厚生労働省 大船渡労働基準監督署 大船渡労働基準監督署発表 平 成 2 8 年 8 月 5 日 Press Release 署 長 監督課長 (電 話) (夜間直通) 熊 谷 久 小 林 夏 樹 0192-26-5231 0192-26-5239 労働安全衛生法違反事件(労災かくし)の送致 ― 虚偽内容の報告を行った建設会社と代表取締役を書類送検 ― 大船渡労働基準監督署(署長 熊谷 久)は、本日、労働安全衛生法違反の疑いで、 下記法人と同社の代表取締役を盛岡地方検察庁一関支部に書類送検した。 1 被疑者 (1)株式会社吉澤機電商工(本社:埼玉県三郷市) (2)被疑者A(代表取締役、男、69 歳) 2 違反被疑条文 労働安全衛生法違反 同法 第 100 条第1項(報告) 労働安全衛生規則第 97 条第1項(労働者死傷病報告) 同法 第 120 条第5号(罰則) 同法 第 122 条(両罰) 3 事件の概要 株式会社吉澤機電商工(埼玉県三郷市)は、発電機の販売及び修理等を営む事業者、 被疑者Aは、同社の代表取締役であるが、被疑者Aは、同社の労働者Bが、平成 27 年8月 10 日頃、東京都八王子市内の工事現場で、左足脹脛部に切創を負った労働災害 を原因として壊死性筋膜炎を発症、同年9月4日から入院し、休業の日数が4日以上 となったため、労働安全衛生規則第 97 条の規定に基づき、「労働者死傷病報告」を 八王子労働基準監督署長あてに提出しなければならかったにも拘らず、これを偽り、 同年8月 26 日、労働者Bが、岩手県気仙郡住田町内の工事現場で、左足脹脛部に切創 を負ったとする虚偽の労働災害を原因として壊死性筋膜炎を発症した旨を労働者死傷 病報告に記載するなどし、本来の報告先とは異なる大船渡労働基準監督署長あてに提 出したものである。 なお、労働者Bは、同年 10 月 28 日に多臓器不全により死亡した。 大船渡労働基準監督署では、本件虚偽報告について「労災かくし」として書類送検 したものである。 4 参考事項 (1) 「労働者死傷病報告」 (様式第 23 号)は、労働者が労働災害により負傷するなどし、 4日以上休業した場合には、その労働者の雇用主である事業者が、労働災害が発生 した場所を管轄する労働基準監督署に提出しなければならない。この報告を怠った り、虚偽の内容を報告することを「労災かくし」と呼ぶ。 (2)労働安全衛生法が労働者死傷病報告を事業者に義務付けているのは、行政が災害 発生原因等を正確に把握し、当該事業者に再発防止対策を確立させるだけでなく、 地域や産業において同種労働災害の再発防止のための基礎資料として重要な役割を 果たすからであり、これを怠ったり虚偽の内容を報告した場合には、刑事処分など 厳正に対処している。 (3)壊死性筋膜炎とは、負傷した際の傷口などから菌感染し、血液や神経に毒素が回 ることで全身症状を来す疾病のひとつであり、類似疾病として「破傷風」などが挙 げられる。 (4)本事件の被疑会社は、昨年8月前半に東京都八王子市内の現場で、また、同月後 半には岩手県気仙郡住田町内の現場で、それぞれ工事施工したものであるが、八王 子市内の現場で怪我をした労働者が、住田町内の現場で作業中に足の腫れを訴え、 9月初旬から金沢市内の病院に入院することとなった際に、住田町内の現場で怪我 をしたとして、災害発生現場や発生状況を偽った労働者死傷病報告を作成し、10 月 中旬に大船渡労働基準監督署に提出したものである。 関連条文一覧 労働安全衛生法(昭和 47・6・8 法律第 57 号)(抄) 第 100 条 (報告等) 厚生労働大臣、都道府県労働局長又は労働基準監督署長は、この法律を施行す るため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者、 労働者、機械等貸与者、建築物貸与者又はコンサルタントに対し、必要な事項を 報告させ、又は出頭を命ずることができる。 2 3 (略) (略) 第 121 条 (罰則) 次の各号のいずれかに該当する者は、50 万円以下の罰金に処する。 1 ~ 4 5 6 (略) 第 100 条第 1 項又は第 3 項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、 又は出頭しなかつた者 (略) 第 122 条 (両罰規定) 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又 は人の業務に関して、第 116 条、第 117 条、第 119 条又は第 120 条の違反行為をした ときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。 労働安全衛生規則(昭和 47・9・30 労働省令第 32 号)(抄) 第 97 条 (労働者死傷病報告) 事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業場内若しくはその附属建設物 内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業したときは、遅滞なく、 様式第 23 号による報告書を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。 2(略)
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