現場からの送信映像とスタジ
衛星に移動中でもアクセスできるのがメリ
ることを忘れなかった。
オでの送出映像を確認できる。
ットという。
GD サトコム社(ジェネラル・ダイナミ
「アウトドア・モバイル・メディア」の特
ックスの子会社)もマンパック型の可搬局
設会場以外で注目を集めたのは、中央ホー
を 出 展 し た。
「C60MPT」
「C100MPT」
ルに出展したフロントライン・コミュニケ
の 2 種 が あ り「 前 者 は ア ン テ ナ 直 径 が
ーションズとシーコム・サテライト・シス
60cm で、後者は 1m の新製品。両者のも
テムズ(C-COM)だ。
う 1 つの違いは、前者が 3 ピースで構成さ
フロントライン・
れ、後者は 6 ピースに分解して持ち運ぶこ
コミュニケーショ
とが可能」という。これらの他に、同社は、
ン ズ 社 は、 今 回
「C140M」という型式の車載型アンテナシ
ABC の「 ア イ ウ
ステム(直径、1.4m)も紹介していた。
ィットネス ニュー
デンマークのコーバム・サトコムは、イ
ス」番組の取材用
ンマルサット衛星に対応するポータブル
に製作したという
型「 エ ク ス プ ロ ア ラ ー 710」 と 車 載 型
車載局を紹介した。
「 エ ク ス プ ロ ア ラ ー 8100」 を 前 面 に 押
ブースの説明員に
し出して出展した。L バンドに対応する
よれば、同社初の
「710」については、
「2 台を組み合わせれ
「Ku バンドに加え
ば、1Mbps 以上のスピードでビデオ伝送
て、Ka バ ン ド 衛
ができる。すでに、デンマークのテレビ局、
星にも対応できる
Naoakira Kamiya
衛星システム総研 代表
メディア・ジャーナリスト
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