かけがえのない水(PDF:138KB)

奨
励 賞
かけがえのない水
翔凜中学校高等学校 2年
栗原 麻衣
あなたにとって「必要不可欠なもの」それは何だと思いますか。私たちは毎日、手洗いをした
り、お風呂に入ったり、食事をすれば食器を洗ったりと、水との関わりは切っても切れないもの
です。もし、水がなかったらと思うと、全く想像がつきません。
そんな私が実際に水の大切さを知ったのは五年前の三月十一日、東日本大震災の時です。この
時私の家でも水が出なくなってしまい、お風呂も入れない、歯磨きもできないなど、色々と不便
な状況になってしまったのです。このとき、蛇口をひねって水が出るというあたり前のことがで
きないという現実を目の前にして、初めて「水の大切さ」を思い知らされました。しかし、大震
災の震源地である宮城県や東北地方は、津波など大きな被害があり、水が使えないどころか、生
きていくうえで困難な状態だったのですから、言葉がありません。
世界においても、安全な水を確保できない汚れた川や池の水を飲み、命を落としてしまうなど、
様々な問題があります。
地球上の水の大部分は海水で、水全体の約97.5%を占め、人間が利用しやすい河川や湖沼
の水は、わずか0.01%で、地下水全部を含めても0.8%にすぎません。
みなさんは、日本は「水が豊かな国」だと思っていませんか。私もこれまでずっとそうだと思
っていました。なぜなら、蛇口をひねれば安全な水が出て、あらゆるところに水が使われている
からです。しかし、実際のところは違うのです。
日本の水資源量は、世界平均の半分以下なのです。ですから、決して水資源に恵まれていると
は言えません。日本にとって水不足は他人事ではないのです。
実際に、世界では水を巡って国際紛争も起こっています。また、中でも発展途上国に多い「水
汲み労働」というものがあります。女性や子どもが毎日水汲みのために川や水溜りまで行き、重
たい水を家まで運ぶという作業を何往復もするとなると、時間もかかり大変な重労働になります。
その水も決して安全な水とは限りません。
このように、世界には多くの「水」の問題があります。今の私にはその問題を解決する力はあ
りません。しかし、自分に何ができるのか、少しでも役に立つためにはどのようなことをすれば
よいのかを考えたとき、改めて「水の大切さ」を考えることが大事だと気がつきました。
普段の生活で私たちができること、まずは「節水」です。
「水のムダ遣い」というのはなにげな
く使うところで水を消費しています。逆にほんの少しでも意識することによって、
「節水」につな
がることができるのです。他にも生活の身近なところにできることはたくさんあると思います。
また、日本の技術力も世界の水に関する問題では、大いに役立っているのです。例えば、昔か
ら行われている「かずさ掘り」と言われる日本の井戸掘りの技術輸出です。機械に頼らず、燃料
を使わない環境にやさしいかずさ掘りは、持続可能な開発においてたいへん有効です。他にも汚
れた水をきれいにする「ろ過装置」が使われ、人々の暮らしを支えているのです。これらの日本
の技術力は、多くの発展途上国の水の問題を解決する一助となっているのです。私たちの身の回
りにはたくさんの「水」があふれています。毎日の生活において、洗顔や歯磨き、入浴はもちろ
ん農業や工業といったあらゆる産業にも水を欠かすことはできません。
この「かけがえのない水」について、日本だけでなく、全世界の人々が一緒になって考えなけ
ればならないと思います。人類の命を守ってくれる大切な資源である「水」に対する意識をもっ
と高めていきたいと思います。