当日配布資料(502KB)

次世代省エネ用
シリコン・パワー半導体
国立大学法人九州工業大学
大学院 工学研究院 電気電子工学研究系
教授 大村 一郎
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従来技術とその問題点
環境技術によるパラダイムシフト
性能改善と莫大な普及が必須だが
従来の省エネ用大容量シリコン(Si)パワー半導体(IGBT)
①性能改善が限界(微細化によるメリットが無い)
②量産性の限界(ウエハの大口径化が進んでいない)
次世代パワーデバイスといわれているシリコンカーバイドな
ど化合物半導体デバイス
①性能は改善
②量産性が非常に低い
(現状のシェアはパワー半導体全体の1%以下)
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新技術の特徴・従来技術との比較
• シリコン(Si)パワー半導体で問題であった
– 性能を大幅に改善
– 量産性を大幅に改善
• 改善が可能になった理由
– 従来発生していた損失を削減し性能を改善
– 新しい設計により大口径ウエハ上に製造が可能
省エネ拡大に向けて大量導入が予想されるIGBTで
上記改善を可能に
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省エネ用パワー半導体:IGBT
IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor
電流 IGBT
P-float
蓄積
キャリア
N-Base
N-Drain
P-Base
Gate Gate
IGBT
GateGate
P-Base
Gate Gate
GateGate
パワー
MOSFET
N-Base
パワー
MOSFET
N-Buffer
P-Emitter
電圧
IGBTは、内部の蓄積キャリアにより
高電圧かつ高電流制御能力を持つ
現在600V~6.6KVで実用化
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ハイブリッド自動車の駆動システム例
Half-bridge boost
converter
Inverter for motor
Inverter for generator
Battery
IGBT
Power Diode
Motor
トヨタプリウスでは40 cm2 以上
のパワー半導体が使用されて
いる
Z. Shen and I. Omura. Proceeding of the IEEE, Vol.
95 No. 4, 2007.(Figure)
*A. Kawahashi et al., Proc. of ISPSD 2004, pp. 23-29,
2004.
R
C
Generator
S
C
R
ICE
to Wheels
Ring gear
Carrier/Planetary gear
Sun gear
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省エネ用パワー半導体:IGBT
IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor
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IGBT
CMOS
IGBT
1
ウエハ径
6インチ
[um]
8インチ
LSI(CMOS)
0.1
300mm
設計ルール
0.01
1990
450mm?
2000
2010
2020
年
IGBTは、微細化では性能向上できないと考えられていた
大口径ウエハへの移行に遅れ量産性に限界
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補足資料 Siウェーハ大口径化のトレンド
大量生産・低コスト化には大口径化が必須
Total
300mm
450mm
現在は300mmが主流。2012年以降450mmが立ち上がる。
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“Special White Paper Augmenting ITRS Chapters 450 mm”, ITRS, 20057
新しい微細化構造で性能向上(本発明)
微細化のルールを工夫することで、微細化で大幅な性能改善
微細化熱工程が短い大口径化が可能
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補足資料 性能改善のメカニズム
N-Base
Voltage drop
N-Base
Mesa
Channel
Built-in2
Built-in1
50
150
250
350
Jc[A/cm2]
450
550
P-Base
GateGate
100%
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%
GateGate
Portions of voltage drop
損失割合
P-float
x
x2
N-Base
x1
N-Buffer
P-Emitter
p(x)=n(x)
Nベースでの損失低減が鍵
(その他の部分での損失は少々増えてもOK)
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短い熱工程により量産性改善
長い熱工程 短い熱工程 仕上げの工程
従来
8インチウエハ
保護テープ貼り付け
テープ剥がし
短い熱工程
本発明
12インチ以上の
大口径ウエハ
(面積2.3倍)
裏面と表面工程の分業化が可能
短い熱工程により、IGBTの量産性を大幅に向上
①大口径ウエハ化、②工程短縮・簡素化、③水平分業
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省エネ用シリコン・ダイオードでも
性能の大幅改善(数値計算)
新しいメカニズム
損失低減
低電流域での性能が向上(損失が半分)
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省エネ用シリコン・ダイオードでも
性能の大幅改善(実験)
実験的にも効果を実証
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想定される用途
• 本技術の特徴を生かすためには、家電や電気
自動車、電鉄など省エネ用インバータ(モータ
駆動回路)に用いることが効果的である。
• さらに、スイッチング電源など高速スイッチング
を必要とする回路への応用(ゲートCが小さい)。
• 大電流を扱うパワーエレクトロニクスへの応用
では全般的に効果が大きい。
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実用化に向けた課題
• 現在、試作可能なレベルまでの設計パラメー
タを決定済み。しかし、制御電圧の低電圧化
によりノイズの影響を受けやすいという課題。
• 今後、データを取得し、制御系(ゲート回路・
配線)の問題を解決。
• チップのエッジ部分の設計(終端部分での耐
圧を微細構造で確保できるように設計)
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企業への期待
• 未解決のノイズの問題については、フリップ
チップ実装などで克服できると考えている。
• 試作できるクリーンルームを持つ企業との共
同研究を希望。
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本技術に関する知的財産権
・ 発明の名称:高電圧絶縁ゲート型電力用半導体装置および
その製造方法
出願番号 :特願2012-195347
出願人
:国立大学法人九州工業大学
発明者
:大村一郎、田中雅浩、附田正則、三木大和
・ 発明の名称:高電圧絶縁ゲート型電力用半導体装置
出願番号 :特願2012-123462
出願人
:国立大学法人九州工業大学
発明者
:大村一郎、田中雅浩、三木大和
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・ 発明の名称:高電圧電力用半導体装置
出願番号 :特願2012-123461
出願人
:国立大学法人九州工業大学
発明者
:大村一郎、瀬戸康太、附田正則
・ 発明の名称:半導体装置及びその駆動方法
出願番号 :特願2011-111883 PCT出願済み 台湾出願済み
出願人
:国立大学法人九州工業大学
発明者
:大村一郎、松本泰明、津田基裕、附田正則
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お問い合わせ先
国立大学法人九州工業大学
産学連携推進センター知的財産部門
TEL 093-884-3499
FAX 093-884-3531
e-mail [email protected]
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