当院における肝胆膵外科の現況

当院における肝胆膵外科の現況
高松赤十字病院 消化器外科
小森淳二、三木明寛、池田温至、大谷剛、
石川順英、西平友彦
肝胆膵外科疾患とは
肝癌:肝炎ウイルス、肝硬変、
大腸がん→肝切除術
膵疾患:閉塞性黄疸、背部痛、糖
尿病の悪化→膵切除
肝臓
脾臓
胆のう
胆嚢結石症:腹痛、
右季肋痛、背部痛
→胆嚢摘出術
胆道悪性腫瘍:腹痛、
閉塞性黄疸、発熱、
背部痛
→胆道悪性腫瘍手術
主膵管
膵臓
十
二
指
腸
十二指腸疾患:出血、
狭窄症状
→膵頭十二指腸切除術
膵頭部
膵体部
膵尾部
全身麻酔手術件数の推移
(件数)
当院消化器外科10年間
肝胆膵手術件数の推移
(件数)
胆摘
肝切
膵切
肝癌の治療
肝細胞癌治療アルゴリズム
① 腹水、効果少ない
② 血清ビリルビン値3.0超
③ 血清アルブミン値3.0未満
④ ICG15分値40超
⑤ PT活性値(%)50未満
上記2項目以上あればC
肝細胞癌
肝障害度
腫瘍数
1個
腫瘍径
治療
C
A,B
2,3個
3cm以内
①肝切除
②焼灼療法
肝切除
焼灼療法
4個以上
3cm超
①肝切除
②塞栓療法
1〜3個
4個以上
3cm以内
①塞栓療法
②化学療法
肝移植
緩和ケア
日本肝臓学会 肝癌診療ガイドライン2013年版
肝切除術手術件数の推移
肝切除術手術件数
(件数)
開腹 vs 腹腔鏡
(%)
腹腔鏡肝切除術の
割合
開腹に劣らない質と安全の担保
 肝流入血流の遮断
(Pringle法)
中心静脈圧を下げる
(輸液をしぼる、気道内圧
を下げる、頭高位)
気腹圧を上げる
 フレキシブルスコープによる拡大視の共有化
 術中超音波によるナビゲーション、ソナゾイド造影エコー
 術前シミュレーション(門脈、肝静脈の走行、ポートの位置)
肝癌術前シミレーション
肝右葉(S8) HCC
肝癌術前シミレーション
肝右葉(S8) HCC
腹腔鏡下肝S3部分切除
術
83才、女性 慢性B型肝炎
単発、1.5㎝、脈管侵襲なし、リンパ節転移なし、遠隔転移なし,f4
T1 N0 M0 Stage I
術後経過
“胆汁瘻を起こさない、起きたらドレナージで対処”
0日目 手術後HCUへ
1日目 朝から水分摂取、歩行開始
2日目 朝から食事開始
3日目 胆汁漏なければドレーン抜去
4日目 腹部CT
5日目〜退院
退院後1、2回外来受診後、ご紹介医でフォローアップ
(AFP, PIVKAII, US, CT)
診療報酬点数
1
2
3
4
5
6
7
部分切除
外側区域切除
亜区域切除
1区域切除
2区域切除
3区域切除以上のもの
2区域以上で血行再建
開腹
36,340
46,130
56,280
60,700
76,210
97,050
126,230
腹腔鏡
59,680
74,880
108,820
130,730
152,440
174,090
ー
膵頭十二指腸切除を行った疾患
2010年7月〜2016年6月 64例
胃癌
2%
膵嚢胞性腫瘍
14%
浸潤性膵管癌
36%
十二指腸乳頭部
腫瘍
22%
遠位胆管腫瘍
26%
膵頭十二指腸切除術の生存率
生存率(%)
膵嚢胞性腫瘍(n = 9)
遠位胆管癌(n = 17)
十二腸乳頭部腫瘍(n = 14)
膵癌(n = 23)
術後年数 2010年〜2016年7月
膵頭十二指腸切除術の出血量
術中出血量(ml)
年数 2010年〜2016年7月
術後経過
“膵液瘻を起こさない、起きてもドレナージで対処”
0日目 手術後HCUへ
1日目 一般病棟へ
朝から水分摂取、歩行開始、ドレーンアミラーゼ値
3日目 ドレーンアミラーゼ値
5日目 ドレーンアミラーゼ値
腹部CTで問題なければ食事開始
ウインスロードレーン抜去
6日目 膵管空腸吻合ドレーン抜去
21日目 膵管チューブ抜去
22日目 〜退院
退院後 外来術後補助化学療法 ティーエスワン4投2休を4クール
術後補助化学療法は切除単独に比べ良好な治療成績を示しており,実施することが勧められる(グレードA)。
術後補助療法のレジメンはS─1単独療法が推奨さ れ(グレードA), S─1に対する忍容性が低い症例などではゲ
ムシタビン塩酸塩単独療法が勧められる(グレードB)。膵癌診療ガイドライン2013年
膵癌治療の問題点
 予後の改善
 早期診断(新たなバイオマーカー)
 術式の改良
 術後補助化学療法
 Borderline resectable (BR) 膵癌の取り扱い
 手術先行で良いのか
 術前治療は化学療法か放射線化学療法か
膵癌再発症例の取り扱い
 どのような化学療法を行うか
 切除可能な遠隔転移は切除するのか
結語
 当科における肝胆膵外科診療の現況を
報告しました。
 ガイドラインに沿った安全で出来るだけ
低侵襲な手術を目指します。