仕様書 1 件名 多様な木材需要に対応するための需給動向調査委託事業

仕様書
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件名
多様な木材需要に対応するための需給動向調査委託事業
事業目的
森林資源の成熟により針葉樹の主伐量が増加を続ける一方、広葉樹はバイ
オマス利用が中心となっており、家具等に使用する広葉樹用材の供給量は、
輸入家具の増加、国内家具製造事業所の廃業等により年々減少の一途をたど
っている。
他方で、輸入広葉樹は北米産・ロシア産を中心に山火事、病虫害や円安等
による近年輸入価格の上昇や、合法木材の利用推進等により入手が困難とな
っており、これを代替する用材の確保が国内家具製造業をはじめとした広葉
樹材需要者の操業継続に不可欠な課題となっている。
こうした中、国内広葉樹の供給拡大への期待が高まっているところである
が、資源の分布状況については十分な調査・分析・評価が行われておらず、
有用な材もチップやバイオマス用に低価格で取引されている状況にあり、国
有林野事業にとっても収入を最大化する機会を逸する状況にある。またコウ
ヨウザンのように、その価値が見直され利用に結びつく例も出ており、広葉
樹の未利用樹種についても改めてその利用可能性について検証し、需要の掘
り起こしを図ることも重要である。
このため、本事業では以上の需給のミスマッチに着目して、広葉樹資源及
び 需 用 者 の 要 望 、森 林 の 有 す る 多 面 的 機 能 の 発 揮 な ど の 多 様 な 観 点 か ら 分 析 、
評価を実施し、その結果を踏まえ、需用者と利用可能な広葉樹資源とのマッ
チングを図ることを目的とする。
事業の履行期間
委 託 契 約 締 結 日 か ら 平 成 29年 3 月 17日 ( 金 ) ま で と す る 。
事業内容
本事業は前述の目的を達成するため、国有林野内の広葉樹について、国土
保全や生物多様性などの公益的機能を踏まえた利用可能な広葉樹の賦存状況
及び利用可能性、需要、未利用樹種の利用可能性等の多様な観点から評価、
分析を実施することにより、利用可能な樹種及び資源量の明確化を図る。
(1)検討委員会の設置・運営
事業の実施に当たっては「多様な木材需要に対応する需給動向調査検討委
員 会 」( 以 下 「 検 討 委 員 会 」 と い う 。) を 設 置 し 、 検 討 委 員 会 か ら 以 下 の 内
容等必要な技術的指導及び助言を受けることとする。なお、検討委員会の開
催回数は2回以上を想定しており、調査状況、とりまとめ状況等を踏まえ、
開催時期等については林野庁担当職員と調整の上決定する。
(第1回)調査の方針、具体的な調査箇所、調査方法、事業実施に当たって
の留意事項の検討等
(第2回)現地調査結果の報告、得られた知見の整理、成果の取りまとめ、
報告書の検討等
委員は5名程度とし、森林施業・造林、森林経営及び木材利用等に関する
学識経験者等がバランス良く含まれるよう配慮し、林野庁担当職員と調整の
上で決定する。
なお、検討委員会における審議により、以上の検討内容について変更があ
り得る。
(2)広葉樹資源量の分析、評価
文献調査及び全国5地域程度で現地調査を実施し、その賦存状況と樹種分
布 等 を 分 析 す る こ と に よ り 、利 用 の 観 点 か ら 、国 内 広 葉 樹 資 源 の 評 価 を 行 う 。
①
文献調査
広葉樹資源量について、森林調査簿、GIS、航空写真等の資料から情
報を収集・分析し、森林計画区等の単位で整理する。また、各地域の広葉
樹材流通の現状について文献調査を行う。これらについて、②の調査地を
決定する際に参考となる内容に整理する。
②
調査地・調査対象樹種の決定
①の文献調査をもとに、伐採・搬出が可能であり、かつ、ある程度まと
まった広葉樹の分布が確認できる地域で、大消費地に近い地域、広葉樹の
有 力 な 原 木 市 場 、工 場 が 近 い 地 域 を 条 件 に 調 査 候 補 地 と し て 提 案 す る こ と 。
実際の調査地域及び調査対象樹種は、選定した候補地から、①の内容及び
林野庁担当職員との協議を経て決定することとする。
③
森林所有者等への許諾取得
調査の実施に当たり、当該対象国有林を管轄する森林管理局及び調査の
際に民有林を通行する場合はその森林所有者に対して、調査実施の許諾を
取得すること。また、必要な場合には、所定の手続を実施して入林許可を
取得するほか、必要に応じて林道通行許可を取得すること。入林許諾につ
いては事前に取得することとし、入林許諾を得ずに現地調査を先行して実
施してはならない。
④
調査地の情報等の整理
各調査地域について、関係機関等へ照会を行い、伐採・搬出履歴及び経
費等、広葉樹資源の分析・評価を行うための情報を収集し整理する。
⑤
現地調査
各調査地域における代表的な林分を3箇所程度選定し、以下の調査を行
う。
ⅰ プロット設定
② に よ り 選 定 し た 調 査 地 に お い て 、 1 箇 所 あ た り 0.1ha以 上 の プ ロ
ットを設定する。
ⅱ プロット調査
ⅰ に よ り 設 定 し た プ ロ ッ ト 内 の 全 て の 立 木 ( 胸 高 直 径 5 cm以 上 ) に
ついて、樹種、樹高、胸高直径、本数等を調査する。また、採材方法
の 検 討 の た め 、 胸 高 直 径 24cm以 上 の 立 木 に つ い て 、 形 状 、 枝 下 高 等 を
調査する。
ⅲ 調査地概況把握
1調査地ごとに、調査地及び調査地内のプロットの位置や大きさを
示す図面を作成し、地形、標高、土壌、下層植生、気象条件、斜面方
位等を記録する。また、1調査地の各プロットごとに林況写真を撮影
し、撮影位置と併せて整理する。
ⅳ 搬出方法等調査
調査地ごとに効率的な伐採・採材・搬出方法を検討し整理するとと
もに、搬出系統図を作成する。
ⅴ 更新方法調査
伐採・搬出後の更新方法を検討し、整理する。
ⅵ 類似林分の位置把握
調査地域における類似林分のリストを作成し、位置を図面に整理す
る。
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⑤の調査結果を整理し、①及び④の情報と併せて、広葉樹資源の分析・
評価を実施した上で、改めて広葉樹の利用に当たり参考にできる内容とし
て、森林計画区等の単位で整理し、調査報告書に記載する。
(3)需用者への聞き取り調査
( 2 )の 調 査 地 域 周 辺 の 需 用 者 に 対 し 、家 具 用 材 等 に 必 要 な 広 葉 樹 の 種 類 、
規格及び年平均使用材積等について聞き取り調査を実施し、その結果を取り
まとめる。なお調査地域周辺に需用者が存在しない場合は、林野庁担当者の
許可を得て別の場所で実施することとする。
(4)原木・製品市場調査
(2)及び(3)で実施した調査区域と近接する原木・製品市場において取
り扱っている樹種の産地、規格、価格、販売先等について聞き取り調査を行
い、その結果を調査報告書に記載する。
(5)未利用樹種の利用可能性調査
(2)~(4)本事業の成果や過去の文献から、各地域において、資源は豊
富であるがその地域で未利用となっている広葉樹種を数種類絞り込み、利用
可能な用途及び利用にあたっての課題について、調査報告書に記載する。
(6)報告会の開催
(2)~(5)の調査結果を踏まえ、広葉樹資源の効率的な利用方策等に
ついて民有林への普及を図るための報告会を東京都内で開催する。
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事業実施計画の提出
事 業 実 施 事 項 に つ い て 、 実 施 ス ケ ジ ュ ー ル 及 び 実 施 体 制 を 契 約 締 結 後 10日
以内に提出すること。
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事業報告書
事 業 が 終 了 し た 場 合 は 、4 に 掲 げ る 事 項 に つ い て 事 業 報 告 書 に 取 り ま と め 、
概 要 版 及 び 詳 細 版 を 各 80部 及 び 電 子 媒 体 ( D V D - R ) 2 部 を 次 の 場 所 に 提
出する。
林 野 庁 国 有 林 野 部 業 務 課 技 術 開 発 ・ 普 及 班 ( 北 別 館 8 階 ド ア № 北 814)
なお、電子媒体は、ウイルス対策を実施した上で、ウイルス対策に関する
情報(ウイルス対策ソフト名、ウイルス定義、チェック年月日)を記載した
ラベルを貼付し、提出すること。
7 その他
(1)本事業における地域分けについては、森林管理局の管轄区域を基本とす
ることとする。
(2)本調査についての打合せを、業務着手段階、調査報告書のとりまとめの
段階の2回以上行うものとし、これに加えて、林野庁担当職員から求めが
あった場合は別途打合せを行うものとする。
(3)業務の目的を達成するために、林野庁担当職員は業務状況・進行状況に
関 し て 必 要 な 指 示 を 行 え る も の と し 、受 託 者 は こ の 指 示 に 従 う も の と す る 。
(4)受託者は、本業務の実施に当たって、再委託を行う場合は、支出負担行
為担当官林野庁長官の承認を得るものとする。
(5)受託者は、本業務により知り得た情報について、外部に漏らしてはなら
ない。
(6)林野庁からの貸与物件については、本業務の遂行のみのために利用する
ものとし、本業務と無関係の部署及び再委託契約者以外の他者への譲渡並
びに本業務の遂行の目的以外でのデータの複製は禁止する。再委託契約相
手方へデータを貸与する場合は、林野庁担当職員の承認を得た貸与条件を
付した上で、再委託を行うものとする。また、貸与物件は、本業務の完了
までに返却するものとし、データを複製した場合は、契約履行後に全て消
去するものとする。
(7)業務の目的を達成するために、本仕様書に明示されていない事項で必要
な 作 業 が 生 じ た と き は 、林 野 庁 担 当 職 員 と 受 託 者 が 協 議 を 行 う も の と す る 。